生命保険に加入しているなら控除制度を利用しよう!生命保険の控除制度とは

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いきなりですが、日本人の生命保険の加入率をご存知でしょうか?生命保険文化センターのデータによれば、平成28年度時点では、男女ともに8割超えと、なかなか加入率は高くなっています。

生命保険に加入すれば、保険料を支払う義務が発生してきますね。生命保険に加入するとなると、1,2年で解約する方はほとんどおらず、20,30年と長期間になります。20,30年、保険料を支払い続けると、総支払保険料は、200万円,300万円と意外に高額になります。

しかし、生命保険に加入しているのであれば、生命保険の控除制度を利用することができます。生命保険の控除制度を利用すれば、支払保険料に応じて、いくらか還付されます。

今回は、生命保険に加入している方にはぜひ活用して頂きたい、生命保険の控除制度について、お話していきたいと思います。

1.生命保険とは

生命保険の控除制度についてお話する前に、まずは、生命保険とはどんな保険なのか、生命保険の基礎について解説していきます。

生命保険とは

皆さん、「生命保険って何?」と聞かれて、詳しく説明することはできますか?ここでは、生命保険とはどんな保険なのか、初めて生命保険という言葉を聞いた人でも分かりやすいように解説します。

生命保険は、不慮の事故や病気に備える保険である

皆さんは、今毎日、寝て起きて、食事をし、学校や会社に行ったり、友達や同僚と遊びに行ったり、家族と遊園地に行ったり、何気ない日常が永遠に続くと思いますか?

この何気なく幸せな日常生活が、一瞬にしてガラッと変わってしまう可能性が、実は皆さんに潜んでいます。突然の不慮の事故による愛する人との永遠の別れ、昨日まで元気に会社に出勤していた同僚が、がんを患い、入院するなど、いつ・どこで私たちの身に何が起こるか分かりません。

ではもし、家族の大黒柱である夫が不慮の事故で死亡してしまった場合、残された妻や子どもの生活費はどうなりますか?がんを患い、手術や入院をした場合、それらに関する医療費の支払いはどうなりますか?

生活費にしろ、医療費にしろ、決して安いものではありません。

夫が死亡してしまった場合の遺族の生活費というのは、妻のみなのか、子どもがいるのかによって、どれぐらいかかるか、家庭ごとに異なりますが、もし、子どもがまだ小さい場合は、これから小中学校、高校、大学と教育費が発生してきますので、妻1人がシングルマザーとして頑張っても、限界があります。

がんを患い、手術・入院をした場合でも、手術費や入院費、抗がん剤やホルモン治療を行えば、さらに医療費は膨らんでいき、なかなか高額な金額を請求されます。

このように、不慮の事故や病気などのリスクに備えるための保険、それが生命保険になります。

生命保険の種類

生命保険といっても、様々な種類があるのは、ご存知でしょうか?

生命保険に該当するのは、

  • 医療保険
  • がん保険
  • 死亡保険
  • 学資保険
  • 収入保障保険
  • 介護保険 など

上記のような保険です。意外に、生命保険に該当する保険はたくさんありますね。

後述で、どの保険が、生命保険の控除制度対象なのか、お話しますので、まずは、ご自身がどの保険に加入しているか、今一度確認してみましょう!

2.生命保険における控除制度

では、ここからは、今回の記事のテーマ「生命保険における控除制度」です。

生命保険に加入しているのであれば、ぜひ利用していただきたい控除制度。控除制度利用すると、実は、節税効果を発揮してくれる、家計の強い味方なんです!今回は、この記事を読んで頂き、どんどん制目保険の控除制度を利用しましょう!

生命保険に加入していたら、何が控除されるの?

何かしらの生命保険に加入すれば、当然ながら、保険料を支払いますよね?この支払った1年間(1/1~12/31)の保険料の金額に応じて、翌年の所得税・住民税が控除され、節税になります。

どの生命保険でも控除制度は受けることができるの?

先ほど、いくつか生命保険をご紹介させて頂きましたが、残念ながらご紹介した全ての生命保険が、控除制度対象にはなりません。実は、控除制度を受けれる生命保険は、3種類に限定されています。では、一体、どの生命保険が、控除制度の対象となるのでしょうか?

1.一般の生命保険料控除

1つ目が、一般の生命保険料控除です。一般の生命保険料控除の対象となるのは、終身保険・学資保険・定期保険などです。

2.介護医療保険料控除

2つ目が、介護医療保険料控除です。介護医療保険料控除の対象となるのは、医療保険・がん保険・介護保険などです。

3.個人年金保険料控除

最後の3つ目が、個人年金保険料控除です。個人年金保険料控除の対象となるのは、その名の通り、個人年金保険が該当します。

そして、上記の3つの保険には、プラスで条件が加わります。

一般の生命保険料控除・介護医療保険料控除の条件

一般の生命保険料控除と介護医療保険料控除のプラスの条件は、保険金の受取人の設定が、「契約者・契約者の配偶者・その他の親族」となっていることです。それ以外で設定されていると、生命保険の控除制度を利用できないので注意しましょう!

個人年金保険料控除の条件

個人年金保険料控除のプラスの条件は、

  • 年金の受取人が、契約者または契約者の配偶者
  • 年金の受取人が、被保険者と同じである
  • 保険料の支払期間が10年以上で設定されていること
  • 契約した個人年金保険の種類が、「確定年金」「有期年金」の場合は、年金を受け取る年齢が60歳以降で、受け取る期間が10年以上で設定されていること
  • 契約する際に、「個人年金保険料税制適格特約」を付加していること

となります。上記全ての条件を満たさないと、生命保険の控除制度を受けることができません。

生命保険の控除制度の対象となるのは、上記3種類ですが、生命保険の控除制度は、過去に改定されており、生命保険にいつ加入したかによって、「旧制度」「新制度」の2つに分類されます。

「旧制度」の場合

旧制度は、 平成23年(西暦2011年)12月31日以前に契約したものが対象となります。さらに、旧制度の場合は、生命保険の控除制度の対象となるのは、「一般の生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2種類のみでした。

「新制度」の場合

新制度は、平成24年(西暦2012年)1月1日以降に契約したものが対象となります。新制度の場合、生命保険の控除制度の対象となるのは、旧制度の2種類+「介護医療保険料控除」の3種類となります。

所得税・住民税から控除される金額って、1年間で支払った保険料全額なの?

では、次に、実際に、所得税・住民税から控除される金額について、お話します。

所得税・住民税から控除される金額は、年間支払保険料によって異なりますし、「旧制度」「新制度」によっても異なります。一体、どれぐらい控除されるのでしょうか?

「旧制度」の場合

まずは、旧制度の場合です。年間支払保険料は、4段階となっていますので、所得税・住民税ともに、見ていきましょう。

所得税

  • 25,000円以下の場合⇒年間支払保険料全額が控除
  • 25,000円超55,000円以下の場合⇒(年間支払保険料×1/2)+12,500円
  • 55,000円超100,000円以下の場合⇒(年間支払保険料×1/4)+25,000円
  • 100,000円超の場合⇒55,000円

住民税

  • 15,000円以下の場合⇒年間支払保険料全額が控除
  • 15,000円超40,000円以下の場合⇒(年間支払保険料×1/2)+7,500円
  • 40,000円超70,000円以下の場合⇒(年間支払保険料×1/4)+17,500円
  • 70,000円超の場合⇒35,000円

所得税と住民税で控除される金額は、所得税の方が多くなっていますね。年間支払保険料が、多ければ多いほど、控除額も多くなります。

もし、旧制度で、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除の対象の保険に加入していて、両方とも、年間支払保険料が100,000円を超えている場合は、最大、所得税は100,000円、住民税は70,000円の控除を受けることができます。

新制度の場合

次は、新制度の場合です。旧制度と比較すると、どれぐらい違うのでしょうか?

所得税

  • 20,000円以下の場合⇒年間支払保険料全額が控除
  • 20,000円超40,000円以下の場合⇒(年間支払保険料×1/2)+11,000円
  • 40,000円超80,000円以下の場合⇒(年間支払保険料×1/4)+20,000円
  • 80,000円超の場合⇒40,000円

住民税

  • 12,000円以下の場合⇒年間支払保険料全額が控除
  • 12,000円超32,000円以下の場合⇒(年間支払保険料×1/2)+6,000円
  • 32,000円超56,000円以下の場合⇒(年間支払保険料×1/4)+14,000円
  • 56,000円超の場合⇒28,000円

一見、旧制度と新制度の控除額を比較すると、新制度よりも旧制度の方が、控除額が大きいですよね?しかし、旧制度よりも新制度の方が、控除制度の対象となる保険が、介護医療保険料控除分、1種類多いですよね?すなわち、新制度の場合は、最大、所得税は120,000円、住民税は70,000円の控除を受けることができます。新制度の1つの控除額を減らすことにより、旧制度と新制度で、大きな差が出ないようになっています。

契約している生命保険が、「旧制度」と「新制度」で混在している場合

生命保険の控除制度を受ける上で、契約日によれば、「旧制度」と「新制度」の2つが混在してしまっている場合があります。旧制度と新制度では、控除額が違いましたよね?この場合、両方とも適用できるのでしょうか?

答えは、NOです。旧制度と新制度が混在している場合は、どちらかの制度のみが適用されます。旧制度と新制度、どちらを適用するかどうかは、生命保険の控除制度を受けようとする人が選ぶ形となっており、有利な方を選んで問題ありません。

例えば、一般の生命保険の控除対象の保険に2つ加入しており、旧制度1契約、新制度1契約、そして、どちらも年間支払保険料が100,000円とします。旧制度であれば、所得税の控除額は55,000円、住民税の控除額は35,000円になります。一方、新制度であれば、所得税の控除額は40,000円、住民税の控除額は28,000円になります。

旧制度と新制度を比較すると、所得税・住民税ともに、旧制度の方が控除額は大きくなっていますね?今回の例であれば、節税効果が大きい旧制度の契約を使用した方がいいということになります。

もし、生命保険の控除制度を利用する上で、旧制度と新制度の契約が混在している場合は、必ずどちらの契約の方が、控除額が大きいかを確認する必要があります。

旧制度と新制度の契約が混在している場合で、1番気を付けないといけないのが、旧制度の契約です。もし、今後旧制度の契約を継続する上で、更新を行ってしまった場合、更新のタイミングで、旧制度の契約扱いではなく、新制度の契約扱いとなってしまい、控除額が所得税・住民税ともに控除額が変わってしまいます。旧制度の契約が今もなお、継続して契約している人は、頭に入れておきましょう!

3.生命保険の控除制度を受けるための手続き方法

最後に、生命保険の控除制度を利用する場合の手続き方法について、会社勤めの人・自営業等の人の2パターンで解説していきます!

会社勤めの人の場合

まずは、会社勤めの人の場合です。

毎年、年末が近づいてくると、契約した保険会社から、「生命保険料控除証明書」という書類が送られてきます。この書類が、生命保険の控除制度を利用するのであれば、必ず必要な書類になりますので、失くさないようにしましょう。

生命保険料控除証明書がどんな書類か説明していきます。

生命保険の控除制度で重要になってくるのが、年間支払保険料ですね。年間支払保険料によって控除額が変わってくるのは、もう覚えてますよね?この年間支払保険料が一体いくらなのかを記載しているのが、生命保険料控除証明書です。

年間支払保険料は、1/1~12/31の1年間ですが、生命保険料控除証明書が送られてくるのは、10月や11月頃となり、実質生命保険料控除証明書を作成するタイミングでは、2,3ヶ月分、保険料を支払っていないことになります。なので、支払っていない2,3ヶ月分の保険料は、支払うものとみなし、年間支払保険料にプラスされます。

毎年、会社で行う年末調整の際に、保険会社から送られてきた生命保険料控除証明書を添付して、会社に提出すれば、生命保険の控除制度を利用することができます。

もし、年末調整の段階で、生命保険料控除証明書を紛失してしまっており、保険会社に再作成依頼中で間に合わない場合は、年末調整ではなく、翌年に確定申告をすれば、生命保険の控除制度を受けることが可能となります。

自営業等の人の場合

自営業等の人の場合も、もちろん契約した保険会社より、「生命保険料控除証明書」が送られてきます。

しかし、会社勤めの人との相違点は、年末調整がないという点です。自営業の人は、ご自身で全て、経営はもちろんのこと、経理関係など、お金の管理をしなければなりません。すなわち、生命保険の控除制度を利用するのであれば、これもご自身で手続きを全て行わなければなりません。

自営業等の人の場合の生命保険の控除制度の手続きは、確定申告です。

確定申告、毎年2/16~3/15の1ヶ月間に行われる、税金関係の手続きです。生命保険の控除制度も所得税・住民税と、税金関係になるので、確定申告が必要となります。

確定申告には、生命保険料控除証明書の他に、確定申告書類が必要となります。確定申告書類は、国税庁のHPにてダウンロードしたり、自宅にパソコンがない場合、お近くの税務署から取り寄せたり、直接足を運んで手に入れる方法があります。

お手元に確定申告書類を用意し、必要事項を漏れなく記入し、生命保険料控除証明書を添付したら、2/16~3/15の1ヶ月間の間に、お近くの税務署に提出することにより、生命保険の控除制度を利用することができます。

自営業等の人の場合の注意点は、確定申告を行うことができる期間が、2/16~3/15の1ヶ月間となっているため、この期間に間に必ず手続きをする必要があります。特に、この期間は、税務署は大変混雑するので、余裕を持って、年明けには、確定申告書類を用意し、手続き漏れがないようにしましょう!

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?

将来のリスクに備えて多くの人が加入している生命保険。長期的に見ると、支払う保険料は高額になります。もし、加入している生命保険が対象であれば、生命保険の控除制度を利用すれば、所得税・住民税ともに年間支払保険料に応じて、控除され、結果的に節税対策になります。

これから生命保険を契約す人は、検討している保険が、生命保険の控除制度の対象となるのか、もうすでに生命保険に加入している人で生命保険の控除制度について知らなかった場合は、契約している保険が、生命保険の控除制度の対象となっているかを必ず確認し、少しでも家計にゆとりをもてるよう、積極的に取り組んでいきましょうね!

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