相続で土地の評価額はどう決まる?税金の計算方法や名義変更の手続きを解説!

  • 相続財産に土地が含まれる場合、遺産としての評価額はどのように計算する?
  • 土地の活用方法によって相続税が安くなったり高くなったりするって本当?
  • 相続税対策を今から始めるとしたら何から始めたらいいの?

財産を所有している人が亡くなった場合、その財産は遺産として亡くなった人の親族が引き継ぐことになります。

一方で、遺産の金額が一定額を超える場合には、その一部を相続税として国に納めなくてはなりません。

相続税がいくらかかるのか?は相続される遺産の「評価額」によって決まり、その評価方法は財産の種類によって異なります。

この記事では、遺産に土地が含まれる場合の相続税評価額の計算方法を解説いたします。

土地を活用して相続税の負担額を小さくする方法についても紹介しますので、「これから相続税対策を検討する」という方もぜひ参考にしてみてください。

相続での土地の評価方法

相続財産に土地が含まれる場合、「路線価方式」または「倍率方式」のいずれかによって相続税評価額を計算します。

どのような評価方法を選択するかによって、最終的に負担する相続税の金額が大きく変わることもありますから注意が必要です(どの方法を選択するかは、遺産分割協議の場などで決めます)

以下ではそれぞれの方法について具体的な計算方法を解説いたします。

路線価方式による土地の相続税評価

路線価方式とは、その名の通り国が定める「路線価」という土地の値段に基づいて相続税評価額を計算する方法です。

土地が市街地や住宅地のような場所にある場合には路線価が設定されていますから、この路線価方式を用いることが多いでしょう。

(逆に、郊外の土地や農地や山林といった場所には路線価が設定されていないケースが多いですから、路線価方式を用いることはできません)

路線価は「1㎡あたりいくら」という形であらかじめ決まっています。

この金額は国税庁のホームページで確認できますので、確認するようにしましょう(毎年7月ごろに改訂されます:相続が発生した日が属する年度の路線価を用いなくてはなりません)

路線価図の見方

路線価は千円単位で表示されていますから、例えば「400D」という風に表示されている場合には、1㎡あたりの路線価は40万円という意味になります。

なお、数字の後についているアルファベットは、その土地の借地権割合を意味していますので、借地権が相続の対象となっている場合には、この割合をかけ算して評価額を求めます。

具体的には、以下のように借地権割合を表されています。

  • A:借地権割合は90%
  • B:借地権割合は80%
  • C:借地権割合は70%
  • D:借地権割合は60%
  • E:借地権割合は50%
  • D:借地権割合は40%
  • G:借地権割合は30%

なお、土地そのものの所有権が遺産である場合には、この借地権はあまり気にする必要はありません。

計算したい土地の路線価がわかったら、その土地の地積(広さ)に路線価をかけ算すれば、その土地の相続税評価額を知ることができます。

地積というのはその土地の登記簿上の広さのことで、登記簿謄本の表題部を見ると記載されています。

※実際の相続税評価額の計算においては、上の内容に土地の形による補正率の計算が加わりますので、もう少し複雑になります。ただし、おおまかな土地の評価額を知りたい場合には上の内容までを理解しておけば足ります)

倍率方式による土地の相続税評価

倍率方式は、ごく簡単にいえば「固定資産税評価額×一定の倍率」で土地の評価額を計算する方法です。

固定資産税評価額は、毎年所有者に贈られてくる納付書を見ればそのまま表示されていますから、路線価を使って計算するよりも簡単に相続税評価額を計算することができます。

「一定の倍率」は国税庁のホームページで地域と土地の用途によって決められていますので、確認しましょう。

例えば、固定資産税評価額が1億円で、倍率が1.1倍である場合には、その土地の相続税評価額は1億円×1.1倍=1億1000万円と計算することになります。

時価と相続税評価額の値段相場

なお、土地の固定資産税評価額は、それぞれの地域の市役所がかなり詳細に調査を行って値段を決めており、土地の時価に対しておおよそ7割程度の金額が固定資産税評価額として設定されているケースが多いです。

倍率方式によって相続税評価額を計算するときの「一定の倍率」には、1.1倍が設定されているケースが多いですので、時価=10とすると、固定資産税評価額は7・相続税評価額は8程度になることが多いことも知っておきましょう。

郊外の土地では倍率方式を使うことが多い

路線価が設定されている土地(住宅地や市街地など)については路線価方式を使うのが一般的ですが、路線価が設定されていない土地では倍率方式による土地評価方法を使う必要があります。

路線価は税務署(国の役所)が決めている土地の金額ですが、地方の土地については、国がすべて管理することはしていません。

そのため、地方の土地については、それぞれの地域の市役所が決めている固定資産税評価額を使って土地の評価を行うという発想で、路線価方式と倍率方式とが使い分けられているのです。

相続税の軽減措置が利用できるケース

上で見てきたように、遺産に土地が含まれる場合には、路線価方式または倍率方式を用いてその土地の相続税評価額を計算します。

一方で、その土地の状況や、利用状況に応じて、相続税の計算に当たって軽減措置を利用できる場合があります。

(簡単にいえば、土地の使い方によっては相続税を安くしてもらえるケースがあります)

具体的に利用頻度が高いものとしては、「小規模宅地等の特例」というものがあります。

次の項目では、土地の相続税評価額を大幅に軽減してもらえる「小規模宅地等の特例」の内容についてくわしく解説いたします。

最大で評価額が80%減!小規模宅地等の特例とは

小規模宅地等の特例とは、その名の通り「宅地として使っている小さい土地については、相続税を軽減してもらえる」というルールのことです。

宅地というのは簡単にいえば住宅を建てるためにつかっている土地のことですが、亡くなった人が自分で住むための家を建てるために使っていた時に限らず、不動産投資のための賃貸アパートを建てるために使っていた土地などについても、この小規模宅地等の特例を摘要してもらうことができます。

(相続税対策として不動産投資が活用されることが多いのは、この小規模宅地等の特例を活用するための目的であることが少なくありません)

小規模宅地等の特例でどのぐらい土地の相続税評価額が下がる?

小規模宅地等の特例を適用した場合、次のような区分に従って土地の相続税評価額を軽減してもらうことができます。

  • ①亡くなった人が自宅を建てるために使っていた宅地:限度面積を330㎡として、土地の評価額を最大80%軽減
  • ②亡くなった人が事業用に使っていた宅地:限度面積を400㎡として、土地の評価額を最大80%軽減
  • ③亡くなった人が不動産投資のために使っていた宅地:限度面積を200㎡として、土地の評価額を最大50%軽減

例えば、1億円の土地500㎡を、自宅を建てるための土地として使っていたという場合、小規模宅地等の特例を適用すると、以下のように相続税評価額を軽減してもらうことができます。

1億円-(1億円×80%×330㎡÷500㎡)=4720万円

実に5000万円以上の評価減を受けることができますから、非常に大きな相続税の負担軽減となります。

次の項目では、相続税の計算方法について解説いたしますので、この特例の適用によってどのぐらい相続税の負担が減るのかを理解していただけると思います。

土地にかかる相続税の計算方法

遺産を相続した際に相続税の計算を行う方法を大まかに理解しておきましょう。

相続税の計算は、以下のような順序で行います。

  • ①正味の遺産額を計算
  • ②相続税の基礎控除を計算
  • ③課税遺産総額の計算し、法定相続分で分割したと仮定する
  • ④相続税の速算表を使って相続税の総額を求める
  • ⑤相続人各自が負担する相続税額を計算

それぞれの内容を解説いたします。

※なお、以下の計算方法は遺産が土地以外のものである場合でも共通です。

①正味の遺産額を計算

正味の遺産額とは、簡単にいえば「プラスの遺産から、マイナスの遺産を差し引きした金額」のことをいいます。

例えば、遺産として土地1億円・現預金8000万円・借金5000万円があるという場合には、正味の遺産額は以下のように計算できます。

正味の遺産額=(土地1億円+現預金8000万円)-借金5000万円=1億3000万円

なお、この土地がすでに見た「小規模宅地等の特例」を適用できる土地であった場合には、以下のように正味の遺産額の計算が変わります(最大80%の割引を計算できる宅地であったとします)

正味の遺産額-((土地1億円-小規模宅地等の特例による軽減8000万円)+現預金8000万円)-借金5000万円=5000万円

②相続税の基礎控除額を計算

正味の遺産額が計算出来たら、次に相続税の基礎控除額を計算します。

相続税の基礎控除額とは、相続税が非課税となる限度額のことで、以下の計算式によって計算します。

相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人の数とは、法律のルールによって相続人となる権利を持つ親族のことです。

例えば、亡くなった人に配偶者・子供3人・父親・弟の合計4人の家族がいたとすると、このうち配偶者と子供3人が法定相続人となります。

そのため、相続税の基礎控除額は以下のように計算できます。

相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人3人=4800万円

この金額までであれば相続税は非課税となりますので、①で計算した正味の遺産額が4800万円までであれば、相続税は1円もかからないことになります。

③課税遺産総額の計算し、法定相続分で分割したと仮定する

正味の遺産額(①)と相続税の基礎控除額(②)が計算できたら、①から②を差し引きします。

この差し引きした金額のことを「課税遺産総額」と呼んでいます。

相続税の計算では、この課税遺産総額を、相続人それぞれが法定相続分で分割したと仮定して相続税の総額を計算します。

(実際にはこれと異なる方法で遺産分割していることはありえますが、計算上このように行います)

課税遺産総額(正味の遺産額から相続税の基礎控除額を差し引きした金額)が4000万円だったとして、法定相続人が配偶者と子供2人の合計3人だったとすると、法定相続分は以下のようになります。

  • 配偶者:課税遺産総額4000万円×2分の1=2000万円
  • 子供 :課税遺産総額4000万円×2分の1÷2人=1000万円
  • 子供 :課税遺産総額4000万円×2分の1÷2人=1000万円

④相続税の速算表を使って相続税の総額を求める

次に、上で見た相続人それぞれの課税遺産総額を、国税庁が発表している「相続税の速算表」というものに当てはめ、相続人全員で負担すべき相続税の金額(相続税の総額)を計算します。

相続税の速算表は国税庁のホームページで確認できますが、現状は以下のようになっています。

課税遺産総額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

法定相続人となるのが配偶者・子供2人の合計3人で、課税遺産総額が以下のようになっていたとしましょう。

  • 配偶者:課税遺産総額は2000万円
  • 子供 :課税遺産総額は1000万円
  • 子供 :課税遺産総額は1000万円

この場合、それぞれの人が負担すべき相続税の金額は、以下のように計算できます。

  • 配偶者:2000万円×相続税率15%-控除額50万円=250円
  • 子供 :1000万円×相続税率10%=100万円(控除額はなし)
  • 子供 :1000万円×相続税率10%=100万円(控除額はなし)

この3名の相続税を合計すると、250万円+100万円+100万円=450万円です。

この450万円が、親族全体で負担するべき相続税の金額ということになります。

⑤相続人各自が負担する相続税額を計算

最後に、相続人各自が負担するべき相続税額を計算します。

相続人各自が負担するべき相続税は、簡単にいえば「相続した遺産の割合と同じだけの相続税を負担する」という考え方で計算します。

例えば、2分の1の遺産を相続した人は、相続税も2分の1だけ負担しないといけないといった具合です。

上の計算例によると、配偶者と子供2人の合計3人で負担すべき相続税は450万円でした。

遺産相続も法定相続分に従って行っていたとすると、各自の相続税の負担割合は以下のようになります。

  • 配偶者(法定相続分は2分の1):相続税の負担額は450万円×2分の1=225万円
  • 子供 (法定相続分は4分の1):相続税の負担額は450万円×4分の1=112万5000円
  • 子供 (法定相続分は4分の1):相続税の負担額は450万円×4分の1=112万5000円

ここで、相続人となる人各自で適用できる税軽減制度がある場合には適用します。

上のケースでは、亡くなった人の配偶者は「配偶者の税額軽減」という特例措置を利用することができますから、相続税の負担額は0円となります。

亡くなった人の子供にはこうした制度はありませんから、上の計算通りに112万5000円ずつを税務署に納める必要があります。

遺産相続した土地の名義変更手続き

ここまでは、遺産に土地が含まれる場合の相続税の計算について見てきましたが、土地を相続したときには「相続登記」の手続きも問題となります。

相続登記とは、「相続を原因として取得した不動産の所有権移転登記」のことをいいます。

以下では、相続登記に関連して注意しておくべき点を解説いたします。

そもそも相続登記は必要?

相続登記を行うことは、必ずしも法律上の義務ではありません(相続登記を行わずにそのまま放置しておいたとしても、罰則などが課せられることはありません)

一方で、相続登記を行わないまま不動産を放置してしまうと、法律上のトラブルに巻き込まれてしまうリスクが高くなりますから、通常は相続手続きの完了と前後して相続登記の手続きを済ませておくのが一般的です。

どのようなトラブルが生じてしまうかというと、具体的には以下の通りです。

相続登記が行われていないということは、その土地や建物は前の所有者(亡くなった親族)の名義のままになっている可能性が高いです。

そのため、すでに相続が発生していて所有権者が変わっていることを知らない第三者に対して、あなた以外の親族が「この土地は自分が相続したものだから、あなたに売る。登記簿上は父親のままになっているけれど、もうすぐ自分が相続するから大丈夫」というようにだまして契約を結んでしまう可能性があります。

登記簿を信頼して取引した第三者には、取引の無効を主張できない

このようなケースで、第三者の側が本来の土地の持ち主があなたであることを知らず、登記簿の内容を信頼して取引を行ったような場合には、この取引の無効を主張することができなくなってしまいます。

もちろん、勝手に契約を行ったあなた以外の親族に対して損害賠償などを求めることは可能ですが、もしその親族がお金を使い果たしてしまっているような場合には、損害賠償請求を行っても1円もお金を回収することができません。

このように、不動産を遺産相続した後に、相続登記を行わずに放置してしまうことにはリスクがあることを理解しておきましょう。

相続登記にかかる費用

相続登記を行うためには、大きく分けて「役所に支払う費用」と、「専門家に支払う費用」の2種類が必要となります。

役所に支払う費用とは、具体的には登録免許税という税金のことで、不動産の固定資産税評価額に1000分の4をかけた金額を納める必要があります。

例えば、不動産の固定資産税評価額が1億円だったとすると、1億円×1000分の4=40万円を納めなくてはなりません。

一方で、専門家に支払う必要とは、具体的にいえば不動産取引に関する専門家である司法書士に対して支払う手数料を言います。

相続登記の手続きを司法書士に依頼した場合には、調査費用や戸籍謄本の取得代行費用などをあわせて10万円~20万円程度が相場となります。

まとめ

今回は、遺産に土地が含まれる場合の相続税評価額の計算方法について解説いたしました。

土地は他の財産と比べて経済的な価値がきわめて大きくなるケースが多いですから、何ら対策を行わずに相続を迎えてしまうと、多額の相続税が課税されてしまう可能性があります。

本文でも紹介したように、土地に関しては利用できる相続税対策の方法が多くありますので、これから遺産相続の準備をするという段階の方は、こうした方法をぜひ活用しましょう。

相続税対策に関しては、遺産相続を専門とする専門家(税理士や弁護士が該当します)に相談すると具体的なアドバイスをしてくれますので、相談を検討してみてください。

吉田ライター
吉田ライター
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