【民泊投資】民泊でありがちなトラブルとは?近隣住民とのトラブル事例と対策を解説

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民泊は近年になって不動産投資の一環として注目されていますが、国内外の宿泊ニーズが期待できる反面、一方ではトラブルに悩まされるオーナーも少なくありません。民泊における様々なタイプのトラブルがある中、とくに近隣住民、地域住民からの理解が得られるかどうかによって、民泊の収益率は大きく左右されるともいえます。

民泊投資を始めるにあたって、どのようなトラブルが起こり得るのか理解しておくことで事前に対策を検討することができます。民泊でありがちなトラブルとはどのようなケースなのでしょうか。

今回は、民泊でありがちなトラブルについて、そして民泊を成功させるポイントともなる近隣住民とのトラブル事例と対策を解説していきます。

民泊でありがちなトラブル

民泊とは、ホテルや旅館などの商業用の宿泊施設ではなく、一般の住居にて宿泊サービスを提供することをいいます。近年、外国人観光客の増加に伴い、以前から海外の主要都市にて行われていた民泊という新しい宿泊形態が国内にも普及し始めました。

まだ、民泊というサービスに馴染みがない日本においては、賛否両論様々な意見が聞かれつつも、国内外の旅行者のニーズに応えることができることから徐々にビジネスとしての地位を確立しつつあります。

人口減少や少子高齢化によって、賃貸を基盤とする不動産投資が危惧される中でも、それに反比例して急激な増加を見せる外国人観光客の存在に、これまでとは違った不動産投資、民泊投資が期待を集めています。

民泊は、従来のホテルや旅館では与えることのできない、安さ、気軽さ、新しさ、コミュニケーションの場を提供することが可能です。もちろん、逆にホテルや旅館でないと提供できないサービスもありますが、もともと外国人観光客によって推し進められてきた国内の民泊は日本人の旅行者からも親しまれるようになってきました。

今後は東京オリンピックを契機に、さらに宿泊ニーズの増加が期待されており、民泊投資は将来性のある不動産の活用方法として、今注目されているのです。

ゲストとのトラブル

このような背景のもと、民泊投資は一見手堅い投資方法にも思えるのですが、国内ではまだ新しいビジネスであるだけにトラブルも起こりがちです。そのトラブルの1つは、ゲストとのトラブルです。

民泊は基本的に一般の住民が宿泊施設を提供するスタイルであり、各種民泊情報サイトによって宿泊予約が行われています。民泊のオーナーの多くは、半ば宿泊経営においては素人です。その素人さが民泊の魅力でもあるのですが、後でゲストとのトラブルになることも多々あるようです。

では、具体的にオーナーとゲストとの間で、どのようなトラブルが発生しているのかを見ていきましょう。

ゲストとのトラブル例

ゲストとのトラブル例として、

  • 予約が重複しており宿泊できなかった
  • キャンセル料の案内がなかった
  • チェックインの準備ができていなかった
  • サイトの情報と実際の部屋が全く異なる
  • カギの受取・返却方法の説明がない
  • 部屋の不備に対応してもらえない
  • レスポンスがない・遅い

などが挙げられています。

これらのトラブルに関しては、オーナーが事前にしっかりと確認・準備しておくことで解消できるトラブルだといえます。つまり、オーナー次第で改善は可能ですし、プロの民泊代行業者に依頼する方法もあります。

よりスムーズに快適に宿泊サービスの提供ができれば、ゲストの数を増やし収益率を高めていくことが可能です。

近隣住民とのトラブル

そこで、民泊のトラブルで、致命的、かつ厄介なケースとは近隣住民とのトラブルです。なぜなら、地域住民、近隣住民からの苦情・通報が重なれば対応していくだけでも、多大な時間や手間がかかりオーナーの心労は重度なものとなり得ます

さらに、近隣住民から反対の声が強まれば、民泊経営に支障を来たすだけでなく、署名運動などで事業の撤退を余儀なくされる可能性もあるのです

近隣住民とのトラブル事例

民泊投資に資金を費やした後で、経営が難しくなるといった事態を避けるためにも、近隣住民とのトラブルはまず一番に万全にしておきたい対策だといえます。

民泊投資は、一般的な賃貸経営とは異なり、近隣住民からの理解・協力なくして成功はあり得ないのです。

特区民泊では、トラブルを避けるために近隣住民への事前説明や挨拶が義務づけられています。その他の地域においても、自治体によっては近隣住民への事前対策が推奨されている場合もあります。自らの成功を収めるためにも、近隣住民への対策は非常に重要なポイントとなります。

では実際にどのような近隣住民とのトラブルのケースがあるのかを確認しておきましょう。各種民泊関連サイトの情報を参考に具体的なトラブル事例をいくつか挙げていきたいと思います。

トラブル事例 ①騒音

民泊における近隣住民とのトラブルで、最も代表的なものが「騒音」です。これは賃貸住宅においても永遠のテーマともいえる代表的なトラブルです。騒音に苦しんだ経験が有る方はご存知かと思いますが、近隣からの騒音はプライベートを楽しむ時間、睡眠の時間、リラックスする時間をことごとく妨害し、深刻なストレスの原因となります。

とくに、その騒音が人々の話声、はしゃぎ声、他人の生活感を感じさせるものである場合に、不快度は増していく傾向にあります。食事をゆっくり楽しめない、好きな映画に集中できないだけならまだしも、騒音によって夜も眠れない日が続くと、心身の健康や仕事へも悪影響を与えてしまいます。

騒音に対する苦情

  • グループや多人数で騒ぐ声が聞こえる
  • 深夜早朝の時間帯にドアの開け閉めや足音がうるさい
  • ラジオやTV・オーディオの音が大きい
  • ベランダや庭、公用の通路などで大きな声で話している

以上のような騒音に対する苦情の声が聞かれています。騒音が改善されるか自身が転居するかに追い詰められている住民は、早急な解決を求めて管理会社や警察へと急ぎます。

トラブル事例 ②喫煙・飲食のマナー

次に多いトラブルとして、建物の共用部や公共の場所(公園や駐車場)での喫煙や飲食のマナーに関する苦情です。これは、若い宿泊客に多く見られる傾向で、すべての若者に共通するわけではありませんが、一般的に若い世代は公共でのマナーをあまり気にしない傾向にあります。タバコの吸い殻や空き缶、空き瓶、ビニール袋などがそのまま放置されてあるケースもあるようです。

とくにマンションやアパートの、他の住民も利用するホール、通路、ドア、エレベーター、階段などにて、複数人で喫煙、飲食などの行為が通報されています。戸建住宅の場合でも近隣の公園、駐車場、道路、店舗の前などでこのようなマナー違反が目に余り苦情となっています。

トラブル事例 ③ゴミのマナー

もう1つ近隣住民とのトラブルの要因として挙げられているのが、ゴミ出し(ゴミ捨て)のマナーです。

  • ゴミ収集日以外の日にゴミが出してある
  • ゴミが分別されていない
  • ゴミの袋がきちんと結ばれていない
  • 共用部のゴミ箱に家庭用ゴミが大量に捨ててある
  • ショッピングでの包装や箱類が放置してある

など、これらのマナー違反は騒音ほど深刻ではありませんが、近隣周辺の景観を甚だしく妨害する行為としてトラブルの原因となっています。

トラブル事例 ④外国人への警戒心

そして民泊経営への決定的な打撃となるのが、上記で解説したマナー違反に外国人への警戒心が加わった場合のトラブルです。

日本はもともと島国であることや鎖国時代の名残りからも、外国人の出入りが少ない国の1つでした。外国人の存在がさほど珍しくはない多くの主要国とは異なり、学校や職場・自宅周辺においても日本人だけで構成された社会で育ち生活する人がほとんどでした。

最近では、国の政策として不足する労働人口を補うために外国人労働者の受け入れが進んでおり、至るところで外国人を見かけるようになり当たり前の現象として捉えられつつあります。しかし、未だに外国人の存在自体を不安に思う人もたくさんいることは否定できません。なぜなら、これまでの生活に外国人の存在がなかったからです。

外国人が出入りしている、というだけで不審感を持つ人も中にはいるのです。

マナー違反プラス外国人はとくにトラブルを加速させてしまう

騒音、喫煙・飲食のマナー違反、ゴミ出しのマナー違反などは、日本人・外国人を問わず常識のない社会人であれば犯しがちな過ちであり、これは世界共通どこへ行っても見られる現象です。

しかし、マナー違反の対象が外国人さらに、そのマナー違反が未知の分野である民泊から生じているとなれば、一大事にまで発展しかねないのです。(近隣住民の外国人に対するイメージにもよる)

実際に、外国人が出入りが頻繁にある場合や外国人宿泊客による騒音がひどい場合に、近隣周辺からの苦情から民泊の営業停止となるケースが、民泊サイトのエアビーなどで報告されています。

事前にできる対策

せっかく資金を使って民泊投資を行うのであれば、少しでも収益を上げて確実に成功させていきたいものです。しかし、近隣住民とのトラブルから営業が難しい状態となってしまっては、民泊にかけた費用はすべて無駄となってしまいます。ですから、近隣住民から民泊に対する理解や協力を得ることは非常に重要なポイントとなるのです。

そこで、近隣住民との間で起こりうるトラブルを把握しておけば、事前に対策を行っておくことが可能です。

では、近隣住民とのトラブル回避に役立つ事前の対策をいくつかご紹介しておきましょう。

地域の特性をリサーチしておくべき

まず、民泊を円滑に経営していくにあたって、必要なことはその地域の特性をリサーチしておくことです。民泊は一般の住宅を宿泊施設として提供できることから、ともすると不適切な場所にて民泊を経営してしまう恐れがあります。

その地域の特性をリサーチする方法の1つは、用途地域の種類を調べることです。

用途地域の種類を調べる

いくら本人が所有する土地であっても、無条件にどんな建物でも建てれるわけではありません。全国の土地は法律によって、地域別に建ててもよい建物の種類が定められています。さらに、そこで開設してもよいビジネスの種類なども決められています。このような規定を用途地域といいます。

用途地域は大きく以下のような種類に分類されています。

低層住居専用地域

低層の建物だけが建てられる住宅専用の地域となり、小中学校・小規模な商店などごく限られた建物だけが許可されてある地域

中高層住居専用地域

中高層の建物が建てられる地域で、条件つきにて病院・大学・商店など生活に必要な建物は許可されてある地域

住居地域

あくまでも住居が主流となる地域ではあるが、その他商業施設を条件つきで建てることが可能な地域

商業地域

住宅、各種商業施設、事務所など幅広い建物が建てられる地域

工業地域

工業用の向上などが中心で、場所によっては住宅や商業施設は建てられない地域

以上のように分類される中で、民泊(宿泊業)を行ってよい地域と行ってはいけない地域があるのです。

宿泊業が行えない地域
  • 第一種低層住宅地域
  • 第二種低層住宅地域
  • 第一種中高層住宅地域
  • 工業地域

上記4つの住宅用地では、原則として宿泊業を行うことが禁止されています。従って、宿泊業が行えない地域周辺では民泊が好まれない可能性が高いといえるでしょう。

ホテルや旅館が多い地域

近隣住民の反応にもよるので、一概にはいえませんが民泊を行ってもほとんど違和感がないだろうと思えるのが、住宅地域・商業地域です。ただ、そのような地域であっても民泊に消極的・懐疑的な自治体や地域もあるので、事前の確認が必要です。

自治体の特例で民泊が行える場合

自治体の特例措置によって本来宿泊業が禁止されている地域でも、近年の地域活性化の推進に従い民泊の許可が出ている場合があります。「特別用地地区」「地区計画地域」として設定された地域で、近隣住民が率先して民泊事業を推進している地域もあります。

しかし、このような土地は、本来は宿泊業が禁止されてあったため、民泊に抵抗を感じる方が逆に多い場合もあり得ますので注意しましょう。

事前の挨拶で民泊のイメージも変わる!

次にクリアしておきたい近隣住民への事前対策とは「挨拶周り」です。

ある日突然、民泊らしきものが行われていると知った場合の不審感は大きいかもしれませんが、事前に挨拶周りをしておくことで周囲のイメージを和らげることが可能です。とくに、アパート・マンションの場合は欠かせない重要な対策となります。

そもそも民泊の仕組みや合法化されていることすら知らない人だっているはずです。「ご迷惑かけることもあるかもしれませんが・・・、どうぞよろしくお願いします」「何かありました時は、お気軽にお知らせ下さいね。」と丁寧に近隣周辺に、民泊とは何なのかを説明しながら挨拶しておきましょう。

そうすることで、最初は反感を持っていた人でも協力的な態度に変わることが期待できます。また、民泊開始前に近隣の反応を探ることで、果たしてその地域・その建物にて成功が望めるかどうかの判断にもつながります。

予約・入室時にすべき対策

実際にゲストが民泊を利用する際にも、事前にできる対策はいくつかあります。

まず、予約の時点で騒音、共用場所や周辺でのマナー、喫煙・飲食のマナー、ゴミ捨てのマナーなどを念を押して伝えておくことです。さらに、入室の際には、もう1度書面や口頭にてマナー違反がないよう十分に注意しておくようにしましょう。

近隣からの苦情がないよう徹底したいオーナーの中には、苦情が来た場合に罰金を規定している場合もあるようです。やむを得ない場合は退室を求める旨を注意欄に書いておいてもいいでしょう。

滞在中の様子を確認しておこう

オーナーが不在型の民泊の場合は、滞在中のゲストの様子を最低でも一日一回は確認できるようにしておきましょう。ゴミの捨て方や、洗濯ものの干し方、外からの様子だけでも、それとなくゲストのマナーが探れる場合もあるでしょう。清掃や衛生用品の交換などを言い訳に、室内の様子を探ることも可能ですよね。

民泊管理代行会社に完全に任せている場合は、まめに管理会社にチェックするようにして下さい。

誠意を持って対処することが大切

万が一、苦情があった際は誠意を持って迅速に対応していくことが大切です。時間がたてばたつ程、相手の不満は増幅しがちです。オーナー(管理業者)は基本的に深夜早朝を問わず、いつでも連絡がとれる状態であることが義務づけられています。

ゲストに改善の必要があると判断した時には、ゲストに早急に改善してもらえるよう入念に注意するようにしましょう。仮に、ゲストの方に改善が見られなかった場合は、民泊事業を守っていくためにも、ゲストに即退室を求めるなどの措置が必要です。

さらに、ゲストへの注意だけでなく、苦情を訴えた本人に対しても、アフターフォローが大切です。謝罪の手紙を書いたり、後日改めて挨拶に訪問するなど、誠意を込めて対応するようにしましょう。相手がどんなに怒っていたとしても、誠意のある対応を見れば気持ちもおさまるに違いありません。

民泊代行業者にすべての運営を任せきりにすることも可能ですが、だからといって民泊事業を放置しておいていいわけではありません。オーナー自身が事業者の1人として、常に民泊の運営状況や、近隣住民との関係をこまめに把握しておく態度が欠かせないでしょう。

※民泊とホテルや旅館などの宿泊業とは、狙うターゲットがどのように異なるのか、民泊投資に役立つ情報が下記からご覧いただけます。

まとめ

民泊は、国際化への幕開けとともに急成長している新しいビジネスとして今注目されています。不動産投資の一環として民泊を検討している方も増えているようです。国内外の旅行者による宿泊ニーズは高まっており、民泊投資は将来的にも一定の利回りが期待できる投資方法だといえます。

しかし、収益が期待できる反面、今回解説してきたような近隣住民との深刻なトラブルの可能性も考慮しておくことが大切です。

日本の国際化は始まったばかりで、反感を持つ方がいても当然です。そこで、近隣住民に対して民泊の説明、挨拶をしておくなど事前に対処しておくことでとトラブルを回避することが可能です。

時代の流れとして、日本が国際化を迎えることは必要不可欠な要素であり、と同時に世界共通の宿泊サービスである民泊の普及は今後ますます加速していくことが期待できます。ただ、様々な異なる価値観があると、反感を持つ近隣住民の気持ちを尊重した上で民泊事業を進めていければ理想的です。

それぞれの民泊事業を円滑に軌道にのせていくためにも、近隣住民の理解と協力を得る努力を惜しまないことが成功のポイントとなるでしょう。

 

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