厚生年金の保険料は標準報酬月額によって決まる?標準報酬月額とは何かについて徹底解説!

会社員の方は毎月の給料から厚生年金の保険料が天引きされていると思われますが、この金額がどのように決定されているのか不思議に思ったことがないでしょうか?厚生年金の保険料と同じく給料から天引きされる健康保険料の社会保険の保険料は、標準報酬月額という被保険者それぞれの報酬を基に決定された金額により決まってくるのです。

今回は、この厚生年金の標準報酬月額とは何かや、どのように決定されるのかなどについて詳しく解説していきます。

厚生年金とはどのような年金?

厚生年金とは?

厚生年金とは、会社員や公務員を対象とした公的年金です。厚生年金には、老後のための老齢厚生年金や、障害の状態になってしまった時の障害厚生年金や、被保険者が死亡してしまった場合に残された遺族のための遺族厚生年金などがあります。

厚生年金に加入すると、自動的に国民年金にも加入していることになります。そのため、厚生年金に加入している期間は、自動的に国民年金に加入している期間になるのです。

そして、厚生年金の支給分は、国民年金の支給分に上乗せされる形で支給が行われます。また、保険料については労使折半で給料から天引きされ、国民年金の保険料は別途支払う必要はありません。

老齢厚生年金

老齢厚生年金とは、老齢基礎年金の受給資格を満たした人が厚生年金の被保険者の期間がある場合に受け取ることができる年金です。原則的には、65歳から老齢基礎年金に上乗せされ支給されます。

ただし、男性で1961年4月1日以前に生まれた人、女性で1966年4月1日以前に生まれた人は、特別支給の老齢厚生年金として60歳から64歳の間に支給されるケースもあります。それ以降に生まれた人は、特別支給の老齢厚生年金はもらえませんので基本的には65歳からの支給になるのです。

障害厚生年金

障害厚生年金は、障害の状態になった場合に支給される年金です。そして、その支給要件は、以下のすべてを満たした場合になります。

  • 厚生年金の被保険者の間に障害の原因である病気やけがなどによって医師などに診察を受けた初診日があること。
    一定の障害の状態にあること。
  • 初診日の前日において保険料納付要件を満たしていること。
  • 障害厚生年金の障害認定日は、初診日から1年6ヵ月を経過した日に障害の状態にあるか、またはそれ以前に症状が確定した日です。障害厚生年金は、障害等級が1級、2級、3級の状態であれば請求することができます。

遺族厚生年金

遺族厚生年金とは、厚生年金の被保険者などが死亡した場合に残された遺族に支給する年金です。残された遺族の生活が苦しくならないようにするための年金になります。遺族厚生年金の支給要件は以下になります。

  • 厚生年金の被保険者が死亡した場合。
  • 被保険者期間中の傷病が原因で初診日から5年以内に死亡した場合。
  • 老齢厚生年金を受け取っている人が死亡した場合。

受給対象者は以下の優先順位により支給されます。

  1. 18歳到達年度の年度末を経過していないか20歳未満で障害等級1級か2級の子
  2. 55歳以上の夫
  3. 父母
  4. 祖父母

妻が受給する遺族厚生年金は、中高齢の加算と呼ばれる条件によっては40歳から65歳になるまで加算されるケースがあります。

厚生年金の標準報酬月額とは?

厚生年金の保険料と健康保険の保険料などの社会保険料は、被保険者と事業所や事業者と折半で支払っています。そして、それぞれの保険料は、被保険者個人の報酬額に応じて区分ごとに設定された標準報酬月額という単位によって決められています。

ここでは、厚生年金の標準報酬月額について詳しく解説していきます。

厚生年金の標準報酬月額

厚生年金の標準報酬月額は厚生年金の保険料を決定するための指標ですが、被保険者の報酬月額によって31の等級に分かれています。そして、等級ごとに保険料が決まってくるのです。

一方、同じ社会保険保険の健康保険の標準報酬月額は、厚生年金の標準報酬月額よりも細かい50の等級に分かれています。

以下は平成31年4月分からの東京都の厚生年金の標準報酬月額表です。

等級報酬月額(以上~未満)標準報酬月額厚生年金被保険者
10 ~ 63,00058,0008,052
163,000 ~ 73,00068,0008,052
173,000 ~ 83,00078,0008,052
183,000 ~ 93,00088,0008,052
293,000 ~ 101,00098,0008,967
3101,000 ~ 107,000104,0009,516
4107,000 ~ 114,000110,00010,065
5114,000 ~ 122,000118,00010,797
6122,000 ~ 130,000126,00011,529
7130,000 ~ 138,000134,00012,261
8138,000 ~ 146,000142,00012,993
9146,000 ~ 155,000150,00013,725
10155,000 ~ 165,000160,00014,640
11165,000 ~ 175,000170,00015,555
12175,000 ~ 185,000180,00016,470
13185,000 ~ 195,000190,00017,385
14195,000 ~ 210,000200,00018,300
15210,000 ~ 230,000220,00020,130
16230,000 ~ 250,000240,00021,960
17250,000 ~ 270,000260,00023,790
18270,000 ~ 290,000280,00025,620
19290,000 ~ 310,000300,00027,450
20310,000 ~ 330,000320,00029,280
21330,000 ~ 350,000340,00031,110
22350,000 ~ 370,000360,00032,940
23370,000 ~ 395,000380,00034,770
24395,000 ~ 425,000410,00037,515

上記の表の通り、厚生年金の最高等級の31等級は報酬月額の上限がないため、報酬月額にかかわらず厚生年金保険料は一律になります。

厚生年金の保険料の決定の方法

ここでは、被保険者ごとの厚生年金の保険料がどのように決まっていくのかについて解説していきます。

基本的な標準報酬月額の決定方法

被保険者ごとの標準報酬月額は、基本的には1年に1回毎年4月から6月の3ヵ月間の平均給与を元に算出される定時決定という方法で決まります。

標準報酬月額からの厚生年金保険料の算出方法

厚生年金の被保険者は、厚生年金保険料を事業所や事業者と折半で支払う必要があります。他にも社会保険料として、健康保険の保険料(40~64歳の人は介護保険料を上乗せ)も同様に事業所や事業者と折半で支払う必要があります。

今回は、厚生年金保険料に絞って保険料の算出方法を説明していきます。

厚生年金保険料の算出

毎月の厚生年金保険料は、標準報酬月額×厚生年金の保険料率で算出できます。また、賞与の時に支払う厚生年金保険料は、標準賞与額×厚生年金の保険料率で算出できます。

どちらの保険料も事業所や事業者と被保険者が折半しますので、上記の式で算出された保険料の半分を被保険者が支払うことになります。

厚生年金保険料の計算方法

それでは、例を上げて実際に毎月の厚生年金保険料がどのくらいの金額になるかを計算してみましょう。

例)東京都の会社に勤める30歳の会社員で、報酬額が4月:260,000円、5月:250,000円、6月:240,000円でした。

まずは、この会社員の標準報酬月額を算出してみましょう。
この会社員は3ヵ月の平均給与が250,000円のため、報酬月額が250,000円~270,000円の範囲内に入ります。そのため、厚生年金では17等級で標準報酬月額は260,000円になります。
次に厚生年金保険料を算出します。東京都の現在の厚生年金の保険料率は、18.3%です。そのため、厚生年金の保険料の算出は、以下の計算方法になります。

厚生年金保険料

標準報酬月額260,000円×保険料率18.3%÷労使折半2=23,790円

ちなみに、この会社員の健康保険の保険料は、東京都の現在の健康保険の保険料率9.9%で算出できます。

健康保険料

標準報酬月額260,000円×保険料率9.9%÷労使折半2=12,870円

標準報酬月額の算定方法

標準報酬月額の決定の基本は、定時決定により毎年4月から6月の3ヵ月間の平均給与を元に算出されます。しかし、定時決定は1年に1回のため、被保険者の月給が大きく変化した場合などはリアルタイムで標準報酬月額に反映されることができません。

このような場合、定時決定以外の方法で標準報酬月額を変更させることで標準報酬月額と実際の報酬の差をできるだけ小さくさせます。定時決定以外の標準報酬月額の決定方法には、随時改定資格取得時の決定産前産後休業・育児休業等終了時の改定などがあります。

ここでは、標準報酬月額を算定する定時決定や定時決定以外の方法についても詳しく解説していきます。

定時決定

定時決定が行われる理由

定時決定は、社会保険料の標準報酬月額を決定するために1年に1回行われます。毎年行われる理由は、被保険者の実際に受け取っている報酬と標準報酬月額との差が大きくならないためです。

定時決定の対象者

定時決定の対象者は、7月1日に事業所や事業者に雇用されている被保険者全員になります。

定時決定で決定された標準報酬月額の期間

定時決定により決定された標準報酬月額は、定時決定以外での標準報酬月額の変更がなければのその年の9月から次の年の8月まで適用されます。

標準報酬月額の報酬

定時決定により決定された標準報酬月額の基になる報酬には、基本給だけでなく、通勤手当、家族手当、住宅手当、役職手当などのいろいろな手当が含まれます。ただし、臨時に受けとる金銭、3ヵ月を超える期間ごとに受けとる金銭などは、報酬には含まれません。

また、現物で支給される通勤定期券や制服や衣服や社宅や食事などは報酬に含まれます。

支払基礎日数

支払基礎日数とは給与計算の対象となる日数のことをいいます。欠勤控除がない月給制の場合の支払基礎日数は、暦日数(月により30日や31日など)になります。また、欠勤控除のある月給制の場合の支払基礎日数は、所定労働日数-欠勤日数です。

日給制や時間給制の場合の支払基礎日数は、出勤日数になります。定時決定では4月~6月の3ヵ月間の平均給与を求めますが、正社員の場合は支払基礎日数が17日以上の月が算出対象になります。

3ヵ月の中で支払基礎日数が17日未満の月がある場合、17日未満の月を除いた残りの月の平均で算出します。平均給与を算出する3ヵ月のうち、支払基礎日数が17日以上の月が1ヵ月しかなかった場合は、その月だけで報酬月額を算出します。

すべての月が17日に満たなかった場合は、従前の報酬月額をそのまま利用します。

定時決定における賞与

定時決定の起算日は7/1ですが、起算日までの1年間の間に年4回以上の賞与の支給があった場合、賞与の金額を報酬月額に含めます。一方、年3回以下の賞与の支給は、報酬月額には含めません。

定時決定以外の標準報酬月額の決定

定時決定以外での標準報酬月額の決定を行う理由は、被保険者の月給が大きく変化した場合にリアルタイムで標準報酬月額の変更ができるようにするためです。この変更により、標準報酬月額と実際の報酬との大きな差がなくなります。

ここでは、定時決定以外の標準報酬月額の決定方法を解説していきます。

随時改定

定時決定は1年に1回だけ行われるため、社会保険の被保険者の標準報酬月額が実際の標準報酬月額と著しく差ができた場合に対応できません。このような時に、標準報酬月額をその都度改定できる仕組みがあります。

この臨時の標準報酬月額の改定のことを随時改定といいます。随時改定は下記の条件をすべて満たした時に、賃金の変動があった月から数えて4ヵ月目に行われます。

  • 固定的賃金に変動があった時
  • 固定的賃金の変動月から3ヵ月間の平均給与を標準報酬月額等級区分にあてはめた場合、現在の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた時
  • 固定的賃金の変動月から3ヵ月間の支払基礎日数が3ヵ月間ともに17日以上ある時

資格取得時の決定

新しく入社をした時などの新規に社会保険の被保険者になった人は、1年に1回の定時決定の前に標準報酬月額を決定する必要があります。このことを、資格取得時の決定といいます。

資格取得時の決定方法は以下の通りです。

  • 月給、週給などの一定期間によって定められている報酬は、報酬の額を月額に換算した額が報酬月額とする。
  • 日給、時間給、出来高給、請負給などの報酬は、被保険者が勤務する事業所で前月に同じような業務に従事し同じような報酬を得た人の報酬の平均額とする。
  • 上記の方法で報酬月額が決定できない場合は、資格取得の月前の1ヵ月間に同じ地方で同じような業務に従事しかつ、同じような報酬を得た人の報酬の額とする。
  • 月給、週給または日給、時間給、出来高給、請負給などの2つ以上に該当する報酬を受けている人は、それぞれの方法によって算定された額の合計額とする。

産前産後休業・育児休業終了時の改定

産前産後休業・育児休業終了時の改定は、産前産後の休業または育児休業が終了て職場復帰した後に育児等の理由で報酬が低下した場合の改定のことをいいます。この標準報酬月額の改定は、被保険者が事業主経由で保険者に申出した場合に行うことができます。

算定基礎届とは?

算定基礎届とは、定時決定により社会保険の被保険者の標準報酬月額を決定するために事業主が届け出をする書類のことをいいます。算定基礎届の提出は、毎年7月10日までに事務センターまたは管轄の年金事務所に提出をします。

まとめ

  • 厚生年金の保険料は被保険者と事業所や事業者と折半で支払っていて、被保険者によって支払う金額が違います。
  • 厚生年金の保険料は、被保険者個人の報酬額に応じて区分ごとに設定された標準報酬月額という単位によって決まってくるのです。
  • 厚生年金の保険料を決定するための標準報酬月額は、31の等級に分かれています。
  • 被保険者ごとの標準報酬月額は、1年に1回毎年4月から6月の3ヵ月間の平均給与を元に算出される定時決定により決まってきます。
  • 厚生年金保険料は、標準報酬月額×厚生年金の保険料率で算出します。
  • 賞与の時に支払う厚生年金保険料は、標準賞与額×厚生年金の保険料率で算出します。
  • 被保険者の標準報酬月額が実際の標準報酬月額と著しく差ができた場合には、随時改定という方法により被保険者標準報酬月額を改定します。
aktkaktk
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金融機関勤務歴8年ですが、金融機関歴は、信用金庫で営業や融資の窓口を経験して住宅ローンやカードローンなどの個人ローンに強みを持っています。

現在は、銀行のシステムを開発しながら、カードローンや、クレジットカードや、社会保険労務士の資格を活かした年金など金融機関のライティングをしています。

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