今後の教育費はどうなる?幼児教育無償化から大学の授業料無償化の動きまとめ

2019年10月から、幼児教育の無償化が開始されることが決定しました。

義務教育前の小さなお子さんがいる家庭にとっては、うれしいニュースでしょう。

Woman
でも、幼児教育無償化だけで、本当に負担は軽くなるの?
Man

幼稚園、保育園の数年間より、その後の費用の心配が続くんだけれど…。

確かに、幼児教育が無償化されたといっても、本当に負担が軽減されるのか?その後の費用は足りるのか?懸念点はたくさんあります。

特に、お子さんを持つべきか、または二人目・三人目がほしいけれどきちんと育てられるか、考えているご夫婦にとっては、教育費の動きは大きな関心のある事柄です。

なにかと不安の尽きない教育費の話題。

ここでは、今後実施される教育費無償化などの公的な動きや取り組み、そのほか家計を助ける制度についてまとめました。

そもそも子供一人当たりの学費は?

そもそも大学卒業までいくらかかるののでしょう?

何事もそうですが、まず予算といいますが、その見通しが立たないことには不安を解消することも、対策をたてることもできません。

まずは、そもそも子ども一人当たりの学費をざっくり把握してみましょう。

進路によって大きく変動はありますが、平均的な学費を考えるために、幼稚園・保育園から大学まで、公立・私立とさまざまなパターンの費用を見てみましょう。

幼稚園~大学までの平均的な学費は下記のようになります。

幼稚園・保育園3年間

公立    私立

年少    21      48

年中    21.2    43.9

年長    26      52.7

3年間合計       68.2    144.6

小学校6年間

公立    私立

1年     34.3    184.3

2年     27.1    127.6

3年     28.9    136.6

4年     31.1    146.4

5年     34.5    155.7

6年     37.5    165.9

6年間合計       193.4   916.5

中学校3年間

公立    私立

1年     46.9    157.2

2年     39.3    115.7

3年     57.1    125.1

3年間合計       143.3   398

高校3年間

公立    私立

1年     51.7    127.6

2年     47.2    97.6

3年     36.3    85.8

3年間合計       135.2   311

大学4~6年間

入学金  授業料  施設設備費      4年間合計(医・歯科は6年間)

国立大学        28.2    53.6    242.6

私立大学文系学部        23.5    75.9    15.7    389.9

私立大学理系学部        25.6    107.2   19.1    530.8

私立大学医歯科系学部    101.3   289.7   88.3    2369.3

私立大学その他学部      26.6    95.5    23.4    502.2

全平均  25.3    87.8    18.6    450.9

参照:不動産サイト nomu.com 教育費にかかる費用

https://www.nomu.com/loan/lifeplan/k_education_01.html

すると、各コースを考えると下記の6パターンが考えられます。

参照:不動産サイト nomu.com 教育費にかかる費用

https://www.nomu.com/loan/lifeplan/k_education_01.html

つまり、最小額のトータル公立のコースでも782.7万。

最大のトータル私立&私立理系大学コースで2224.5万かかります。

2019年10月より幼稚園・保育園が無償化されるとしても、どのパターンもより負担が大きくなるのは高校~大学までの7年間となります。

さらに医学部・歯学部など、年次が長く専門性の高い学部の場合は、より多くの学費が必要です。

このように、子どもの希望する職業や学校によっても大きく違いますが、1,000万~1,500万はかかるものと覚悟しておいたほうが良いでしょう。

現在の学費負担軽減に関わる制度

Man
子供はほしいしきちんと大学まで行かせたいけれど…一人当たり1500万も貯蓄をしなければならないなんて…。
Woman
マイホームや自分たちの老後もあるのに、どうすれば…。

お子さんにはなるべく高い教育を受けさせてあげたいと思うのが親心というもの。

しかし、家計は教育費だけでなく、住宅や将来の備えなど様々な用途に割かなければなりません。教育費のみに偏った家計でも困りますし、かといって進学するタイミングで不足するという事態も避けたいものです。

とはいえ、何も必要以上に悲観しなくてもよいでしょう。なぜなら、今後の少子化対策や子どもの教育に関して、さまざまな動きがあるからです。

幼児教育の無償化のほかにも、高校・大学の学費などを軽減する法案が検討されています。

まだ未定のものも多くありますが、これらの制度や法案があるということを知っておくだけでも、万が一の時の助けになるかもしれません。

私立小中学校等就学支援の実証事業費補助金

2017年度~2021年度まで、私立の小中学校の授業料が最大年間10万円補助される「私立小中学校等就学支援実証事業費補助金」があります。

補助を受けられる対象は、世帯年収や家族等の状況によって異なりますので、各都道府県の担当窓口へ問い合わせてみましょう。

  • 対象世帯:年収約400万円未満(家族等の状況によって異なります。)
  • 補助額 :年額10万円(保護者が負担する在学校の授業料が上限)
  • 支給方法:本補助金は学校が保護者に代わって代理受領し、授業料へ充当されます(保護者への支給方法は学校により異なります。)

各都道府県の担当窓口

参照:文部科学省HP 私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業のお問合せ先

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1385557.htm

参照:文部科学省HP 私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業について

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1385578.htm

高等学校等就学支援金制度

2014年に公立高校だけではなく私立高校も対象となり、「高等学校就学支援金制度」と名称が変わりました。

所得要件を満たす世帯の子どもに対して、国公立・私立に関わらず、「就学支援金」が支給されます。

需給の際には、課税証明書などの所定の書類を学校等に提出する必要があります。また、授業料を軽減するための支援金ですので、家庭に振り込まれるのではなく、直接生徒が通う高校へと支給されます。

  • 時期:2014年4月入学者より
  • 内容:授業料に充てるための校等就学支援金を支給
  • 対象:国公私立問わず、所得要件を満たす世帯の高等学校等に通う生徒

参照:文部科学省 高等学校等就学支援金制度

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm

支給額

国立高等学校、国立中等教育学校の後期課程月額9,600円
公立高等学校(定時制)、公立中等教育学校の後期課程(定時制)月額2,700円
公立高等学校(通信制)、公立中等教育学校の後期課程(通信制)月額520円
国立・公立特別支援学校の高等部月額400円
上記以外の支給対象高等学校等月額9,900円

※授業料を限度として就学支援金を支給

※支給される金額は、原則月額9,900円。国立高校や定時制高校、通信制高校など、学校の種類によっては金額が異なります。

加算支給

私立高等学校、私立中等教育学校の後期課程、私立特別支援学校、国立・公立・私立高等専門学校、公立・私立専修学校、私立各種学校については、世帯の収入に応じて、月額9,900円を1.5~2.5倍した額が支給されます。

所得要件の基準年額29万7,000円
(2.5倍加算)
年額23万7,600円
(2.0倍加算)
年額17万8,200円
(1.5倍加算)
平成30年6月支給分まで市町村民税所得割額非課税5万1,300円未満15万4,500円未満
平成30年7月支給分から市町村民税所得割額と

道府県民税所得割額の合算額

 

非課税

 

8万5,500円未満

 

25万7,500円未満

(参考)年収の目安 

250万円未満

250万円~

350万円程度

350万円~

590万円程度

各都道府県の授業料支援制度

私立高校に通う生徒に対して、各都道府県が独自の授業料支援を設けている場合もあります。

授業料だけでなく、入学金や授業料以外の費用にも充てられる支援金だけでなく、一時的に経済状況が悪化し進学が困難になった場合の支援制度もあります。

特に、保護者が急にリストラにあった、働けない状態になったなどの、急激に家計が悪化した場合などは、緊急支援制度などがセーフティネットになります。

「高等学校等就学支援金制度」などの国の支援制度では、前年度の世帯収入や住民税の納付額が基準になるため、家計状態が急変した場合は支援の対象外になる可能性もあります。

万が一の時に、国の制度だけでなく、お住いの自治体の制度も細かく調べておいたほうが良いでしょう。

例:神奈川県 県実施の私立学校に対する補助制度

神奈川県私立高等学校等生徒学費補助金【私学振興課】

対象者

対象校に在学する生徒で、生徒・保護者ともに神奈川県内に住所を有する者(※)が対象となります。ただし、「高等学校等(修業年限が3年未満のものを除く)を卒業し又は修了した者」は対象となりません。

補助額

http://www.pref.kanagawa.jp/docs/v3e/jyosei/gakuhisien/gakuhihojyo.html

神奈川県私立学校生徒学費緊急支援補助金【私学振興課】

対象者

対象校に在学する生徒で、生徒・保護者ともに神奈川県内に住所を有する者(※)のうち、前年4月1日から当年12月31日までの間に家計急変事由が発生し、当年の所得額が前年の所得額より減少した者が対象となります。

補助額

http://www.pref.kanagawa.jp/docs/v3e/jyosei/gakuhisien/kinnkyuushien.html

私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業

対象校

神奈川県内に設置されている私立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校(前期課程)、特別支援学校(小学部、中学部)

補助額

年額10万円を上限に授業料負担に要する費用を補助します。

※授業料の金額が10万円を下回る場合、授業料額が上限額となります。

参照:神奈川県ホームページ

http://www.pref.kanagawa.jp/docs/v3e/jyosei/gakuhisien/index.html

今後の学費無償化の動き

また、今後実施される学費無償化の動きもあります。

特に2020年4月からは、大学・短大・専門学校などの高等教育に対しても、国の支援制度の実施が予定されています。

今までは幼児教育~高等学校が対象となっておりましたが、今後は一番負担の大きい高等教育の学費負担も無償化となる可能性があるのです。

このような、今後予定されている制度についてもご紹介します。

高等教育(大学、短期大学、高等専門学校、専門学校)の無償化

年収2,500,000円未満の世帯を対象として、授業料・入学金の減免と、返還を要しない「給付型奨学金」を大幅拡充し、事実上の無償化とすることを進めています。

現状、授業料が事実上無償となる大学は国立大学のみですが、私立大学の場合は一部の授業料が免除になる見通しです。

年収が3,500,000円程度の世帯には、「授業料減免」として、一部の授業料を免除する方向で検討されています。

  • 時期:2020年4月から実施が検討
  • 内容:授業料などの減免と返済不要の給付型奨学金の支給
  • 対象:住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生

参照:文部科学省 高等教育段階の教育費負担軽減

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm

授業料減免と給付型奨学金の内容

参照:東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201905/CK2019051002000272.html

教育費無償化のデメリット

こんなに手厚い制度が充実しているなら、子育ても安心だね!

家計に余裕ができるから、習い事もさせてあげられそう。

ここまで教育費無償化の取り組みを見て、ちょっと安心した方も多いのではないでしょうか?

しかし、だからと言って家計の負担が大幅に減るというわけではありません。

そもそもの財源は私たちの税金からまかなわれていますし、対象となる家庭も限られます。

主なデメリットについて下記の3つです。

  • 無償化の分、税金の負担が増える
  • 低所得世帯のみが対象
  • 対象となるのは基本授業料のみ

無償化する分、税金の負担が増える

国や各自治体が行っている無償化や補助制度の財源は、基本的に税金からまかなわれています。

そのため、制度が手厚くなればなるほど、税金の負担も大きくなるという仕組みです。

例えば、幼児教育無償化と同じタイミングで、消費税が10%に増税されます。

これは幼児教育を無償化する財源にする目的で、消費税を上げるのです。

つまり、今後も学費無償化の動きが活発になればなるほど、その財源確保のため、我々の税金が上がる可能性があります。

低所得世帯のみが対象

教育費の負担が大きいのはどこの家庭でも同じこと。

しかし、この無償化制度のほとんどが低所得世帯のみが対象となっています。そのため、一般的な収入の家庭にとってはあまり利用できないものが多くあります。

例えば、高等教育(大学・短大・専門学校)の就学支給金の制度の対象となっているのは、主に住民税非課税世帯などがほとんどです。

つまり、そもそも低所得で学費が払えないような世帯のみが対象です。

自治体にもよりますが、住民税非課税世帯の年収の目安は、夫婦・子供2人で世帯年収が255万円以下となります。

夫婦・子供2人で世帯年収がこの金額では、教育費だけでなく生活全般が厳しい世帯です。

どちらかというと、最後のセーフティネットというようなものであり、どの家庭も対象になるというわけではありません。

対象となるのは基本授業料のみ

これらの補助金の対象となるのは授業料だけで、基本的に入学金、学用品、修学旅行、習い事・塾代には適用されません。

以前施行された「子ども手当」は、給付金が各家庭の預金通帳などに振り込まれましたので、さまざまな使い道を考えることができましたが、これらの補助制度は各家庭ではなく学校に直接支払われます。

たいていは在籍する学校に直接授業料として支払われますので、使い道を保護者や生徒が自由に決めることはできません。

(中には、入学金や学用品にも対応できるものもあるようですが、数は多くありません。)

地域によっては通学できる学校が遠方で交通費や下宿代がかかることもありますが、そういった学校生活に関わる費用には利用できないため、費用が足りない場合は、ほかの奨学金や教育ローンなどとの組み合わせが必要になる場合もあります。

まとめ

少子高齢化が社会的な課題となり、より子供への教育に重点が置かれるようになるにつれて、教育にかける金額も高くなっています。

高学歴化する傾向もあり、今後、ますます教育費に関わる無償化や給付制度の興味関心は固まるでしょう。

しかし、その財源が私たちの税金である以上、あまり手放しでは喜べないところもあります。

また、利用できるのは、本当にセーフティネットとして必要な子どものみというものもあります。

さまざまな制度があるということを知っておく反面、どんなものが自分たちは利用できるか?そのデメリットは何か?まで、きちんと把握する必要があるでしょう。

takano
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金融機関勤務後、FPの資格を活かしてフリーライターとしてお仕事しています。
得意分野は、金融系全般に関すること。
なかなか聞けないお金の悩みについて、記事を書いています。
預金・住宅ローン・年金・税金・保険・外貨預金・投資信託など。
銀行の窓口で取り扱っているものを中心に、ご相談いただいております。

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