意外と知らない「終身保険」のメリット・デメリットを解説!

生命保険に加入している人は全国で約90%にもなるといわれます。加入している保険の内容を見てみると「死亡保障」「死亡保障+医療保険」といった組み合わせが多いと思われます。

死亡保障を目的として保険として代表的なものとして、「定期保険」「養老保険」「終身保険」の3つがあります。定期保険は、保険料が安いが掛け捨ての保険であり、養老保険は保険料は高いが、満期日になると満期返戻金として、今まで支払ってきた保険料がかえってくる仕組みの保険であり、終身保険は保障期間が一生涯続き、なおかつ、貯蓄性があるタイプの保険である。

どの保険についてもメリット・デメリットがあるため、必要な保障内容に応じてそれぞれの保険を組み合わせていくことで様々なリスクをカバーするようにしています。

今回は「終身保険」について、どのような特徴があり、どのような場合に活用することが出来るかなどについて詳しく解説していきます。

1.終身保険とは?

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終身保険は、死亡保険の3大保険の一つで、死亡した場合ン死亡保障が出ることはもちろんのこと、保険料払込期間を過ぎても、解約返戻金が増えていくため、貯蓄性資産としての特徴もある保険商品といえます。

終身保険の特徴

・保障が一生涯である

終身保険は定期保険や養老保険などと異なり、死亡保障が一生涯続きます。

・解約返戻金がある

終身保険には、保険期間の途中で解約をした場合であっても、解約返戻金があるのが特徴です。解約返戻金は、まとまったお金が急に必要になったときや保障が必要亡くなった場合に解約をすることで支払われますが、保険の契約内容によっては、払込期間終了前の解約であれば、解約返戻金が払込保険料の総額を下回り、払込期間終了後であれば、解約返戻金が払込保険料の総額を上回るものことが多いです。

・保険料の払込期間を設定することが出来る

終身保険は、保険料の払込期間を決めることが出来ます。契約内容によって、一生涯払い続ける「終身払込タイプ」と期間限定で保険料払込を行う「有期払込タイプ」とに分かれます。終身保険はその活用方法に応じて、有期払込タイプのものにすることが多いですが、保険会社の保険商品の内容によって、終身払込タイプのものもあります。

終身保険の4つのタイプ

(1)低解約返戻金型終身保険

低解約返戻金型終身保険は、現状出ている終身保険の中心的なタイプのものといえます。終身保険としての特徴としては、解約返戻金の割合が約70%と戻ってくるお金が少なくなっているため、月々の保険料は従来のタイプの終身保険に比べると安くなっているところも特徴といえます。

そのため、短期払いにした場合、保険料払込期間中に解約したときの解約返戻金は少なくなりますが、保険料払込期間が満了すると支払った保険料を上回る解約返戻金を受け取ることができるタイプが一般的です。そのため、短期間で解約する心配がない人であれば、メリットが大きい保険とされています。

低解約返戻金型終身保険は、保険料を安く抑えつつも長期的な保障を確保したいと考えている人にお勧めのタイプの終身保険です。

(2)積立利率変動型終身保険

積立利率変動型終身保険は、市場金利に応じて定期的に積立利率が変動するタイプの終身保険です。定期的に積立利率が変動するため、解約返戻金や死亡保険金が変動するという特徴があります。

そのため、このタイプの保険商品を取り扱っている保険会社としては、将来的に支払うための保険金を保険料から一部積み立てており、市場金利の動向によって変動する積立利率の動きに備えることが出来るようにしています。これにより、デフレやインフレといった景気動向の変化に強く、積立利率の最低保証を設定することが出来る仕組みになっています。

簡単に言うと、被保険者が支払っている保険料の一部を積立金として積み立てていくことで、インフレやデフレといった景気変動が起きた場合であっても、積立利率の変動リスクに対処することが出来るため、積立利率に最低利率を設けることが出来るということです。

(3)変額保険(終身型)

変額保険は、契約した保険会社の運用実績に応じて解約返戻金が変化する保険です。変額個人年金保険や個人年金保険と同じように、運用実績に応じて保険金額や解約返戻金が変動するタイプなので、

変額保険の場合、保険会社は保険料を株や債券などの金融商品で運用し、利益が出た分は解約返戻金や死亡保険金に上乗します。運用次第で、保険金や解約返戻金が大きくなることもあれば小さくなることもあります。死亡保険金には最低保証はありますが、解約返戻金には最低保証がない点には注意が必要となります。

(4)外貨建て保険

外貨建て保険とは、加入者が支払った保険料を保険会社が主に米ドル・豪ドル・ユーロなどの外貨で運用をおこない積み立てていく保険です。

積み立てられたお金は、解約返戻金や死亡保険金として受け取ることができます。現在、ゼロ金利政策の影響などもあり、一般的に外貨のほうが日本円より金利が高くなっています。そのため、外貨建て保険のほうが運用効率が良く解約返戻金を多く受け取れるので、円建ての終身保険と比べて貯蓄性が高いケースも見られるようです。

ただし、外貨建て保険の場合、為替相場の変動などの影響を受けてガクッと解約返戻金が少なくなることもありえます。このような「為替リスク」については、十分な注意を払いましょう。

2.終身保険のメリットとは?

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(1)死亡保障が一生涯続く

先ほども、終身保険の特徴として「死亡保障が一生涯続く」ということを説明しましたが、実際には「105歳」までが保障の対象として保険会社は考えています。これは、現在の日本の平均寿命を考えると「男性:81.25歳」「女性:87.32歳」【(参照):厚生労働省公表の簡易生命表より】となっており、充分カバーすることが出来るものと考えられます。ちなみに、終身保険の保障年齢を「105歳」と設定しているのは、厚生労働省が公表している簡易生命表が「105歳」を上限としているためです。

(2)解約返戻金で支払った保険料をカバーすることが出来る

解約返戻金があるのは終身保険の特徴の一つですが、具体的にはどれくらいもらえるかは、以下の例を確認しながら解説していきます。

【例】保険料払込期間:60歳まで(保険加入時年齢:35歳)、保険金額:500万円、保険料:月3万円、解約返戻率(110%)である場合

保険料払込総額:3万円×12月×25年=900万円

解約返戻金:900万円×110%=990万円

差額:990万円ー900万円=90万円(利益)

解約返戻金の返戻率は「105~120%」とされており、保険料払込期間が満了したころであれば、おおよそ先ほどの解約返戻率になってくるため、今まで支払ってきた保険料を解約返戻金でカバーすることは可能になるということになります。

(3)保険料が払い込みが終わるまで変わらない

終身保険の保険料は、定期保険と比べると高く設定されていますが、定期保険と大きく異なる点としては「保険料が増額されることがない」ということです。つまり、定期保険のように、保障期間が満了した時点で保険契約の更新を行うといったことがないため、保険料の見直しが行われないということです。その結果、定期保険を更新し続けていく形で支払った保険料の総額と終身保険に加入してから保険料払込済期間の保険料合計と比較すると、最終的には「終身保険の方が少なくなる」ということになるわけです。

さらに、終身保険料には「解約返戻金」があるため、実質的な負担は最終的には0になるどころか、プラスになる可能性もあるという点で大きなメリットといえます。

3.終身保険のデメリットとは?

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(1)月々の保険料が高い

終身保険は、定期保険に比べると保険料が高いということは否めません。契約をした頃というのは、大体20~30代の世帯であることが多いため、経済的な負担が重く感じるということも多々ありえます。

たしかに、保障内容が一生涯であるため、長期的な安心感を求めるうえでは的確な保険ではありますが、その時点の家計の収支などから見ても、保険料の負担は意外なまでに大きく、重くのしかかることもあるといえます。

(2)元本割れのリスクがある

元本割れのリスクがあるというのは、解約返戻金が保険料の支払総額を上回るためには、保険料支払い期間が過ぎたあたりからでなければ上回る可能性が少ないということです。確かに、保険内容の見直しにおいて解約をしてしまった場合、その解約返戻金として帰ってくる金額は、保険料払込総額の約70%くらいといわれているため、本当に必要な見直しをしない限りは、不用意に解約を選択することはしないことが最善ではないかとも言えます。

4.終身保険の有効活用法

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終身保険の特徴の一つである「貯蓄性がある」ということを有効活用して、資産形成を行うことが出来ます。終身保険は、保険料払込が終わるころには解約返戻金が払込保険料の総額を上回ってくることが考えられるため、その解約返戻金を活用して老後資金に充てることも可能です。また、解約返戻金が出るということを活用して、全部解約するのではなく、一部だけ解約をして残りの部分を死亡保障を続けていくことも可能です。

終身保険を有効活用する方法として「老後資金対策」「相続対策」「貯蓄対策」という面から具体的にはどういった部分に注意をして活用していくべきかについてみてみましょう。

【老後資金対策】

終身保険は、60歳から65歳を保険料の払い込み満了期間とすることが多いため、定年退職後の老後の生活資金として活用することを考えていることが多いです。これは比較的考えられる活用方法ではないかと思われます。

老後の生活資金として活用を考えている場合については、解約返戻金がいくらくらいになっているかを重視するだけでなく、保険料払込が終わってからの期間をどれくらい据え置いてから解約返戻金を受け取るようにするかについても併せて考えておくことが大切になります。

とはいえ、このころになると病気などによって多額の費用が発生することも十分に考えられますので、解約返戻金を「死亡保障」の分と「万一に備える分」とに分けて解約返戻金の活用を行うことを念頭に考えていくことも視野に入れておくといいでしょう。

理由としては、医療保険や社会保険で賄える範囲であれば、医療保険や社会保険でカバーすればよいのですが、実際のところそれ以上の医療費を支払う可能性が高くなり、また、1度保険金の支払いが終わってしまうと、再発した場合において、一定の場合以外では支払われないということも考えられるための備えとすることが考えられるためです。

【相続対策】

生命保険の死亡保険金は相続税の課税の対象となてしまいますが、「法定相続人×500万円」の非課税枠が設けられています。そのため、遺族に対して財産を残す場合において、この非課税枠の範囲内の相続であれば、基本的には相続税は課税されません。

また、相続税の計算上「葬式費用等」については、課税財産額から控除することが出来るため、実質的にはこの葬式費用等のために終身保険の死亡保障を用意することも考えられます。

ちなみに、葬式費用等の相場としては、平均で約200万円といわれていますので、この葬儀費用等を賄うためだけに保険に加入するという方法も考えられますが、終身保険は「部分解約」をすることが出来るので、終身保険の死亡保障の一部を部分解約することで、葬儀費用等の備えとしてあらかじめ準備することも可能です。この場合の解約返戻金は「相続税」ではなく「所得税」の課税対象となるため、解約する金額をいくらにするかについては、所得税等が控除されるということを踏まえたうえで、解約返戻金を受け取る用意をする必要があるといえます。

【貯蓄対策】

終身保険の有効活用を考えていくうえでは、長期的な視点から計画を立てていくことが重要であるといえます。生命保険は、他の金融商品とは異なり「長期的な期間の万一に対する備え」という趣旨が本来の目的ですので、貯蓄目的で加入しているわけではないということです。そのため、生命保険を他の投資商品と同じような感覚で考えていると、思わぬところで損失が発生することがあります。

生命保険を貯蓄性商品として考えていくうえで必要なことは「短期で解約してしまうと、損失が発生する可能性が高い」という点を踏まえて貯蓄を考えていく必要があるということです。

5年~10年といった比較的短い期間での貯蓄を考えているのであれば、終身保険ではなく個人年金保険を活用していくことをお勧めします。あくまでも、終身保険の趣旨は死亡保障がメインですから、20~30年といった長期的な保障をしながら貯蓄を考えていける人であれば、終身保険で貯蓄計画を考えていくことが望ましいと考えられます。

当然ですが、生命保険は若いころに加入しておく方が、毎月の保険料が安いため負担が少なく済みますが、年齢が高くなるにつれて、加入するまでのハードルが上がってきたり、毎月の保険料が割高になることもある点に注意は必要です。

とはいえ、終身保険は毎月支払う保険料の中から解約返戻金の積み立てが行われているため、普段から貯蓄することが苦手な人や、銀行に預けるよりも高い金利をもって貯蓄していきたいと考えている人からすれば、魅力的な商品であることは言うまでもないところかと思います。

5.まとめ

終身保険は、一生涯保障が続く生命保険のタイプです。また、解約返戻金が保険料払込総額を上回る可能性があるという貯蓄性を併せ持っているため、将来的な備えと万一の備えを両立できることが出来る生命保険商品として人気が高いです。

しかし、毎月の保険料は定期保険と比べると割高になってしまうため、家計を圧迫する恐れがあることや、本当に必要な保障額を考えずに、保険の営業マンなどに言われるがままに、保障金額を決定してしまって、後々になって保障金額が多すぎたり、不足したりするといったリスクがあることも忘れないようにしなければなりません。

確かに、終身保険は保障期間が充実しており、貯蓄性があるという意味では魅力的なものですが、最近の生命保険の契約内容の特徴として、終身保険に定期保険の特約を付加した形の契約が多くなっており、お客さんがこの定期保険特約部分を含めた金額をもって、終身保険の保障金額であると勘違いするケースが多く見受けられています。

そのため、保険契約を締結する際には「必ず保障内容の提案書の内容を自身の目で確認すること」が大切です。そうしないと、ある一定の年齢を過ぎたら、「死亡保障の金額が急に少なくなってしまった」のはどういうことなんだ?といったトラブルにもなりかねません。

このようなトラブルを未然に防ぐためにも、死亡保険の見直しをする際に「どの保険タイプで、保障額はいくらなのか?」を明確にできるようにしておくことで、生命保険をより有効に活用することが出来るようになると考えています。

岡崎 隆宏
SRFP隆宏
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社会保険労務士・CFP認定者・1級FP技能士

外資系生保会社で6年くらい営業として実績を積み、その中でFP資格を取得し、その時の経験を活かし、お金に関する執筆を始める。

日本FP協会愛知支部の役員幹事として6年、FPとして一般消費者向けのセミナーの講師や個別相談会の相談員などを担当。得意分野は「公的年金・個人年金」「社会保険制度」「出産・育児関係」等。

現在は、社労士・FPとして、労働や年金等のお金についての記事の執筆や資格試験の講師、セミナー講師等を行っている。

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