今から準備しておこう!退職金の上手な管理方法とおすすめの運用方法

定年後は、旅行や趣味を楽しみ、悠々自的な暮らしを送りたいものですよね。

長年勤めた会社を定年で退職し、退職金を受け取る方の中には、その資金を運用をすることで、ゆとりのある老後生活を目指したいと考えている方もいるでしょう。

こうした場合、退職金の運用においてはリスクの高い投資を選ぶことは避けるなど、注意点もあります.

一般的に、職のない高齢夫婦2人で老後生活を送るための最低日常生活費は約平均23万円と言われています。また、日常の生活費以外にレジャーなどを楽しみながら暮らす場合のゆとりある老後生活費は平均で35万円という結果でした。

さらに税金などの非消費支出分の約28,000円を加えると、実支出は約26万円。実支出とは、消費支出と非消費支出を合計した支出のことです。統計による、最低日常生活費より上回る結果が出ています。

対して、収入はどうかというと、全国平均は、21万円となりますので、毎月ごとに5万円以上の赤字が出ている計算となります。

男女の平均寿命は、少しずつ伸びていて、男性81年、女性88年ですので、ここでは目安として85歳までで計算します。65歳で定年退職して、老後とすると、20年間で、5万円×12ヶ月×20年=1,200万円。

日常生活費だけでも20年間で、1,200万円の赤字です。

厚生労働省の平成30年就労条件総合調査の概況によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の退職給付額は以下の通りです。

  • 大学卒・・・1,900万円
  • 高校卒(管理・事務・技術職)・・・1,600万円
  • 高校卒(現業職)・・・1,159万円

貯蓄額や個人年金などの収入によっても経済状況は変わりますが、万が一の際の入院費や、老人介護施設への入居費用など、生活費以外の支出があることを考えるとギリギリの生活になってしまうことが考えられます。

楽しいシニアライフを送るための資金を充分に貯めておきたいものです。

そこで今回は、退職金の運用方法と管理の仕方をご紹介します。計画的な退職金の使い方や運用方法を考えて、憧れのシニアライフを手に入れましょう。

退職金にかかる税金

退職金の受取方法には、年金形式または、時金がありますが、一定の金額までは税金がかかりません。年金形式の場合は、公的年金と合わせて、65歳未満なら70万円/年を超えた分、65歳以上なら120万円/年を超えた分が、雑所得として課税されます。

一方、一時金の場合は、税制面での優遇が大きく、勤続年数に応じた非課税枠があり、下の表の通り、長く勤めた方ほど税金がかからない仕組みです。さらに、非課税枠を超えた金額については、その半分だけが課税されます。勤務先に、退職所得の受給に関する申告書を提出すれば、非課税枠を考慮された所得税・住民税が天引きされて振り込まれます。申告書を提出しない場合は、20.42%の所得税が源泉徴収され、後から確定申告が必要になりますので、注意しましょう。

勤続年数退職金から控除される金額(非課税枠)
20年以下40万円×勤続年数

※80万円に満たない場合は、80万円となる

20年以上800万円+70万円×(勤続年数-20年)

退職金をうまく管理しよう

まずは、資産を分類しよう

運用を始める前の基本的な考え方についてご説明いたします。まず、資産を大きく3つに分類することから始めましょう。

  1. 生活資金(1年以内に使う予定の資金)
  2. 使い途が決まっている資金(1年以上使う予定がない資金)
  3. 余裕資金(当面使う予定がなく、生活に支障がない資金)

生活資金は、安全性かつ流動性の高い資金ですので、普通預金、MRF(安全性の高い公社債などで運用される投資信託)等にしておくことが、一般的です。いざという時の緊急資金(通常生活費の6か月分から1年分)は生活資金、もしくは使い道が決まっている資金で準備をしておきます。

では、使い途が決まっている資金余裕資金の運用について考えていきます。

自宅の改装工事や子どもの進学資金援助等、使う予定がある資金の運用です。数年後に現金化が可能な定期預金、債券等で運用をします。退職金入金日から一定期間は、銀行等で退職金専用の優遇金利をつけているものもありますので、ぜひ活用したいものです。

定期預金でも、ネット銀行などは店舗費用が掛からないため、店舗のある銀行に比べ、総じて金利を高く設定しています。ネット銀行や地方銀行はボーナス時期など優遇金利を付けるキャンペーンを実施しています。このようなキャンペーンを活用するのも一つの方法です。ただし、口座数を増やしすぎると管理が難しくなるため、口座数は2個くらいに留めておきましょう。

また、目的別に運用先を変えることも考えてはいかがでしょうか。例えば、デパートで良く買い物をする方は、デパートの友の会で積み立てをするといいでしょう。毎月1万円を積み立てると1年後に1か月分プラスとなる13万円分の商品券になりますので、効率的な運用になります。旅行好きな方は、各旅行会社が扱っている旅行積立があります。いずれも積み立てたデパートや旅行会社でしか使用できませんが、預金金利に比べると率が高くなっています。目的に合わせて貯めて使う資金になります。

次は、余裕資金の運用です。

余裕資金は長期での運用が可能になります。ただし、余裕資金の全額を投資に回す必要はありません。リスク許容度は個々違いますので、自分が安心して取れるリスクの範囲内で、株式や投資信託、REIT(不動産投資信託)などで運用をしていくといいでしょう。最近は投資先も含めてまるごとAIに任せるサービスも増えてきています。どうしても投資先を決められないという方は、こういうサービスを調べてみるのもいいかもしれません。

また、長い期間の運用になると手数料が意外とバカにできない額になるので、NISAや積立NISAなどの非課税制度が利用できる方は、分散をしながら非課税のメリットを活かすことができますので、有効活用したいものです。

退職金の運用方法

退職金の運用におけるポイント

退職金の運用においては、年齢が若い方の資産運用方法とは異なるポイントがあります。やり直しがきかない退職金ですから、より堅実に運用しなければなりません。そんな退職金を運用する際の注意点やコツを解説します。

なるべく損は避ける

多くの方は退職後、労働による収入は見込めず、年金が主な収入源となります。そうした方は基本的に大損をする可能性のある投資を心がけるべきです。

例えば、FXや仮想通貨などの投資の場合、成功すると大きい利益を得られる可能性がありますが、その反面、大損失を被るリスクもあります。

退職金を運用した結果、損失を被ってしまっても、失った資金分を働いて挽回することは簡単では無いでしょう。そのため、基本的にリスクの高い投資は避けるべきです。

退職金の運用で損失を被ることは若い方と比べると、大きなリスクであると認識し、比較的安定した運用ができる金融商品に注目しましょう。

運用を他人任せにせず、自分で考える

資産運用の知識がない方の中には、第三者に退職金の運用を任せる方もいるでしょう。しかし可能な限り、自身で運用をして資産運用の知識をつけたほうが良いでしょう。

もちろんプロに任せると、上手に運用してくれるかもしれません。しかし、失敗する可能性もあります。また、自分自身に知見がつかないため、いつまでも第三者に運用してもらうといった状態を続ける必要があります。

資産運用の経験が無い、もしくは少ない方で損失を被りたく無い方は、より安定性の高い方法で退職金を運用し、少しずつ知識と経験を積んでいくと良いのではないでしょうか。

分散投資は徹底する

退職金を運用するのであれば、分散投資は必須といえます。分散投資とは複数の金融商品に投資し、リスクを分散することです。分散投資のメリットは集中投資よりも安定性が高いことです。

例えば、1つの株式会社に集中して投資を行い、その会社の成績が大きく下がると、損失額も大きなものになります。

反対に、複数の金融商品に投資していた場合、仮に1つの商品の成績が下落しても、投資している他の商品の価値が上がっていると、全体的に見ると損失とならないかもしれません。合計して損失となったとしても、損失額を抑える効果が期待できます。

分散投資することで、いざという時のリスクを抑えることができます。

手数料に気をつける

退職金を運用する上で、手数料は大切な注意点の1つです。

ほぼ全ての金融商品には手数料が発生します。手数料が大きいと、当然利益率が下がってしまいます。

例えば1,000万円を投資して、投資時にかかる手数料率が5%だった場合、50万円のコストがかかります。一方、手数料率が1%であれば、10万円のコストになり、合計40万円を省くことができます。

金融商品やファンドごとに手数料や手数料率は異なるので、できる限りコストが低いものを選ぶと良いでしょう。

低リスクな運用方法

退職金を運用する場合、リスクが低い資産運用を選ぶことが基本となってきます。ここからは、比較的リスクが低いとされる金融商品を見ていきましょう。

銀行預金

資産運用の中でも銀行預金は、特に安全性の高い運用となります。

銀行だったとしても倒産する可能性がないわけではありません。倒産した場合のことについても考えておかなければなりませんが、定期預金が低リスクとされている最も大きな理由は、1,000万円までであれば全額保護の対象になるということ。

ペイオフと呼ばれる制度のことです。一つの金融機関についての元本保証が1,000万円までとなっているので、1,000万円を超えるような場合は複数の金融機関に分けて預けておくと更に安心度が高まります。 もちろん、このペイオフシステムが将来的にどうなっていくのかはまだわかりませんが、現段階において言えば元本消失のリスクはほとんどなく、非常に安全性の高いリスクの少ない商品だといえます。例えば投資信託の場合は価格変動・為替変動・金利変動・信用リスクなど様々なリスクがありますが、こういった心配もありません。

しかし、全国の銀行の預金利率は平均で0.01%以下です。ゆとりのある老後を目指すには少々頼りない運用先となります。

社債

社債は元本保証がないため国債や銀行預金と比較すると、少々リスクが高いと言えるでしょう。それでも仮想通貨投資などと比べると圧倒的にリスクが低い金融商品です。

また、国債や銀行預金と比べると、年利が高い傾向があります。

債務不履行にならない限りは利子の受け取りが可能です。信用の高い会社の社債を購入することで賢い運用ができるかもしれません。

純金積立

純金積立は、不景気の時に特に力を発揮する、とても安定感がある金融商品です。

純金は世界的にも取引されており価値の高い鉱物です。また、物量に限りがあるため価値がなくなるリスクが比較的低い点が特徴です。一方、純金積立は配当や利息が無く、利益を上げるには金の価値が上昇を期待する必要がある点には注意してください。

国債

国債とは、日本国が発行している債券のことです。元本の保証してくれる先が日本国ですので、日本国の信用が現状より悪化することがなければ、安全性という点についてとても優れている資産運用方法だと言えます。

このことから、投資初心者の方にも向いていると言われています。元本割れのリスクは非常に少ないです。

万が一国が破綻するようなことがあった場合には完本と利息が支払われない可能性もありますが、言い換えてみれば日本が破綻するようなことがなければ安心だということです。

確かに日本国内にいると日本は安全で信用度も高い気がするけれど、世界的にみたらそうでもないのではないか。と思う方もいるかもしれませんが、信用格付会社による信用リスクをチェックしてみても日本の評価は非常に高くなっています。

また、個人向け国債の場合は発行日から1年を経過しているのであれば、いつでも換金が可能となっているのも安全性が高い理由です。ただ、元本割れリスクがない定期預金に比べると、市場金利によっては途中売却した場合に損失が出る可能性があります。

また、定期預金と同じくリターンとなる利息に関しては、日本国内の低金利が適用されるためあまり期待はできません。

保険や個人年金

保険・個人年金とは、自分で年金を積立てていくことで、満期後に契約で定めた年齢から年金を受け取ることができる仕組みの資産運用方法です。主に保険会社が提供していて、将来公的年金にプラスした収入が得られる事になります。ただし、受け取れる金額は契約時に確定されているので、それ以上に増やすことはできません。

保険や個人年金による資産運用は、それぞれのライフプランに合わせて運用設計ができるというのが特徴です。原則として満期前の引き出しはできず、長期の運用が求められます。リスクが極めて少なく税制の優遇もあるので、堅実な方法であると言えるでしょう。

個人年金は元本割れのリスクが非常に少ないため、リスクの低い商品だといえます。リターンの大きい投資方法の多くで問題になってくるのが元本割れのリスクですが、定期預金に似た特徴を持ち、こういったリスクがないのは魅力的です。

ただ、なにか理由があって満期を待たずに途中解約した場合には元本割れをする可能性もゼロではないので、注意しておかなければなりません。また、商品の種類も無数にあるので、リスクを分散することができます。

NISA

NISAとは、少額投資非課税制度のこと。導入されたのは2014年とまだ記憶に残る最近のことです。通常株式や投資信託などに投資をし、売却した際に発生する売買益や配当金・分配金に対しては20%の税金がかかります。ですが、NISAの口座は非課税口座となり、毎年120万円を上限として新規購入分を対象に、分配金・配当金、売買益といったものが最長で5年間非課税になるのです。

120万円のうちであれば分割して投資を行えるだけでなく、払い出しや売却についてはいつでも好きな時に行えるのも魅力です。例えば、株式を購入し、翌年に20万円以上の利益が出た場合、利益に対し約20%ほどの税金が徴収されるのですが、NISAで取引をしていれば非課税となります。

少額で始められることに加え、発生した利益に対して課税されない特徴を持っていることからリスクはかなり低いです。そのため、これまで投資をしたことがない方でも検討しやすくなっています。ただ、NISAの投資で大きなメリットがあるのはあくまで利益が出た時の話で、NISAで投資をすれば利益が出やすいという話ではないので、この点を勘違いしないようにしましょう。

まとめ

退職金を運用するにあたっての管理方法から、ポイントや各種運用方法について解説しました。退職後は若い頃よりも労働による収入が期待できなくなるため、リスクを抑えた資産運用が重要になるでしょう。

また、平均年齢もこれから高くなると思われます。そうなってくると必要なお金もさらに多くなることになります。

安定性を重視した資産運用を心がけ、早いうちから、少しずつ利益を積み立てていくと良いでしょう。

白井 貴也
白井 貴也
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1996年生まれ、神奈川県在住。金融業界歴6年、ファイナンシャルプランニング技能士。独立系FPの立場からの中立な意見で、皆様の役に立つ情報を伝えていきます。

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