【経営者必見!】健康管理支援を行い生産性を高める健康経営とは?

従業員の医療費の支援や補償は、経営者にとって欠かすことのできない経費の1つです。従業員を健康に管理していくことは、生産性を高め、売り上げを伸ばしていくためだけでなく、会社が負担する医療費削減のためにも非常に重要だといえます。

最近では、従業員の健康管理に積極的に取り組む「健康経営」が注目されています。日経新聞の調査によると、あらゆる業種にて人手不足が問題となる中、健康管理の支援に力を入れている企業は、従業員数も増加傾向にあるとのことです。

従業員にとっても、健康管理支援が充実していることが、仕事を継続していくポイントになっているようです。

今回は、中小企業の経営者や個人事業主を対象に「健康経営」とは何なのか、どのような方法があるのかを解説していきます。

健康経営とは

「健康経営」とは、最近になって使われるようになった言葉で、従業員の健康管理を経営戦略として捉え、売り上げ向上や、医療費削減につながる対策を実践していくことをいいます。

国の政策としても推奨

経済産業省は、企業の発展につながる健康経営を推奨していくため、2014年度から「健康経営銘柄」の選定を開始しました。2016年度には、さらに健康経営を実践する企業を高く評価する、「健康経営優良法人認定制度」を創設しています。

健康経営銘柄とは

「健康経営銘柄」とは、優れた健康経営を実践している企業を上場企業33業種の中から、各業種ごとに1~2社を選定するものです。

2019年度の健康経営銘柄

2019年の健康経営銘柄に選定された企業は37社でした。

選定され企業の中でも・・・

  • 花王株式会社
  • TOTO株式会社
  • テルモ株式会社
  • 東京急行電鉄株式会社
  • SCSK株式会社
  • 大和証券グループ本社

上記の6社は、2015年度から毎年連続して、健康経営銘柄に選ばれています。

健康経営が推奨される理由

健康経営を実施することによって、従業員の活力が向上し生産性を高め、組織全体に活性化をもたらすとされています。それぞれの企業の方針に基づいて健康経営を行うことは、魅力ある企業となるだけでなく、医療費負担を抑えることで経費削減を目指すこともできるとしています。

つまり、従業員の健康管理を支援することが、結果として企業の発展、国の発展につながると期待されているのです。

※国の政策として推進されている「健康経営」について詳しくは経済産業省の公式ページにてご確認頂けます。

健康管理支援

このように国も推奨している健康経営ですが、従業員の健康管理を行うには具体的にどのように進めていけばいいのでしょうか。

経済産業省が公開している、健康経営の評価モデルを参照にわかりやすくご紹介していきましょう。

健康経営5つのポイント

まず、健康経営を実施するにあたっては5つのポイントから検討していくことができます。

  1. 経営理念・方針
  2. 組織体制
  3. 制度・施策実行
  4. 評価・改善
  5. 法令・リスクマネジメント

それぞれの具体的な内容を解説いたします。

経営理念・方針

健康経営を実施するにあたっては、まず経営者が従業員の健康管理を経営理念として自覚することから始まるといわれています。

そして会社の理念・方針として、社内外にて健康経営を実施することを公表していきます。すると周りからの理解・協力を得ることができます。また、そのような取り組みをしているのだと、認知度が高まります。

組織体制

次に健康管理支援を進めていくために必要なことは、健康管理支援を進めていく責任者の存在です。小さな会社や個人経営の場合は、経営者自身が管理者になることが多いでしょう。

ある程度、従業員数が多い会社であれば、健康管理支援の管轄部署や役員を定める必要があります。

制度・施策実行

実際に健康管理支援を行うにあたっては4つの項目に分けて施策を決めていくことができます。

①健康課題と対策

会社の理念として健康課題を設定します。例えば、

  • 定期健診受診率100%
  • 健康増進対策・過重労働防止を推進する社内のルール
  • ストレスチェックの実施

などと、主軸となる具体的な課題を定めます。

②実施に向けた土台づくり

健康課題を推進していくための土台づくりが必要になります。

  • 従業員に対する健康教育の機会、勉強会
  • 適切な働き方実現に向けた取り組み、社内のルール
  • 職場の活性化を図る取り組み、コミュニケーションの場
  • 病気の治療と仕事の両立を支援する取り組み、社内のルール

など、それぞれの会社の目的に合わせて、健康管理支援を実施していくための土台づくりを行っていきます。

③従業員の心身の健康づくり具体案

実際にどのように、従業員の健康管理支援を行っていくのか具体案を立てます。

  • 生活習慣病の予防と保険指導
  • 食生活の見直し推進や運動の機会
  • 感染症予防対策
  • 長時間労働者への対策
  • メンタルヘルス対策
  • 女性特有の健康課題に対する対策
  • 喫煙・飲酒対策

など・・・社内で日常的にできる対策から、社外(自宅)でもできる対策などを推進していきます。

④健康管理支援の質の確保

また、社内に産業医や保健師、栄養士など専門知識を持つ者を確保することで、健康管理の質を高めていくことができます。

健康関連の有資格者の採用や、専門知識を有する者の採用を検討してみてもいいでしょう。

評価・改善

具体的に健康課題に向けて、いくつか具体的な対策を実施した後は、評価を行い、改善点がないかどうかを検証していきます。

実際に導入後の効果は得られたかどうかが評価のポイントになるでしょう。

法令・リスクマネジメント

健康管理支援を実施する際の最後のポイントは、その対策を法令に沿って対処していくことです。

定期健診、特定検診、検査などは法令によって、内容を自主申告することが定められています。

また、従業員の健康管理支援において、法令に違反するものがないかどうかもチェックしておく必要があります。

※健康管理支援の具体策を考案するにあたって、経済産業省が公開している、「2019 健康経営銘柄」のレポートが健康経営モデルとして参考になります。

生産性を高める

 

従業員の健康管理を支援していくことで、仕事のモチベーションを高め、1人あたりの仕事の時間効率を上げることができます。

つまり健康経営と生産性向上は密接な因果関係にあるといえるのですが、その関係性を詳しく解説していきましょう。

健康管理支援は投資

最初に経営者が健康経営を行う際に注意しておくことが1つあります。

健康管理支援を実施するにあたっては、多少の費用がかかってしまいます。しかし、すぐに結果が出せるわけではないので、長期的な視野で取り組む必要があります。

健康経営に時間や費用をかけることは、いわば、将来的に利益を得るために行う投資だといえます。

健康経営と生産向上の事例

では、実際にモデル事業として参考にして頂きたい、いくつかの企業の事例を紹介していきたいと思います。

日本水産株式会社

冷凍食品、ニッスイで有名な日本水産株式会社では、健康経営によって、労働生産性が向上し、営業利益は120%増益したとのことです。

健康管理支援対策の事例
  • メンタルヘルス対策として、働きやすい職場環境づくりを実施
  • 水産物に特化した健康増進施策を展開
  • No残業Dayの導入
  • フレックス制やテレワーク制度の充実化による労働時間の改善
  • 禁煙対策、女性検診の補助

などを健康経営として推進しています。

株式会社ワコールホールディングス

株式会社ワコールホールディングスでは、生活習慣病対策、がん対策、メンタルヘルスケア対策の3つカテゴリーにて健康経営を推進。2017年度にの営業利益は115%増、2018年度も増益と企業業績に好影響を与えています。

健康管理支援対策の事例
  • 定期的に健康啓発セミナーを開催
  • 定期健診にて骨密度測定を実施し、運動習慣への動機づけを図る
  • 更年期障害における健康相談の実施
  • 働く女性を対象にした健康セミナーを強化

などと健康経営に力を入れています。

株式会社ディスコ

半導体製造メーカー、ディスコでは、従業員の安全と健康を最優先事項の1つとして健康経営を進めています。2013年に健康経営を開始してから、2017年の約4年間で売上高は1.6倍、経営利益は3倍に増加しています。

健康管理支援対策の事例
  • 健診結果を記録・チェックできるアプリの導入
  • 社内でスマホによるコミュニケーションを活性化し、心的健康面の向上を図る
  • 食堂メニューのカロリーを表示
  • ジム、プール、スポーツ施設などの福利厚生を充実
  • 休憩スペースやマッサージサービスの提供
  • 婦人科検診の実施

など、主に様々な分野での健康管理に力を入れています。

というように、大企業の事例からも健康管理を支援することで、生産性を向上させ利益につなげたという事実を確認することができます。

中小企業や、個人事業主でも、大手企業がすでに数年に渡って実施している事例を参考に、健康経営のヒントを得ることができます。

※2019年 健康経営銘柄の詳細から、37社が行っている健康経営事例がご覧頂けます。

医療費の削減

次に見ておきたいのが、従業員の健康管理支援によって得られる会社の医療費負担の削減です。

社会保険制度を有する会社の場合は、従業員が病気をして通院・入院した際には、会社が医療費の1部を負担することになります。

健康管理を支援することで、どのように医療費削減につながるのかを解説していきます。

国民の医療費

そもそも健康経営を国の政策として推進することになった背景には、国民医療費が増えすぎてしまったことが挙げられています。

出典:厚生労働省

年金、医療費、介護費と合わせると国内の社会保障給付費のトータルは2018年には118兆円を上回っており、さらに上昇していく傾向にあります。

医療費だけで見た場合でも、2018年度は約50兆円、2025年度には約54兆円に増加すると予測されています。

医療費の傷病別内訳

医療費の傷病別の内訳では、高血圧・糖尿病などの生活習慣病が全体の3分1と最も多く、次に老化に伴う筋骨格系・精神疾患、そして呼吸器・消化器系などの器官系の傷病となっています。

健康管理によって医療費を削減

膨らみ続ける医療費をいかに減らしていくか、そこで考案されたのが、健康管理の支援を強化していくことです。

とくに、労働者人口に多い生活習慣病対策を強化することで、努力すれば大幅な医療費の削減につながることが注視されるようになりました。

そこで、企業による健康経営が実施されることになったわけです。

会社の医療費負担も削減できる!

従業員が病気やケガすれば、社会保険制度を導入している会社や経営者は、医療費の1部を負担します。

従業員がいなければ会社は運営していくことができません。すべての経営者にとって従業員は大切な戦力です。従って、これらの医療費は、人を雇う以上避けることのできない必要経費です。

従業員にかかる医療費は必要経費でもありますが、健康管理を支援することで、従業員の健康を維持していくことは可能です。

健康な従業員が多ければ多いほど、会社が負担する医療費も少なくて済みます。

医療費負担が減少すれば、経費総額も減少することになり、利益率が増加します。

健康経営によるその他のメリット

健康経営によって得るメリットは、生産性向上や医療費の削減だけではありません。

会社の健康管理支援が充実していれば、

  • 離職率の低下につながる
  • 求人の際に有利になる
  • いい人材を確保できる
  • 会社のイメージアップつながる

なども同時に期待することが可能なのです。

健康管理支援ソフト

 

では、最後に中小企業や個人事業主でも、気軽に導入できる健康管理支援ソフトをいくつかご紹介しておきたいと思います。

Wellness Eye

ソフトバンクグループが提供する健康管理ソフトです。Wellness Eyeの基本サービスはストレスチェック機能になります。

【特徴】
東京大学と産学共同研究に基づいて、専門的なストレス診断を行います。業種や職種に合わせて適切な質問リストが作成できます。スマホ、タブレットなどのモバイル端末さえあれば簡単に導入できて、シンプルで使いやすいソフトです。

【費用】月額使用料 680円/1名~
対象人数や作成するストレスチェックの内容によって、月額使用料金や導入費用が異なります。まずは資料を取り寄せてみましょう。

※職場のストレスを軽減させていく働きやすい環境づくりの目安にすることができます。また、深刻なストレスを抱える従業員がわかれば、誰かがフォローすることも可能です。

Carely

Carelyは健康診断、ストレスチェック、長時間労働対策と3つの項目を支援するソフトです。原則として50人以上の企業が対象になります。

【特徴】
健康診断やストレスチェックなど、従業員の健康管理が大切なことがわかっていても、人材不足や知識不足から戸惑う経営者をサポートします。健康管理の主要項目3つをデータで管理できるので時間や手間を大幅に省くことが可能です。

【費用】導入費用1000円/1名~、月額使用料300円/1名~ それぞれの要望に合わせたプランを組むことが可能です。お問い合わせはこちら。

※通常は人事、総務が行う業務をオールインワンで統括してサポートします。追加で、健康診断の予約機能を代行するオプションも選ぶことができます。

FINC for BUSINESS

FINC for BUSINESSは従業員との距離を一歩踏み込んで、1人1人に合った方法で総合的な健康管理を支援していけるソフトです。

【特徴】
フィジカルとメンタルの両面を職業上の立場から分析し、問題・悩み・ストレスとなっているものを導きだします。そして解決策を提案します。

【費用】月額料金 600円/1名~ 導入費用や月額料金はそれぞれのプランによって異なります。

まずは、どのような健康管理ができるのか相談してみましょう。

※追加で、歩数計でポイントが貯めれるサービスや、カラダ・メンタル・食事・生活などを専門家に相談できるサービスなど、独特のプログラムが用意されています。

ベネフィットワン/ヘルスケア

ベネフィットワンはもともと福利厚生サービスを提供する会社で、別途でヘルスケアのサービスも提供しています。ベネフィットワン・ヘルスケアの健康管理支援ソフト、ハピルスでは充実した健康管理支援が行えます。

【特徴】
ベネフィットワンでは健康診断の管理、各種検査、相談、指導など幅広いサービスを用意しています。中でも健康を増進させる行為を行った時にポイントが貯まる、健康ポイントプログラムなどは最近話題になっています。

【費用】導入費用が利用するプランによって、数万円~数十万円かかります。月額料金はそれぞれのプランによって異なりますので、詳しくは、こちらからご覧ください。

※カロリーチェック、メタボ予防、前期高齢者訪問サービス、人間ドックなど多彩なサービスから、要望に合ったプランを探すことができます。

※参考までに個人でダウンロードして無料で利用できる健康管理ソフトもご覧になってみて下さい。

まとめ

「健康経営」はまだ聞きなれない言葉でもありますが、今後はビジネスで成果を出していくには欠かせない新しい時代の経営手法になります。

従業員の健康管理を支援していくことが、医療費の削減だけでなく、会社の利益につながる・・・ということで注目する経営者は増えてきています。

コンビニ大手のローソンでは、すでに数年前からヘルスケアポイント制度を実施しています。健康診断のチェックで1000ポイント、健康につながる行動で1000ポイント、健康イベントの参加で200ポイントがPontaカードに付与されます。

また、企業によっては、健康診断を受けた社員のボーナスを増やす、健康セミナーに参加したら特典をつけるなどと工夫することで、従業員の健康意識を高める企業もあります。

まだ、健康経営対策を開始していない経営者の皆様も、ぜひこの機会に、まずは簡単に取り組めることから始めてみましょう。

 

 

 

 

 

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