今、世界中で話題の米国金利上昇、金利上昇に対応できる、おすすめの投資信託の使い方と注意点の徹底解説

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世界中いろいろな経済ニュースが、飛び回っています。その中で米金利上昇は世界中の国々に影響を与える可能性があります。

米金利上昇で資産運用はどうなるか。

A.アメリカの金利上昇で、投資信託は何を選んだら良いか。

個別日本株では、米長期金利上昇は銀行の利ザヤ改善を促し、業績の改善に結びつくとの見方があるので「銀行株」は追い風になるかもしれません。「生保株」「損保株」なども金利上昇は運用環境の改善につながるためメリットがあります。

投資信託に「バンクローン」というのがあります。日本では、まだなじみの薄い投資信託です。米国の優先担保付バンクローン(貸付債権)に投資し、インカム収益の確保と信託財産の成長をめざします。

インカム収益とは、資産を保有し続けることで得られる投資収入のことです。(例)預金利息、株式配当、不動産の賃貸収入、投資信託の分配金などです。

バンクローンとはどんな投資信託なのか。

a.高い利回りが魅力です。

バンクローンはハイイールド債券と同様、国債と比較して信用リスクが大きい分、、高い利回りが得られるのが魅力です。

b.金利上昇局面のパフォーマンス。

バンクローンは、市場金利が上昇する局面では「クーポン」もそれに合わせて上昇するため、、市場金利上昇に伴う値下がりは一般の固定利付債券と比較して小さい傾向があります。そのため相対的に金利動向にかかわらず安定的に収益を獲得しやすい金融商品です。

「クーポン」とは債券利子の支払保証等のことをいいます。日本では債券は電子化(ペーパーレス化)され、現物は発行されていないため、投資家は利払日にシステム処理によって自動的に利息を受け取ることになります.
c.高い弁済順位

企業がバンクローンで借入を行う際、設備、売掛金、在庫、不動産、株式、商標権、特許権などの資産を担保にします。

また、バンクローンの契約には、企業に厳しい制約条項が盛り込まれており、返済の確実性を高めています。

d.バンクローンのリスクは、高い弁済順位でカバーしています。

代表的な投資信託は、 三菱UFJ国際投信 米国バンクローン・オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)があります。

2018/06/08現在 基準価額 8.090円 総資産総額 301.48億円 毎月分配金実績 70円 設定来累計分配金 2.970円 為替ヘッジ有りもあります。

e.米国バンクローン市場について

日本では銀行融資は銀行がそのまま満期までローンローン債券を保有しますが、米国ではかなりの部分が、マーケットに転売され取引されます。債権と同じようなものです。

バンクローンで、BBB以上の貸し出しについては、日本と同じように銀行が保有して、BB以下の長期貸し出しについては、バンクローン市場に転売して、BB以下の短期貸し出しは銀行が保有します。

バンクローンを転売するのは、銀行の収益を高めるためであり、融資したローンをすぐに転売すれば、自社の資金を使わないで手数料のみ得られます。

リスク資産とは、所有している資産の中でも、利回りという点では期待できるが、それの元本が割れるなどといったリスクのある資産のことをいいます。株式、投資信託、外貨預金、対外証券投資、外国為替証拠金取引などがこれに当てはまります。

バンクローンで利益が出ないようでは、銀行は儲からないということになります。

B.金利上昇局面で強みを発揮する、ハイイールド債券型

金利上昇局面でもっとも利回りが良いのがバンクローン、次に良いのはハイイールド債になります。ハイイールド債とは、高利回りの債券のことです。投機的格付債、ジャンク債と同じようなものです。

ちなみに、ソブリン債は各国の国の政府または政府関係機関が発行し、または保証している債券(国債など)のことです。ソブリン債は国や政府関係機関の信用を引き当てとしている。特にOECD加盟国などのものは利率が低いが「信用格付け」が高いため「投資適格債」と判断されやすく、これとは逆に、利回りは高く設定されているが、一般的に信用格付けが低いのが、ハイイールド債です。

ハイイールド債のメリットは、相対的に高い利回りが期待でき、景気拡大期においては、債券単価の上昇に伴うキャピタルゲイン(売買による利益)も期待できます。

ハイイールド債のリスクは低減できます。一本のハイイールド債ファンドには、数百以上の銘柄が組み込まれているため、銘柄のひとつが、債務不履行を起こしてもほとんど影響がありません。

代表的な投資信託は、フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドがあります

C.バンクローンの通貨選択型について。

バンクローンにも、いろいろな通貨選択タイプが登場しました。

通貨選択型の投資信託は、株式や債券などといった投資対象資産に加えて、為替取引の対象となる円以外の通貨も選択することができるように設計された投資信託です。通貨選択型の収益源に相応してリスクが内在していることについて注意が必要です。

投資対象資産が値上がりした場合や利子・配当が支払われた場合には、収益を得ることができます。逆に、投資対象が値下がり場合には、期待した収益が得られず、基準価額の下落要因となります。

為替取引によるプレミアム(金利差相当分の収益)

選択した通貨の短期金利が、投資対象資産の通貨の短期金利よりも高い場合は、その金利差相当分の収益が期待できます。逆の場合は場合はコスト(金利差相当分の費用)が掛かります。

為替変動による収益

選択した通貨の対円レートが上昇(円安)した場合は為替差益を得ることができます。逆の場合(円高)の場合は為替差損が発生します。

新興国通貨の場合などは、金利差がそのまま反映されない場合があります。

バンクローンの通貨選択型の銘柄

2018/07/05 現在

  • 三菱UFJ国際投信 米国バンクローンF通貨(米ドル)毎月決算型 基準価額 9734円 総資産総額 12.810百万円
  • 三菱UFJ国際投信 米国バンクローンF通貨(レアル)毎月決算型 基準価額 4.874円 総資産総額 9.377百万円
  • 三菱UFJ国際投信 米国バンクローンF通貨(ローブル)毎月決算型 基準価額 4.992円 総資産総額 13449百万円
  • 三菱UFJ国際投信 米国バンクローンF米ドル円プレミアム(毎月)基準価額 6.292円 総資産総額 10.935百万円

上記の投資信託は、総資産総額の多い銘柄です。その他に豪ドル、リラ、ペソなどがあります。

E.米金利上昇とともに円高になったら投資信託はどうなるか。

ほとんどの投資信託や「ETF」は下落します。

「ETF」とは上場投資信託のことで、株式と投資信託の両方のメリットをあわせもつ、便利な金融商品です。投資信託と比べて信託報酬が低いため「ロボアドバイザー」などが運用に使っています。しかし最近、手数料無料(ノーロード)の投資信託もかなりふえています。数では投資信託は約6000、ETFは200台です。ETFは株と同じように東京証券取引所で売買できます。

円高に対応した投資信託もあります。<為替ヘッジあり>と表示されて投資信託です。一般には<為替ヘッジなし>のほうが圧倒的にうれています。<ヘッジあり>はヘッジコストがかかります。新興国のように金利の高いところが投資対象の場合は、日本との金利差でヘッジコストが大きくなるので要注意です。また円安の時のメリットも受けられなくなります。リスクをとらずに運用したい人には良いと思います。

資産運用は長期なので、円高の時はなるべく投資をひかえて、円高が止まり、円安になり始めたら、バランス型投資信託などを少しずつ買うと良いと思います。ネット証券では、1000円で買えるので、為替がまだ不安定なときはこれを利用すべきだと思います。特に円高の頂点で買えれば、大きな利益になります。

代表的な投資信託は、SMBC日興証券 財産3分法ファンド(不動産、債券、株式)毎月決算型があります。

2018/07/06現在

  • SMBC日興証券 財産3分法ファンド(不動産、債券、株式)毎月決算型基準価額 4.589円 総資産総額 355,674百万円 毎月分配金実績 50円

その他のバランス型

  • 東京海上・円資産バランスファンド(毎月)「愛称⁑演奏会」基準価額 11537円 総資産総額 405,592百万円 毎月分配金 30円
  • 日興 スマート・ファイブ(毎月)基準価額 10,008円 総資産総額 255,791百万円 毎月分配金 40円
  • JPモルガン ベスト・インカム(毎月)基準価額 9331円 総資産総額 235,528百万円 毎月分配金 30円

その他、セゾンバンガード・グローバルバランスF、アセマネ投資のソムリエ、三菱UFJ国際投信トレンド・アロケーションなど

F.金利上昇を想定した投資信託は「日本債券ベアファンド」(5倍型)

国内の長期債市場全体の値動きの5倍程度反対の投資成績を目標として運用します。この投資信託はブルベア型なので、中長期の運用には向きません。ただしこの投資信託の仕組みが理解できればひとつの手段として使えます。

「日本債券ベアファンド(5倍型)」は、ブルベア型ベアファンドですから、長期国債先物の価格が上昇すればファンドの基準価額は下落し、長期国債先物が下がれば、ファンドは値上がりするといったように、逆の値動きをするように設計されています。国債の値動きは小さいので、5倍のレバレッジがかかるようになっています。

G.金利上昇に対応した「ブル・ベア」型もあります。

野村ブル・ベアセレクト7(米国国債4倍ベア7)

米国国債先物取引を活用し、毎月の基準価額の値動きが米国の長期国債市場の毎日の値動きのおよそ4倍程度反対となるように、運用を行うものです。為替ヘッジにより為替リスクの低減を目指します。
この投資信託は、買うタイミングなどをテクニックが必要なので、経験した人しか、使えません。もちろん勉強しておけば、利益の出せる局面で使うことができます。

ブル・ベア型投資信託とは、先物取引などを利用して基準となる指数の値動きを大幅に上回る成果を目指す投資信託です。

ブルとは「上昇相場」を意味し、上昇を見込むならブル型投資信託。ベアとは「下落相場」を意味し、下落を見込むなら、ベア型投資信託となります。ブル型とベア型を使い分けて、上昇相場でも下落相場でも利益を狙うことができます。信用取引や先物取引のような投資額を超える損失が発生しません。

H.国内の証券会社で買える唯一の米国バンクローンETFがあります。

SPDR ブラックストーン/GSOシニアローンETF

元本の保全を図りつつインカム収益を提供することを目標とします。実質的にすべての資産を、同様の運用目標を有するマスターファンドに投資します。マスターファンドは、通常は総資産(および投資目的の借り入れ額)の80%以上を投資します。

SBI証券、マネックス証券、楽天証券で販売しております。

マスターファンドは投資家が、直接買えない投資信託です。

F.金利上昇局面においてのストラテジックインカム型ファンドの動向について

まだ知らない人も多いと思いますが、最近注目を集めているストラテジックインカム型ファンドとは、値動きが異なる複数の債券に分散投資をすることで、リスクを調整してインカム収入の確保を目指すファンドのことをいいます。

2018/07/06現在

  • 三井住友アセットマネジメント ピムコ・ストラテジック・インカム(ヘッジあり/年1回決算)設定日 2014/05/30
    基準価額 10.816円 純資産 58.003百万円 分配金実績なし

主要投資対象は、投資適格未満の銘柄も含めた世界の幅広い債券等のうち、主に米ドル建ての債券および債券関連派生商品等に投資する。原則、純資産総額とほぼ同額程度の米ドル売り円買いの為替取引を行い、対円での為替変動リスクの低減をはかります。

  • 三井住友アセットマネジメント ピムコ・ストラテジック・インカム(ヘッジあり/3カ月決算)設定日 2014/05/14
    基準価額 9.610円 総資産 37.358百万円 直近分配金実績 80円  (ヘッジなし/3カ月)は基準価額 9.246円 総資産
    10.665円 直近分配金実績 70円
  • フィデリティ・ストラテジック・インカムA「愛称:悠々債券」(ヘッジあり/毎月分配金)設定日 1998/09/30
    基準価額 6.270円 総資産 55.473百万円 分配金実績20円
    米国国債・政府機関債、米国高利回り社債、米国を除く先進国債券やエマージング債券を中心に分散投資を行ないます。
  • GS ビッグデータ・ストラテジー(日本株)設定日 2017/07/05 基準価額 9.694円 総資産 45.759百万円 分配金実績
    2018/05/10  190円  2017/11/10  610円

日本の上場株式を主要投資対象とし、信託財産の長期的な成長をめざして運用を行います。ビッグデータや人工知能を活用したゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント独自開発の計量モデルを活用し、幅広い銘柄に分散投資をします。TOPIXをベンチマークとし、長期的にこれを上回る投資成績を獲得することを目指します。

金利上昇のため債券価格が下がっているため、ストラテジックインカムも基準価額が設定来安値圏あります。しかし金利上昇はいつかは止まります。いつ上昇するかが見ものです。

I.米国金利上昇になれば、米国リートも上がると言われてきました。今回はどうでしょうか。

いろいろな米国リート投資信託があります。  2018/07/06 現在

  • フィデリティ・USリートB(ヘッジなし/毎月)基準価額 3.748円 純資産総額 763,335百万円 設定日 2003/12/09
    分配金 2017/10/16 70円  2017/11/15より 35円に減額
  • 新光 US-REITオープン「ゼウス」(ヘッジなし/毎月)基準 2607円 純資産 723,299百万円 設定日 2004/09/30
    分配金 2018/03/05 50円  2018/04/05より 25円に減額
  • ダイワ・US-REIT(ヘッジなし/毎月)B  基準価額 3,137円 純資産 598,761百万円 設定日 2004/07/21
    分配金 2017/10/17 80円  2017/11/17より 60円に減額
  • ダイワ 米国リート・ファンド(ヘッジなし/毎月)基準価額 3,360円 純資産 377,165百万円 設定日 2004/05/20
    分配金実績 70円
  • GS 米国REITファンドB(ヘッジなし/毎月)「コロンブスの卵」基準価額 2478円 純資産 162,657百万円設定日 2003/10/27
    分配金 2017/12/25 45円  2018/01/23より20円に減額

米国リートの基準価額を見ると不安に思う人もいると思いますが、これは今までに分配金を出しすぎた結果だと思います。分配金を減額したので、基準価額の下落に歯止めがかかるかもしれません。このまま米国金利上昇が続けば基準価額も反転するかもしれません。投資信託は、分配金で判断してはいけません。いくら分配金をたくさん出しても基準価額が下がれば減額になり、特別分配金になってしまいます。長期運用なら再投資が適しています。投資信託は、基準価額が底値の時に買えば後で利益につながります。逆に、基準価額が高くなりすぎた投資信託もよく調べて買った方が良いと思います。

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