20代から個人年金を始めるメリット

そもそも個人年金保険とは?

個人年金保険とは、早い時期から毎月一定額の保険料を払い続けることで、契約時に定めた年齢(一般的には60歳〜65歳)に達した時点から一定期間または一生涯にわたって年金が受け取れる貯蓄型の保険です。万が一払込期間中に保険をかけられている人(つまり年金受取人)が亡くなった場合、払い済みの保険料は遺族に死亡給付金として支払われます。

個人年金保険は、基本的に積み立てた保険料よりも、受け取る年金額の方が多くなる商品なので、なにも考えずにお金を銀行などで貯めておくよりも、収入に余裕のある若い時期から積み立てることで楽に老後資金の準備ができます。

最近は年金がもらえないのではないかという声が増え、不安が高まる中、個人で老後の貯蓄を準備する必要から、個人年金保険の需要は高まっています。

20代でも、老後に向けてしっかり準備を考えている方も増えてきており、個人年金保険が必要なのか気になる方も多いのではないでしょうか。

今回は、20代から個人年金保険の基本と加入するメリット・デメリットを解説し、さらに個人年金保険だけで視野が狭くなってしまわないよう、その他の選択肢も合わせてご紹介いたします。

個人年金保険の種類と、それぞれの特徴

個人年金保険は年金の受け取り期間によって、確定年金・有期年金・終身年金の3つに分けることができます。もしくは、契約時に年金額が確定している定額年金と、運用成果や為替の変動次第で年金額が変わる変額年金に分けることもできます。

確定年金

確定年金とは、文字通り、契約時に定めた一定期間、年金が受け取れる個人年金です。一定期間は被保険者の生死に関係なく受け取れますので、年金受取期間中に被保険者が死亡している場合は、残存期間分は年金か一時金で遺族に保険金が支払われます。なお、年金受取期間前に被保険者が死亡した場合は、それまでに払い込んだ保険料相当額が死亡保険金として支払われるのが一般的です。

有期年金

有期年金とは、年金の払い込み期間が10年や15年などと決められており、その期間に保険金受取人が生存している場合にのみ年金が支払われるものです。

有期年金と確定年金は、支払い期間が決まっていますが、有期年金は、被保険者が死亡すると年金がストップするのに対し、確定年金の場合は、被保険者が死亡しても引き続き年金が支払われるか、死亡時に残りの期間の保険金をまとめて受け取る事ができるようになっています。

有期年金や終身年金の場合、年金の支払が開始された直後に死亡すると保険料の大部分が掛け捨てになってしまうリスクがあります。

終身年金

終身年金は、その名の通り身体が終わるまで、つまり死ぬまで受け取ることができる年金です。

確定年金は、一定期間、もしくは一定の金額しか受け取ることができません。老後資金を補うという意味では、生きている間保証される終身年金はかなり大きな魅力があると言えます。死ぬまでずっと受け取れるというのは、助かりますね。しかし、逆に言えば死んでしまえばそこで終わり、ということでもあります。

終身年金は死ぬまで受け取ることが可能なので、受け取り期間が長くなれば払込保険料よりもかなり多くの金額を受け取ることができる可能性があります。

毎月一定額が保証され、それが死ぬまで続くこと、そしてただ貯金をして微々たる金利を得るよりお得になる可能性があることは、終身年金のメリットだと言えるでしょう

定額年金・変額年金

次に、年金の運用方法による分類をみていきましょう。
まず、契約時の予定利率により積立運用を行うのが、定額年金です。定額年金は、運用の成果に関わらず、契約時に将来の受取年金額が確定します。

定額年金は、確実ではありますが、運用環境によっては予定利率が低いこともあります。運用成果が悪くてもあまり損をしないよう通常より利率を低く設定している場合があるからです。一方、リスクはありますが、価格変動幅の大きい金融商品などで年金原資を運用し、運用効果を高めることを目的とする年金商品もあります。

それを変額年金と呼びます。変額年金は、年金額が運用実績によって変動します。株式や投資信託、債券など金融商品での運用実績に応じて将来の年金額が大きくなる可能性もありますが、その逆の可能性もあり、将来の受取年金総額が払込保険料総額を下回る場合もあるので注意が必要です。ハイリスクハイリターンな保険商品と言えます。

個人年金に加入するメリット

貯金よりも高い利率でお金を積み立てられる

日本の金利は非常に低くなっており、マイナス金利政策の取り組みからも分かるように、徹底した金融緩和によって、これからも金利が低い状態が続きそうです。この状態で銀行預金に貯金をしていても、ほとんどお金は増えない状態です。

しかし、基本的に個人年金保険は支払った保険料よりも多くの年金を受け取ることができますし、その割合も20代など若い頃から加入することで高めることができます。

せっかく手元にお金があるのであれば、全て銀行預金にするのではなく、一部を積み立てておいて、お得に老後資金を貯めるのがおすすめです。

個人年金保険控除により節税メリットがある

個人年金保険には、税制適格特約というものがあり、この特約を付加した場合には個人年金保険料控除を受けることができます。これは一般生命保険料控除とは別枠で受けることができる所得控除で、所得税・住民税の節税になります。

そもそも所得税と住民税は、課税所得に対して税率をかけて計算するもので、所得控除はその課税所得を減らすことができる制度のことです。

つまり、課税所得が減るので、課税所得に対して税率をかける所得税と住民税も減る、という仕組みです。そのため、税率が高い高所得者の方ほど、その節税効果は大きくなります。

貯金が苦手な人でも強制的に貯めることができる

普通預金など、いつでも引き出せてしまう貯金は、手をつけないつもりでも、つい引き出してしまいますよね。それで本当は節約できたお金を使ってしまうということもあるかと思います。

個人年金保険の保険料の払込方法は、口座を指定して、そこから毎月自動で引き落としが基本になるので、半強制的に老後資金を積み立てることができます。また、途中解約する場合は積み立てた金額よりも少ない金額の受け取りになる可能性があるので、解約を思いとどまりやすくなります。

そのため、コツコツと自分で貯金するのが苦手な方や、家計をこまめに管理するのが嫌いな方は、個人年金保険に加入することで、勝手に老後資金が貯まっていく状態を作ることができるのでおすすめです。

個人年金保険のデメリット

相場変動リスク

個人年金保険は、加入した時点で支払い保険料、利率が確定します。つまり、その時点で老後に受け取る金額も確定するということです。

しかし、将来物価が上昇し、お金の価値が相対的に低くなる可能性があります。例をあげると、今は1,000円で買えるものも、10年後にインフレによって2,000円出さないと買えなくなった場合、物価が上昇して、相対的にお金の価値が減っていることになります。

この場合、1,000円を積み立てて、10年後に1,200円で受け取っても、パンは買えなくなってしまい、価値は目減りしていることになります。これがインフレリスクです。

20代から個人年金保険に加入するということは、少なくとも30年以上は保険料を払うことになりますが、その間も物価は当然変動します。もし受け取る頃にインフレしていた場合、老後の貯蓄のつもりで加入した個人年金保険の受取額が、相対的に減少しているかもしれません。

積み立て始めたら途中でやめるのが難しい

個人年金保険は中途解約すると、保険料払込累計額よりも解約金の受け取りの方が少なくなる、つまり元本割れの可能性があります。そのため、個人年金保険は基本的に中途解約を想定せずに加入すべき、流動性が低い商品です。

しかし、突然事故にあってお金が必要になったり、急に重い病気にかかって医療費がかさむ、あるいは働けなくなってしまって収入が減少する、などのリスクがあります。その場合、もしすぐに引き出し可能な資産を持っていなければ、元本割れを覚悟して個人年金保険を解約する必要が出てきます。

そのため、個人年金保険はあくまで老後の積み立て資金として考え、老後までの様々なリスクや可能性については、生命保険や医療保険、がん保険、就業不能保険や学資保険などで備えておくことが大切です。また、流動性の高い資産として、銀行預金も一定の割合を持っておくことが大切です。

20代のうちから個人年金に加入している人は少数

生命保険文化センターの「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」を参照したところ、民間保険の世帯加入率について世帯主年齢別にみると、50〜54歳で最も高く28.2%となっています。前回の27年度調査と比較すると、29歳以下で9.0ポイント増加しています

ですが実際のところ、20代のうちどのくらいの割合が個人年金保険に加入しているかというと、わずか15.3%です。

将来年金が少なくなるかもしれない、またはもらえないかもしれない、という漠然とした不安から老後資金の準備を考え、保険に加入する人は増えていますが、まだ15.3%しか加入していないんですね。

そこで、全体の割合と各年代別加入割合を見てみると、

平成27年

平成30年

全 体

18.7

19.6

29歳以下

6.3

15.3

30~34歳

13.3

17.7

35~39歳

14.5

17.7

40~44歳

18.8

20.6

45~49歳

23.4

26.3

50~54歳

24.3

28.2

55~59歳

26.2

25.3

60~64歳

25.3

23.5

65~69歳

21.8

19.5

表から分かることは、若い世代ほど加入率が低く、老後に近づくほど加入率が高くなるということです。また、年々加入率は増加していますが、55歳を超えたあたりからは、加入率が伸び悩んでいます。

若い世代の加入率は低いですが、だからと言って、20代から個人年金が必要ないというわけではありません。むしろ、若いうちから加入・検討することは非常に重要です。

20代の個人年金保険の加入率はここ数年で約4倍になっています。

つまり、将来年金がもらえないかもしれない、という不安は多くの若者が抱いており、個人で老後へ備えることの大切さに気が付いた層から、個人年金保険への加入が進んでいるということが読み取れます。

昨今の年金不安のさらなる増大を見ると、このトレンドは続いていくと考えられ、ますます20代の加入率は増えていくと予想されます。

今は15%と低い加入率の20代ですが、年齢を重ねるに連れて、老後が現実的になっていきます。親の老後を見たり、介護が必要になるタイミングで、自分の老後はどうしようかと考えはじめる方も多いと思われます。そうして自分の老後の準備を考える中で、個人年金保険を検討し、加入される方が多くなるので、加入率も老後が近くなるほど高くなっているのです。メリットが小さいから20代の加入率が低いわけではないということですね。

個人年金保険以外の選択肢

NISA・積み立てNISAで非課税投資

NISA・積み立てNISAは、投資信託の少額投資に対して運用益が非課税となる制度のことで、証券会社で口座を開設し、毎月少額を積み立てることで、長期の資産形成を目指す積立方法になっています。

NISA・つみたてNISAの魅力は、一定額まで非課税であることと、その流動性の高さにあります。

個人年金保険やiDeCoが途中解約すると損失になる、あるいはできないのに対し、NISA・積み立てNISAはいつでも引き出しが可能な上、積み立て期間も最長20年間と短くなっています。そのため、銀行に預金するくらいなら、とりあえずNISA・積み立てNISAで投資しておいて、万が一必要になったら引き出す、ということも可能です。

また、個人年金保険に比べて平均的な利率が高いので、うまく投資商品を選べれば大きく増やすことが可能です。

ただし、これもiDeCo同様、利率が高い分リスクも大きく、自分で投資商品を選ばなくてはいけないので、知識・運用商品に関する事前知識が欠かせません。また、当然元本割れの可能性もあるので、個人年金保険とリスクのバランスを考えながら、ご自分に合った方法を選んでみたください。

iDeCo(個人型確定拠出年金)で賢く節税

iDeCoは、自分で運用方法を選択し、毎月一定額の拠出をすることで、老後に掛け金と運用益の合計の給付を受けることができる制度です。

iDeCoのメリットは何と言っても節税効果で、iDeCoは掛金全額が所得控除になります。個人年金保険料控除も所得控除を受けられますが、全額控除になるのはiDeCoだけです。

また、平均的な利率もiDeCoの方が個人年金保険よりも高く、長期的に運用がうまく行けば、大きな運用益を受け取ることができます。60歳まで拠出できるので、20代のうちから加入することで大きなリターンを得ることができます。

ただし、iDeCoもまた注意が必要で運用商品は自分で選ばなくてはならないため、知識や運用商品に関する勉強が必須になります。また、リターンが高い分、リスクも大きい商品なので、当然元本割れするケースもあり、一定のリスクを覚悟した上で慎重に運用商品を選ぶ必要があります。

一方で個人年金保険は利率も受取額も確定しているので、元本割れの心配をすることもなく、老後の資産を準備することができます。どちらがいいのか、自分のリスクに対する考え方と相談して決めると良いでしょう。

積み立て定期

こつこつ毎月一定額積み立てる貯蓄方法として真っ先に思い浮かぶのは、積立定期預金がでしょう。積立期間を6ヵ月・1年・3年・5年・10年などから選択でき、積立金額も自分で好きに設定でき、途中解約も可能です。利息は中途解約利率が適用されるので少なくなってしまいますが、個人年金保険とは違って元本は保証されています。

まとめ

公的年金への不安が高まり、平均寿命も伸びて老後が伸びることが見えている現在、老後資金の準備を若いうちから始めることが非常に大切です。

ひと昔前であれば、高い金利のおかげで貯蓄性の保険は非常に魅力的な商品でした。しかし、この低金利時代においては、大きなリターンを期待することは、難しくなってきています。半ば強制的に貯蓄ができて、資産運用を機関投資家に任せたいタイプの人は個人年金保険をおすすめしたいですが、いずれにしても他の商品とじっくり比較した上で選択した方がいいと思います。

個人年金保険は20代から入ることで、利回りに大きな差が出ることを説明しましたが、加入率が伸びていることからも分かる通り、気がつくのが早い方はもうすでに準備を始めています。
今はまだ若いから老後のことはあとで考えよう、と問題を後回しにするのではなく、出来るだけ早く対策したいですね。
個人年金保険だけでなく、iDeCoやNISA・積み立てNISAなど、老後資金を貯める方法はいろいろありますので自分に合った方法でコツコツ続けることが重要です。
白井 貴也
白井 貴也
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1996年生まれ、神奈川県在住。金融業界歴6年、ファイナンシャルプランニング技能士。独立系FPの立場からの中立な意見で、皆様の役に立つ情報を伝えていきます。

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