借りるなら無利子を狙おう!賢い奨学金の借り方

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「大学に進学したいけれど、授業料や教材費を払っていけるほど経済的余裕がない」

「お金を借りたいけれど、どこで借りればいいのかわからない・・・」

そんなとき、まず頭に浮かぶのが奨学金ではないでしょうか。

奨学金とは?

奨学金制度とは、経済的に余裕がなく、このままでは進学できない学生を対象に、低利子、もしくは無利子でお金を貸し出す制度です。認知度はあまり高くないように思えますが、実は全大学生のうち約半数が奨学金制度を利用しています。

奨学金制度は、大きく分けて二つに分類できます。

一つ目は、貸与と呼ばれる給付の方法で、名前の通り学費を借りる奨学金制度です。二つ目は、給付と呼ばれる方法で、返済の必要がない奨学金制度です。

貸与型奨学金制度にも、貸し付け利息が付くものと、利息の付かない型の二種類が存在します。

そして、奨学金を利用目的別に分類すると以下のようになります。

  • 高校生のための奨学金
  • 外国人や留学生のための奨学金
  • 専門学校生のための奨学金
  • 音楽・美術系大学進学のための奨学金
  • 大学生のための奨学金
  • 医大・薬学部進学のための奨学金
  • 海外留学のための奨学金

奨学金制度と言えば、大学や大学院進学のイメージが強いのですが、専門学校や高校の進学にも奨学金制度は利用できます。

また、美大の進学、医大や薬学部の進学に適した、独自の奨学金制度も設けられています。特に、医大などの進学は、入学費や学費が高額なため、給付や貸与される奨学金の額も高く設定されています。

日本学生支援機構の奨学金でも、医大や薬学部の進学希望者に関しては、貸与の増額を認めています。

また、外国留学生の場合は、来日と進学を支援するため、日本学生支援機構のほかに、政府が奨学金制度を設けています。日本は外国人留学生の受け入れが手厚く、これらの制度の大半が返還義務のない給付型奨学金となっています。

さらに、海外留学を希望する学生は、日本学生支援機構の奨学金のほか、民間団体の奨学金、政府の給付金が利用できます。

中でも、国際交流を目的とした民間団体や政府給付金は、付与型の奨学金が多く、学生の進学を手厚くサポートしています。

また、日本学生支援機構の奨学金でも、海外留学に関する支援制度を設けています。ここでは、無利息で融資が受けられるので、卒業後の返済負担は少なく抑えられます。

数ある奨学金のなかでも最も利用者が多いのは、日本学生支援機構の奨学金制度です。日本学生支援機構は独立行政法人です。奨学金制度の運営のほか、留学支援や就職支援なども行っています。

まずは、日本学生支援機構の奨学金がどんな制度なのかを確認しておきましょう。

奨学金のメリット

奨学金の良いところは、経済的に余裕がない学生でも、学費のサポートが受けられ、進学を諦めずに済むという点です。大学や大学院だけでなく、専門学校や高校生の進学をサポートする制度も存在します。

また、奨学金は、社会的に必要と認められた制度として認知されています。ですので、他のローンと比べて金利も低く、返済の負担も少なく済ませられます。

もちろん、付与型の奨学金であれば、学費の全額支給が受けられ、卒業後の返済義務はありません。

このほか、新聞奨学生のように働きながら、学校に通える奨学金制度があり、経済的な問題を無くして、学業に専念できます。

奨学金のデメリット

日本学生支援機構や貸与型の奨学金は、卒業後に長期間の返済が待っているため、かなり経済的負担のある制度です。私立校など、学費の高い学校では国公立と比べても額が大きく、卒業後にいきなり大きな借金を背負って、働くのが辛いという学生もみられます。

また、無利息型や給付型の奨学金は「申請する学生の数が多い」ため、希望する奨学金が利用できない可能性も高いです。特に、募集枠の少ない奨学金制度は、審査の難易度も高くなっているので、注意が必要です。

デメリットをできるだけ減らして進学するには、卒業後の経済的負担の少ない奨学金を見つけることが重要です。働きながら利用できる奨学金を見つけるか、無利子の奨学金、もしくは返済義務の無い給付型の奨学金を利用しましょう。

成績などの問題から奨学金審査に自信の無い方は、新聞奨学生制度のように、働きながら稼げる奨学金を探してみてください。ここでは卒業後の返済負担もなく、給与も受け取れるため、経済的な自立も叶えられます。

働きながら返済することのできる奨学金

働きながら返す奨学金は、新聞奨学生などの、働きながら進学する奨学金制度を指します。この奨学金の良いところは、在学中に返済できるため経済的負担が少なく申請条件も若干緩めな点です。

また新聞奨学生は、通信簿の成績などの問題よりも、進学したいという気持ちが重要視されます。新聞販売店の仕事に従事することになりますが、4年間すべてではなく、2年生まで稼ぐ奨学生、残りは他の奨学金でカバーするなど、自由な組み合わせができます。

授業数の少ない1回生・2回生の間は新聞奨学生となり、就職活動に専念したい時期は、奨学金を受けるという使い方もできます。

日本学生支援機構の奨学金

日本学生支援機構で中心となるのは、第一種奨学金第二種奨学金です。これらはいずれも貸与型です。大学に通う前提で主な内容を紹介していきましょう。

基本情報 第一種奨学金 第二種奨学金
契約者 学生本人 学生本人
貸与金額 月額2万から6万4千円 月額2万から12万円
利子 無利子 0.01%~0.27%
連帯保証人・保証人 原則必要。保証料を払えば必要なし 原則必要。保証料を払えば必要なし
学力に関する申し込み基準 あり あり
主な申し込み方法とお問い合わせ先 在学している学校を通じて申し込む 在学している学校を通じて申し込む
申し込み時期 予約採用なら、高校3年の5月中旬~7月中旬頃 予約採用なら、高校3年の5月中旬~7月中旬頃 または

高校3年の10月下旬~11月下旬頃

貸与期間 在学中 在学中
返済開始時期 貸与期間終了月の翌月から数えて七ヶ月目 貸与期間終了月の翌月から数えて七ヶ月目

いずれも契約者は学生本人なので、本人が返済義務を負うことになります。また、第一種、第二種奨学金の併用貸与を受けることもできます。

申し込み基準の学力はどの程度求められるのか?

日本学生支援機構の奨学金を利用するためには、学力・収入に関する申込基準をそれぞれ満たす必要があります。

予約採用の場合、下記のうちいずれかを満たす必要があります。

  • 高校1年生~3年生の申込時までの成績の平均値が3.5以上(5段階評価)
  • 高卒認定試験の合格者、科目合格者、出願者のいずれか
  • 保護者の住民税が0円で、通っている学校から推薦を受けた
  • 生活保護受給世帯で、通っている学校から推薦を受けた

また、大学1年生が在学採用を利用する場合は、下記のうちいずれかを満たさなくてはなりません。

  • 高校2年生~3年生の成績が3.5以上(5段階評価で)
  • 高卒認定試験の合格者
  • 保護者の住民税が0円で、優秀な成績を修める見込みがある
  • 生活保護受給世帯で、優秀な成績を修める見込みがある

また、大学2年生以上が在学採用を利用する場合は、下記のうちいずれかを満たす必要があります。

  • 大学での成績が、所属学部の上位3分の1に入っていること
  • 保護者の住民税が0円で、優秀な成績を修める見込みがある
  • 生活保護受給世帯で、優秀な成績を修める見込みがある

家計に関する申し込み基準も忘れずに

奨学金を借りるには、前年の世帯収入が基準以下でなければなりません。裕福な家庭ならわざわざ奨学金を利用する必要はないので、その分貧しい家庭に利用してもらおうということですね。

サラリーマンなどの給与所得者家庭の場合、対象になるのは源泉徴収票の支払金額。つまり、手取りではなく収入が対象です。

一方、給与所得者以外の自営業者や個人事業主の場合、対象になるのは所得金額になります。確定申告書のうち、収入から必要経費を差し引いた金額が対象です。

また、父母共働きの場合は収入額を合算します。父母がおらず祖父母が代わって家計を支えている場合は祖父母の収入が対象です。

では、前年の世帯収入がいくら以下でなければならないのでしょうか。予約採用の場合は、世帯人数によって基準が異なります。

第一種奨学金に申し込む場合

世帯人数 給与所得者 給与所得以外
3人 657万円 286万円
4人 747万円 349万円
5人 922万円 514万円

第二種奨学金に申し込む場合

世帯人数 給与所得者 給与所得以外
3人 1,009万円 601万円
4人 1,100万円 692万円
5人 1,300万円 892万円

第一種奨学金と第二種奨学金を併用申し込みする場合

世帯人数 給与所得者 給与所得以外
3人 599万円 245万円
4人 686万円 306万円
5人 884万円 476万円

在学採用の場合は、世帯人数、国公立or私立、自宅通学or自宅外通学によって基準が異なります。

第一種奨学金に申し込む場合

世帯人数 国公立/私立 自宅通学/自宅外通学 給与所得者 給与所得以外
3人 国公立 自宅 662万円 289万円
自宅外 729万円 336万円
私立 自宅 729万円 336万円
自宅外 791万円 383万円
4人 国公立 自宅 742万円 345万円
自宅外 800万円 392万円
私立 自宅 800万円 392万円
自宅外 847万円 439万円
5人 国公立 自宅 936万円 528万円
自宅外 1,030万円 622万円
私立 自宅 1,030万円 622万円
自宅外 1,124万円 716万円

第二種奨学金に申し込む場合

世帯人数 国公立/私立 自宅通学/自宅外通学 給与所得者 給与所得以外
3人 国公立 自宅 1,012万円 604万円
自宅外 1,059万円 651万円
私立 自宅 1,059万円 651万円
自宅外 1,106万円 698万円
4人 国公立 自宅 1,096万円 688万円
自宅外 1,143万円 735万円
私立 自宅 1,143万円 735万円
自宅外 1,190万円 782万円
5人 国公立 自宅 1,314万円 906万円
自宅外 1,408万円 1,000万円
私立 自宅 1,408万円 1,000万円
自宅外 1,502万円 1,094万円

奨学金を借りるときのよくある失敗例

奨学金を入学金にあてようとする

日本で最もポピュラーな奨学金である日本学生支援機構ですが、この奨学金は初回の振込みが入学年の5月です。つまり、入学金や初回の授業料には充てることができないのです。入学金は入学時に払えばよいと考えている方もいるようですが、実際にはもっと早く必要になります。AO入試や推薦入試で入学を決める場合は、入学の前年の10月や11月に初年度納入金として、入学金+1年目の授業料を振り込まなければならなくなります。ある程度のお金のあるご家庭なら別ですが、予想外にそれだけのお金が必要になれば、マネープランが狂ってしまいます。

そのため、初年度納入金は各家庭で責任を持って用意するか、用意できない場合は、日本学生支援機構の奨学金ではなく、国の教育ローンなど、早期にまとまった額が給付される制度を利用する必要があります。

就職を失敗する

奨学金は基本的に大学や専門学校を卒業してから返済していきます。つまり、就職しなければ返済していくことが出来ないのです。貸与額にもよりますが、多い人の場合月々の返済額は30,000円以上になります。大学や専門学校卒業後の就職で失敗してしまった場合、安定した収入が無い中でその金額を月々返済していかなければいけません。奨学金を受給している学生の多くは一人暮らしです。そのまま一人暮らしを続け、パートや派遣社員など、低賃金での労働をしながら、家賃や生活費を支払い、さらに月々30,000円を返済していくということの負担が大きく、返済が滞ってしまうケースも見られます。

すぐに仕事を辞めてしまう

最近特に増えてきている失敗例です。新卒での就職口はうまく見つかっても、入社後に、「思っていた会社と違う」「職場の雰囲気が良くない」などの理由で次の会社が見つかっていない状態で退職してしまうケースもあります。すると、不況によって次の就職口が見つからなければ、返済が困難になってしまいます。

本来の使い方以外の方法で浪費してしまう

せっかく進学するために必要な資金を奨学金によって用意したにも関わらず、自分の生活費に使ってしまったり、借金の返済に使ってしまったりと、本来の使用方法以外の用途で奨学金を使ってしまい、学費が払えなくなるというケースがあります。 こういったケースの場合、そのほとんどが奨学金を借りた本人である学生は被害者で、奨学金を使い込んでしまうのはその保護者です。しかし、ごく稀に学生本人がギャンブルなどにはまって、使ってしまい学費が払えなくなるというケースもあります。特にギャンブルは、当たれば何倍にもなって返せるからという理由で、ついつい手を出してしまうようです。

奨学金を返さなかったらどうなるのか?

日本学生支援機構が最近発表生した返還者に関する特性調査結果の結果を見ると、奨学金を利用している人、または過去に利用した人の中で、返済期間中の人数は約400万人です。その内、1日以上の延滞者は30万人以上、3ヶ月以上の延滞者は約20万人です。数字だけで見ると約12%の方が奨学金の返済を滞納しているということになります。

滞納者の数は年々増加傾向にあり、平成16年の段階では24万9000人だったということ考えると、この10年で約2倍に膨れ上がっていると言えます。

奨学金は、公的機関から貸し出されるということや、学費に充てるという正当な理由があるということからネガティブなイメージよりはポジティブなイメージがありますが、お金を借りて利息を付けて返すという部分で考えれば借金です。返済しなければ、支払期限が過ぎた段階から延滞金が発生します。

基本的には無利息の第1種奨学金であっても、支払期限から6ヶ月過ぎれば年間2.5%の延滞金が加算されます。第2種奨学金の場合、支払期限が過ぎた段階で年間5%の延滞金が加算されます。

さらに、奨学金の貸し出し元や、委託を受けた債権回収会社から電話連絡がきます。本人にかかってくる場合もあれば、職場や連帯保証人になっている。身内のもとに電話がかかってくる場合もあります。そして、銀行やクレジットカード会社が情報元としている個人信用情報機関に奨学金返済遅延者として登録されてしまいます。これはいわゆる、ブラックリストに載るという状態です。つまり融資を受けたり、クレジットカードを作ったりすることが困難になってしまうということです。

延滞期間が9ヶ月を過ぎた段階で法的手続きを取られます。具体的には、裁判によって訴訟を起こされ、債権者の財産を差し押さえる判決を下されます。よほど明確な理由がない限り、お金を借りて返さなかったということは事実なので、この裁判に勝つことはできないでしょう。

差し押さえられる対象は、主に給料や不動産など資産です。ただし、差し押さえといっても、お給料の全額を差し押さえられるというわけではありません。生活ができなくなるということはないですから安心してください。ですが、延滞をしないのが一番ですけどね。

 

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