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不動産投資で失敗した場合の損失は、その他の投資に比べると大きくなる傾向にあります。不動産投資は安定した収益が期待できる反面、安くても数百万円、高い物件では数千万円の投資資金がかかるからです。通常はローンを組んで返済を行いますが、思ったように手元に現金が残らないケースもあります。
返済金の工面に追われるような事態に陥れば、最悪の場合は不利な条件でも物件を売却せざるを得なくなってしまいます。成功事例を強調する不動産会社は多いですが、意外にどのような失敗事例があるのか教えてくれることは稀です。
今回は不動産投資で失敗しないために、失敗事例10選をご紹介していきます。失敗から不動産投資の成功ポイントを確認していきましょう!
不動産投資のメリット
不動産投資といえば、アパート・マンション、戸建てなどの賃貸経営によって収益を得る方法が主流ですが、最近では民泊やシェアスペースなどの新しい活用方法も注目されています。
総合的に見て、不動産投資にはどのようなメリットがあるでしょうか。
どんなメリットがある?
安定した利回りが期待できる
不動産投資の一番大きなメリットとは、家賃収入を毎月安定して得ることができることです。一般的に賃貸契約は1年~2年単位で行います。
つまり、一旦契約が決まった際には、少なくとも1年~2年は毎月の家賃家賃収入が得られることが約束されたようなものです。中には、5年、10年以上と長期に渡って住み続ける入居者もいます。
安定した利回りが実現しやすい投資方法として、以前から不動産投資は多くの投資家にとって魅力のある投資方法として見なされてきました。
長期的な視野で取り組める
また、よほど古い物件でない限り、不動産投資は10年、20年、30年と長期的な視野で取り組むことができるメリットがあります。
確かに物件の購入に多額の資金がかかりますが、完済してしまえば後は家賃収入のほとんどを利益として計上することが可能です。老後の対策として不動産投資を行い、退職後の年金代わりとしているオーナーも少なくありません。
金融市場の影響を受けにくい
さらに、不動産投資にて安定した利回りが期待できる要因として、家賃は金融市場の影響を受けにくいという側面があります。
株式や商品、通貨の価値が下がるような場面においても、定められた家賃は基本的に変わることはありません。市場の変動にかかわらず、一定の家賃収入を得られるメリットがあります。
インフレ時には高額で売却できる
一方、インフレが進んだ時には地価が値上がりしますので、大きく値上がりした際には売却して収益を得る方法も検討できます。
賃貸以外でも活用できる
近年では民泊やシェアスペースなどの新しい不動産活用方法も注目されています。その他の運営方法を途用することで、空室問題が解決できる場合も多々あります。
民泊やシェアスペースは日割りや時間単位で部屋を貸し出すため、家賃よりも相場が高いのが一般的です。また、太陽光発電設備への投資を行ったり、店舗経営などで効率よく物件を活用する方法もあります。
不労所得が実現しやすい
そして、不動産投資のもう1つの魅力とは不労所得が実現しやすい点にあります。
管理会社に運営を委託した際でも、多少の労務が必要なことは否定できませんが、運営にほとんどノータッチの状態でも毎月の家賃収入を得ることが可能です。まさに、不労所得の状態です。
自分で管理した場合でも、建物や入居者にてトラブルが発生しない限りは、管理業務に追われることはほとんどありません。ほぼ不労所得に近い状態を確保することができるのです。
保険・税金・その他のメリット
その他にも、不動産投資ローンの団体信用生命保険が死亡保険代わりとできることや、減価償却による節税効果も期待することが可能です。
また、投資用の不動産であれば、路線価による評価によって実質評価額の70~80%が課税評価額の対象となり相続の際にも有利です。
メリットだけではない
不動産投資のメリットだけを見た限り、将来的な年金収入としても魅力がある投資方法です。しかし、不動産投資を始めた人がすべて同じように成功するとは断言できません。
実際に収益物件を購入して、賃貸経営を行ってみないとわからないリスクがたくさん隠れているのです。では、不動産投資のデメリットを見ていきましょう。
デメリット
- 空室リスク→家賃収入が得られない
- 建物や設備の老朽化→補修やメンテナンスに費用がかかる
- 入居者のトラブル→空室リスクや多大なストレス
- 金利の上昇(変動金利)→返済額の負担が増える
- 売却できない→買い手がみつからない
- 不動産の価格低減→デフレ時には地価も下がる>
不動産投資には、以上のようなデメリットが潜んでおり、その他にも思いがけない事態が発生する場合もあるのです。
初心者のリスク
あらかじめ、メリットやデメリットを確認した上で不動産投資を始める方は多いと思いますが、不動産投資の初心者にとって、メリットばかりが印象に残ってしまいがちです。
なぜなら、経験がないために、実際に生じるかもしれないリスクやデメリットがイメージしづらい状況にあるからです。どんなにデメリットやリスクについて確認しておいたとしても、初心者には初心者特有のリスクが生じてしまいます。
では、初心者が抱えるリスクを挙げていきましょう。
- 物件の見極めを誤るリスク
- 不動産会社の選択を誤るリスク
- 営業トークについ気を許してしまうリスク
- 表面利回りに惑わされるリスク
- 不動産投資ローンの選択を誤るリスク
- 無理な借入をしてしまうリスク
- 賃貸経営で生じるトラブルがイメージできないリスク
- 想定の家賃収入をあてにしすぎるリスク
など、初心者が抱えるリスクは数えきれないほどあるのです。
失敗を重ね経験を積んできたからこそ、不動産投資において成功した人がいる、と思うべきなのですが、成功した人の事例だけが印象に残ってしまいがちです。
失敗事例から学ぼう!
そこで、不動産投資を始める前に初心者がとくに注意しておきたいことは、成功事例ももちろん大切ですが、具体的な失敗事例を徹底的に確認しておくことです。
不動産会社もやはりビジネスですから、購入しようとしている物件の隠れたデメリットをわざわざ教えてくれるケースは少ないでしょう。
自分自身であらゆる角度から、考えられるリスクをすべて検証しておくことが大切です。思いがけないリスクに備えて、様々なタイプの失敗事例から成功のコツを学んでおきましょう。
不動産投資 失敗事例10選!
それでは、いくつかの不動産情報サイトを参考に、不動産投資の具体的な失敗事例10選をご紹介していきます。具体的な例を見ることで失敗のリスクがイメージしやすくなると思います。
出典元も参考リンクで記載しておきますので、気になる方は詳細もご覧いただけます。
郊外の大学が移転した!
大学生からの賃貸ニーズを期待して購入した物件での失敗事例です。
投資家Kさんは某私立大学があったため関東地区、郊外の1Kマンションを900万円で購入しました。駅から遠い物件でしたが、周囲にはアパートしかなく、防犯性の高さをアピールして女子学生からのニーズが見込まれていました。学生のニーズがあることから、安定して利回り8%程度が実現できるだろうと思っていたそうです。
購入後5年間は空室率ゼロ
Kさんの思惑通り、最初の5年間は空室もなく安定した利回りが実現できていました。ところが、購入後5年を過ぎたあたりで、大学が移転することになったのです。少子高齢化による定員割れが原因でした。
大学は1学部のみを除いて、都心部へ移転することをある日突然発表したのです。
購入価格の3分の1で売却
学生からの賃貸ニーズが大幅に減少し、タイミング悪く入れ替わりの時期を逃したりで1年間空室となってしまった結果、Kさんは売却を決意します。
しかし、大学の移転により賃貸ニーズがなくなった物件は売却も難しく、最終的に購入価格の3分の1程度でしか売却できなかったとのことです。
注意ポイント →1つのニーズだけに依存するのは危険
利回りだけを重視した!
東京郊外の高利回り物件を、利回りの高さだけに魅かれて800万円で購入した方の失敗事例です。
月5万円の家賃収入と仮定した場合の表面利回りは7.5%でした。駅から15分と好立地で入居者もすぐ決まりましたが、築30年の古い物件であったため、次の入居者がなかなか決まらなかったそうです。
家賃を下げて利回りも低下
その後、空室が続いたためCさんは家賃を4万円に下げ、入居者は見つかりましたが、利回りは4%にまで下がってしまいました。
売却を検討しましたが、築年数が古いため好条件での売却も難しく、投資家Cさんは利回りで選んだ物件を後悔したとのことです。
注意ポイント 表面利回りはあくまでも入居者があった場合の目安の数字
1人暮らしの入居は退去も早い!
駅から徒歩5分の好条件の築浅物件を購入した方の失敗事例です。
1人暮らし向きの物件を、入居者がいる状態で購入したところ、その入居者はその後しばらくして退去してしまいました。退去した後に空室が続き、空室保証をつけておけばよかったと後悔したそうです。
空室が続き、やっとのことで次の入居者が決まったところ、また退去。
繰り返される空室への心配
入居→退去→空室→入居・・・・といったように、1人暮らしの入居者は長く住まない傾向にあります。退去される度に、空室期間が生じ精神的にまいってしまっとのことで、空室保証も大切なのだと思ったとのことです。
注意ポイント 空室保証も考慮しておく必要がある
ファミリータイプは費用がかかる!
迷った末、ファミリータイプを購入した際の失敗事例です。
いずれは家族で居住することも可能だとのことで、ファミリータイプのマンションを購入したとのことです。しかし、購入後にある事実に気づきました。ファミリータイプは部屋が広くなるため、必然的にワンルームの2倍・3倍の購入費用がかかるけれど、家賃は2倍・3倍にできないという矛盾があることです。
しかも、部屋や広いため、退去時にはクリーニング代やリフォームの費用や時間も多くかかるそうです。費用がかかる分利回りも低くなってしまったようです。
注意ポイント →退去時にかかる費用によって利回りも変動
空室続きで大赤字!
次に見ておきたいのは、中古の一棟アパートを購入したTさんの失敗事例です。
東京都の近郊の駅近の物件を購入し、当初の入居率は80%でした。入居率が80%の時点で利回りは約10%という高利回りを実現していました。ところが、その後退去が続きなかなか入居が決まらず、空室が続いてしまいました。
結果的に、入居率は30%まで低下。毎月10万円の赤字を抱えてしまったそうです。
賃貸情報に物件の情報がない
ある日、管理会社に依頼していた賃貸情報が掲載されていないことが判明。すぐに掲載してもらい、その後も入居者が決まらず家賃を下げることで入居率80%を回復しました。赤字総額は100万円、利回り率は低下したとのことです。
注意ポイント 管理会社に100%依存してしまうのは問題がある
値下げにつられて選んでしまった!
中古ワンルームを値下げにつられて購入したしまった方の失敗事例を見ていきましょう。
築10年の駅から10分の好条件のマンションが、「価格を値下げしました」という見出しで広告が出ていたため、とくにリサーチもせずお得だと思って購入してしまったそうです。
後で調べてみてわかったことが、もともとその購入価格は通常の相場よりも割高になっていたそうです。いざ、2年後に売却しようとした時には、購入価格の30%安い価格でしが売れないことが判明したとのことです。
注意ポイント →適性な価格かどうかのリサーチが大切
問題ありの物件だった!
物件購入後に前オーナーの滞納金を支払う羽目になった失敗事例をご紹介しておきましょう。
投資家Yさんは物件の購入3カ月後に、マンションの管理会社から管理費・修繕積立の滞納金約60万円の請求がきて驚いたそうです。前オーナーは転勤で海外に住んでいたため、放置してあったようです。
管理会社に相談したところ、もともと契約書に記載されてあるとの返答で、契約の時点でYさんに支払い責任が移行していたのです。契約書をきちんと読んでいなかった自分の責任だと、結局Yさんは払ったそうです。
注意ポイント 契約書の内容を必ず確認してから契約に進もう
先のことは誰にもわからない!
次にご紹介するのは、未来を安易に予測したことによって生じた失敗事例です。
物件を探す中、営業トークなどで「将来的に高い需要が見込めます」と聞くのは日常茶飯事です。また、自分自身でも何かのニュースを聞いたり、統計やデータをもとに先々の需要を分析する人もいるでしょう。しかし、100%確実な予測をすることは誰にもできないのです。
ある会社員は、海外不動産会社に勧められて、これから不動産ニーズが期待できるという建築前の物件を慌てて2,500万円で購入してしまったそうです。
しかし建物の完成直前にその建築会社が倒産してしまい、不動産企画は壊滅してしまったのです。結局、その物件の将来を信じた会社員は投資資金のすべてを失なう結果となってしまいました。
注意ポイント 予想外の事態に備えた対策がたてれるかどうか
税金が高すぎて払えない!
最後に失敗事例の残り2件として、楽待で公開されている漫画家(河上まりお氏)の実体験ご紹介していきます。
河上氏は、1件目の不動産投資の収益が赤字ではないながらも、かなり低かったため2件目を購入することにしました。2件目の物件は、リフォーム代込で5,000万円の一棟マンションでした。
約1年間で全18戸の満室を実現し、家賃収入が年間750万円に増えたそうです。ところが、漫画家の収入に加えて、不動産収入が年間で750万円に増えてしまったため、当時入居していた市営住宅に住めなくなってしまったのです。
やむを得ず、河上氏は家賃2.5万円から家賃7万円の一般の住宅へと転居しました。税金の悪夢が始まったのはそれから約1年後だったそうです。
過重な税金が払えず差し押さえ通知書が
所得額が一気に増えたことによって、所得税があがり、物件の固定資産税もかかります。さらに所得額に応じて健康保険料もあがり、子供の保育料もあがり、そしてローンの返済と重なり、物件の購入前よりも家計が苦しくなってしまったそうです。
河上氏によると、ローンの返済ばかりを気にしていて、税金の存在を全く注意していなかったとのことでした。そしてある日、とうとう滞納を繰り返した結果、差し押さえ通知書が届いたのです。それがきっかけとなって、不動産投資は怖いものと判断し投資から撤退することを決意したとのことです。
注意ポイント →税金の課税額も諸経費の1つとして概算
入居者とのトラブルもある!
引き続き、河上まりお氏の失敗事例の1つである入居者とのトラブル事例を見ていきましょう。河上氏は、全18戸を満室にしたいがため、管理会社の反対を押し切ってでも相手を選ばずに誰でも入居させてしまったそうです。
その結果以下のような数々のトラブルに遭遇したとのことです。
- 家賃を払ってもらえない
- 家賃を稼ぐために仕事を紹介したがすっぽかされた
- 騒音問題で他の入居者が退去
- 禁止しているのに犬を飼っていた
など、トラブルを起こした入居者はすべて管理会社が注意した人であったため、管理会社の注意は聞いておくべきだったと反省したこともあったそうです。
注意ポイント マナー違反をしそうな入居者の見極めが大切
※不動産投資の5つの危険性をこちらで解説しています。併せて参考にして下さい。
※不動産投資をはじめる前におさえておきたい、固定資産税に関する記事です。こちらもぜひご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
不動産投資では、注意していても思わぬところで失敗してしまうことも多々あるのです。購入価格が高くなるごとに、失敗した時の損害も大きくなってしまいます。いざ物件を購入する前に、ある程度の準備期間を設けて十分な知識を学んでおくことが大切です。
ともすると、不動産投資の初心者は魅力的な成功談だけに惑わされてしまいます。おそらく初心者にとっては、いかに成功するかよりも、いかに失敗を回避するかを考えることの方が大切なのかもしれません。
今回、ご紹介した失敗事例以外にも、あらゆるタイプの落とし穴が不動産投資には潜んでいます。1つでも多くの失敗事例を学んで、確実に不動産投資を成功させていきましょう!