目次
Jリートに投資するにあたって、銘柄選びで悩む人は多いでしょう。何を重視するかによって選ぶJリートも異なるのですが、安定性や安全性を重視して選ぶのも1つの方法です。
Jリートの銘柄数は現時点では63種類あります。上場したてのJリートや大手企業がスポンサーのJリート、ベンチャーから上場に達したJリートなど、選ぶ銘柄によっては信用リスクが高いものも中にはあります。
各銘柄の資産規模を見ることで、その企業の安定性、安全性をはかる目安にすることができます。資産総額が高いJリートほど、運営が難航するリスクは低くなるといえます。そのような手堅い銘柄を選ぶのであれば、資産総額から判断してみるといいでしょう。
今回は資産総額で上位に位置するJリートをご紹介致します。ぜひ銘柄選びの参考にしてみて下さい。
J-REITの種類
J-REITは不動産が投資対象となりますが、それぞれJ-REITによって投資する不動産のタイプが異なります。まずはJ-REITの種類について基本をおさえておきたいと思います。
不動産投資にて対象となる収益物件はその物件の用途に応じていくつか種類があります。どのような種類があるのか確認していきましょう。
収益物件の種類
収益物件は、
- オフィス系(事務所、会社、本店、支店など)
- 住居用系(マンション、アパート、戸建てなど)
- 商業施設系(飲食店、小売店、その他サービス)
- 宿泊施設系(ホテル、旅館、民泊など)
- 物流系(倉庫、物流センターなど)
- ヘルスケア系(高齢者用施設、医療施設、医療サービス施設など)
と大まかに6種類に分類されています。
J-REITはそれぞれ、上記6種類のどのタイプの不動産に投資をするのかを確認することができます。1つのタイプの不動産に集中するものや、複数のタイプに分散するものなど色々です。
基本的に、J-REITは特化型と複合型(総合型)の大きく2つに分かれます。それぞれのJ-REITのタイプを詳しくご説明いたします。
特化型J-REIT
特化型J-REITとは、オフィス系ならオフィス系の収益物件のみと、1つのタイプに集中して不動産運用を行っていきます。特化型の場合は、用途が限定されますから、リサーチも比較的に容易になります。
例えばオフィスビルであれば、ビジネスの需要がどうなのかを見ていきますし、住宅用であればその物件の賃貸ニーズを考慮していきます。
複合型(総合型)J-REIT
複合型J-REITとは、オフィス系と住宅系などと複数のタイプの不動産に投資を行うものをいいます。複合タイプの場合は、例えば住宅系のニーズが低下したとしてもオフィス系のニーズは増加するなどと、リスクを分散できる点にあります。
ただ、一方から利益があったとしても、一方の損失からプラスマイナスゼロという結果になる場合も考えられます。
さらに、総合型とは様々なタイプの不動産に全般的に投資を行っていくものをいいます。そのJ-REITによってメインで投資をする不動産のタイプは異なり、中にはほぼ均等に分散投資を行うJ-REITもあります。
J-REITの選び方
J-REITを選ぶ際には、上記でご説明したように収益物件のタイプは何なのかを、まずは見ておくことが大切です。それぞれの投資家の意向に応じて、投資したい物件なのかどうかをHPからも確認することができます。
保有物件はすべてそのJ-REITのHPにて公開されています。
また、J-REITを選ぶ際には何を重視するかによって、適した銘柄も異なります。
何を重視する?
銘柄選びで重視したい項目は、例えば・・・
- 分配金の利回りを重視したい
- 騰落率がどうなのかを重視したい
- 収益物件の種類を重視したい
- 対象となる地域を重視したい
- 運用方針を重視したい
- 資産規模や時価総額を重視したい
など、投資家によって何を重視したいのかが異なるでしょう。もちろん、銘柄を選ぶ際には、様々な視点から見てどうなのかを考慮することが大切ですが、優先するものが何なのかを決めておくと選びやすくなります。
安定性や安全性を重視したい
値上がり率や分配金、あるいはそのJ-REITの投資方針の独自性なども銘柄選びにおいては重視されがちな傾向にありますが、そのJ-REITの安定性や安全性を最重視したい人も多いでしょう。
そういった意味からも、資産規模、時価総額が大きいJ-REITが国内外で注目されています。2018年11月にはJ-REITの全体の時価総額は初めて13兆円を突破しました。
貿易摩擦をきっかけに2018年に入ってから、世界的な規模でリスク回避姿勢が強まる中、このようなJ-REITのデータは多くの投資家にとって安全資産として映っているようです。
とくに外国人投資家によるJ-REITへの資金流入が本年度に入ってからも目立って増加しているのです。
資産総額で選ぶJ-REIT!
そこで今回は、安定性や安全性を最重視してJ-REITを選びたい人のために、資産総額で選ぶJ-REITを上位から順番にご紹介いたします。
※参照したデータは2019年6月4日時点での情報になります。
日本ビルファンド投資法人【8951】
資産総額でトップにランクインするのは日本ビルファンド投資法人です。
【資産総額】1兆1289億円
【価額】744,000円
特徴
日本ビルファンド投資法人は、背後に三井不動産グループが控えている超最強のJ‐REITです。日本銀行も7%出資しています。
資産総額1兆円を最初に超えたJ‐REITとして、世界的に注目されている銘柄です。日本ビルファンドは、騰落率でも上位に位置する銘柄であることから、安全性だけでなく値上がりによる収益も期待することができます。
- 東京都23区を中心にオフィスビルへ投資を行います。
信用格付け→JCR「AA+」、R&I「AA」
参考物件
※NBF大崎ビル
NBC大崎ビルは、もとSONYの自社ビルだったものを2013年に日本ビルファンド投資法人に660憶円で売却された物件です。現在でもSONY社が賃貸契約にて入居利用しており、現在の鑑定評価額は880憶円です。
NBC大崎ビルは、その特殊な外観から2014年に日本建築学会賞作品賞、BCS賞を受賞している価値の高いオフィスビルになります。
※詳しくは日本ビルファンドの公式サイトから。
ジャパンリアルエステイト【8952】
資産規模で2位にランクインするのはジャパンリアルエステイト投資法人です。
【資産総額】1兆251億円
【価額】648,000円
特徴
ジャパンリアルエステイト投資法人は三菱地所が出資するJ‐REITです。他にも三井物産が10%、日本銀行が7%出資しています。
日本で最初にREIT市場に上場した銘柄でもあり、唯一、外貨建てで資金調達を行った実績があることも高く評価されています。また、ビルの運営管理の向上を目的にテナント満足度調査を行っていることも、このJ-REITの特徴です。
- 東京5区を中心に関東エリア、その他地方都市のオフィスビルに投資をします。
信用格付け→R&I「AA」
参考物件
※汐留ビルディング
こちらの物件は、東京都港区のオフィスビルです。2008年~2017年にかけて部分的に取得されています。取得総額は1,000憶円を超え、保有物件の中で最も資産価値が高い物件になります。
汐留ビルディングはもともと、東急不動産、三菱地所、三井不動産、平和不動産が資金を提供し、東急不動産と三菱地所が共同開発したビルになります。
主なテナントは、NTTコミュニケーションズ、TOTO、三井住友カード、ロート製薬などです。
※詳しくはジャパンリアルエステイトの公式サイトから。
野村不動産マスターファンド【3462】
資産総額で3位にランクインするのは野村不動産マスターファンド投資法人です。
【資産総額】1兆86億円
【価額】167,100円
特徴
こちらのREITは野村不動産が出資する総合型J- REITです。2015年に、野村不動産オフィスファンド、野村不動産レジデンシャル、野村不動産マスターファンドが合併して設立されました。日本銀行が6%出資しています。
2019年2月に増資を発表し、それを機に1兆円超えのJ‐REITに加わりました。総合型REITでは最大級の銘柄で物件数が非常に多いのが特徴です。運用方針として景気感応度が高いセクターと低いセクターを組み合わせることでミドルリスクミドルリターンを目指しています。
- オフィス系を中心に住宅、物流、商業施設などに分散投資を行います。
信用格付け→JCR「AA」、R&I「A+」、S&P「A」
参考物件
※新宿野村ビル
新宿野村ビルは2003年に239億円で取得されたビルです。地下5階、地上50階建ての高層オフィス・商業ビルになります。49階と50階では飲食店のテナントが占めており、美しい夜景やネオンが展望できることで人気を集めています。
新宿駅、西新宿駅から徒歩5分以内の立地、さら地下3階~5階は330台の車が留めれる駐車場が完備されてあるのが、この物件の大きなメリットです。
※詳しくは野村不動産マスターファンドの公式サイトから。
日本リテールファンド投資法人【8953】
資産規模で続いて4位に登場するのは日本リテールファンド投資法人です。
【資産総額】9112億円
【価額】214,400円
特徴
日本リテールファンド投資法人は、三菱商事とUBSが出資するJ-REITです。2010年にラサールジャパン投資法人を吸収合併、2017年には自己投資口の拡大を図り、資産額を増やしています。
郊外の商業施設を売却し、都市部の商業施設を食い見れるなどして2015年以降は、都市部の収益物件が35%→50%に増加しています。商業施設特化型の銘柄として、取得価格ベースでは最大規模を誇っています。
- ショッピングモールやアミューズメントなど商業施設特化型のJ‐REITです。
信用格付け→R&I「AA-」
参考物件
※Gビル神宮前03
ショッピングの街、渋谷神宮前の商業施設です。神宮前の物件は他にも多数あり、神宮前シリーズとしてファッション・美容・エンタメに特化した商業ビルを展開しています。
上記物件はガラス張りでスタイリッシュな構造の建物で、この地域のニーズに応えています。原宿、明治通りの交差点からわずか200mに位置しており、周囲には外資系ブランドや人気のセレクトショップなどのお洒落なビルが集積しています。
※詳しくは日本リテールファンド投資法人の公式サイトから。
大和ハウスリート投資法人【8984】
大和ハウスリート投資法人は資産規模では5位のJ-REITです。
【資産総額】7505億円
【価額】255,400円
特徴
大和ハウスリート投資法人は大和ハウス工業が出資する総合型J-REITです。2006年以降から合併を繰り返して現在に至ります。提携先として、大和リース、大和情報サービス、大和ロイヤル、大和物流などがあります。
住宅メーカーでもある大和ハウスグループとの協業による、不動産企画、開発、施工、管理、運営と総合的に事業展開できることが大きな強みになっています。
- 物流施設をメインに、住宅、商業施設、宿泊施設へ投資を行います。
信用格付け→JCR「AA」、R&I「A+」
参考物件
※Dプロジェクト町田
上記の物件は東京都町田市にある5階建ての物流施設です。東名高速道路と中央自動車道に近接しており、配送拠点として好条件の立地になります。
また、この物流施設は省エネ機能に優れた建物として、BILS法、DBJ Green Building制度にて国からも高い評価を受けている物件です。エネルギーの削減量は48%、防災や環境、地域コミュニティへの配慮が充分になされているとの認証を受けています。
※詳しくは大和ハウスリート投資法人の公式サイトから。
オリックス不動産投資法人【8954】
資産総額6位はオリックス不動産投資法人です。
【資産総額】6635億円
【価額】193,100円
特徴
オリックス不動産投資法人はオリックスグループが出資する総合型J-REITです。日本銀行も6%出資しています。
2013年8月以降から連続9期に渡って増資を行っており資産規模を急拡大させているのが大きな特徴です。2013年に3558億円だった資産総額は6年間で約1.8倍に増加しています。
- オフィスをメインに商業施設、ホテル、物流施設、住居への投資を行っています。
信用格付け→JCR「AA」、R&I「AA-」
参考物件
※ホテルユニバーサルポート
上記の物件は大阪府大阪市にある、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのオフィシャルホテルです。オリックスグループが長年運営をしている物件で、2018年にオリックス投資法人が取得しました。
客室タイプはツイン、ダブル、ファミリーの全600室になります。海岸沿いに立地するこのホテルは夜になるとライトアップされ独特のファンタジーの世界を実現しています。
※詳しくはオリックス不動産投資法人の公式サイトから。
ユナイテッド・アーバン【8960】
では最後に資産規模第7位のユナイテッド・アーバン投資法人をご紹介いたします。
【資産総額】6216億円
【価額】178,300円
特徴
ユナイテッド・アーバン投資法人は丸紅が出資する総合型J‐REITです。日本銀行も7%出資しています。
ユナイテッド・アーバンの投資方針として、用途・地域を分散させることを徹底しています。東京圏内62%、地方が38%、商業施設とオフィスが各30%、ホテルが約21%、住居が7%でその他が約8%と幅広くリスクを分散しています。
- 用途・地域を分散した総合型REITです。
信用格付け→JCR「AA」
参考物件
※MA仙台ビル
こちらの物件は宮城県仙台市のオフィステナント付きの賃貸住宅です。住宅地としては落ち着いた雰囲気のエリアで人気が高い青葉区に立地しています。
仙台駅にも電車ですぐ、東側には市役所や区役所などの行政関連、北側には東北医学部、付属大学病院などの大学施設が多く、安定した賃貸ニーズ見込まれる物件です。
※詳しくはユナイテッド・アーバン投資法人の公式サイトから。
※REITの仕組みや種類に関して、以下の記事も参考にしてみて下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は安定性や安全性が高い、資産総額で選ぶJ-REITをご紹介致しました。
資産総額の上位3位は等しく1兆円を超えており、
- 日本ビルファンド投資法人
- ジャパンリアルエステイト投資法人
- 野村不動産マスターファンド投資法人
以上3つのJ-REITは3大J‐REITとして世界的にも注目されている銘柄になります。中でも野村不動産マスターファンドは資産総額の割には、20万円以下で購入できることから入手しやすいJ‐REITだといえます。
その他4位~7位までをご紹介していますが、日本リテールファンド投資法人などは独特の展開をしている点でおすすめです。
購入価格にこだわらないのであれば、やはり資産総額1位の日本ビルファンドは保有する物件の単価が高額で他とは大きく異なります。巨額な物件に投資ができるという意味ではおすすめです。
公式HPから、それぞれのJ-REITが保有する物件を写真付きで確認することができます。もし、実際にご自身で購入するとすればといった視点で見ていくと、要望に合った手堅いJ‐REITを探すことができるでしょう。
ぜひ、今回の記事を、この銘柄ならば信頼できると思えるJ‐REITを探しにお役立て下さい。