意外と知らない「医療保険」の仕組みを解説!

1.医療保険とは?

医療保険は大きく「公的医療保険」「民間医療保険」の2種類に分かれます。公的医療保険は、国が運営をしている医療保険をいい、民間医療保険には、生命保険会社損害保険会社が取り扱っている医療保険があります。

公的医療保険とは

公的医療保険とは、いわゆる「社会保険」といわれる分野の医療保険のことを言います。具体的には「健康保険」「国民健康保険」などがこれに該当します。公的医療保険は国が中心に運営しているものが多く、それぞれが法令によって給付内容などについて決められています。

・健康保険

健康保険は、国が管理を行っている医療保険で、加入者は会社に勤めている人が中心となっています。健康保険は「全国健康保険協会(協会けんぽ)」と「健康保険組合」によって運営されていますが、保険給付の内容は、いずれの場合においても同じ内容の支給が行われます。(詳しい給付の内容は別の記事にて解説しています。)

・国民健康保険

国民健康保険は、管理を行ているところが「市区町村又は国民健康保険組合」であり、主に加入している人は「自営業者や学生などのように、会社等に勤めていない人」が中心です。また、国民健康保険についても、基本的な保障の内容などについては、健康保険と同じところが多いです。

・公的医療保険は全国民が対象となるためカバーしきれないところもある

そもそも、公的医療保険は「国民皆保険」を実現させるための制度の一つであり、誰もが安心して十分な医療を受けることができ、かつ、医療費が多額になった場合であっても、その人の生活を圧迫しないようにして「国民の生活の安定と福祉の向上に寄与する」ための制度です。

そのため、公的医療保険は特定の分野に特化させた民間の医療尾見とは異なり、すべての国民に平等に医療を受けさせるために必要最低限の保障を行うようにしているので、公的医療保険だけですべてをカバーすることは難しいといえます。

民間医療保険

民間医療保険は、生命保険会社や損害保険会社が保障を行う民間の医療保険制度です。民間の医療保険の特徴は「特定の分野に特化させた保障をすることが可能である」ということです。

公的医療保険の場合、保障の対象が全国民と犯意が膨大になってくるため、保障内容を充実させることが難しいところがありますが、民間の医療保険の場合は、加入できる対象者をある程度限定するが、その分、保障内容を充実させることが出来るという違いがあります。

そのため、公的医療保険は最低限度の医療保険として強制的に加入しなければならないところがありますが、より強い保障をして備えていきたいと考えている人であれば、民間の医療保険に加入することが望ましいといえます。

2.生保の医療保険と損保の医療保険の違い

医療保険は、いわゆる「第3分野の保険」といわれる種類で、生命保険会社も損害保険会社も取り扱うことが出来るという点で、今までの保険とは異なります。

基本的には、生保と損保どちらも扱っている医療保険の特徴に差はあまりありませんが、生命保険が取り扱う医療保険は、人に関わる分野のうち、主に病気などに関わる医療保険である保険が多く、損害保険が取り扱う医療保険は、物などの損害が原因で発生するケガなどに対する補償をする医療保険などが多いという点で違いはあります。

生命保険会社が取り扱い医療保険の特徴

生命保険会社が取り扱う保険商品は病気やケガをしたとき行われる保障が中心となります。医療保険にも、保障期間が有期のものと終身のものとがあります。

【医療保険の保障内容の違い】

医療保険についても、死亡保障と同様に保障期間が「有期」と「終身」とに分かれます。医療保険に関しても、有期の場合と終身の場合との相違点は死亡保障と同じようなところが多いです。

・有期保障の場合

死亡保障の期間が「一定期間」や「特定の年齢に到達した時まで」といったように期間が限定されているものを言います。基本的に、医療保険は保険料は掛け捨てとなるため、毎月の保険料は安いです。

 

(有期保障の特徴)

・契約当初の保険料は終身タイプに比べると安い

・更新時に年齢に応じて保険料が高くなってくる

・年齢によっては更新が出来なくなってくる

 

定期保障タイプは、更新をする際には加入できるかどうかという点と保険料がどれくらい上がるかという点について注意が必要になります。

・終身保障の場合

保障期間が一生涯続くタイプの医療保険です。保障期間が一生涯となりますが、保障内容については有期保障の場合と同じですが、保険料は一生涯払い続けることになるため有期タイプに比べると高くなる可能性があります。

 

(終身保障の特徴)

・契約当初と同じ水準の保険料で保障を続けることが出来る

・満期や更新がないため、保障内容が契約時点と同じまま保障が一生涯続く

・特約の内容によっては、保障期間が設けられていることがある

 

終身保障タイプは、保障が一要害続くため、契約時点における保障内容が一生涯続くことになります。そのため、年齢による疾病等のリスクが変化していく中で、保障内容の見直しをすることが難しいというデメリットはありますが、保険料は更新がないため契約時点から高くなることはないため、負担が安く済むというメリットがあります。

【多様化する医療保険の種類】

医療保険と一言でいっても、その種類はかなり広範囲にわたるようになっています。そのため、医療保険の中のどの分野に対する備えを順位したいかという部分を明確にすることが必要になってきました。

・がん保険

がん保険は最も主流となっている医療尾見の一つではないかと思いますが、第3分野の保険としては一番イメージしやすいところなのかもしれません。がんと診断されたときに保険金が支給されるもので、診断されたときに保険金が支払われるだけでなく、入院をした場合や手術をしたときなど、がんになったことが原因で発生したものを支給対象とする医療保険といえます。

・3大疾病保険(特約の場合もあります)

3大疾病とは、「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」の3つの疾病を指します。これらのいずれかと診断をされた場合において、保険金が支給されるタイプの医療保険です。

これらについては、基本的にはがん保険の場合と内容は同じところが多く、主契約として医療保険となっているものもありますが保険会社によっては、医療保険の特約として、付随させることで保障をするものもあります。

・女性向け医療保険

女性特有の疾病をカバーすることを目的としている医療保険です。近年、女性の活躍が目覚ましくなってきている中、女性特有の疾病に対するリスクに備えることを考える女性が増えてきたこともあり、多くの女性向けの医療保険や女性特有の疾病に対応した特約などが登場しています。

・積立型医療保険

医療保険は基本的には掛け捨てタイプのものが多く、貯蓄性があるものはほとんどありませんでしたが、医療保険の中には、解約返戻金が支払われるタイプのものもあり、貯蓄性を持ったタイプの医療保険も登場しました。当然ですが、保険料は通常の医療保険と比べると割高になっています。

・引受基準緩和型医療保険

引受基準緩和型医療保険とは、医療保険の引受基準を通常の医療保険に比べるとハードルを下げることで、持病持ちの人であっても医療保険に加入することが出来るようにした医療保険です。

もともと、一般の医療保険の引受基準では引き受けてもらえなかった人向けの医療保険ともいえるので、一般の医療保険に比べると保険料は割高に設定されているのが一般的です。割高になる理由としては。一般的な人に比べると、保険金の支払い要件が発生する可能性が高いため、必然的に保険料を高めに設定しておくことで、保険料収入と保険金支払いによる支出とのバランスを取るためです。なお、この考え方は年齢が高くなるにつれて保険料が高くなる理由と同じ考え方です。

・無選択型医療保険

無選択型医療保険とは、引受基準緩和型医療保険よりもさらに加入のためのハードルが下げられた医療保険といえます。無選択型医療保険は、無告知・無診査で加入できるタイプですので、他の医療保険に比べると、保険料がかなり割高にされており、かつ、給付内容にも一定の制限がかけられているものが多いです。

3.医療保険の有効活用法

医療保険は様々な種類があるため、現在加入している保障内容がどうなっているかを確認することが大切になります。

【現在加入している医療保険の内容の確認してほしい部分】

・保障期間

具体的に言うと、入院をした場合において何日目から保険金の支払いがスタートして、何日目まで支払われるかということを確認しておかないと、思いのほか入院が長期化してしまった場合や入院期間が短すぎて保険金の支払いがないまま、入院にかかった費用(保険適用外の10割負担部分)を支払うことになることも考えられます。(この場合、公的医療保険から「高額療養費」として、償還払い(先に10割負担で支払ってから、後日に7割から9割相当額を保険給付として払い戻しを受けること)が行われます。)

・保障内容

具体的にどうなったときに保険金の支払いが発生するかという部分です。ここをしっかりと押さえておかないと、肝心な時に支払いを受けることが出来ないなんてことになりかねませんので、注意してください。

・保険料

医療保険の場合、終身タイプであれば、契約時点の保険料のまま推移するのですが、有期タイプの場合、期間満了後に再度契約更新を行う際に、更新時点の年齢における保険料で計算されるため、有期タイプの医療保険で契約している場合は、保険料についても確認する必要があるといえます。

【必要に応じた保障を付けてこそ医療保険の有効活用】

医療保険には、公的なものと民間のものとに分かれます。最初にも説明しましたが、公的な医療保険は国民皆保険のための公平性を重視した保障内容となっているのに対して、民間の場合は特定の要件に特化させた保障形態を重視している点で大きく違いがあります。

そこで、公的な医療保険ではカバーしきれないような部分のうち、今本当に特化させておきたい備えが何か?という部分を考えたうえで、医療保険(特約を含みます)に加入することが大切です。

(最低限加入しておきたい医療保険は?)

では、具体的にどの医療尾見に加入しておくべきなのかを考えると、「がん保険」や「3大疾病」に対応した保険などがあります。これらの保険については、約2人に1人の割合で発症する可能性があるものについての備えをするとともに、治療にかかる高額な費用をカバーすることを考えると必須の医療保険の一つといえます。

また、女性の方であれば「女性特有の疾病」に備える保険は保険料が安価であるが、保障内容が充実しているので、医療保険に+αとして加入している人が多いです。

(医療保険の最重要ポイントは「保障期間」)

医療保険において、もっとも重要な部分の一つが、この「保障期間」だといえます。入院期間は年々短くなる傾向にあるといわれています。だからと言って、医療保険の保障期間を必要以上に短くはできないものです。

その理由として、保障期間には「通院による費用」もカバーされるためです。つまり、入院・通院をカバーすることを考えると、入院期間中の費用だけが医療費ではないわけですので、通院期間についても踏まえたうえで、保障期間の決定をしていかなければ、公的な医療保険の医療保障でもカバーできなくなる恐れが出てきます。

公的な医療保険においては、保障期間は基本的に設けられていませんが、一部の保険給付については2年という時効があるため、実質的な保障期間は比較的短い期間となっているとも言えます。

また、民間の医療保険は免責期間(保険金の支払う要件が生じたとしても一定期間については保険金の支払いが行われない期間)がないものが多いため(あるとしても5日くらいのところが多いです。)、公的な医療保険よりも保険金の支払いが迅速に対応できるようになってきます。

(公的医療保険でカバーできなかった部分を民間の医療保険でカバーするという仕組み)

公的医療保険でカバーできるのは、全体の7割(一定の要件を満たした人は8割・9割)部分となるわけですので、残りの3割(一定の要件を満たした人は1割・2割)部分を民間の医療保険でカバーする形になります。

つまり、最初に7割負担部分を公的医療保険でカバーしたうえで、残り3割を民間医療保険がカバーする形で医療制度が成り立っているのだが、皆さんもご存知の通り、保険適用外の医療行為(10割負担となるもの)については、民間の医療保険でカバーしなければならないことになります。

そう考えると、単に医療保険に加入すれば、医療費に関する問題に対処できるわけではないため、必要以上に民間の医療保険に頼りすぎるわけにはいかない事情が保険会社にしてみればあるということになります。

以上のことを考えると、公的な医療保険が土台部分となっており、その上に民間の医療保険が不足部分を補うような形で存在するような仕組みであると考える方が自然な考え方だと思います。

【医療保険だけではカバーできない部分もあるということをお忘れなく】

当然ですが、医療保険は病気やけがをしてしまった場合の備えとして加入する保険ですが、病気やけがの治療のために要した費用はカバーされますが、その期間において得られるはずであった就労による収入はカバーすることはできません。(公的な医療保険では「傷病手当金」などで就労不能期間における所得保障を行われますが、最長で1年半までと短期間の保障期間とされています。)

そのため、医療保険の保障は「病気やけがの治療に要した費用」についてのカバーがメインとして行われる保証であることを忘れないようにしてください。あくまでも、治療等に要する費用は医療保険でカバーできても、所得補償はできないということです。(公的な医療保険と民間の医療保険の決定的な違いはこれかもしれません)

4.まとめ

医療保険は国等が行っている公的な医療保険と生命保険会社や損害保険会社が行っている民間の医療保険とに大別されます。さらに、民間の医療保険は第3分野の保険として、比較的新しいジャンルの保険といえます。

とはいえ、公的な医療保険でカバーできる範囲と民間の医療保険でカバーできる範囲には多少なりとずれが生じていますので、本当に必要な保障だけを上手に組み合わせて加入することが大切になります。

また、民間の医療保険については、それぞれの保険会社によって、保障期間が異なっていたり、保障内容、保険料など、今本当に強化しなければならない保障は何か?ということを念頭に入れたうえで、保険の見直しを行ったり、追加で医療保険に加入したりするといった対策を進めていくことが大切といえます。

医療保険でも、カバーできない分野の保障が必要になるケースも十分に考えられますので、それぞれのいいとこどりをしながら組み合わせていくことで、少しでも万全な備えをしよう。

コメントを残す