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【FX為替予想】米中・米欧貿易戦争は拡大する?世界経済への影響と今後をどどん!と考える

過激発言が止まらないドナルド・トランプ米大統領(以下、トランプ氏)が、今年から関税対策を本格的に始めています。そんなトランプ氏の言動に対し、欧州諸国や中国が報復関税に乗り出す事態になり、貿易摩擦が生じました。文字通り“貿易戦争”と化したこの争いは、今後どうなっていくのでしょうか。現状や今後を鑑みて、FXトレードにおける値動きのシナリオを予想していきたいと思います。

米中・米欧貿易戦争の現状と今後 世界各国で対米報復関税が発動

今回の貿易戦争の発端はアメリカです。今年1月頃から「貿易赤字がヒドい」と問題視し始めたトランプ氏が、追加関税の実施に踏み切り始めています。

トランプ氏の言葉は、あながちウソではありません。実際にアメリカの商務省が今年2月に発表した2017年の貿易統計では、貿易赤字が約7962億ドル(86兆円超)に達し、前年比8.1パーセントの増加を記録したことが判明。大統領選の時、公約の一つとして貿易赤字の縮小を掲げていたトランプ氏にとってゆゆしき事態です。

特にやり玉に挙げられているのが中国。アメリカは2017年、対中貿易で過去最高となる約3752億ドル(約42兆円)の貿易赤字が生じています。貿易赤字全体の半分を占めており、トランプ氏の目も厳しいです。

トランプ氏は、まず鉄鋼に25%とアルミニウムに10%の高関税をかけることを発表し、実際に3月23日より中国や日本などへ発動。交渉を行なっていたEU、カナダ、メキシコにも遅れて6月1日より発動しました。

これを受け、中国は4月2日、アメリカからの輸入品128品目に対して報復関税を発動。6月22日には、EUがアメリカに対し、ウイスキーやオートバイ、オレンジジュース、ジーンズ、ピーナッツバターなどに28億ユーロ(約3600億円)の報復関税を発動しました。

アメリカはそれでも止まりません。さらに6月、知的財産の侵害などを主張して、中国製品に500億ドル(約5.5兆円)の追加関税の処置を取ると発表しました。そして7月6日、ついに中国の輸入品へ25%の追加関税を発動しました。その額は、340億ドル相当(約3.7兆円)と発表され、主張通り知的財産権や技術移転にまつわる自動車、情報通信機器など818品目を対象としています。

そんなトランプ氏の広範囲にわたる関税政策の背景には、11月6日の中間選挙が見え隠れしています。

【中間選挙とは?】
アメリカの議会選を指し、議員や州知事などの公職選挙。大統領選がない年に実施します。議会に関しては、下院議員の任期2年、上院議員の任期6年(2年に1回、3分の1の議員を改選)にしたがって、下院の全435議席と上院の33議席(全100議席)の改選を行ないます。

現在は、議会にトランプ氏を支える共和党が過半数を占めているため(上院51議席・下院235議席)、トランプ氏のアクションが議会の承認を得やすい状況です。しかしこの中間選挙にとって共和党議員の数が少なくなって、共和党が議会の少数派に回れば(それは民主党議員の数が勝ることをほぼ意味します)、トランプ政権の行動が大きく制限されかねません。その議員を選ぶのは国民ですから、中間選挙は事実上、この2年間のトランプ氏の評価を下す“国民裁判”となるのです。トランプ氏が中間選挙を強く意識するのは無理もありません。

すでにアメリカ国内では、この中間選挙に先立って、本選挙の候補者を選ぶ予備選挙が3月から各州で行われています。トランプ氏も地方遊説を実施したりツイッターで応援したりするなど熱を入れて取り組んでいます。

そうした中間選挙という面から見れば、トランプ氏は支持母体である低所得者層の人気を保とうとやっきで、一連の関税政策は、国内製品の利益を阻害する(トランプ氏がそう見ている)中国などへの明確な攻撃(かつ国内産業の保護活動)であり、国民への分かりやすいパフォーマンスと見ることもできます。さながら、物語の中に分かりやすい敵を作り出し、観客の目を誘導するハリウッド映画を見ているようです。

しかしながら、貿易はハリウッド映画ではありません。世界各国もトランプ氏の意図を熟知しています。

中国はアメリカの関税措置に即座に反応。7月6日に同じ340億ドル相当の報復関税を発表。報復関税の対象となったアメリカの製品545品目は、大豆や肉類、水産品、自動車、タバコやウイスキーなどの嗜好品。同じ7月6日に、建設機械や金属加工製品を対象に、ロシアもアメリカへ8760万ドル(約96億円)の報復関税を発動。6月22日には、EUが発動した28億ユーロ(約3600億円)の報復関税の対象もオートバイ、オレンジジュース、ジーンズ、ピーナッツバター、タバコ、ウイスキーなど、トランプひいていは共和党の支持者である農業従事者やその他労働者の業界をダイレクトに狙い撃ちする内容となっています。

他にもカナダ(7月1日)やメキシコ(6月5日)、トルコ(6月21日)も鉄鋼・アルミニウム製品に対する報復関税措置を取っています。

【対米報復関税は共和党の支持母体を狙い撃ち】
各国がアメリカに対して行なっている報復関税は、トランプの支持母体である共和党の支持層を狙い撃ちしています。例えばバーボン・ウイスキーの産地であるケンタッキー州は、共和党の上院議員にして院内総務をつとめるミッチー・マコネル氏の地元。タバコの産地であるノースカロライナ州は、タバコブランド「キャメル」などが有名で、こちらも共和党の支持が厚いエリア。世界各国から、怒りに任せた報復関税ではなく、トランプ氏の政権基盤をぐらつかせようという意志が強く感じられます。

アメリカは今、まさに世界各国と貿易摩擦を起こし、世界貿易戦争を主導しています。今後は、アメリカと中国が、互いに160億ドルの追加関税を残しています。トランプ氏は2週間以内にこの追加関税を発動すると語っており、中国も即座に対応する見込みです。

残り160億ドル分の追加関税の中身は、アメリカは半導体製品や化学製品など284品目、中国は原油などエネルギー関連のものを中心に114品目になると予想されています。

米中・米欧貿易戦争は拡大するのか?縮小するのか?世界経済への影響は?

今回のハデな貿易戦争は、前述のとおり、トランプ氏は中間選挙のために追加関税を各国へ行なっている節があります。

あくまで中間選挙に対するパフォーマンスが主目的であるなら、貿易戦争は今年中、それも秋までに幕引きとなるでしょう。一部メディアや専門家の間で、こうした縮小論が少なくないのもそのためです。

また「中間選挙につながらない」という結論に至れば、すぐに追加関税をやめる可能性もあります。EUが中国がトランプの支持者層を攻撃するような報復関税を行なっているのも「これ以上我々とやりあえば、中間選挙にダメージを与えることになりますよ」と訴えるやり方です。つまり早期でこの貿易問題を終わらせようとしています。

ですが、もう一つの可能性は、トランプ氏が恒常的に貿易赤字を縮小させようと考えている場合。言い換えれば、現在の貿易摩擦が、アメリカ国内の産業を守るための保護貿易と化す場合です。

【保護貿易とは】
国外との自由貿易を制限し、国内の産業を守る政策。関税を高くして輸入量を減らしたり、国内企業を援助して輸出を強化したりします。古くは17世紀にイギリスで保護貿易が行われました。

「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ氏は、アメリカ国内の産業を育て、雇用を回復することを是とする傾向があります。もしも中間選挙だけが目的ではないとすれば、アメリカ VS. 世界の構図ができ上がり、関税のかけ合いになって貿易戦争が中長期化するでしょう。

【ドナルド・トランプ氏のアメリカ第一主義】
不動産王として名を馳せたトランプ氏は、2016年のアメリカ大統領選挙に共和党の大統領候補として出馬。民主党のヒラリー・クリントンを破り、アメリカの第45代大統領に就任しました。就任時から「アメリカを再び偉大にする」と声高に宣言し、「アメリカ第一主義」と呼ばれる保守的な政治方針を打ち出しました。しかしメキシコとアメリカの国境に壁を作ろうとするなど、その強行な姿勢は国内外で賛否を呼んでいます。

世界貿易の流れを大きく変えれば、その影響は広範囲に及びます。まず、アメリカとの貿易にメリットを感じなくなった国、企業は他の国々との貿易を推し進めるとも考えられます。世界経済全体で見ると需要と供給の不均衡や競争率の低下を招き、自由貿易を著しく阻害して「ネガティブに働く」と見ている経済専門家が多いです。

過去の歴史から見ても、アメリカの保護貿易は世界的な不況や国家間の政治的対立を招く可能性が高いでしょう。現代においてはアメリカ一国の孤独を招くという予想もあります。

加えて、アメリカ国内の世界的メーカーは、貿易摩擦を嫌って国内の一部工場を海外へ移すでしょう(すでにバイクメーカーのハーレーダビッドソンが一部拠点を海外へ移すことを発表。これに対してトランプ氏が「裏切り者だ!」と猛批判する展開になっています)。

長い目で見れば、保護貿易は失業率の悪化、経済の停滞を招く危険性をはらんでいます。さすがのトランプ氏も、そこまでのリスクを取って追加関税処置を長引かせることはないだろうという見方が多いのが現状です。

米中・米欧貿易戦争による今後の為替予想

今後の円高要因になるとすれば、さらなる追加関税の発表。それが呼び水となって、追加関税のターゲットになった国は、報復関税を実施するでしょう。つまり貿易戦争の激化です。7月6日時点で、追加完全に関する話題は一旦出尽くしていますが、新しく追加関税の話題が出れば、世界経済の悪化を市場が不安視して、円高に振れる可能性があります。

また、もう一つの円高要因は、各種データの悪化です。

7月6日のアメリカ国内の雇用統計発表では、失業率が予想の3.8%から4.0%に悪化しました。ただしこれは、失業率が過去10年間の中でも稀に見る低水準に達していること、非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったこと(予想の19.5万人より多い21.3万人)から、安定した労働環境によって、より良い就職先を探す人々がいるためだ、と市場は楽観視。ドル円は110円47銭と横ばいで、雇用統計を無事乗り越えました(7月6日夜時点)。

【米失業率は近年稀に見る好調ぶり】

トランプ政権では、2010年には10%に達した失業率が4%まで低下。労働者に追い風となっています。

とはいえ、貿易戦争が激化して安価な外国製品や部品類(自動車等の)が入手できなくなれば、アメリカ国内の消費および生産が鈍りかねません。さらに8月、9月に失業率が4%後半、5%台へと突入すれば本格的な失業率悪化と見なされ、今回の貿易戦争がアメリカ経済に影を落としていることが鮮明になり、アメリカ国内の市場が冷え込んで明確な円高材料となるでしょう。そんな短期間で実経済に影響するとは思えませんが、もし結果に反映されればネガティブサプライズとなり、急激な円高に見舞われるでしょう。

ただし状況は刻一刻と変わります。特にトランプ氏はビジネスマンの側面が強いので、自国のメリットにつながると金勘定ができたら、今までの発言を突然軟化させることもあるので注意が必要です。トランプ氏が突然「貿易戦争は終わりだ!」とツイートし、現在の追加関税を解消すれば人民元、ユーロ、カナダドル、円など様々な通貨へ一斉にポジティブに働きます。世界経済への安心感から、一気に円安ムードが高まるでしょう。

【トランプ氏の過激発言】
トランプ氏は、これまで幾度となく問題発言を繰り返してきました。2015年には「イスラム教徒を入国禁止にする」と発言して問題に。2017年秋には、核開発を進め、ロケット打ち上げを繰り返す北朝鮮の最高指導者・金正恩氏を「ロケットマン」と揶揄。感情的に発しているものも見受けられますが、過激発言を通じて、交渉事を有利に進めようとする狙いが見え隠れします。

もう一つ考えられるシナリオは、貿易戦争の長期化による体力勝負です。

貿易戦争が長引けば長引くほど、各国の国内消費・国内生産が重要になってきます。言いかえれば国内自給率の高い国、あるいは資源国ほど有利になってきます。そのため、自ずと自給率の低い国から音を上げ、アメリカと不利な条件を飲んででも追加関税を解消しようとするでしょう。そこまでいくということは、貿易戦争によって実経済に被害が出ている場合と考えられます。が、そうなるには1年から数年がかかるでしょう(ここまで来たら世界経済が低迷している可能性が高いです。「さすがのトランプもそこまで無茶をしないだろう」というのが大半の専門家の考え)。長期化すれば、小国の集まりであるEUが音を上げる可能性が高いと踏んでいます(だからEUは自分たちのダメージを恐れ、何度もアメリカに追加関税をやめるように警告を発しています節があります)。例えば経済大国であるドイツが安泰でも、スペインやイタリアの経済が低迷して足を引っ張り、ユーロ安を招く可能性があるのです。

日本も他人事ではありません。中国ほどではありませんが、対日貿易では688億ドル(約7.5兆円)の赤字が生じています。トランプ氏は、日本が力を入れる自動車の輸出にも鋭いまなざしを送っており、こちらも20%以上の関税が検討されているという報道が出ています。ドル円の値動きを見た場合、現時点では判断が難しいですが、貿易戦争が原因で値が動き始めた場合、世界的に同じ方向へ動くことが予想されます。そのため、自動車業界単一で考えるのは禁物です(株式投資などは自動車メーカー単一の値動きに大きく影響が出ますが)。世界経済を考えた大きなマクロの視点で、物事を俯瞰しましょう。

また繰り返しになりますが、貿易摩擦による影響が実経済に出るには時間がかかります。そのため市場の結果よりも、トランプ氏を筆頭とした重要人物の発言や政府発表、企業の動きが市場の動きに強い影響を与えるはずです。結果や事実より、発言先行の流れになるため、市場の噂やマスコミの報道に振り回される展開が数ヶ月続きそうです急な乱高下が発生した際は、どんなニュースが市場に出回っているのか、よく注意しましょう。

まとめ

以下、今回の貿易戦争について、FXトレードにあたって注意したいポイント一覧です。

  • 貿易戦争は中間選挙がある11月までの動きが重要。
  • トランプ氏による”中間選挙へのパフォーマンス”論が根強く、11月に収束するという予測が多いです。来年以降も継続される場合、世界経済への影響が本格化。収束すれば円安、継続すれば円高。特にドル、ユーロ、人民元、カナダドルなどの動きに注意。
  • 実経済への影響は広範囲。FXトレードの場合、一部業界の業績の上げ下げだけを見て判断してはいけません。よりマクロな視点、世界経済の観点で考えましょう。
  • 実経済に影響が出るには時間がかかるため、指標結果よりも噂やマスコミ報道が先行し、市場が振り回される展開が予想されます。
mani
mani
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金融業界経験4年、FX歴5年の現役トレーダー。大学生のときに投資に目覚め、独学で勉強。元手1万円から増やし続けた保有資産は、家族に隠れて400万円までコツコツ増加。今も増加中。主にファンダメンタル投資を行う。FP技能士2級の資格も保有。

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