非課税口座であるNISA、つみたてNISA、個人確定拠出型年金のiDeCoについて分かりやすく説明します

現在(2019年6月時点)の都市銀行の1年物の定期預金の金利は、わずか0.01%です.

100万円を1年間預けても金利は、わずか100円(税引き前)しか付きません。これでは、お金を殖やすことが出来ません。先日金融庁が老後のために2,000万円必要であると発表しました。

国税庁の民間給与実態統計調査によると、平成28年度の給与所得者(サラリーマン)の平均年収は男性521万円、女性280万円でした。

この給料や金利情勢の中で、老後資金を貯めることは容易ではありません。しかし、公的年金があてにならないかもしれないことを考えると自助努力で資産を形成していく必要はあります。

公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)だけでは豊かな老後生活を送れない可能性が強いのです。

公共財団法人生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」によると、ゆとりある老後の生活を送るために必要なお金は毎月34.9万円と言われています。しかし、65歳から受け取れる公的年金の金額ですが、会社員と専業主婦の夫婦の場合、平均毎月約22.1万円なのです。差額は12.8万円あります。

今回は、資産形成に役立つ、非課税口座制度について詳しく説明していきます。

 

NISAとは

この章では、非課税口座の代表格である、NISAについて詳しく説明していきます。

NISAとは、2014年度から始まった、投資によって得られた収益が非課税になる制度のことをいいます。通常、投資信託や株式などで得た利益については、20.315%の税金がかかります。

しかしNISAを利用するば、投資信託や株式などで得た利益について、税金がかからない制度になるのです。

もし、10万円利益が出た場合、20.315%の税金がかかると手取りは8万円になります。20.315%の税金がかかる、かからないでは大きな違いになるのです。

NISAの概要

こちらでは、NISAの概要について説明をします。

  • 日本国内に住む20歳以上の人なら誰でも利用可能
  • NISA口座を通じた年間120万円までの投資による収益が、最長5年間非課税に
  • ISAの対象商品は、上場株式、株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)など

NISAの主な内容は、上記のようになります。

NISAは、日本国内に住む20歳以上の方であればだれでも利用することが出来ます。年間の投資上限額は、120万円までです。NISA適用の最長投資期間は5年間になります。

またNISAの主な対象商品は、株式や投資信託になります。

いかがでしょうか?非常にシンプルな制度なので理解しやすいと思います。ではこのNISA制度のメリット、デメリットについて説明していきます。

NISAのメリット

NISAの主なメリットは、1つになります。当たり前ですが、投資による収益が、非課税になることです。

先程も述べましたがもし投資による収益が10万円出た場合、課税される場合と非課税の場合で、2万円も手取り金額は変わってきます。非課税であることは、資産形成する上で非常に大きなメリットになります。

NISAのデメリット

NISAには、投資に対する利益が非課税という大きなメリットがあります。しかし、当然ですが、デメリットもあります。NISAの主なデメリットは、主に2つあります。

NISA口座は、1人1金融機関でしか開くことが出来ない

NISAの主なデメリットの1つ目は、NISA口座は、1人に付き金融機関でか開くことが出来ないことです。A証券とB証券の商品を買うということが出来ません。

1つの金融機関にしかNISA口座を開くことが出来ないためNISA口座を開く際は、慎重に選ぶ必要があります。

翌年に非課税枠を繰り越すことが出来ない

NISAの主なデメリットの2つ目は、非課税枠が余っても翌年に繰り越すことが出来ないことです。

例えば、100万円分NISA枠を使って残りの20万円を翌年に繰越することが出来ないということです。相場状況によっては投資しづらい環境も当然あるので少し柔軟性に欠けるところがデメリットになります。

NISAにも当然デメリットはあります。しかし非課税ということはデメリットをはるかに上回るメリットになるかと思います。

つみたてNISAとは

この章では、つみたてNISAについて説明をします。つみたてNISAとは、2018年1月よりスタートした安定的な資産形成をサポートする「非課税で少額から投資出来る制度」になっています。

つみたてNISAの概略

2014年にNISAが始まりました。NISAのつみたてバージョンがつみたてNISAになります。つみたてNISAは、2018年に始まった運用益に税金がかからない制度になります。

毎年上限40万円まで積み立てることが出来、最長20年間利用することが出来ます。

一般NISAとつみたてNISAの違いは以下の表になります。

制度 一般NISA つみたてNISA
年間投資枠 120万円 40万円
非課税期間 5年(最長10年) 20年
実施期間 2023年まで 2037年まで
対象商品 株式、投資信託 投資信託のみ

NISAもつみたてNISAも運用益に対して非課税であることは変わりありません。しかし上記のように異なる点も多いのでしっかり理解していきましょう。

つみたてNISAのメリット

つみたてNISAもNISA同様メリットの多い制度になります。こちらでは、つみたてNISAの主なメリットについて3つ紹介します。

運用益に対して非課税であること

つみたてNISAの主なメリットの1つ目はつみたてNISAは、利益に対して税金がかからないことです。運用益に対して非課税であることが最大のメリットになります。

ドルコスト平均法

つみたてNISAのメリットの2つ目は、ドルコスト平均法で投資していることです。

ドルコスト平均法とは、定期的に一定金額分投資商品を買っていく方法のことをいいます。毎回、一定金額分を買うことにより、おのずと、高値のときは少ししか買わず、安値のときに多く買うことになります。長期間続けると購入平均価格が平均化されるメリットがあります。

つみたてN I SAで利用できる商品性が非常に良い

つみたてNISAのメリットの3つ目は、つみたてNISAで利用出来る商品性が非常に良いことです。

つみたてNISAで利用出来る商品は、金融庁から認可を受けた商品のみになっています。長期運用に適した商品が厳選されているので当然商品性は非常に良いものばかりになっています。

つみたてNISAのデメリット

つみたてNISAは、メリットの多い商品ですが、当然デメリットもあります。つみたてNISAの主なデメリットは2つあります。

対象となる商品が限られている

つみたてNISAの主なデメリットの1つ目は、つみたてNISAで利用出来る商品が限られていることです。

つみたてNISAの対象となる商品は、投資信託に限られています。NISAと違い、個別株を買うことは出来ません。自分で自由に投資対象を選びたい投資経験者には、物足りないかもしれません。

年間の上限額が少ない

つみたてNISAの主なデメリットの2つ目は、年間上限投資額が少ないことです。

年間の上限投資額が40万円しかないので大きく投資したい投資家には物足りないかもしれません。

iDeCoとは

iDeCoとは、個人型確定拠出年金の愛称のことです。お得に老後資金を貯めることが出来る国が作ってくれた制度になります。

この章では、iDeCoについて詳しく説明していきます。

iDeCoの概略

iDeCoとは、先ほども述べましたが、個人型確定拠出年金の愛称です。簡単にいうとiDeCoは自分で作る自分年金になります。

iDeCoのメリット

老後資金を貯めるのにiDeCoは、非常にメリットの多い商品です。iDeCoの主なメリットは、5つあります。

掛け金が全額所得控除になること

iDeCoのメリットの1つ目は、iDeCoの掛け金は全額所得控除になることです。年収にもよりますが、税額控除を受けることが出来ます。

例えば、年収500万円の人が毎月2万円積立てた場合、年間で4万8千円税金が戻ってきます。

少額から始められる

iDeCoのメリットの2つ目は、iDeCoは少額から始めることが出来ることです。

iDeCoは毎月5,000円から始めることが出来ます。若い内から無理のない範囲で将来の準備をすることが出来ます。

iDeCoの利益は非課税

iDeCoのメリットの3つ目は、iDeCoの利益は非課税であることです。

iDeCoは主に投資信託で運用します。通常、投資信託で運用した場合、利益に対して20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの運用益には税金がかかりません。

iDeCoの資金を受け取る税制が優遇されている

iDeCoのメリットの4つ目は、iDeCoの資金を将来受け取るときの税制が優遇されていることです。

iDeCoで貯めた資金の受け取り方は、「一括」「年金方式」「一括+年金方式」の3種類から選べます。一括の場合は、退職所得控除が使えて、分割(年金方式)でも公的年金等控除が使えます。どちらもかなり優遇された税金の制度ですのでお得感があります。

運用出来る商品が豊富

iDeCoのメリットの5つ目は、iDeCoで運用できる商品が豊富であることです。

代表的なのが、投資信託と預金です。預金は元本割れがないのはメリットですが今の超低金利では、毎月の運用維持手数料に負けてしまいます。

おすすめの運用商品は投資信託です。iDeCoで運用出来る投資信託は、購入時の手数料が無料で、信託報酬と呼ばれるランニングコストが安いものばかりです。投資信託の積立運用は、10年以上行えばまず損することはありません。ランニングコストの安い投資信託を使ってしっかり利益を出しましょう!

iDeCoのデメリット

メリットの多いiDeCoですが、当然デメリットもあります。主なデメリットを3つ紹介します。

原則60歳までお金を引き出せないこと

iDeCoのデメリットの1つ目は、原則60歳までお金を引き出せないことです。

iDeCoの資金は原則60歳まで引き出すことが出来ません。

なのでiDeCoで運用する資金は余裕資金である必要があります。60歳までお金を引き出すことが出来ないことは確かにデメリットになります。

しかし逆にいえば60歳になった時に確実にお金が残っていると考えることも出来ます。老後に資金を確実に残すといった意味では、メリットになるかもしれません。

掛け金の上限金額が少ない

iDeCoのデメリットの2つ目は、掛け金の上限額が少ないことです。

会社員の場合、月に最大2万3,000円しか積み立てることが出来ません。(企業年金のある会社に勤めていると更に少なくなります。)

DC:確定拠出年金 DB:確定給付企業年金、厚生年金基金

(出典:https://www.ideco-koushiki.jp/start/)

手数料がかかること

iDeCoのデメリットの3つ目は、手数料がかかることです。

iDeCoは口座管理手数料などの手数料がかかります。この手数料は、すべての金融機関が同じというわけではありません。大手銀行の手数料は高いのでネット証券などを活用するのがおすすめです。

iDeCoの始め方

非常にメリットの多いiDeCoですがどのように始めたら良いのか分からない方もいるかと思います。iDeCoの始め方はとても簡単です。まずiDeCoを取り扱っている金融機関を探します。

この時のポイントですが、どこの金融機関も同じだと思わないことです。一般的には、都市銀行はiDeCoの手数料は高い傾向にあります。また都市銀行だとなんとなく安心をする方は多いと思いますがiDeCoは銀行にとって儲かる商品ではありません。

儲からない商品を積極的におすすめすることはないので行員もiDeCoについて詳しく知らないケースが多いと思います。iDeCoは様々な金融商品を組み合わせることが出来る商品になります。行員のいうことをそのまま聞くのではなくご自身で情報を集めたほうが良いかと思います。

おすすめはネット銀行やネット証券です。

手数料が安いことが多いので長期間保有するiDeCoにおいては手数料の差は最終的な運用成果に大きな影響を与えるからです。iDeCoを始める金融機関が決まったら申込書を取り寄せます。

申込書の中に、「事業所登録申請書兼第二号加入者に係る事業主の証明書」という書類があるのでお勤め先に提出し記入・捺印してもらいます。それを申込必要書類と同封して返送するだけです。運用が始まると毎月指定した口座からお金が引き落とされます。郵送で手続きが出来るので手軽に始めることが出来ます。

シチュエーション別!あなたに合う商品はどれ?

この章では、NISA、つみたてNISA、iDeCoについてどの商品が合うかのかについてシチュエーション別に紹介していきます。

NISAが合う人

NISAが合う人は、比較的大きな金額で投資をしたい方です。NISAは上限金額が120万円とつみたてNISAやiDeCoに比べると投資金額が大きいのでまとまった資金で運用したい方におすすめです。

また、投資対象の中に、個別株があるので運用することが好きな方や積極的にリスクを取りたい方にもおすすめ出来ます。

つみたてNISAが合う人

つみたてNISAが合う人は、毎月コツコツ投資をしていきたい方です。年間投資上限額が40万円と少ないですが、投資期間が最長5年と長いので若い方におすすめ出来ます、

投資対象に株式などがなく投資信託だけになっているので、あまり投資に詳しくない方にもおすすめです。

つみたてNISAは、いつでも解約することが出来る金融商品になります。どうしても解約出来なことが気になる方については、iDeCoではなくつみたてNISAを併用して老後資金を貯めるのが良いかもしれません。

iDeCoが合う人

iDeCoが合う人は、公的年金の少ない自営業者などです。国民年金の平均支給額は、約55,000円です。(厚生労働省「平成28年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」より)。

国民年金だけではとても生活をすることは出来ません。またiDeCoには所得控除があります。つみたてNISAは運用益に関しては非課税になりますが所得控除には使えません。またいつでも解約が出来るということは老後にしっかりお金が貯まらない可能性があります。

老後資金をしっかり貯めたい方にはiDeCoがおすすめです。

理想はNISAとiDeCo、つみたてNISAとiDeCoの併用

NISAとつみたてNISAは併用することは出来ません。しかしNISAとiDeCo、つみたてNISAとiDeCoは併用することが出来ます。非課税制度はメリットが多いので可能であれば併用することをおすすめします。

まとめ

今回は、非課税投資制度である、NISA、つみたてNISA、iDeCoについて説明しました。どの制度も非常に優れているのです。現在は、人生100年時代ともいわれています。充実した老後を送るためにも、若い内から老後資金を計画的に用意しておくことが重要になります。

是非今回紹介した制度を有効活用し、計画的に老後資金を貯めていくきっかけになれば幸いです。

 

 

 

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