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ハローワークといえば、失業した人が失業保険の手続きをしたり、仕事を探したりする場だと思っている人は多いのではないのでしょうか?もちろん失業保険や仕事探しの場ではあるのですが、それだけではありません。
ハローワークとは、職に関するあらゆることができる場なのです。例えば、職業訓練を受けて就職するためのスキルを身につけることもできますし、お金を借りることもできます。
ただし、ハローワークは金融機関ではないので、銀行などのような形でお金を貸してくれるわけではありません。今回は、ハローワークではどのような貸付制度があって、どのような条件の人が借り入れできるのかについて詳しく解説していきます。
ハローワークとはどういう所?
都道府県労働局は厚生労働省からの指示の基で、その地域ごとの産業や雇用や失業状況に応じて雇用対策を行っています。ハローワーク(公共職業安定所)は、その雇用対策の窓口になっている所です。
ハローワークでできること
就職支援
就職支援は、ハローワークの代表的な役割になります。ハローワークでは、一般的には設置されている検索機で気になる求人を探したら窓口に持っていきます。
しかし、そもそもどういう求人を探したら良いのかや、どうやって就職活動をしていったらわからない人などは、直接窓口で相談することもできます。また、就職セミナーなども無料で行っていますので利用するのもおすすめです。
職業訓練の受付
国や都道府県や民間企業では、求職者か技術を習得するための職業訓練を原則無料で行っています。ハローワークでは、これらの職業訓練の受付を行っています。
また、ハローワークで就職を探しに来ている人の中で失業保険を受給できない人であっても、職業訓練を受けることにより職業訓練受講給付金を受給できるかもしれません。
失業保険の手続き
失業保険とは、失業した人が失業している間に生活に困らないように雇用保険から受給できる給付です。基本的に過去2年間に12ヵ月以上雇用保険に加入している場合、または特定受給資格者の場合は過去1年間で6ヵ月以上雇用保険に加入している場合に支給されます。
ただし、自己都合退職の人は、退職してから失業保険を受給できるまでに約3ヵ月かかります。この失業保険を受給する手続きも、ハローワークの仕事です。
ハローワークでお金が借りれる?
ハローワークからの借り入れとは?
ハローワークには貸付制度があって、一部の資金について借り入れすることができますが、返済見込みの内無収入の人に貸すことはありません。しかし、ハローワークは国の救済機関のため、正社員の人のような安定した収入を求めているわけでもありません。
一般的には、アルバイトなどで毎月5万円くらいの収入があれば借りることができる可能性は高くなります。
ハローワークの貸付制度
ハローワークの給付や貸付制度は以下になります。
- 職業訓練受講給付金
- 住居確保給付金の受給
- 総合支援資金の貸付
- 臨時特例つなぎ資金の貸付
一つ一つの詳細については、次項で詳しく解説していきます。
ハローワークの給付や貸付制度
ここでは、ハローワークで行っている給付や貸付制度について詳しく解説していきます。
職業訓練受講給付金
職業訓練受講給付金とは、一定の条件を満たしてハローワークで行っている職業訓練を利用した場合、訓練期間中の生活支援のための給付を受けられます。給付を受けられる人は、仕事を探している人であって失業保険を受給できない人や、失業保険の受給は終了したがハローワークで職業訓練の受講を支援指示された人などです。
職業訓練受講給付金は給付金のため、受給したお金を返済する必要はありません。
職業訓練受講給付金の支給対象となる人
以下のすべての条件が満たされた場合に職業訓練受講給付金が支給されます。
- ハローワークに求職の申込みをしていること
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
職業訓練受講給付金の支給額
通所手当とは、最も経済的かつ合理的と認められる通常の通所経路や方法による運賃または料金が支給される手当のことです。
寄宿手当とは、訓練を受けるため同居の配偶者などと別居して寄宿する場合でハローワークが必要性を認めた人に支給される手当のことです。
職業訓練受講給付金の支給要件
以下のすべての条件を満たす人が支給されます。
- 本人収入が月8万円以下であること
- 世帯全体の収入が月25万円以下であること
- 世帯全体の金融資産が300万円以下であること
- 現在住んでいるところ以外に土地、建物を所有していないこと
- 全ての訓練実施日に出席していること
- 世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいないこと
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがないこと
職業訓練受講給付金の支給の手続き
- ハローワークに求職申込みを行って求職者支援制度の説明を受けます。
↓ - ハローワークで職業相談を受けながら適切な職業訓練の訓練コースを選んで受講申込書などの必要書類を受け取ります。
↓ - ハローワークの窓口で、職業訓練の受講の申込みの手続きを行います。同時に職業訓練受講給付金の事前審査を申請します。
↓ - ハローワークの受付印が押印された受講申込書を職業訓練実施機関に提出します。
↓ - 職業訓練実施機関による面接や筆記等の選考を受けます。
↓ - 合格の場合は職業訓練実施機関から合格通知が届きますので、職業訓練開始日前日までにハローワークに来所します。その時にハローワークが「就職支援計画」を作成して、支援計画に基づく職業訓練を受けるための支援指示を受けます。
↓ - 原則、職業訓練の受講中~職業訓練の修了後3ヵ月間は、月に1回ハローワークが指定する日にハローワークに来所し、定期的な職業相談を受けます。職業訓練受講給付金の支給申請も月に1回の来所日に行います。
住居確保給付金
住居確保給付金とは、離職等によって経済的に困窮して住居を失ったかまたはそのおそれがある人に対し、安定した住居の確保と就労自立を図るために支給をします。
住居確保給付金の支給対象となる人
以下のすべての条件が満たされた場合に住居確保給付金が支給されます。
- 申請日において65歳未満であって、離職等後2年以内の者
- 離職等の前に世帯の生計を主として維持していたこと
- ハローワークに求職の申し込みをしていること
- 国の雇用施策による給付等を受けていないこと
住居確保給付金の支給額
東京都1級地の場合は単身世帯:53,700円、2人世帯:64,000円
住居確保給付金の支給要件
以下の3つの要件をを満たす人が支給されます。
収入要件
申請月の世帯収入合計額が、基準額(市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12)+家賃額以下であること。家賃額は、住宅扶助特別基準額が上限になります。東京都1級地の場合は単身世帯:13.8万円、2人世帯:19.4万円、3人世帯:24.1万円
資産要件
申請時の世帯の預貯金合計額が、基準額×6(ただし100万円を超えない額)以下であること。東京都1級地の場合は単身世帯:50.4万円、2人世帯:78万円、3人世帯:100万円
就職活動要件
ハローワークでの月2回以上の職業相談と自治体での月4回以上の面接支援など
住居確保給付金の支給期間
原則3ヵ月間(ただし、就職活動を誠実に行っている場合は3ヵ月延長が可能(最長9ヵ月まで))
住居確保給付金の支給の手続き
- 必要書類を添えて、住居確保給付金の申請書を各自治体の担当部署に提出します。
↓ - ハローワークにて求職申し込みをします。
↓ - 貸主や不動産媒介事業者との調整を行います。
↓ - 住宅確保給付金の審査が行われます。
↓ - 審査に通過した場合は、住宅確保給付金の支給が決定します。
総合支援資金の貸付
総合支援資金とは、離職や失業などで生活に困窮している世帯に対する貸付制度です。社会福祉協議会やハローワークから支援を受けて、経済的な自立と生活の立て直しができるようになることを目的としていす。総合支援資金には、生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費の3種類の貸付制度があります。
生活支援費
生活支援費は、生活再建に必要な生活費用の貸付です。
生活支援費の貸付期間
原則3ヶ月間(最長12ヶ月間まで延長可能)
生活支援費の貸付金額
月20万円以内(単身世帯は月15万円以内)
住宅入居費
住宅入居費は敷金や礼金などの住宅に関する賃貸契約の締結を目的とした、締結に必要な費用の貸付です。
住宅入居費の貸付金額
40万円以内
一時生活再建費
一時生活再建費は、生活再建のための資金の貸付です。以下の場合に行われます。
- 生活再建のための費用を日常生活費で賄うことが困難で一時的に資金が必要な場合
- 就職や転職を目的とした技能習得に関する経費
- 公共料金などを滞納している場合に必要な費用
- 債務整理をするのに必要な経費など
一時生活再建費の貸付金額
60万円以内
総合支援資金は既に就職が決まっている場合を除き、生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援事業などの支援を受けることが条件です。また、総合支援資金の実施主体や関係機関から、貸付後の継続的な支援を受けることになります。
総合支援資金の貸付条件
生活支援費 | 生活支援費以外 | |
---|---|---|
据置期間 | 最終貸付日から6ヵ月以内 | 貸付けの日(生活支援費とあわせて貸し付けている場合は、生活支援費の最終貸付日)から6ヵ月以内 |
償還期限 | 据置期間経過後20年以内 | 据置期間経過後20年以内 |
貸付利子 | 連帯保証人あり無利子、連帯保証人なし年1.5% | 連帯保証人あり無利子、連帯保証人なし年1.5% |
連帯保証人 | 原則必要、ただし保証人なしでも貸付可 | 原則必要、ただし保証人なしでも貸付可 |
総合支援資金の手続き
- ハローワークにて求職申し込みをします。
↓ - 住んでいるところの自治体にある社会福祉協議会の窓口にて、総合支援資金のための手続きの説明と用紙の交付を受けます。
↓ - 申請書と必要書類を窓口に提出します。
↓ - 審査が行われて通過した場合は貸付が決定 されます。
臨時特例つなぎ資金
臨時特例つなぎ資金とは、住居のない離職者が、離職者を支援する公的給付制度や公的貸付制度の給付が行われるまでのつなき資金のための貸付金です。
臨時特例つなぎ資金の貸付対象者
住居のない離職者であって以下の条件にすべて該当する人
- 離職者を支援する公的給付制度(失業等給付、住宅手当等)、または公的貸付制度(就職安定資金融資等)の申請を受理されていて、当該給付などの開始までの生活に困窮していること
- 貸付けを受けようとする人名義の金融機関の口座を有していること
臨時特例つなぎ資金の貸付上限額
10万円以内
償還期間
10ヵ月以内
連帯保証人
不要
貸付金利子
無利子
臨時特例つなぎ資金の手続き
- 利用する公的給付制度や公的貸付制度を申請する窓口にて、臨時特例つなぎ資金貸付の利用を伝えます。
↓ - 申請窓口にて公的給付制度や公的貸付制度が受理されていることを証明する書類の交付を受けます。
↓ - 臨時特例つなぎ資金の必要書類を用意して、各自治体の社会福祉協議会に申し込みます。
すぐにお金が必要な場合
ハローワークの給付や貸付制度は、すべて公的なものです。そのため、貸付制度の金利は低金利か無利息で借りることができますし、給付であれば返済の必要がありません。
しかし、公的な給付や貸付制度のデメリットは、申請をしてから実際にお金を受け取るまでに時間がかかってしまうことです。すぐにお金が必要な人にとっては、給付や借入金が入ってくるまで待っていられない場合もあるでしょう。
そんな時には、消費者金融会社のカードローンを検討するのも良いかもしれません。消費者金融のカードローンであれば、銀行カードローンよりも審査が通過しやすいのでおすすめです。
ここでは、代表的な消費者金融カードローンの概要について紹介していきます。
J.Score(ジェイスコア)
- 金利(実質年率):年0.8%~年12.0%
- 借入限度額:10万円~1,000万円利用条件:契約時の年齢が満20歳以上で満70歳以下、国内に居住していること、安定かつ継続した収入が見込めること
- 返済方式:残高スライドリボルビング方式
- 返済期間:原則最終借入日後最長10年
- 担保:不要
- 連帯保証人:不要
レイク
- 金利(実質年率):年4.5%~年18.0%
- 借入限度額:1万円~500万円
- 利用条件:満20歳以上満70歳以下であること、国内に居住していること
- 返済方式:残高スライドリボルビング方式、元利定額リボルビング方式
- 返済期間:最長8年
- 返済回数:最大96回
- 担保:不要
- 連帯保証人:不要
SMBCモビット
- 金利(実質年率):年3.0%~年18.0%
- 借入限度額:1万円~800万円
- 利用条件:満20歳以上74歳以下であること、安定した収入のあること、SMBCモビットの条件を満たすこと。※収入が年金のみの方はお申込いただけません。
- 返済方式:借入後残高スライド元利定額返済方式
- 返済期間:最長5年、モビットが合理的な理由があると認めた場合は最長8年10ヵ月
- 返済回数:最長60回、モビットが合理的な理由があると認めた場合は最長106回
- 担保:不要
- 連帯保証人:不要
アイフル
- 金利(実質年率):年3.0%~年18.0%
- 借入限度額:1万円~800万円
- 利用条件:満20歳以上であること、定期的な収入と返済能力を有していること、アイフルの基準を満たすこと
- 返済方式:借入後残高スライド元利定額リボルビング返済方式
- 返済期間:借入直後最長14年6ヶ月
- 返済回数:1回~151回
- 担保:不要
- 連帯保証人:不要
アコム
- 貸付利率(実質年率):3.0%~18.0%
- 融資限度額:1万円~800万円
- 必要書類:運転免許証、交付を受けていない人は個人番号カードや健康保険証など、借入総額により収入証明書(源泉徴収票等)が必要になります
- 返済方式:定率リボルビング方式
- 返済期間:最終借入日から最長9年7ヵ月
- 返済回数:1回~100回
- 担保:不要
- 連帯保証人:不要
プロミス
- 貸付利率(実質年率):年4.5%~年17.8%
- 融資限度額:1万円~500万円
- 必要書類:運転免許証、交付を受けていない人はパスポートまたは健康保険証+1点(住民票など)、希望借入額が50万円を超える場合、他社の利用残高との合計が100万円を超える場合に、源泉徴収票や確定申告書や給与明細書などの収入証明書が必要
- 返済方式:残高スライド元利定額返済方式
- 返済期間:最終借入後原則最長6年9ヶ月
- 返済回数:1~80回
- 担保:不要
- 連帯保証人:不要
まとめ
ハローワークなの主な役割は、就職支援、職業訓練の受付、失業保険の手続きなどですが、公的資金の給付や貸付も行っています。
ハローワークでは以下の条件給付や貸付を行っています。
- 職業訓練受講給付金
- 住居確保給付金の受給
- 総合支援資金の貸付
- 臨時特例つなぎ資金の貸付