利用限度額は上がるもの?知っておきたいポイントとおすすめカードを解説

「経費の支払いが高額で法人カードの利用限度額が足りない」という状況に直面する法人代表者や個人事業主の方も多いのではないでしょうか。

また、法人カードを導入するにあたり、利用限度額はできるだけ多く設定してほしいと考えるのも一般的な考えかと思います。

法人カードの場合、個人向けのクレジットカードとは異なり、法人カードの利用限度額は事業を継続できるかどうかに関わることもあるほどです。だからこそ、利用限度額をしっかりと比較してから法人カードを作ることをおすすめします。

今回は法人カードの利用限度額について解説し、利用限度額の上げ方やビジネス利用に十分な利用限度額の確保できる法人カードについてまとめてみました。

記事を読むことで適した法人カードの利用限度額を知り、選びやすくなるでしょう。

法人カードの利用限度額とは

カードの利用限度額とは4種類の枠に分かれていて、利用できる最高金額をあらわす数字です。

まずは、それぞれの枠についてチェックしてみましょう。

総枠:すべての枠を合計した利用限度額
ショッピング枠:ショッピングの支払いに使える利用限度額
割賦枠:ショッピング枠の中でリボ払いや分割払いに使える利用限度額
キャッシング枠:現金を借りられるキャッシングの上限金額

なお、総枠とはすべての枠を合算した金額ではありません。総枠の中にショッピング枠、ショッピング枠、割賦枠のすべてが含まれます。

利用限度額の誤解しやすいポイント

クレジットカードを利用した場合、引き落とし日まで最長2ヶ月の期間があります。そのため、月が変わっても利用金額が引き落とされるまでは「枠を使っている状態」となります。

利用限度額100万円であれば、毎月100万円の利用ができるわけではなく、実際に引き落とされてからそれぞれの枠が回復されるようになるのです。

たとえば利用限度額が200万円の法人カードを7月に150万円使った場合、8月下旬の引き落としまでの残枠は50万円となります。そのため、8月の上旬に100万円の利用をしたくても決済ができません。

追加カードの利用限度額も総枠に含まれる

法人カードでは追加カードが発行できることも多いですが、追加カードの利用限度額は本会員カードの総枠に含まれます。

たとえば、利用限度額が200万円の法人カードで追加カードを2枚発行している場合、カードは3枚ありますが、だからと言って総枠が600万円とはなりません。あくまでも3枚を合計した総枠が200万円なのです。

利用限度額は審査で決定する

利用限度額はカード会社の行う審査で決定し、法人カードの利用限度額の審査条件となるのが下記のようになります。

・保有クレジットカードの利用金額
・保有クレジットカードの利用限度額合計
・返済・支払い状況
・収入
・業種
・事業歴

カード会社がそれぞれの条件をチェックし、総合的に判断して個別利用限度額が決まります。

カード情報はカード会社間で共有

カード会社のほとんどが「CIC」という信用情報機関に加盟し、利用者の以下のような情報が共有されています。

・住所
・氏名
・利用限度額
・作成済のクレジットカード
・これまでの返済状況

CICの他にも信用情報機関は2つあり、銀行や消費者金融などが加盟するものもあります。各信用情報機関の間でも情報を共有しているため、カード会社は他社におけるこれまでの利用状況に返済状況を簡単に把握できてしまうのです。

ゴールドやプラチナカードは利用限度額が高め

ゴールドやプラチナカードは年会費も高いだけあって、利用限度額も同様に高く設定される傾向です。

まず、代表的な法人カードの利用限度額をランク別でチェックしていきましょう。

JCB(一般)
年会費:1,375円
利用限度額:10万円~100万円JCB(ゴールド)
年会費:11,000円
利用限度額:50万円~250万円JCB(プラチナ)
年会費:30,000円
利用限度額:150万円~
三井住友ビジネスカード for Owners(一般)
年会費:1,375円
利用限度額:~150万円
三井住友ビジネスカード for Owners(ゴールド)
年会費:11,000円
利用限度額:~300万円

三井住友ビジネスカード for Owners(プラチナ)
年会費:55,000円
利用限度額:原則200万円~

オリコ EX Gold for Biz
年会費:2,000円
利用限度額:10万円~300万円

法人カードの利用限度額の違いが出るポイント

前でも解説していますが、法人カードの利用限度額はカードの種類によって異なります。

こちらでは、法人カードの利用限度額がどのような点で異なるのかを知っておけば便利でしょう。

・カード発行会社による違い
・カードランクによる違い

上記について詳しく解説していきます。

法人カードの発行会社によって利用限度額が異なる

国際ブランドが同じクレジットカードだったとしても、発行会社が違えば利用限度額が異なる場合も多いです。

例外としてライフカードのようなケースもありますが、基本的にカードの発行会社が同じであれば同ランク間利用限度額は異なりません。

利用限度額の目安が知りたいのであれば、まずは発行会社がどこなのかをチェックすると判断しやすくなるでしょう。

国際ブランドの違いは利用限度額には関係ない

同じ名称の法人カードの場合、利用限度額は基本的に同じになります。どの国際ブランドを選んだとしても、利用限度額に影響はないということです。

ライフカードビジネスは、Mastercard・JCB・VISAのいずれかから選べますが、利用限度額は10万円~500万円と同じになっています。

一律の利用限度額を設けていないカードもある

法人カードのほとんどで、そのカードの種類ごとに利用限度額を設定しています。しかし、一部に一律の利用限度額を設定しない法人カードもあるのです。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カードをはじめ、アメリカン・エキスプレスが発行するすべての法人カード、ダイナースクラブビジネスカードなどが一律の利用限度額を設定していません。

この場合、個人ごとに利用限度額が異なりますから、高額な決済も簡単にしやすくなる場合があります。

法人カードのランクが上がれば利用限度額も上がる

一部のカードを除くものの、法人カードの利用限度額はランクによって左右される傾向があります。

一般カード→ゴールドカード→プラチナカードというように、一般的にカードのランクが上がるごとに利用限度額が上がっていくのが一般的でしょう。

法人カードの利用限度額では、カードの種類のみならず、ランクによっても影響されることを覚えておいてください。

法人カードに必要な利用限度額

法人カードの利用限度額は毎月の平均利用金額を考慮して計算するのがベストですが、それだけでは適切な利用限度額は設定できないでしょう。こちらでは、利用限度額の正しい目安について解説します。

月間利用金額の2倍程度が目安

法人カードは利用してから引き落とし日まで、最長2ヶ月の期間がありますから「毎月の支払額の2倍程度」を目安にするのが良いでしょう。

ギリギリの設定にしてしまうと急な出費があった場合の対応が厳しくなるので、以下のように少し多めの利用限度額になるような設定を目指してみてください。

・毎月の平均支払金額50万円→利用限度額120万円
・毎月の平均支払金額80万円→限度額180万円

利用限度額に余裕があれば、枠不足によるカードの利用停止などのトラブルを避けることもできます。

法人カードの利用限度額を上げるための方法

法人カードの利用限度額は、これまでにも解説したようにあらかじめ設定された利用可能枠内の範囲内のみです。

具体的な利用金額は審査で設定されますが、導入したての頃はかなり低めの金額が設定されることも珍しくないでしょう。

こちらでは、どうすれば法人カードの利用限度額が上がるのかについて解説します。

・支払い実績を積む
・支払いの遅延しない
・リボ払いの乱用をしない
・法人カードの枚数を増やす・減らす
・増枠申請をする

どのようになっているのか見ていきましょう。

支払いの実績を積む

時間は少しかかりますが、利用金額の支払い実績を積んでいくことが確実かつ最短な方法と言えるでしょう。

法人カードでは種類を問わず、最初から最高利用限度額が設定されることはありません。審査内容によるものの利用限度額が最大100万円の法人カードであれば、30~50万円前後の設定でスタートするケースが一般的です。

法人カードを作成した後すぐの利用限度額が思った以上に低かったとしても、あきらめずに法人カードを使い続けてみてください。法人カードによって違いはありますが、早ければ半年後に利用限度額が上がっていることがあります。

支払いの遅延をしない

クレジットカードの利用限度額が低い場合、信用情報の内容が良くないか、十分な枠を与えるだけの利用実績がない傾向にあるでしょう。現在の状態よりも信用情報の内容を良くしたいのであれば、毎月利用限度額ギリギリまで使って、支払いの遅延をすることなく返済していく必要があります。

また、支払いの遅延を1回でもすることで、さらに利用限度額が下がってしまうだけでなく、カードの利用停止や強制解約の理由になる場合もあります。

良い利用履歴を積むことで信用情報のスコアを良くし、利用限度額をさらに増額してもらうために支払い遅延をすることなく毎月の返済を行ってください。

リボ払いの乱用をしない

急に高額な出費があった場合に支払い金額をリボ払いにしておけば、支払いを先延ばしにすることはできます。しかし、翌月一括払いとは異なり、リボ払いでは高額な利息を支払う必要があるため、返済金額も高額になってしまうでしょう。

支払に困った月のみでなく、毎月リボ払いを欠かさずに使っているような場合は資金繰りに困っているという印象をカード会社に与えやすいです。

どんなに毎月しっかりと返済を行っていたとしても、あまりにもリボ払いを使っているようでは利用限度額がなかなか上がることはありません。

法人カードの枚数を増やす・減らす

リボ払いをほとんど使うことなく、毎月の返済を行っていたとしても、法人カードの保有枚数が多すぎれば利用限度額は増えません。

資金繰りに困っていて、何とかその場を乗り切るために法人カードを複数枚作成しているのではないのか?という印象をカード会社に与えてしまうだけです。

そして、何枚も法人カードを保有していることで、1枚あたりの利用限度額が低いままになってしまい、その後も利用限度額が上がる可能性も低いでしょう。

法人カードの利用限度額を増やしたのであれば、考えなしに法人カードの枚数を増やさないようにして、少ない枚数の法人カードで支払いを行っていくのがおすすめです。

増枠申請をする

法人カードの支払いを、翌月一括払いを基本に延滞なく支払っていれば利用履歴が良くなっている可能性が高いです。利用限度額が足りないからと言って他の法人カードを申込むよりも、まずは今使っているカードの増枠申請をしてみてください。

支払いトラブルがなく、長期間使っているほどに増枠申請の審査通過できる可能性も高まっているはずです。順調に法人カードを使っている自信があれば、ここは思い切って増枠申請にチャレンジしてみるのがスムーズでしょう。

増枠審査の通過が厳しくなるケース

カード会社で増額審査を受ける場合、断られる結果になることもあります。

とくに、下記に該当する場合は、増枠審査の通過が厳しいと考えておいてください。

・何度も返済遅延をしている
・利用期間があまりにも短い
・他社カードの利用状況が良くない

その他にも増額審査に落ちたことを理由に短期間で増額審査の申込みを繰り返してれば、それだけで「財務状況が悪い」と判断されてしまうので注意が必要です。

一時的な増額もできる

突発的な出費で利用限度額が不足した場合、一時的な増額が可能な法人カードもあります。

増額期間が過ぎれば利用限度額は元に戻りますが、審査難易度は比較的低めです。恒常的な増額申請より承認されやすいでしょう。

高額な利用限度額額を求める方におすすめの法人カード

ここでは、おすすめの法人カードの限度額や特徴を比較、紹介していきます。限度額の設定がないカードや、一時的な増枠ができるカードもあるので、事業規模に応じた使いやすい法人カードを選んでみてください。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードは一律の利用限度額を設定しない法人カードです。利用状況に支払い実績などを判断して、個別に利用限度額が決められる流れです。

急に高額な決済が必要となり、現時点の利用限度額では足りなそうなときに役立つ事前承認制度が特徴になります。そうすることで、予想外の高額な支払いがあっても、スムーズなカード決済が実現するでしょう。また、事前承認は、国内・海外を問わず、専用ダイヤルに電話をすれば手続きが可能です。

その他にもステータスの高さは法人カードの中でもトップクラスとなり、世界中の富裕層などからも支持されています。もちろん、さまざまなビジネスシーンで活用できる特典も豊富です。

利用限度額の高さはもちろん、高い信用力と柔軟性の両方を兼ね備えた法人カードを探している方にはおすすめの1枚になります。

ダイナースクラブビジネスカード

ダイナースクラブビジネスカードも利用限度額の設定はなく、法人代表者の信用情報に事業実績によって利用限度額が個別に設定されています。

利用限度額を超えた決済をしたい場合、利用予定日の10日前までに「オーソリセンター」に電話をしてください。そうするだけで対応が可能です。

利用目的は社用車や事業用の家屋などの購入でも大丈夫なので、法人カードをビジネスの中でフル活用したい場合にもおすすめできます。

その他にも大切な接待や会食などにも活用できるワンランク上のレストランや料亭などの手配も可能です。また、追加カードの年会費が無料なため、枚数も無制限で発行できます。

JCBプラチナ法人カード

最初から150万円という高い利用限度額が設定されるJCBプラチナ法人カードです。上限の設定はなく、150万円以上の利用限度額は個別審査で決められるようになります。

国内や海外のホテルに航空券、レンタカーなどの手配にレストランの予約など、これらのサポートを24時間365日体制で行ってくれる「コンシェルジュデスク」は、ワンランク上のプラチナカードならではのサービスでしょう。

その他にも、世界各国にある豪華空港ラウンジの利用ができる「プライオリティパス」が付帯されているなど、世界中ビジネスで飛び回る方には頼りになる1枚です。

ライフカードビジネス(スタンダード)

ライフカードビジネス(スタンダード)では、一般ランクの法人カードでありながらも、ゴールドカード以上の500万円という高額利用限度額が設定されます。

年会費無料なので維持コストをかけることなく、高い利用限度額の法人カードを活用できるでしょう。

ただし、法人カードでは当たり前のポイントプログラムがありません。利用金額に応じたポイントを貯めて活用できないので、付帯サービスや特典よりも年会費の安さと高い利用限度額を重視したい場合におすすめです。

EX Gold for Biz

EX Gold for Bizでは最高300万円の限度額を実現する、ゴールドカードです。開業後間もない法人に個人事業主でも作りやすいので、利用限度額の高い法人カードの導入を考えている方には最適でしょう。

その他にも貯まったポイントは1.1%という高い還元率となり、Amazonギフト券やTポイントなど交換できるため、経費削減したい場合にも役立つでしょう。

限度額以外のおすすめ法人カードランキング

まとめ

今回の記事では、法人カードの利用限度額を比較し、そのうえで法人カードの利用限度額を上げる方法を解説してきました。

ほとんどの法人カードでは、クレジットカードの種類にカードランクによって利用限度額が設定されてしまいます。しかし、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードのような、一部の法人カードでは一律の利用限度額を設けていないので、法人代表者の信用状況しだいでは高額な利用限度額が設定されることもあるでしょう。

ビジネスを行う中で利用限度額が低いのか高いのかは死活問題にもなります。高い利用限度額とビジネスにフル活用できる付帯サービスに特典が魅力の法人カードを選んで、枠不足に悩まないことを実現させてください。

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