割安で購入できるJ-REITは?NAV倍率で選ぶJ-REIT特選!

J-REITを購入する際には銘柄選びでまず悩んでしまいます。J-REITは東証市場にて売買を行うETFに分類される投資信託です。それぞれ希望する価格にて売買できるのですが、購入のタイミングが難しくもあります。

あらゆる金融商品は価格が常に変動しています。上昇中のものを狙って購入する人もいれば、下がりきった時を狙って購入する人もいます。そこで、J‐REITの中でも、価格下がって割安な状況にある銘柄を探したいと思う人もいるでしょう。

そのJ‐REITの価格が高値にあるのか低値にあるのかの目安となる数値にNAV倍率というものがあります。

このNAV倍率を見ていくことで、その銘柄が今割高なのか割安なのかがわかります。今回は、このNAV倍率から選ぶ割安のJ‐REITをご紹介していきましょう。

J-REITの最新動向

2019年6月時点でのJ‐REITは堅調に推移しており、アメリカの中国への追加関税の発動による打撃も少なく良好な状態にあります。

株式などが軟調な動きを見せる中、貿易摩擦の影響を受けにくい国内不動産への期待が高まっているようです。日経平均株価が4日間続落しつつも、J‐REITは反発、上昇する気配を見せています。

※株式市場の動き 3か月チャート

出典:日経新聞

上記はアメリカ株式の指標となるNYダウジョーンズ平均株価と日経平均株価の、ここ3か月間の推移です。貿易摩擦によって投資家心理は明らかに悪化していることがわかります。

※東証REIT 3か月チャート

出典:SBI証券

一方、こちらはJ-REITの指標となる東証REIT指数の3カ月の動きです。ここ数日全体的な価格は下がってはいますが、上昇圏内にあると見ることができます。

ちなみに、東証REIT指数の数日のチャートを見ておきましょう。

※東証REIT 3日間チャート

出典:SBI証券

ここ3日間で見ると、高値圏内の底値にきていて、反発・上昇しようとする動きが見られています。平均的な価格で見れば、ちょうど今ぐらいがJ-REIT購入のタイミングかなとも思えるところです。

※少額から不動産投資ができる投資信託リートに関する記事が以下からご覧になれます。

NAV倍率とは

 

先述のように株式市場と相対的にみると、J‐REITは上昇に向かっているわけですが、高値圏にある銘柄は価格が割高になり、やはりリスクが高いと思う投資家もいることでしょう。

そこで、参考にしたいのが割安感を測る「NAV倍率」です。

NAV倍率とは、

不動産の純資産総額に対する、その銘柄の価格の割安度を表す数字になります。

J‐REITで使われているNAV倍率とは、株式でいえばPBR(株価純資産倍率)と似たようなものになります。このNAV倍率の数値が高いほど割高、NAV倍率の数値が低いほど割安であると判断することができるのです。

割高か割安か

人の心理とは不思議なもので、買う人が増えるとその銘柄を買いたくなります。反面、売る人が増えるとその銘柄を売りたくなってしまいます。このような心理から、パニック売りによる価格暴落、パニック買いによる価格高騰が起こります。

金融商品はそれぞれ、価格変動の要因となるものが異なるため、一概に必ずしも安い時に購入するのが100%正しいとはいえません。

しかし、極力安く買っておきたいという投資家にとっては、その銘柄の価格が今、割高なのか割安なのかを判断することが非常に重要なポイントとなります。

購入時の価格が割安であればそれだけ、値上がりによる売却益が出やすくなるからです。リスクを抑える方法としては最善の方法であるともいえます。

そのように考えた時に、このNAV倍率が銘柄選びの目安となるわけです。

平均は1倍前後

J-REITにおけるNAV倍率は、すべての銘柄にて概ねのところで1倍前後で動いています。割安か割高かの判断の基準は、NAV倍率が1倍以下の場合は割安であり、逆に2倍に近い数字となれば割高だと見ることができます。

NAV倍率が異常に低すぎる場合

もし、NAV倍率が異常に低すぎる場合には、単に割安だと判断するには注意が必要です。何かの不祥事、ネガティブな要素によって、その銘柄の存続が疑わしい場合もあります。

あるいは、単なるパニック売りの現象である場合もあり、情報収集をして見極めることが大切です。

NAV倍率が異常に高い場合

逆にNAV倍率が異常に高い場合も、同様に注意する必要があります。一時的な興奮によって、買いが集中し本来の価値以上に価格が高騰してしまう場合もあるからです。

そんな時には、その熱が冷めた時に一気に暴落する恐れがあります。

※NAV倍率を目安に銘柄選びをする際には以上のことを考慮して選ぶようにしましょう。

NAV倍率で選ぶJ‐REIT特選!

それでは、NAV倍率で選ぶ割安なJ-REITをご紹介いたします。

※参照したデータは2019年6月3日時点での情報になります。

大江戸温泉リート投資法人【3472】

今、NAV倍率が最も低いのが大江戸温泉リートです。

【NAV倍率】0.82%

出典:japan‐reit.com

【価額】83,500円

現在の価額は、上場来の価格変動で見た時には高値と底値のちょうど中間ぐらいに位置しています。年初来の高値は89,200円、年初来の安値は78,200円です。まだ、下がる余地はあるかなとも思えます。分配金利回りが高利回り5.70%であることも、価額低下の要素になっているかもしれません。

これからの展開が気になるところです。

特徴

大江戸温泉リートは100%宿泊施設へ不動産運用を行うリートです。温泉宿泊施設の再生事業に強みを持つ大江戸温泉物語グループがメインスポンサーになります。J-REITの中では比較的小規模な資産運用をしていますが、投資対象が温泉施設であるということが他にはない強みになっています。

何か新しい発想の宿泊施設が登場すれば一気に価額が上昇する可能性を秘めています。

参考物件

※大江戸温泉物語 きのさき

出典:大江戸温泉リート

こちらの温泉旅館は兵庫県豊岡市城崎(きのさき)町にあります。大江戸温泉物語シリーズとして関東・東北・四国と全国的な展開をしている物件の1つです。

100室~200室前後の中規模型ホテル・旅館を展開しています。

※大江戸温泉リートのHPを参考にご覧ください。

いちごホテルリート投資法人【3463】

いちごホテルリート投資法人はNAV倍率も低く、さらに騰落率でも今かなりお買い得なJ-REITになります。

【NAV倍率】0.85%

出典:japan‐reit.com

【価額】124,400円

上場してから数か月後に200,000円近くまで価額が高騰した履歴を持つリートです。底値は106,000円まで下がったことがありますがトータル的に今は底値圏に位置しています。

本年度に入ってから、上昇傾向にあるリートが多い中、下落を続けているのが気になるところです。

特徴

いちご株式会社がメインスポンサーのホテル特化型J‐REITです。既存中古不動産に新たな価値を加えて再生させることが、このリートの強みになります。全国的にほぼ均等に宿泊施設を展開しており、リスクを分散した不動産投資を実現しています。

「新築」ではなく「心築」することが、このリートのモットーです。

参考物件

いちごホテルリートのスポンサー、いちご株式会社はホテル型リート以外にも、オフィス型、インフラ型の不動産投資を展開しています。上記のホテルは京都市、市役所前に立地する物件です。

ビジネス、ショッピング、観光の需要が高い立地を確保するのが得意なリートです。

※いちごホテルリート投資法人のHPを参考にご覧下さい。

スターツプロシード投資法人【8979】

次にNAV倍率が低いのはスターツプロシード投資法人です。

【NAV倍率】0.86%

出典:japan‐reit.com

【価額】175,800円

現在の価額は、これまでの長期的な視野でみればちょうど中間に位置しています。2017年度に一旦価格が14万円台に下落してから約2年間は緩やかな上昇傾向にあります。

一日の取引総額が少ないこともあり、価格変動は少ないのですが将来的な値上がりを期待することができるでしょう。

特徴

建設、レジャー施設、不動産事業、IT事業と幅広い事業を行うスターツコーポレーションがスポンサーの住居特化型リートです。シングル・ディンクス向けの賃貸住宅物件が全体の半分以上を占めています。都心部の投資比率が少ないため賃料・売却益の大きな変動が見込めないというデメリットがあります。

しかし、各主要都市での暮らしやすい住宅地域に特化していることから安定した収益と成長が期待できるリートでもあります。

参考物件

※プロシード西新宿

出典:スターツプロシード投資法人

こちらの物件は東京都大田区の昔ながらの住宅街立地している小型の賃貸マンションです。近年、新築マンション、新築住宅などの開発が進んでいますが、年代ものの木造住宅の比率が多い地域になります。田園調布に近いことからも治安のよい安心できる地域とのイメージが強い物件です。

学校や工場、商店街など、住宅の需要が高いとされる地域を軸に展開しています。

※スターツプロシード投資法人のHPはこちらからご覧になれます。

日本ヘルスケア投資法人【3308】

割安価格帯を微妙に推移しているのが日本ヘルスケア投資法人リートです。

【NAV倍率】0.86%

出典:japan‐reit.com

【価額】172,800円

2014年に上場してから約半年間は20万円~30万円前後の価格にありました。2015年後半に価格が一気に暴落してからは、底値圏内を推移しているリートです。2016年以降は20万に触れる場面もありましたが、平均的に16万円~19万円の間で価格が動いています。年初からは比較的順調に上昇に向かっているようです。

何か新しい情報をきっかけに、価格が再度高騰する可能性もあるでしょう。

特徴

日本ヘルスケア投資法人は日本初のヘルスケア特化型J‐REITとして2014年に上場したJ-REITです。大和証券グループがメインスポンサーとなります。有料老人ホーム、高齢者向け住宅、医療施設、医療関連の開発施設など、高齢化社会の進展に応じた需要に向けて投資を行っています。また、医療サービスを提供しているニチイ学館、SOMPOケア、シダーなどと提携していることが大きな強みです。

買物代行や病院への送迎サービスなど、施設に付随したサービスの提供も同時に展開しています。

参考物件

※さわやか倶楽部

出典:日本ヘルスケア投資法人

上記の物件「さわやか大畠三番館」は福岡県の医療サービス、株式会社さわやか倶楽部との提携で展開している有料老人ホームです。日本ヘルスケア投資法人では全国の主要都市にて均等に投資物件を分散しています。

各都市部の中でも高齢者人口が増加している地域に特化して、施設の拡大を図っています。

※日本ヘルスケア投資法人のHPはこちらです。

ザイマックスリート投資法人【3488】

全体的に上昇傾向にありながらも割安の価格になっているのがザイマックスリート投資法人です。

【NAV倍率】0.87%

出典:japan‐reit.com

【価額】122,500円

上場以来の価額は上昇に向かっていながらも、NAV倍率が低いことがこのリートのおすすめ点です。今のところは底値が107,000円、高値が126,000円で、ごく最近高値更新をしたばかりで、まだまだ価格が伸びる可能性は大きいといえます。価格上昇の背景には、分配金が若干減少していることがあるのかもしれません。

上場時の価額は101,100円で騰落率は7.36%となっており、ひとまずは堅調なリートだといえます。

特徴

2018年2月に上場したばかりの新しいJ‐REITです。もともと多様な不動産展開をしているザイマックス株式会社がスポンサーです。ザイマックスは、2010年から6年連続で不動産マネジメント受託業務の高い評価となる、PM受託実績にて1位を獲得しています。幅広い分野に渡る不動産マネジメントの実力があるJ‐REITとなります。

ただ、まだ歴史が浅い企業でもあるため、今後の展開次第だといえる部分もあります。オフィス、商業施設、ホテルなど総合的に投資を行っています。

参考物件

※ホテルビスタ仙台

出典:ザイマックス投資法人

まだ、ザイマックス投資法人は保有物件も12件と少ないのですが、現在の不動産鑑定評価額は過去最大を記録しています。上記は仙台国際空港の民営化に特化して取得された物件です。モダンな外観と独特な雰囲気が魅力の中規模ホテル物件で、個人的にはこの路線で開発を進めてほしいなといったところです。

仙台市は外国人観光客も増加しており、国際空港がらみでビジネスと観光の需要を見込んでいる物件になります。

※ザイマックスリート投資法人のHPを参考にしてみて下さい。

伊藤忠アドバンス・ロジスティックス【3493】

伊藤忠アドバンス・ロジスティックスもまだ1年未満で、現在高値更新中で割安価格のJ-REITです。

【NAV倍率】0.90%

【価額】99,000円

大手企業、伊藤忠商事をスポンサーとするJ‐REITが今なら10万円以下で購入できます。価額自体も上場後は下落傾向にありましたが、年初来は比較的安定して上昇に向かっています。まだ値幅も狭く、底値は81,200円、高値は102,100円となり、今後の値上がりが期待できる割安J‐REITです。

ただ、8万円あたりに価額が下がる可能性があることも考慮しておく必要があります。

特徴

主要物件は、物流施設でまだ保有物件は8件ですが、さすがに大手総合商社であるだけに、凄みのある物流施設を保有していることが大きな強みです。伊藤忠商事の10万社におよぶ豊富な流通ネットワークを活かして物流不動産の保有・運用を行っていく方針です。

物流事業者のユーザー目線に立った不動産運用が実現した資産規模の拡大を図っています。

参考物件

※アイミッションズパーク三郷

出典:伊藤忠アドバンス・ロジスティックス

現段階では、千葉、埼玉、茨城の関東郊外にて物流施設が取得・運用されています。上記は埼玉県三郷市の国道6号線近辺に立地する物流倉庫です。斬新なデザインの倉庫で亜鉛メッキ銅板ぶきの仕上げとなっています。濃いグレーに水色と黄色の伊藤忠のマークが入っているのがかっこいい。

1階には大型トラック22台分のスぺースと、利便性が高い複数の出入り口が備えられています。

※伊藤忠アドバンス・ロジスティックスのHPはこちらになります。

※今回ご紹介したJ‐REITとは逆に、値上がり率で銘柄を選ぶなら、こちらの記事を参考にしてみて下さい。

※また、分配金利回り率で選ぶJ-REITの情報もご覧いただけます。

まとめ

過去5年間で、J-REITの資産価値は価格を上回るペースで上昇しています。つまり資産価値の増加に応じてJ‐REITの価額は追いついていない状態だといえるのです。

J‐REITのNAV倍率は過去平均よりも大きく低下しています。ということは、本来はもっと高い価額であってもおかしくないJ-REITがまだたくさんあることを意味しています。

J‐REITの価格が上昇しきれていない原因としては、やはり国内の人口減少、少子高齢化が根底にあることが考えられています。しかし、同時に外国人観光客の増加、東京オリンピックを契機とした国際化による不動産への期待は徐々に高まりつつあります。

とくに、海外投資家によるJ‐REITへの資金流入は前年と比較すると約5倍に増加しているのです。また、株式の投資家などが、貿易戦争など海外の経済事情の影響を受けにくい国内の不動産投資へと、投資対象を切り替える流れも期待されています。

色々な金融商品がある中、投資の対象が何なのかによって、それぞれ適した売買のタイミングあります。そういった意味でも、今からJ‐REITは最も利益が期待できる投資方法の1つだといえるのです。

この機会に、まだ価格が上がりきっていない割安のJ‐REITを探してみませんか?

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