今注目されている個人年金保険を有効活用する方法を教えます

最近になって、老後2,000万円問題等によって、資産運用を真剣に考え始めた人が増えています。しかし、資産運用と一言でいっても様々な方法があり、どの方法で行うかによって、運用結果は様々な形になります。

資産運用の種類として比較的活用されているものの一つとして「個人年金保険」があります。今回は個人年金保険の仕組みについて解説し。どのようにすれば有効活用することが出来るのかについて解説していきます。

1.個人年金保険とは?

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個人年金保険は、保険料を支払い、その保険料をもとに資産運用を行い、その運用結果に基づいて、年金として受け取る金額が決まり、年金の受け取れる期間によって、確定年金・有期年金・終身年金の3つの種類に分かれます。

・確定年金

確定年金は、年金が支払われる時期をあらかじめ決めたうえで、年金が支給されるタイプです。あらかじめ支払時期が確定しているため、その被保険者が生きているか死亡しているかどうかに関係なく、年金が支給されます。つまり、死亡したら、その遺族の人に対して決められた期間については年金の支給が行われるということ。

・有期年金

有期年金は、年金の支払われる期間が決まっている年金です。確定年金と同じように支払われる時期が確定しているのですが、有期年金の場合は、被保険者が生きている限り支給されるが、死亡した時点で支給が停止されてしまうという点では、確定年金とは大きく異なります。

・終身年金

終身年金は、年金が支払われる期間が被保険者が死亡するまでの期間であれば、ずっと支給されるという年金です。そのため、長く生きている人であれば、もらえる年金額が多くなるメリットがありますが、年金受取時から早い段階で死亡してしまうと、受け取れる年金の総額が保険料総額を下回ってしまう恐れがあるというデメリットがあります。

個人年金保険は、運用する通貨が外貨で行われるタイプのものもあるため、為替リスクを取ることが出来る人であれば、外貨建ての上記のいずれかのタイプの保険商品を選ぶことも考える人もいます。


2.個人年金保険の種類

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個人年金保険には様々な種類があります。個人年金以外にもiDeCo、確定拠出年金(401k)や確定給付企業年金といったものも個人年金という枠組みの中に含まれてきます。個人年金保険は、老後の備えのための方法として最もポピュラーな対策といわれていますが、個人年金保険は種類が多く、仕組みが複雑なものもあります。

(1)個人年金保険

個人年金保険は、生命保険会社などが取り扱っている主力商品の一つで、預貯金と並んで老後の備えとして活用することが多い商品です。

個人年金保険は現役時代に保険料の払い込みを行い、保険料払い込み期間が終了してから、有期年金(5年や10年といった一定期間について年金が支払われるタイプ)や終身年金(被保険者が死亡するまでの間ずっと支払われるタイプ)といわれる形式で年金がしはらわれるようになります。

保険料払い込み期間において、被保険者が死亡してしまった場合は死亡保険金(契約してから死亡するまでの期間に払い込んできた保険料の総額を死亡給付金として支払われます。)が支払われるが、保険料払い込み期間が終わって、年金受け取りがスタートしてからは、有期年金タイプであるか、終身年金タイプであるかによって被保険者の死亡後の年金の取り扱いが変わってきます。

【有期年金の場合】

基本的に、残りの年金受取期間については、被保険者の遺族が年金の受給権を引き継ぐ形で年金受取期間の最後まで受け取ることが出来るものが多いですが、契約内容によっては、残りの期間の年金を一括で遺族が受け取ることが出来るものもあります。

【終身年金の場合】

終身年金タイプの場合は、保障期間(一般的には10年・15年といわれています。)が設けられており、その保障期間内の年金受取期間に支払われる年金を年金形式または一時金として一括して支払われます。

終身保険との違い

現役時代に保険料の払い込みが終わり、その後、死亡した場合は死亡保険金が、解約をした場合は解約返戻金を受け取ることが出来る形式の終身保険がありますが、「個人年金保険と終身保険は老後に備えるためにはどちらがメリットが大きいのか」といったことを考えていると、保険の営業マンからの提案の中でこれらの2種類の保険商品の提案が出てくることがあるかと思います。

【2つの商品の相違点】

(個人年金のメリット)

・貯蓄が苦手な人でも確実に貯蓄をすることが出来る

毎月決まった額を貯蓄することが苦手な人であれば、保険によって決まった金額を毎月必ず貯蓄することができる個人年金保険は魅力的に感じるところがあります。

・節税対策になる

個人年金保険の保険料は、最大で4万円の生命保険料控除を受けることが出来ます。そのため、貯蓄しながら節税をすることが出来るという点に魅力を感じる人が多いといえます。

(個人年金保険のデメリット)

・保険料払込期間中に解約してしまうと、保険料の支払総額よりも少ない額しかもらうことが出来なくなる可能性がある。

個人年金保険は解約のタイミングや時期によっては、運用実績が元本割れをするリスクがあります。そのため、解約のタイミングによっては支払保険料総額よりも少ない保険金しか受け取れなくなるというリスクがあります。

(終身保険のメリット)

・保険料は支払期限が有期である

保障期間が終身ですが、保険料の払込期間は有期となっているため、その保険料払込期間を過ぎると保険料は一切払わずに、死亡保障を受けることが出来ます。

・解約返戻金を受け取ることが出来る

終身保険は、解約返戻金があります。そのため、保険料払込期間中であっても一定の解約返戻金は出ますが、保険料払込総額よりは少ない金額になりますが、保険料払込期間を過ぎても、解約返戻金の金額は増え続けていくため、老後の資産対策に活用する人がいます。

(終身保険のデメリット)

・保険料が高い

終身保険は、他の保険に比べると貯蓄性がある分だけ保険料が割高であるため、早期解約をしてしまうと大きな損になることがあります。そのため、貯蓄性があるが保険料を抑えたいと考えている場合には、あまりお勧めできないものです。

(2)変額個人年金保険

変額個人年金保険は、払い込んだ保険料を保険会社が運用することで、将来受け取ることが出来るお金が変動する保険です。変額個人年金保険は、こうした特徴を活用して、老後の年金資金とすることも多い保険商品といえます。

(変額個人年金保険の特徴)

変額個人年金は、契約時点で保険料を払い込み、その払い込んだ保険料を原資として保険会社が運用を行い(この期間のことを「据え置き期間」といいます。)、満期日以降にその運用実績に基づいて、年金として受け取ることが出来ます。

そのため、据え置き期間中に被保険者が死亡してしまった場合。その時点の運用実績に応じて保険金が支払われるため、元本割れ(払い込んだ保険料を下回るること)をするリスクもあります。

(個人年金保険との違い)

変額個人年金は、個人型年金と比べて投資の性質が強く、運用実績によっては、一時払い保険料を上回る金額になることもあります。また、年金の受け取りのタイプとしては「終身」であるため、一定期間(5年や10年とされていることが多い)の保障期間があります。

個人年金保険の場合は、運用方法としてはあらかじめ契約時に決定していた予定利率をもとに運用を行っていくため、変額個人年金に比べるとリスクは低いものとなります。また、運用期間中に死亡してしまった場合であっても、変額個人年金の場合と異なり、死亡保障の最低保障があります。

(3)外貨建個人年金保険・外貨建変額年金保険

外貨建個人年金保険は、運用を外貨で行うタイプの個人年金保険です。基本的な内容については個人年金保険と変わらないのですが、運用を外貨(米ドルやユーロなど)で行っているため、一般的な個人年金保険に比べると、運用実績による資産の額の変動の幅が大きいといえます。

当然、通貨が日本円ではないため「為替リスク」が当然に発生することにも注意が必要といえます。メリットとしては、運用を外貨建ての資産の組み入れ比率が高いため、うまくいくとかなり大きな運用収益が見込める点です。デメリットとしては、先ほども言いましたように「為替リスク」が伴う点です。当然ですが、外貨で運用を行うわけですから、元本割れを起こすリスクも日本円の個人年金保険に比べると大きくなります。この点については、変額年金保険の場合であっても同様のことが言えます。

(4)確定拠出年金(401k)

確定拠出年金は401kとも呼ばれているものです。確定拠出年金とは「毎月掛け金を拠出し、その拠出された掛け金の運用方法を自らが決定し、その運用結果に基づいて受け取る年金額が変わる年金制度」のことです。

近年では、第3の年金として注目を浴びるようになってきたこともあり、この確定拠出年金を老後の資産運用の方法の一つに考える人が増えてきましたが、仕組みが複雑でわかりにくいところがありますので、わかりやすく解説していきます。

【加入できる人】

確定拠出年金に加入できる人は、以前は会社員の人や自営業者などの人が対象でしたが、現在では加入できる対象範囲は公務員や専業主婦といった人であっても加入できるようになりました。

【確定拠出年金の種類】

確定拠出年金には「個人型」と「企業型」の2種類のタイプがあり、それぞれのタイプごとに特徴が大きく異なります。

(個人型:iDeCo)

個人型は、一般の人が確定拠出年金制度として利用しているタイプになります。個人型は、加入要件は特になく、入りたい人が所定の手続きを行うことで入ることが出来るものとなっています。

掛金は、基本的に自分で負担することになりますが、口座振替により掛金を拠出する方法が一般的ですが、企業が確定拠出年金の個人型を行っている場合において、給与からの天引きによって拠出するといった方法も取られているところもあります。

実際に運用をする金融商品は自らが選択して行うこととされていますが、一般の人ががどの金融資産で運用することが最も効率的なのかということはわからないことがほとんどです。お勧めとしては「元本割れをしないような金融商品」を選択することが無難だと思います。ちなみに、選択する金融商品は3種類以上提示され、その中から運用方法を選択するのですが、この中で1つ以上は元本を保証するものでなければならないと法令で定められていますので、迷ったときは、堅実に増やすことが出来る金融商品を選択するといいでしょう。

(企業型:企業型DC)

企業型は、会社が独自に行っている制度で、退職金や福利厚生の一環として、この確定拠出年金を活用してる企業も増えています。

企業型の特徴としては、加入できる者がその企業に勤めている人に限定されていることが多く、掛金の拠出は基本的には企業が全額拠出することになりますが、平成28年1月からは従業員と企業が最大で折半拠出(これを「マッチング拠出」といいます。)をすることが出来るようになりました。また、運用方法については、会社が独自の制度を定めて運用を行うことになります。

(5)確定給付企業年金(DB)

確定給付企業年金は、確定拠出年金とは異なり「あらかじめ将来の年金額の支給を約束されている」という点が大きな違いといえます。確定給付企業年金には、「規約型」と「基金型」の2種類から構成されています、。

(規約型)

規約型は、会社と社員との間で定めた退職金規定やルールに基づき、会社が保険会社や信託会社などと提携して資産運用を行う制度です。規約型は資産運用は生命保険や信託会社などが行いますが、そもそもお運営主体は事業主となります。そのため、会社の規模が比較的小さいところで行われることが多く、設立をするために必要な人数の制限がないため、退職金としても活用されることが多いです。

(基金型)

基金型は、会社とは別に企業年金基金という別の法人を設立して、そこで集めた資金を運用し、年金給付などを行う仕組みとなります。企業年金基金という別法人を設立して、独自に運用管理していく制度であるため、運用等に関する関与の割合は規約型に比べると大きいことも特徴といえます。

3.老後の資金対策として個人年金保険が注目される理由

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老後の資金対策として個人年金保険が注目される理由としては、「老後を迎える前に死亡してしまっても死亡保障が出る」「節税対策、相続対策などの様々な問題に対応することが出来る」などの理由があげられます。

個人年金保険は生命保険ですので、自己の資産運用のために加入することも考えられますが、実際には、自身の死亡に関するリスクに対応しつつ、将来の年金の増額を行うことで、一生涯を安定的なものにすることを考えている人などが個人年金保険を活用することが増えてきています。

死亡保障がある

個人年金保険は、株式投資や債券投資、FXなどのような投機性が強い資産運用方法に比べると、比較的リスクは低く抑えることが出来るものが多いといえます。そして、生命保険商品の一つですので、運用途中において被保険者が死亡してしまった場合であっても、死亡保障がついている点で他の資産運用方法と比べて大きく異なる点です。

・税金対策、相続対策など幅広い問題に対して対処する方法がある

個人年金保険は、保険料が保険料控除として所得控除を受けることが出来るといった「節税効果」だけでなく、死亡したときに遺族に対して保険金を残すことが出来る「相続対策」などのように、幅広い問題においても対処することが出来るため、個人年金保険を活用することを選択する人が増えています。

・様々なタイプの商品が出てきている

近年の個人年金保険は、資産の運用方法や保障期間などが様々なものが増えてきており、また、年代別で人気の高い商品は異なっています。保険で資産運用をするという考え方が、今まではそこまで多くなかったことを考えると、保険を投資商品としての位置づけにすることで、老後の生活資金をどのように工面するかという点において、選択肢の幅が広がっているとも言えます。

4.まとめ

老後2000万円問題に端を発して、老後の生活資金をどのように用意していくべきなのか?という部分のフォーカスが当たるようになってきました。単純に65歳以降の生活費だけの問題ではなく、年金制度自体にも大きな変化が起こり始めているとも言えます。

当然ですが、現状の精度が将来的に続いていることは考えにくいものです。そのため、常に新しい方法で対策を考えていく必要があります。そして、定年間近の時期になってから、老後の生活資金をどうすればよいかと慌てるのではなく、ある程度余裕を持った時期(おおむね30代後半くらい以降が望ましい)から、少しづつ準備をしていくことが重要になってきます。

特に、今の個人年金保険は、性格が商品ごとに様々あるため、リスクをどこまで取ることが出来るのか?といった部分をよく考えたうえで、老後の生活資金対策を考えていくことが望ましいといえます。

岡崎 隆宏
SRFP隆宏
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社会保険労務士・CFP認定者・1級FP技能士

外資系生保会社で6年くらい営業として実績を積み、その中でFP資格を取得し、その時の経験を活かし、お金に関する執筆を始める。

日本FP協会愛知支部の役員幹事として6年、FPとして一般消費者向けのセミナーの講師や個別相談会の相談員などを担当。得意分野は「公的年金・個人年金」「社会保険制度」「出産・育児関係」等。

現在は、社労士・FPとして、労働や年金等のお金についての記事の執筆や資格試験の講師、セミナー講師等を行っている。

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