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学資保険の代わりに挙げられるもの
「教育資金の備えは、本当に学資保険でしか備えられないの?他の選択肢も検討したい!」
高額になりがちな学資保険に備える際に、最もはじめに検討される事の多い選択肢の1つは「学資保険」が挙げられます。ただ、お金を何かしらの形で貯蓄していくという観点から考えた時に、他の選択肢が存在している事も事実です。
また、学資保険というのは一般的に、子供が0歳~5歳までに加入しておき18~22歳程度までに保険金を全て受け取るという形が一般的であり、かなりの長期間学資保険に加入しておく必要があるという事が分かります。
そのため、10年~20年という長期間同じ保険に加入し続けるという事なので、長期間加入する保険への加入はより一層慎重になるべきだと言えます。
保険に加入してから、他の選択肢が魅力的に見えてしまう事ほど、勿体無い事はありません。なので、この記事では「学資保険の代わり」というテーマで、学資保険の代替が可能な保険・方法についてご紹介していこうと思います。
学資保険の代わりはあるのか?という疑問を解決するために、主に
- 学資保険の代わりに挙げられるのはどのようなもの?
- 貯蓄で、学資保険を代替出来るものは?
- 保険で、学資保険を代替出来るものは?
- 運用で代替する事は可能なのか?
等について解説していきたいと思います。まず、はじめに「学資保険の特徴」についてご紹介し、学資保険がどのような特徴を持っており、どんなものが代わりになるのか?について解説していきたいと思います。
学資保険の特徴
学資保険の代わりを検討する上で、欠かせない要素はまずはじめに「学資保険とは、どのような商品なのか?」をしっかりと理解するという点です。
何故なら、学資保険を理解していないと学資保険のメリットを補えるような代替方法・金融商品を見つける事も難しいでしょう。なので、まずはじめに学資保険の「特徴」に絞って、簡単に学資保険の特性について押さえたいと思います。
ただ「学資保険の特徴」と簡単にまとめる事は難しいので、メリット・デメリットに分けて、学資保険の特徴について解説します。
学資保険のメリット
学資保険の特徴となるメリットは以下のようなものが挙げられます。
- 死亡保障がある
- 他の商品と比較した時に、教育資金に充てられやすい
- 保険料という強制力
死亡保障というメリットは、ほぼ全ての学資保険に主契約で付いてくる「契約者が死亡した場合に、保険料が免除される」というポイントから来ています。
死亡保障は生命保険等でもカバーする事は可能ですが、単純な貯蓄・運用でこのような特徴を持っている商品はありません。
また、他の商品と比較した時に「教育資金に充てられやすい」というのは、生命保険にも備わっていない特徴だと言えるでしょう。
保険の保険金というのは、何らかの条件をクリアして支払われますが、生命保険の死亡保障の場合は「死亡したら、重度の障害を負ったら」というものになっている事が一般的です。
ただ、学資保険の死亡保障の場合はこれに加えて「時間の経過(18歳になったら等)」の要素が加わり、教育資金が必要なタイミングで、支払われる事が多いと言えます。
もちろん、実際の保険金の用途については、遺族の手に託されていますが、他の保険と比較した時に、教育資金に充てられやすいのは事実でしょう。
そして、最後のメリットである「保険料という強制力」というのは、他の貯蓄・運用には無いメリットだと言えます。というのも、保険でも貯蓄でも運用でも「お金をどこかに掛ける」必要があります。
しかし、貯蓄や運用というのはあくまで「その人の意思」によって、その金額が決まってきます。ただ、それだと貯蓄に自信のない方の場合は、実際にはそれほど貯蓄を行えなかったというリスクも考えられます。
保険の場合は、意思に関係なく「貯蓄する金額・貯蓄していく頻度」は、契約に基づいて行われます。つまり、保険料の請求という強制力が存在しているのです。これなら、貯蓄が苦手な方でもしっかりと積立ていける可能性が高いと言えます。
学資保険のデメリット
学資保険には、様々なデメリットが存在してますが、一番大きなデメリットはやはり「リターンが少ない」という点が最も大きいと言えます。
というのも、学資保険は上記したような保障にプラスして、保険料がいくつらか返ってくる事がメリットだと言われる事が多いですが、実際の所他の貯蓄方法や資産運用と比較した時に、多いとは言えないというが現状でしょう。
学資保険で支払った保険料に対して、いくらぐらい返ってくるのか?という点は、学資保険の「返戻率」という数字に焦点を当てる事によって、しっかりと見分ける事が可能になります。
ただ、貯蓄型の学資保険であっても返戻率というのは「103%~110%」ぐらいまでが、学資保険で10%を超えると言ったような商品は通常見かける事は基本的にありません。仮に存在していても保険料一括支払い等が必要になるでしょう。
つまり、貯蓄の効率性という観点から見た時に、学資保険の効率はそれほど良くないのです。この点は、貯蓄するための方法という点から考えた時に、大きなデメリットになりえると言えます。
学資保険の代わりになる商品
まず、はじめに先程ご紹介したような学資保険のデメリットをそれほどマイナスと捉えず、メリットが魅力的に見える場合はそれほど学資保険の代わりを探す必要はありません。
どんな貯蓄方法・保険・運用方法でもメリット・デメリットが存在しており、学資保険のメリットが魅力的に見える・デメリットをそれほどデメリットだと感じない場合は、学資保険があなたに最も合っていると言えます。
ただ、先程挙げた学資保険の特徴で、学資保険があまり魅力的に見えない場合は、以下のような代替方法がおすすめです。
- 貯蓄
- 保険
- 資産運用
1つ1つ一長一短で、学資保険であろうが代替方法であろうが、向き不向きは出てくると思います。ただ「教育資金を貯蓄していく」という観点において、最も自分に合っており、出来るだけ貯蓄の効率が良いものを選びましょう。
貯蓄
まず、はじめに学資保険の代わりとなる教育資金を積み立てていく方法で、ご紹介したいのは「普通に貯蓄していく」という方法です。
ただ、この普通に貯蓄していくというのは、意外にシンプルなように見えて意外に扱いづらいものになっています。普通に貯蓄していくという方法のメリット・デメリットを見ていきましょう。
今回は、本当にシンプルに「銀行口座に貯蓄していく」というシンプルな方法について、ご紹介していきたいと思います。
メリット
普通に貯蓄していく上でのメリットは、以下のようなものが挙げられます。
- 貯蓄していく金額・頻度全てが自由
- 元本割れのリスクが無い
- 他の資産に切り替えたい時に、移動させやすい
自由度が高い
まず、はじめに貯蓄の特徴・メリットを簡単にまとめると「自由度が最も高い」という1点に尽きるでしょう。その特徴を最も表しているメリットが「金額・頻度を自分で決められる」というポイントです。
もちろん、学資保険でも契約前なら払込期間や支払いサイクルをいつかの選択肢の中から選択する事自体は可能ですが、一度契約してしまうと変更するまでのハードルが高いです。(もちろん、可能な商品もあります)
そのため、普通に貯蓄していくという選択肢を選べば「今月は楽だから多めに貯蓄しておこう」というように、その時その時に合わせて柔軟に対応していく事が可能になります。
元本割れのリスク
また、次に挙げられるメリットは「元本割れのリスクが無い」というポイントです。元本割れとは、支払った保険料よりも返ってくる保険金・返戻金が少なくなる現象を指しますが、主に学資保険では中途解約で元本割れが発生します。
もちろん、加入する時は「絶対に解約しない」と覚悟して加入する訳ですが、実際には保険料の負担や、家計事情が変わってしまい中途解約してしまうというケースも多々存在しています。
そん中で、元本割れリスクが無いというのは大きなメリットの1つでしょう。
移動させやすい
キャッシュ(現金)という形で、資産を持っておけば移動させやすいというメリットが必然的に発生します。保険・他の金融商品という形で持っていた時に、ものによりますがすぐに「現金化できない」というものも少なくありません。
学資保険で言えば、保険料を支払ってから実際に現金として手に出来るのは十数年後です。もちろん、中途解約も可能ですが、その場合は損失を出してしまう可能性もあります。
そのような点を考えた時に、貯蓄のメリットの1つは「他の資産に移動させやすい」というポイントでしょう。
これから「資産運用等を行いたいが、まだ勉強段階」と言った方にとっては大きなメリットの1つになりますし、インフレ等のリスクが常に存在していますが、キャッシュであれば柔軟に対応可能です。
貯蓄のデメリット
単純に貯蓄していくとなった際に、様々なデメリットが挙げられますが、やはり最も大きなデメリットは「自由度が高いゆえに、貯蓄を行っていけるのか?」という点です。
仮に、貯蓄を月1万円していくと仮定します。これを200万円にするには、16年~17年近く掛かる計算になります。16年もの間しっかりとサボらず貯蓄していけるのか?という点を考えた時に、疑問が残る方も少なくないでしょう。
貯蓄というのは「貯金には昔から自信がある!」という方にとっては、魅力的な選択肢の1つになりえると言えますが、あまり貯蓄・お金に自信が無い方にとっては、デメリットが大きく出やすい教育資金の備え方だと言えるでしょう。
保険
次にご紹介したい教育資金の備え方は「保険」です。ただ、貯蓄型の保険というのは、本当に沢山存在しており、1人でいくつかの貯蓄型の保険に加入している方も少なくないでしょう。
そのため、全ての貯蓄性のある保険をあげていてはキリがありません、そのため、これから「低解約返戻金型終身保険」に絞ってご紹介していこうと思います。
低解約返戻金型終身保険とは?
「低解約返戻金型終身保険」という文字を見てしまうと、何だが漢字ばかりで難しく感じてしまいますが、実際はシンプルな保険です。
まず、保障内容は終身保険と付いている事からも想像しやすいですが、一般的な死亡保障の付いてくる生命保険です。(「終身」保険なので、保障は一生続く)
ただ、低解約返戻金型終身保険と言われる保険の「低解約返戻金型」という部分の方が重要なポイントになっています。
この部分の意味について簡単に解説すると「保険料の支払い中に解約すると、低い返戻金(保険金)しか貰えないよ」という意味です。
ただ、その代わり保険料をかなり低く押さえる事が可能であり、学資保険と似通った部分も多いので、学資保険の代替保険として最も利用される事の多い保険の1つでしょう。
低解約返戻金型終身保険のメリット
低解約返戻金型終身保険のメリットは以下のような2点が大きいでしょう。
- 教育資金以外にも使える
- 保険料がかなり安い
低解約返戻金型終身保険は、学資保険と違って様々な用途の貯蓄に利用される事の多い保険です。例えば、老後のための蓄え等に利用される事もあるでしょう。
そのため、設定出来る保険金の上限が多く、1,000万円と言ったような金額を積み立てていく事も可能になります。
また、低解約返戻金型終身保険は保険料の支払いが終了した後に、保険金の受け取りを据え置けば置くほど、返戻金が上がるという特徴が存在しています。
そのため、教育資金のために契約の一部分のみを解約し、残りの分を据え置くと言ったような用途で使う事も可能なのです。(1,000万円の内、200万円だけ解約すると言ったようなケース)
また、低解約返戻金型終身保険は、保険料がかなり低く押さえられています。そのため、学資保険と同じような額を設定した時に、月々の負担を大きく減らせる可能性があります。(保障内容等によっても異なる部分です)
低解約返戻金型終身保険のデメリット
低解約返戻金型終身保険のデメリットはやはり「中途解約のリスク」と言った部分が最も大きいと言えるでしょう。低解約返戻金型終身保険の保険料が安くなるのは「保険を解約しない」というのが前提になっているからです。
つまり、中途解約というのはこの前提を無視したような行為なので、もちろん返ってくる保険金もかなり少なくなります。
このデメリットをしっかりと理解した上で、低解約返戻金型終身保険に加入しないと予想外の損失が発生する可能性があります。
低解約返戻金型終身保険のメリットは、デメリットの裏返しであり、低解約返戻金型終身保険に加入するなら「絶対に解約しなくても大丈夫」くらいの余裕を持った保険料である必要性高いと言えます。
運用
最後にご紹介したい教育資金の積立方法は「資産運用」です。資産運用とは、何かしらの財産を運用する事で、利益を発生させる事です。
ただ、資産運用というのは定義としては広い意味で使われている言葉であり、この記事では主に「投資」と言う資産運用の一部分について焦点を絞っご紹介したいと思います。
既に投資で資産運用を行っている方
学資保険の返戻率は、十数年保険会社に預けたとしても「数%」程度しか期待出来ず、金額にしても10~30万円程度しか増えないのが一般的だと思います。
もちろん、この金額については人によって多い・少ないという感じ方の問題はありますが「十数年預けてこれだけ?」と感じる方もいるかもしれません。
そして、それを最も強く感じるのは既に資産運用を行っており、結果が出ている方でしょう。積極的に投資を行っており、年1~3%程度の運用を行えている方にとって、返戻率というのはかなり小さく見えてしまうと思います。
そのため、既に資産運用を行っており、学資保険で運用するよりも結果が出ている方はわざわざ学資保険に加入する必要もないでしょう。
教育資金のために資産運用を行うという方
では、教育資金を貯めるために「資産運用を始める」というケースではどうでしょうか?この場合はあまりおすすめ出来ません。
もちろん、老後の資金と言った人生においてのロングスパンで考えた時に、投資等を行って効率的に資産を増やしていくことについては、なんの問題もないと思います。
ただ、学資保険の場合はせいぜい「10年~15年」という期間で成果を出す必要性があり、一般的に学資保険に加入するような「子供が出来てまだ数年程度」と言った世帯の家計はそれほど資産を蓄えているとは言えません。(一般論です)
資産運用は前提として「蓄え」がないと効率的に運用できない事も少なくありません。その点を考慮した時に、あまりおすすめ出来ないケースの方が多いと言えます。
また、仮に少ない資産で大きな資金を作れたというケースも少なからず存在していると思いますが、そのようなケースでは大きなリスクを取っている事が多いです。
運用する方の考え方・合っている合っていないという部分も大きいとは思いますが、教育資金をそのようなリスクの大きな資産運用に回してしまうのは、リスクが高すぎます。
学資保険の本来の目的は「教育資金の積立て」です。資産運用の効率性という観点から見た時に、リスクの高い運用を行うのは人によって異なってくる部分ではありますが、少なくともそのような運用は「学資保険の代替」にはなりません。
まとめ
学資保険の代わりになるもの
- 学資保険のメリットや特徴を押さえておく
- 貯蓄・保険・資産運用が学資保険の代りになる
学資保険を貯蓄で代替する
- しっかりと貯蓄していける場合は、メリットは多い
- 貯蓄が苦手な人にとって、デメリットが大きい
学資保険を低解約返戻金型終身保険で代替する
- 低解約返戻金型終身保険は保険料が安い
- 他の用途にも使える
- 中途解約のデメリットが大きい
学資保険の代わりに資産運用を行う
- 資産運用が得意な方にはおすすめ
- 教育資金のために資産運用を行うのはおすすめできない
今回は、学資保険の代わりというテーマで、貯蓄・保険・資産運用という代替方法の特徴やメリット・デメリットについてご紹介させて頂きました。
基本的に、教育資金を貯蓄するだけなら利便性の高い学資保険ですが、何らかの事情で学資保険ではなく、他の方法で教育資金を貯蓄していきたいという場合でも、選択肢も沢山存在しています。
メリット・デメリットをしっかりとチェックして、最も自分に合っている貯蓄方法を選んでいきましょう。