【民泊投資】民泊するなら調べておきたい用途地域についてわかりやすく解説します。

民泊を検討している方は、まずそのエリアにて民泊経営が可能かどうかを確認しておく必要があります。なぜなら、地域によって宿泊業・旅館業が可能となるエリアが決められているからです。民泊を行いたいエリアがどうなのかは、各自治体のHPから確認することができます。

仮に、民泊が可能なエリアだったとしても、閑静な住宅街に隣接していれば後々トラブルになる可能性もあるため、事前の調査が欠かせません。

今回は、民泊が可能な地域かどうか、また民泊が受け入れやすい地域かどうかの目安となる、用途地域についてわかりやすく解説していきます

民泊に必要な条件

近年の外国人観光客の増加は著しく、宿泊施設への需要は急激に高まっています。外国人観光客の増加に一役かっているのが民泊の存在です。

民泊は日本では聞きなれない宿泊システムですが、多くの主要国では以前から親しまれていた宿泊方法で、国内でもここ2,3年で急激に普及拡大が進んでいます。

そこで、不動産投資の選択肢として民泊経営が気になる方は多いでしょう。

民泊はどんな場所でも可能?

民泊経営を行うためには、まず認可を取ることはもちろんですが、各地域によっては民泊経営ができないエリアが規定で定められているので注意しなければなりません。どんな場所でも民泊経営ができるわけではないのです。

仮に、民泊経営が可能なエリアだったとしても、近隣住民からの警戒心や反感がもとで経営が難しくなる場合があることを考慮しておくことが成功のポイントです。

民泊に適したエリアであるかどうかを判断する方法として、用途地域を調べる方法があります。用途地域とは何なのかがわかれば、その立地環境にて民泊経営が可能かどうか、将来性があるかどうかが自分でも判断できます。

用途地域とは

用途地域とは、都市計画法の1つでエリアを用途に応じて区分された地域のことをいいます。居住環境や商業、工業などが混在してしまい、無秩序な町にならないように計画されたものです。

Expert
改めて、住んでいる地域を見てみると、住宅地や繁華街など区分されているのがわかりますよね。
Woman
そういえば、飲食店やお店が多いエリアと住宅だらけのエリアとがあるみたい・・・
Woman
住宅地にいきなり高層ビルが建っていることはないし、学校の近くには成人向けのお店(風俗店など)は絶対ないよね。
Expert
言われてみると納得できると思いますが、商店街は商業地域、住宅は住宅地域などと都市計画法によって建ててよい建物や営業していいビジネスなどが決められいるのです。

都市計画法

都市計画法では、市区町村を大まかに3つのエリアに分類しています。

  • 市街化区域
  • 市街化調整区域
  • 非線引き・白地地域

それぞれどのようなエリアになるのか詳しく解説しましょう。

市街化区域

市街化区域とは、居住・商業・工業などで発展・開発されている、または開発予定である地域のことです。

すでに安定した人口が確保できており、市街地として形成されているエリアもあれば、今後10年以内に市街地として優先的に都市開発が行われる地域のことです。

市街化区域はさらに、

  • 住宅を中心とするエリア
  • 住宅と商業が混在するエリア
  • 積極的に商業が行われるエリア
  • 工業中心に開発されるエリア

などに分けられています。

このように市街化区域を用途別に分類したものが用途地域になります

民泊に適した地域とは、市街化区域にて宿泊事業が可能となっているエリアのことで、用途地域によっては民泊事業が禁止されてあるエリアもあります。

市街化調整区域

市街化調整区域とは、原則として開発を進めていかない地域のことです。

農業、農家、山林、畑などが中心となったエリアで、自然環境の保護が最重視されています。いわば現状維持にて環境を守っていきたい地域となり、市街地とは大きく区別されています。

このような地域でも民泊事業が行えるエリアもありますが、必然的に人口の流入出の頻度は極めて少なく、民泊だけに限らず不動産投資としては非常に難しい地域であるといえます。

ただ、自然環境や農業を活かした民泊も密かに注目されており、地域住民の賛同・協力が得られれば、人気の民泊となる可能性もあります。

非線引き・白地区域

非線引き・白地区域とは、市街化区域や市街化調整区域のように、そのエリアの用途が明確にはなっていない地域のことです。住宅・商業・工業の区分が行われていないため、土地・建物の活用においても幅広い選択肢が可能となります。

しかし、市街化計画がなされていないこともあり、交通・通信・電気・上下水道などのインフラ設備が充実していないというデメリットがあります。

エリアによっては、特定の規定を設けている自治体もあります。

将来的にその地域がどのように発展していくのか、未知の可能性があるかわりに、周辺の環境が著しく変化することもあるためリスクは高いといえます。

ひとまずは、よほどの不動産の知識がない限り、民泊経営の対象としては避けておいた方が無難でしょう。

用途地域の種類

それでは、それぞれの地域にて民泊が可能なエリア、民泊に滴したエリアを判断する際に重要なポイントとなる用途地域の種類を見ていきましょう。

各自治体によって、同じ用途地域であっても民泊の規制が行われてある場合もありますので、必ず自治体にて確認するようにして下さい。

用途地域の種類は全部で13種類あります。それぞれの用途地域において、建築基準法に沿った建物の寸法、床面積、用途などが規定されてあります。まず、用途地域は大まかに3つのジャンルに分類することができます。

  1. 住居系
  2. 商業系
  3. 工業系

住居系

①第1種低層住居専用地域 ②第2種低層住居専用地域

民泊は不可、あるいは稀に可能であっても非常に難しい

第1種低層住宅専用地域とは、文字通り低層住宅専用の地域であり、住宅と小中学校がメインとなるエリアです。生活に必要と思われるごく小規模なお店や事務所のみが許可されてある地域です。

一般の賃貸を目的にした場合は有利な条件となりますが、民泊のように不特定多数の旅行者が出入りすることに反感を持つ住民が多くなります。

住宅宿泊事業者としての民泊が期間限定で許可されてある地域もありますが、積極的な運営が難しいといえるでしょう。特区民泊の場合は自治体の規定や周囲の状況によります。

旅館業による民泊は原則としてNGです。

③第1種中高層住居専用地域 ④第2種中高層住居専用地域

→民泊は不可、あるいは可能な場合もあるがやや難しい

低層住居専用地域に比べれば、やや規制は緩くなり、マンションやアパートなどで3階建て以上の建物が増えてきます。高い建物は制限されてあり、病院や大学などの施設、日常生活において利便性が高い特定の商業施設のみが許可されてあります。

自治体によりますが、こちらの地域では住宅宿泊事業であれば許可が出るケースもあります。ただ、基本的には住宅専用の地域であるため、本格的な民泊経営には支障が出る可能性もあるでしょう。

⑤第1種住居地域 ⑥第2種住居地域

→民泊が規制されている場合もあるが、基本的には可能

これら2つの地域になると、基本的にホテル・旅館などの宿泊業の経営は可能となります。居住環境が重視されつつも、中小規模の飲食店などの商業施設は営業が許可されています。

パチンコ店、深夜営業のみ、成人向けの店舗などは禁止されてあります。

第1種・第2種住居地域は基本的に民泊経営は可能です。自治体や周囲の状況によっては営業が難しい場合もあるでしょうが、比較的に容易となるケースも増えてくるでしょう。

隣接している地域を考慮することが大切です。

⑦田園住居地域

→限られた自治体のみ民泊は可能かもしれない、旅館業は不可

こちらの地域は、2018年4月に新しく制定された用途地域です。田園住居地域とは農業や農家の自然環境を維持しつつも、一般の住宅としての利便性を確保することを目的としたエリアとなります。

自然環境と居住環境との調和がとれた地域です。ごく限られた自治体のみ、農家民泊として認可が出る場合もあるかもしれません。基本的に民泊・旅館業は不可です。

商業系

次に紹介する商業系の用途地域とは、民泊事業が最も行いやすい地域だといえます。以下の商業系の地域でも特ににぎやかなエリア、閑静なエリアとありますので、ターゲットに合わせて選ぶことができます。

⑧準住居地域

⑨近隣商業地域

⑩商業地域

以上3つのエリアに関しては、ホテル・旅館などの宿泊業は許可され、静かな居住環境よりは利便性が重視される傾向にあります。とくに駅周辺では自由に商業が行えるエリアや10階建て以上の高い建物も多くなり、商業施設への規制がかなり緩和されてあります。小規模な工場・や自動車関連施設の設置が可能です。

これらの地域では、認可に沿った営業であれば規制を受けずに民泊ができる自治体が増えてきます。近隣住民からの賛同が得やすい環境にあるといえるでしょう。

工業系

工業系の用途地域にて、民泊経営が可能となるのは準工業地域のみです。

⑪準工業地域

旅館業も民泊も可能

準工業地域とは、住民への危険性がない軽工業系の向上やサービス施設が立地する地域です。居住用の住宅も許可されてあります。ホテルや旅館の経営も可能ですから民泊を行いやすい地域の1つだといえます。

ただ、収益面を考えた時に、商業地区などに比べると利便性が劣ることがマイナスとなる場合もあるかもしれません。

⑫工業地域 ⑬工業専用地域

民泊は基本的に不可

工業地域、工業専用地域はどんな工場でも建てられる地域で、住宅やお店の経営は許可されていますが、学校・病院・ホテル・旅館などを建てられません。

工業地域では住宅は許可されてあるため、自治体によっては住宅宿泊事業であれば認可がおりる場合もあるかもしれませんが、事業的に難しいでしょう。

ホテル・旅館が経営できる地域

民泊は住宅宿泊事業法(民泊新法)や特区民泊の認可にて営業する方法と、旅館業法の許可(住宅宿泊事業法)にて営業する方法とがあります。まずは、判断の目安としてホテル・旅館が経営できるエリアなのかどうかを確認するとよいでしょう。

13種類ある用途地域の中で、ホテル・旅館が経営できる地域は以下の6つです。

  • 第1種住居地域
  • 第2種住居地域
  • 準住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域

住宅宿泊事業で民泊を行う場合は、これ以外の地域でも民泊経営が可能な場合があります。自治体が認可している場合でも、近隣住民の反応によっては経営が難しい可能性がありますので、事前のリサーチを怠らないようにしましょう。

※用途地域に関する詳しい情報は国土交通省の公式ページにてご確認いただけます。
国土交通省・用途地域:http://www.ktr.mlit.go.jp/city_park/chiiki/city_park_chiiki00000009.html

 

用途地域の調べ方

民泊を行いたい地域や物件の用途地域を調べる方法は、自治体に確認するのが一番確実で間違えがありません。しかし、自分でも自治体のHPから用途地域を調べることが可能です。

用途地域を調べる方法を解説していきます。

自治体のHPから調べる

住所や大まかなエリアがわかっている場合

あらかじめ、物件の住所や大まかなエリアがわかっている場合は、そのエリアが用途地域が何になるのかを検索することができます。

①各自治体(市区町村)のHPに行く

②まちづくり・都市計画、用途地域の項目を探す

③用途地域情報・都市計画情報を調べるをクリックする(利用規約に同意するにチェックして下さい)

④住所を入力する

⑤用途地域の地図が表示される

出典:新宿区公式HP

上記は、新宿区細工町の例です。色分けされた住所周辺の地図が出てきます。その色によって、用途地域が何なのかがわかります。上記の地図では新宿区細工町は黄色で「第1種住居地域」になりますので問題なさそうです。

⑥周辺の用途地域も考慮する

そこで、周辺の用途地域も考慮しておいた方がより確実な民泊経営が可能となります。上記の地図では黄緑の地域とピンクの地域が周辺にありますよね。黄緑は「第1種中高層住居専用地域」ですから、黄緑に隣接しているエリアは避けた方がよさそうですね。そしてピンクは「商業地域」ですから、ピンクに近い方が有利ですよね。

用途地域を参考に物件探しもできる!

民泊を行う物件をこれから探したい方は、先に用途地域を調べておいてエリアを限定しおくと確実です。市区町村全体の用途地域を調べたい場合は、○○市都市計画、○○区用途地域、と入力して調べてみましょう。

出典:新宿区公式HP

こちらは新宿区全体の用途地域の地図です。

青→「第1種低層住宅専用地域」 緑→「第1種中高層住宅専用地域」となっていますので、大まかなところで、青と緑のエリアを避けて物件を探すことができます。

ピンク→「商業地域」周辺を目安にしてエリアを限定していくことが可能ですね。

皆さんもご地域の自治体のHPから、用途地域を調べてみましょう。単純に「○○町の用途地域」と検索してみても自治体の用途地域の画面にアクセスできるでしょう。

自治体による特例措置

民泊可能なエリアの選定や、民泊に適した物件を探すにあたっては、用途地域だけでは正確に判断できかねる場合があるので注意しなければなりません。

それぞれの自治体によって、民泊に対して特例を定めている場合があります。自治体の特例に応じて、用途地域では民泊可能なエリアであっても民泊事業に制限されてあったり、逆に民泊不可能なエリアでも民泊が可能となる場合もあり得ます。

従って、用途地域を調べると同時に、自治体の民泊における特例を調べておくことが必要です。

自治体の特例措置の調べ方

自治体の民泊における特例がどうなっているのかを調べる方法を解説します。

①自治体の公式HPへアクセスする

②くらし、住まい、観光などのタグから「住宅宿泊事業法」「民泊制度」の項目を探す

③住宅宿泊事業法におけるルールや規制を確認する

例えば、新宿区では、住宅宿泊事業は住宅専用地域においては平日の営業が禁止されていますが、土日祝日のみの営業であれば可能としています。加えて周囲への事前の告知などが義務づけられています。

また、大田区は特区民泊として民泊事業を積極的に行っていますが、ホテル・旅館業が許可されてある地域のみにエリアを限定しています。

※これから民泊投資を検討している方は、民泊に認可である「住宅宿泊事業法」と「旅館業法」の違いを確認しておきましょう。

※また、民泊を成功させるうえで最も重要なポイントでもある、近隣住民とのトラブルに関する記事も参考にして下さい。

まとめ

民泊を行う際には、観光のニーズがあるか、外国人に人気のエリアかどうか、建物の状態や交通アクセスなどを優先してエリアや物件を選んでしまいがちです。もちろんこれらの要素は、非常に重要なポイントだといえますが、何よりも大切な条件とは、その地域にて民泊が行えるかどうかということです。

仮に民泊が可能な地域だったとしても、微妙な立地環境から積極的な経営が難しい場合も考えられます。

民泊を行う際には、民泊が可能なエリアであることと、さらに積極的な運営が可能であるかどうかをまずは調べる必要があります。さらには、自治体の特例措置がどうなっているのか確認しておくことが欠かせません。今回の記事をぜひ参考に、最も将来性のあるエリアを選んで民泊事業を成功させていきましょう!

 

 

 

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