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1つの籠に卵を全部もるな、と投資の世界ではよくいわれます。投資資金のすべてを1つの金融商品に全部回した場合、もしその金融商品の価格が下がった時の損失が大きくなるからです。
そこで、投資の対象を分散しておくことが身を守る方法として一般的です。
そこで分散投資を検討する時に便利なのがポートファリオを作成することです。ポートフォリオとは、各自の投資の詳細をまとめたもので、どのように資産が配分されているのかを表示するものです。いわば、投資レポート(投資ノート)のようなものです。
今回は、資産運用を検討中の方を対象に、資産配分やポートフォリオの作成方法をご紹介していきます。
お金の使い方を考える
資産運用はまず、投資に使うお金をいくらにするか決めることから始まります。
資産運用の基本は、「守るお金」と「増やすお金」を分けて考えていくことです。資産運用と聞けば、多額の預金がある人がするものと思う人も多いでしょう。しかし、仮にそれが2万円だったとしても資産運用を行うことはできます。資産運用とは、簡単にいえばお金の使い方を考えることなのです。
では、お金の使い方をどのようなポイントで決めていくのでしょうか。
お金の配分は大きく2つ
資産運用は、投資に使うお金をいくらにするか決めることから始まるとお伝えしました。今あるお金をまずは2つに大きく分けていくことができます。
- 貯蓄用、緊急用、生活資金などの「守るお金」
- 長期・短期の投資にて「増やすお金」
守るお金は、投資資金としては絶対に手をつけないお金です。守るお金と増やすお金の配分は、人それぞれですが、経験が少ないほど守るお金の比率を大きくした方がよいです。初心者の目安としては、貯蓄用のお金に対して5%~10%ぐらいが理想でしょう。(それぞれの判断によります)
守るお金をしっかり確保したら、次に、投資に使う「増やすお金」の配分を考えていきます。
「増やすお金」をさらに2つに分ける
増やすお金は、
- 長期的に金利や分配金などで増やしていく「長期的に増やすお金」
- 短期的に効率よく売却益を狙う「積極的に増やすお金」
とに分けることができます。
冒頭でご説明したように、この「増やすお金」を様々な分野に分散させることでリスクを抑えた資産運用が実現します。
資産運用
資産運用とは、ここまでご説明したように資産を配分してお金の使い方を考えることをいいます。
手持ちの2万円でも、
- 19,000円→貯蓄
- 1,000円→投資資金
と分けていけます。
100万円の現金資産がある場合、
- 90万円→貯蓄
- 10万円→投資資金
となり、さらにこの10万円の投資資金を「長期的に増やすお金」と「積極的に増やすお金」に分けていけます。
※資産運用について、こちらからもわかりやすく解説しています。
ポートフォリオを活用する
投資資金が決定したら、次に考えることは運用方法です。何に投資していくかを考えていきます。ここで、注意することは冒頭で軽く触れましたが、1つの金融商品にすべての投資資金を使わないということです。
複数の金融商品、できれば、株式市場、FX市場、債券市場などと市場別に分けて考えることが望ましいです。
仮に、FXや外貨預金などの通貨のみに投資を行うとしても、先進国・新興国、あるいは米国、EUなどとリスクを分散していくことが大切です。
ポートフォリオとは
資産をどのように分散していくかを表したものがポートフォリオです。ポートフォリオとは、それぞれが保有する資産の詳細を分かりやすく記録したものをいいます。ポートフォリオを作成しておけば、守るお金も含めて、資産全体のバランスをチェックすることができます。
分散投資をバランスよく実現するにあたっても、このポートフォリオが非常に役に立ちます。
ポートフォリオの作り方に決まりはない
ポートフォリオの作り方にとくに決まりはありません。
ポートフォリオとして使えるのは、
- 資産運用のノートを用意する
- 資産運用のファイルをPC上に用意する
のどちらかです。資産運用を楽しみながら取り組むコツをご紹介しておきます。
ノートを用意する
ノートを用意する際には、持っているだけで楽しくなるような特別にお気に入りのノートを探しましょう。これは、一見資産運用には関係ない要素のように思えますが、とても重要なポイントです。
お気に入りのノートを使うことは、資産運用や投資に対する愛情を育むためでもあるのです。
さらに、色ペンやマーカーをいくつか用意しておきましょう。最低でも3色はあった方がポートフォリオが見やすくなります。
ファイルをPC上に用意する
PC上での操作が好きな方は、ワードやエクセルを使ってポートフォリオを作成することができます。ワード、エクセルを導入していない方は、以下のソフトが無料でダウンロードできます。
Open Office
https://www.openoffice.org/
Googe document
https://www.google.com/intl/ja_ALL/drive/download/
作成するポイント
では、どのようにポートフォリオを作成していくのか、具体的な手順と作成するポイントを解説していきます。
①ノートやファイルにタイトルをつける
最初に、ポートフォリオにタイトルをつけましょう。
- シンプルに「資産運用」
- ポップに「My Money Plan」
- かっこよく「Investment」
など、モチベーションが高まるようなタイトルを考えてみて下さいね。
②資産全体の配分を決める
事前に、生活費と緊急用の資金を除いた金融資産(現金)のトータルを確認しておきます。
そのトータルの金融資産の総額を「守るお金」と「増やすお金」の2つに分けます。
作成例
[例1]
ポートフォリオを作成しながら、徐々にスタイルを決めていけばよいと思います。最初は、ただ単に箇条書きなどでわかりやすく書いていってもいいでしょう。
資産総額:100万円
- 貯蓄90%(守るお金)→90万円
- 投資資金10%(増やすお金)→10万円
[例2]
表にするともっと見やすくなります。
[例3]
あるいは、以下のように円グラフにするとより明確で、見た目も楽しいですよね。
皆さんが書きやすい方法で、ポートフォリオを作成していきましょう。
③増やすお金をさらに2つに分ける
初めての投資であれば、長期投資の配分が多い方がよいでしょう。あるいは、最初は長期投資だけで堅実にいく方がいいかもしれないですね。
ここでは、ひとまずは長期投資と短期投資に分けてみました。
長期投資とは→金利や分配金を得る、または長期的な視野で老後に向けてコツコツと続ける投資です。(ローリスクローリターン)
短期投資とは→短期間で売却益を狙って積極的に投資を行う方法です。ここでいう短期は初心者を対象に数か月~1,2年程度を意味しています。(ハイリスクハイリターン)
資産配分の例
投資資金を2つに分けた時点で、2つの投資方法が存在することになります。どんな投資方法を選ぶかは、それぞれの意向によって様々ですが、参考までに例を挙げておきます。
- 債券投資80%、投資信託20%
- 金プラチナ80%、クラウドファンディング20%
など・・・性質がことなるものを組み合わせるようにしましょう。
④資産を分散する
「長期で増やすお金(長期投資)」と「積極的に増やすお金(短期投資)」の配分を決めたら、次に、検討したいことは資産をバランスよく分類することです。
最初は分散先が多いと混乱しますので、3~4つぐらいに分けていくとよいでしょう。長期投資と短期投資を2つずつに分けてみます。
長期投資
- 海外もの50%
- 国内もの50%
短期投資
- IT関連50%
- 医療関連50%
とあえて、分野が異なるものを組み入れるようにします。
この時点で4つの投資方法が決定しました。
⑤資産配分を確定する
上記で決定した4つの投資方法の比率配分を円グラフと表でまとめてみましょう。
※資産配分/円グラフ
※資産配分と投資金額
このように、資産配分の比率が決まり、それぞれの投資金額が明確になりました。あとは、それぞれの項目に適した金融商品・銘柄(ファンド)を探していけばいいのです。
必要に応じて、投資に必要な情報や希望・意向などをグラフや表と一緒に記載していきます。
以上がポートフォリオのベーシックな部分です。
⑥具体的にポートフォリオを作成する
金融商品を購入したら、改めて、具体的に商品名を記載したポートフォリオを作成しておきます。運用状況のチェックを定期的に行い、損益状況(資産状況)を記録するようにして下さい。
3か月間の経過を参考例としてグラフで作成してみました。ポートフォリオ見直し方法のポイントをここで確認しておきましょう。
3か月間のポートフォリオ
シンプルな棒グラフにすると、3か月間の運用状況が簡単にチェックできます。
チェックポイント
海外債券→4万円で購入した外国債券が3万円に下がってしまいました。選択肢は2つあります。もう1カ月程度様子を見てみる方法とさらに下がったら売却を考える方法です。
国内債券→国内債券は若干ですが値上がりしています。これは満期まで問題ないなと判断します。
IT関連→IT関連の株(投資信託)は値下がりしていますが、そんなに気にする程でもないのでしばらく保有しようと判断します。
医療関連→価格が倍に値上がりしたので、売却することにします。ここで、利益が確定します。
1カ月に1回、あるいは3か月に1回ぐらいはポートフォリオのチェック・見直しを行いましょう。
※資産の分散方法として、以下の記事も参考にして下さい。
ポートフォリオを作成しよう!
では、実際にノートかPCのファイルを使って、ポートフォリオを作成していきましょう。
ポートフォリオ作成に便利なおすすめのツールを最後にご紹介していきます。
ポートフォリオ作成便利ツール
資産運用かんたんシュミレーション
投資信託の運用会社、アセットマネジメントONEが提供している「資産運用かんたんシュミレーション」では、将来の目標金額に対して毎月どれくらいの資金が必要なのか概算できます。
資産運用を始める際に、毎月どれくらいの投資資金を使えばいいのか目安にすることができます。
ロボアドバイザー
最近では、証券会社・銀行など多くの金融機関のロボアドバイザーが無料で利用して頂けます。ロボアドバイザーの仕組みは、ロボアドバイザーからの質問にすべて応えるを自分に合った投資方法やファンドの種類が診断されます。
診断結果を参考に、自分に合った投資方法を選ぶことができます。
- 三菱UFJ国際投資 「PORTSTAR」
- WealthNavi 「ロボアドバイザー診断」
- 松井証券 「投信工房」
- 楽天証券 「楽ラップ」
投信アシスト
分散投資のシュミレーションには野村アセットマネジメントの「投信アシスト」が便利です。
- 自分に合ったファンド探し
- 現状のポートフォリオの分析
- 利回り計算
- 将来の資産総額のシュミレーション
- データ検索
など5つの機能を無料で使うことができます。
ノート版ポートフォリオツール
ノートでポートフォリオを作成していく場合、必要なステーショナリーは全部100均でそろいます。品質にこだわりたい方はアマゾンでも便利な文房具を探してみましょう。
ファイルホルダー
資産運用で必要なノートやメモ、投資に関する情報などを1つのホルダーやバックにまとめておくと便利です。
インデックスシール・付箋
ポートフォリオをノートで作成していく場合、インデックスシールや付箋は必需品です。
蛍光ペン・マーカー
棒グラフや円グラフを手書きで書きたい方は、ペン先が太目の蛍光ペンやマーカーを入手しておきましょう。グラフはわざわざ定規を使わなくとも誰でも簡単に作成できますよ。(こだわりたい方は定規を使いましょう)
他にも、スケジュール帳、カレンダー、修正テープ(修正ペン)、方眼紙タイプのノートなどがあると便利です。好きなデザインで好きなようにポートフォリオを作成していきましょう。
Pinterestの手作りポートフォリオを参考にする
Pinterestで無料の会員登録をすると、写真付きの様々な情報を調べることができます。「ポートフォリオ投資」で検索してみて下さい。
下記は投資信託の毎月の価額をグラフにしたものです。複数の投資信託を購入してファンド別のグラフ、比較したグラフが作成されてあります。
PC版ポートフォリオツール
それでは次に、PCでポートフォリオを作成する時に便利なツールをご紹介いたします。
簡単に作れるグラフジェネレーター
円グラフ、棒グラフ、レーダーチャートの3種類が無料で簡単に作成できます。作成したいグラフの項目をクリックいして、データを入力すると数秒でカラフルなグラフが完成します。
資産配分/my INDEX
こちらのツールでは、貯蓄用の現金資産も含めた資産総額の配分ポートフォリオの作成が可能です。
個人投資家のニーズに応えるために開発されたソフトで、表やグラフにしてわかりやすくデータの管理・分析を行うことができます。会員登録をするだけで無料で利用できます。
アセットアロケーション分析ツール
アセットアロケーション分析ツールでは、各資産ごとの投資金額・配分比率を表やグラフで作成できるだけでなく、期待リターン率、リスク率を想定して総合的に分析していくことが可能です。
最初の資産配分のシュミレーションやポートフォリオの見直し時に便利です。単純にグラフのみ作成することもできます。
まとめ
今回は、資産運用を始める上で重要なポートフォリオとは何なのか、そしてポートフォリオの作成方法をご紹介いたしました。
資産運用の目的は、お金を安全にかつ効率よく増やしていくことにあります。そのためにも、今ある資産を貯蓄・運用と分けることが第一段階です。
さらに、投資の運用資金として分別したお金をより安全に運用していくために、リスクの分散を行います。投資資金をバランスよく、複数の金融商品に振り分けていくためには頭の中でいくら考えていても具体的にイメージしづらいと思います。
そこで、グラフや表を使ってポートフォリオを見える化していけば、バランスのいい資産運用を計画しやすくなります。
自分でポートフォリオを作成することによって、ともすると、損益計算のみに支配されストレスを抱えてしまうかもしれない資産運用も、楽しみながら精神的な余裕を持って行うことができます。
何ごとも勉強です。この機会にポートフォリオを作成して、マイペースで楽しみながら資産運用を始めてみませんか?