生命保険は入るべき!?適切な加入のタイミングはいつ?

大学を卒業し、社会人として働くようになると、保険に入ったほうがいいのかな?と悩む人が多くいます。周囲の人や親に勧められたり、同世代の友人が保険に加入したりしていると、何も入っていないことが不安になってしまうようです。しかし、20代になったからといって保険は絶対に必要なのでしょうか。今回は、保険に入る理由や、20代で生命保険、医療保険の加入を検討する場合のタイミングについて紹介します。

生命保険の役割

まず、保険に加入する理由について考えてみましょう。ひと口に保険といっても、生命保険や医療保険、自動車保険や火災保険、地震保険など種類はさまざま。もちろん、保険の種類が異なれば、「何に対して備える保険なのか」といった加入の目的や仕組みも違います。自分が保険によって備えるべきものがある場合に加入していれば良いため、当然、入る必要のない保険もあります。つまり、必ずしも保険に入っていないと不安とは考えなくていいのです。

保険とは、よく言われるように、万が一の事態に備えるものです。しかし、「何かあったら不安だから」といった漠然とした理由ではなく、事故で多額のお金が必要になるなど、もし起きてしまったら自力では対応が難しいという具体的なケースを想定し、お金を準備していくのが保険の基本です。そのため、備える必要のないものや、もし起きたとしても自分で対応ができるもののために保険料を支払うことはありません。保険の加入を考える時は、とりあえず入っておけば安心と思考停止せず、「自分にこの備えは本当に必要か」と冷静に判断してみましょう。

保険は種類が多く、仕組みが複雑に見えるようになっています。ただ、保険のことはわからないなりに、「働くようになったら、病気で入院する場合や死亡に備えておくべきなのかな」と考える人は少なくないようです。そのため、自分にとって必要な保障かどうかきちんと考える時間を持たず、保険会社のセールス担当者や周りの人に勧められるままに、医療保険や生命保険に加入しているというケースも珍しくありません。医療保険については後述するとして、では果たして20代で生命保険に加入する必要はあるのでしょうか。

そもそも、生命保険に加入して死亡保障を確保するべきなのは、養っている家族がいるなど、万が一自分が亡くなった時に、生活に困る人がいる場合です。つまり、20代だから保険は不要、というのではなく、生命保険は、自分の収入で生活している家族がいるかどうかを基準に判断することが大切です。20代で結婚していても、夫婦ともに正社員として働いているのであれば生命保険は要りませんし、妻が専業主婦でも、いざとなれば自分が働き収入を得ることができますので、多額の保障は必要ないでしょう。

ただし、結婚して子どもが生まれたら、話は大きく変わってきます。自分が死亡した後、子どもが独立するまでの間の生活費、教育費に備えて死亡保障を確保しましょう。このように、養う人がいる場合を除いては、基本的に20代で生命保険に加入する必要性はあまりないと言えます。

医療保険に入るときのポイント

それでは、医療保険はどうでしょう。20代独身なら生命保険は不要としても、病気やケガで入院する場合に備えて、医療保険だけは入っておくべきだと考える人も多いはずです。医療保険とは、入院や手術などの際に給付金が受け取れる保険のことを言います。入院したらいろいろとお金がかかりそうと考え、保障の充実した医療保険にあれこれ目移りした経験もあるのではないでしょうか。

しかし、医療保険にはこうした民間の保険会社が販売するものだけでなく、勤務先の会社の健康保険や国民健康保険などといった、公的医療保険もあります。まずは公的医療保険を利用すれば、医療費の自己負担は3割で済みます。さらに、健康保険には、高額療養費制度があり、自己負担が高くなり過ぎないよう上限が設けられています。高額療養費制度を利用したら、1ヶ月の医療費の自己負担額は、多くても10万円以下。勤めている会社によっては、健康保険組合や共済組合でさらに手厚い給付を行う場合もありますので、調べてみると良いでしょう。

こうした保障をすでに持っていることを踏まえれば、民間の医療保険でたくさん保障を用意する必要はないとわかります。また、病気やケガをしても、実際には入院まで至らず通院で済むケースがほとんどです。そうなると、役立つのは、健康保険やいつでも使える自由なお金、つまり貯金です。医療保険で必要な保障は、入院や手術に最低限備える程度で問題ありません。

なお、貯蓄が充分にあれば医療保険は不要と耳にしたことがあるかもしれません。確かにその通りで、それを言ってしまえば全ての保険は不要ということになってしまうのですが、実際には20代ではまだ貯蓄が多くなく、また、これから30代以降で結婚やマイホーム購入など様々なライフイベントが控えていることを考えると、できるだけ貯蓄は切り崩したくないものです。そのため、保険料を抑え必要最小限の医療保険に加入しつつ、その分貯蓄に励むのが良いでしょう。

保険は色々加入していれば安心な気持ちになるかもしれません。しかし、不要な保障のために大切なお金を払うよりも、もっと有意義な使い方があるはずです。自分に必要な保障を見極め、保険と上手に付き合うことが大切です

ライフステージ毎に異なる保険の目的

ライフステージとは、人生を一定の基準によっていくつかの期間に区切った場合の一つひとつの期間のことを指します。たとえば年齢によって、幼年→児童→少年→青年→壮年→老年などと分けることがそうです。

また、人がどのような人生を送るかを計画するライフプランにおいては、就職や結婚・出産などの生活が変わるきっかけとなるライフイベントを節目に区切ってライフステージを考えます。生命保険の加入や見直しについても、このライフイベントを節目としたライフステージにあわせて検討することになります。生命保険の場合のライフステージとは、就職→結婚→出産→マイホーム購入→子供の独立→定年退職などと分けることができます。

ライフステージのことをおわかりいただいたところで、ライフステージの変化にともない生命保険の必要保障額がどう変わるのかを考えてみましょう。必要保障額とは、万一死亡した場合に、残された家族がその後の生活を送るにあたって不足してしまうお金のことで、生命保険で保障すべき金額といえます。

万一、あなたが今死亡してしまったとしたら、残される家族はこれまで通り暮らしていけますか。

独身で1人暮らし、経済的に自立していて他の家族を養っていないという人であれば、誰かにお金を残すことはあまり考えなくてよいでしょう。しかし、一家を支える大黒柱の人であれば、その人の死亡=家族の収入がなくなることにつながります。十分な貯金がない場合は、家族に残すお金が足りていないということになってしまいます。

それでは、万一のときに家族に残すお金が足りない場合はどうしたらよいのでしょうか?

今から一生懸命積み立てておこうと思っても簡単なことではありませんし、十分なお金が貯まる前に死亡してしまうことだってあるかもしれません。そこで、その足りない金額である必要保障額を死亡保険金の額として、生命保険に加入して万一に備えるのです。

ライフステージの変化と必要保障額

自立した社会人になってからでも、結婚、出産、住宅購入などを節目にライフステージは変化していきます。それにともない必要保障額がどのように変化するのかを考えてみましょう。

ここでは、ライフステージによって必要保障額が大きく変化することになる典型的なパターンとして、男性が結婚してこどもを持ち、会社を定年退職するまでの期間で、必要保障額の変化をみてみます。

[独身期]就職して社会人になって経済的に独り立ちしたとき

扶養している家族がいるわけではなく、万一の場合に残すべきお金もほとんど必要ない。自分の身辺整理と葬式代程度のお金を残せれば十分です。

[結婚期]結婚して夫婦2人だけのとき

結婚して家族を持ったので、万一の場合に妻が生活を立て直すために必要なお金を残す必要があります。共働きであれば、その額は少額でいいでしょう。

[出産後]子どもが生まれて小さい頃からマイホーム購入まで

万一の場合に、子どもが大人になるまでの生活費や教育資金を残す必要があります。もっとも必要保障額が大きくなる時期です。

[子どもの成長期]子どもがある程度大きくなり進学していくとき

こどもが大きくなってきて住宅を購入した場合は、その後の家賃負担を考慮しなくてよくなり、必要保障額が小さくなります。

[定年退職後]子どもが独立し再び夫婦2人の生活

子どもを扶養する負担がなくなり、必要保障額は小さくなります。

ライフステージにより必要保障額が変化することと同時に、その他必要となる保険も変ってきます。したがって、生命保険や医療保険はライフステージが変化する以下のようなライフイベントがあったときに加入したり、保障内容を見直したりすることをおすすめします。

ライフステージ毎の保険の入り方

独身期の保険は、社会人になったときに加入する

新社会人になり経済的にも独立したときが、自分の保険について最初に考えるときです。扶養している家族等がいない場合であれば、死亡後に自分の葬式代などの死後の整理資金として300万円〜500万円程度残せれば十分なので、それだけの貯蓄がない場合は、300万円くらいの終身保険に加入するとよいでしょう。

医療保険については、保険料が割安な時期なので、このタイミングで一生の保障を見据えた保険に加入するか、あるいは、貯蓄がしっかりできる人であれば定期的な貯蓄で備えていくか、判断するとよいでしょう。

結婚期の保険は、結婚したときに加入または見直しをする

結婚すると、何かあったときに配偶者に対してどんな影響があるかを考えなければなりません。

夫婦共働きで、お互いに十分な収入がある場合は死亡保障はそれほど必要ではありません。独身時代と同様に300万円〜50万円くらいの終身保険に加入するとよいでしょう。

働いているのが夫または妻の片方だけというときは、家計を支える世帯主はさらに定期保険などで500~600万円くらい上乗せの保険に入るとよいでしょう。

医療保険については、独身期と同様な考え方となります。

育児期の保険は、子どもが生まれたときに見直しをする

子どもが生まれると、親としての責任が重くなります。子どもの人数や年齢、教育プランによって変わりますが、世帯主には数千万円の死亡保障が必要となってきます。現在の手取り月収をもとに、収入保障保険の月額などを決めて、こどもが独立するまでの間加入するなど検討してみてもよいでしょう。

医療保険については、子育て期で貯蓄の確保が難しい時期なので、万が一の備えが足りていない場合は加入しておくとよいでしょう。基本的には、世帯主の死亡保障を厚くすることがポイントとなります。

子どもの成長期の保険は、マイホーム購入をめどに見直しをする

住宅を購入すると、その後は家賃の支払いが不要になります。また住宅ローンを組んだ場合は、一部のローンを除いて、ほぼ団体信用生命保険に加入することになるため、死亡後は住宅ローンの返済が不要となります。

そのため、これまで加入していた生命保険の保険金額を家賃の支払いに相当する金額だけ減額することができます。保険を減額すると、保険料の支払い負担を軽くすることができます。住宅購入時には、必ず生命保険を見直すべきです。これをせずにいる人が本当に多いので是非忘れずに見直しをしていただきたいです。

子育て後の保険は、子どもが独立したときに見直しをする

子どもが就職して独立すると、親としての経済的な責任が軽くなります。今後は夫婦2人だけの生活を中心にお金のことを考えればよくなります。

もし、子どもの生活費や教育資金を考慮した高額な生命保険に入っていて、まだ保険期間が残っている場合は、その保険を解約するか減額するとよいでしょう。

子育てが終了したら、死亡保障は1,000万円くらいから、配偶者が専業主婦(主夫)であれば2,000万円くらいまでを目安に最低限必要な金額にするとよいでしょう。

この時期になると、できるだけ高額な死亡保険に加入するより、老後に向けて貯蓄をしていくときだといえます。

老年期の保険は、定年退職したときに見直しをする

定年退職後で、夫婦ともに年金がもらえるようになれば、死亡保障はそれほど多く必要ではなくなります。相続税対策などの理由がなければ、高額な死亡保険に加入する必要もないので、余剰資金があるからといってすぐ保険に入らず、運用などを考えてみてはどうでしょう。老後をできるだけゆとりをもって生活していけるようなマネープランが見つかるはずです。

この年齢になると、健康の不安を感じて、ついつい傷害保険に入ったり割高な医療保険に入ったりしがちですが、傷害保険は病気の時には役に立ちませんし、医療保険もいくら払っていくらの保障があるのか、保険期間はいつまであるのかなどを冷静に判断して加入する必要があります。

死亡保障額のアベレージ

最後に、死亡保険金額の平均をライフステージ別に確認していきましょう。ライフステージ毎に分けると、子どもが生まれる前の夫婦のみのときから、子どもが生まれ、成長し、子どもが独立して高齢夫婦になるまで、家族構成の変化によって変わっていく備えの変化を確認することができます。

ライフステージ別の死亡保険金額では、子どもが小・中学生のときが約3500万円、子どもが高校・大学生のときが約3600万円で少し高くなっています。子どもの教育費に対する備えが保険金額にも少なからず反映されているようです。子どもが義務教育から高等教育を受けている間は、実際にかなりの教育費を負担しているか、近い将来負担する見込みで、教育費に対するリスクにとても敏感になっていると考えられます。 必要保障額で考えれば、子育て期間の長い、子どもが生まれた直後のほうが高額になります。将来の教育費負担も考慮した保険金額の設定をするとよいでしょう

まとめ

ライフステージとは、結婚や出産などのライフイベントで区切った人生のそれぞれの段階のことをいい、ライフステージが変わることで必要な保険や保障額がかわってきます。したがって、いくら十分な検討をしてよい保険に入っていたとしても、ライフステージが変わると自分に合っていない保険になってしまいます。

ライフステージが変わるときには、新たに生命保険に加入したり、既存の保険を見直したりすることが大切です。このライフステージが変わるポイントである、大きなライフイベントがあったときには、保険のこともあわせて考えるよう習慣づけるとよいでしょう。

また、性別や年齢、収入、ライフステージ等によって死亡保険金額が異なっているように、万一時に備える保険金額はそれぞれの世帯や備える時期によっても異なります。ここでは平均値を確認しましたが、平均値が適切な保険金額ではありません。まず、どのくらいの保障が必要なのか検討することが大事です。

白井 貴也
白井 貴也
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1996年生まれ、神奈川県在住。金融業界歴6年、ファイナンシャルプランニング技能士。独立系FPの立場からの中立な意見で、皆様の役に立つ情報を伝えていきます。

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