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株式や債券、不動産などに分散投資するバランス型投信信託の人気が高まっていることが、最近の日経新聞にて記事になりました。
2018年には年間で、約1兆3100億円の資金が流入しているとのことで、これは2007年以来の高水準だとのことです。
とくにここ5年間に渡って、バランス型投資信託の純資産残高はほぼ2倍に増えているのです。
米中貿易摩擦の懸念が高まる中、リスクを抑えやすいバランス型投資信託が好まれているようです。
そこで今回は、2019年最新情報をもとに、おすすめの投資信託をご紹介していきます。
バランス型投資信託とは
それでは、最初にバランス型投資信託の基本を抑えておきましょう。
投資信託で投資の対象となるものは、株式、債券、REIT(不動産)などがあります。さらに、国内型、海外型、先進国型、新興国型など様々な種類がありますね。
例えば、株式型の投資信託のみに投資を行えば、もし景気が悪くなった時には資産全体が減少するというリスクがあります。
リスクを分散する
そこで、複数の金融商品にリスクを分散して投資を行うのがバランス型投資になります。
バランス型投資信託では、資産を複数の投資商品に分散するために、価額が大きく値下がりすることを避けることができます。
分散して投資を行うために、値上がり率は1つに集中した場合よりも少なくなりますが、損失を最小限に抑えられるというメリットがあります。
バランス型投信の2つのタイプ
バランス型投信には「比率固定型」と「比率変動型」の2つのタイプがあります。
比率固定型とは
比率固定型とは、当初設定した資産配分比率を基準にして投資を行っていく投資信託です。
比率固定型のイメージ
例えば、投資の方針として株式50%、債券50%と設定されている場合、株式の価格が上昇して比率が大きくなった場合に、株式を売却し基準の比率に戻していく投資方法となります。
比率変動型とは
比率変動型の場合は、景気動向に応じて資産配分の比率が変動していく投資信託です。
比率変動型のイメージ
比率変動型では上記のように、その時々で配分比率が変わっていきます。
景気の先行きが明るいと判断されれば、株式やREITの比率が増えます。逆に景気の先行きがネガティブになってくると債券などの安全資産の比率が高くなるしくみです。
※リスクを分散するバランス投資のしくみは、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
どんな投資信託がある?
投資信託は大きく5つのタイプに分類することができます。バランス型投資信託の投資の対象を理解しておくためにも、投資信託の種類を軽く見ておきましょう。
株式型投資信託
株式型投資信託では、国内、海外の株式を中心に投資を行います。株式型の場合は、運用方法がインデックス型、アクティブ型に分かれます。
インデックス型とは日経平均株価などの指標がベンチマークに使われ、全体的に日経平均の動きに連動する株式に投資が行われます。
アクティブ型は、反対に日経平均株価とは異なる動きを見せる株式に投資を行う方法です。
債券型投資信託
債券型は、国内、海外の国債、地方債、社債などに投資を行う投資信託です。基本的には株式など他の金融商品を取り入れない投資方法です。
債券の場合は、景気よくなると金利が上がり、債券の価格は低下、景気が悪くなると金利が下がり、債券の価格は上昇する傾向にあります。債券は値動きが小さいものが多いので、安全資産の1つと見なされています。
REIT(不動産)型投資信託
国内、海外のマンションやビル、戸建て住宅などに投資を行うのがREITです。海外ものを海外REIT、国内ものをJ-REITといいます。
個人ではハードルが高いと言われる、高額な不動産へ少額から投資ができることが大きな特徴です。また、国内では投資が難しい海外の不動産に投資ができることもメリットとなります。
コモデティ型投資信託
コモデティ型は、商品型とも呼ばれるもので、商品先物市場で取引されるものが投資の対象となります。
原油、ガソリン、ガスなどのエネルギー、金、プラチナなどの貴金属、大豆トウモロコシなどの農産物等に投資を行います。
これらの商品型は需要と供給のバランスに大きく左右されるものが多くなります。金、プラチナなどは古代から取引されている価値ある商品で、安全資産としても高い評価があります。
バランス型投資信託
上記4つのタイプの投資信託を複数組み合わせて投資を行うものが、バランス型投資信託になります。
- 債券型と株式型
- 債券型、株式型、不動産型
- 債券型、株式型、コモデティ型
- 国内型、海外型、新興国型、先進国型
- インデックス型、アクティブ型
といったように、複数の金融商品へと資産配分を行いリスクを低減させます。。
おすすめのバランス型投資信託7選!
それでは現在の最新データをもとに、おすすめのバランス型投資信託7選をご紹介いたします!
※2019年5月15日時点での最新データを参照にしています。気になるファンドは、目録見書にて詳細をチェックしてみて下さい。
東京海上・円資産バランスファンド
東京海上アセットマネジメントが運用するバランス型投信信託です。国内の債券、株式、REITに分散投資を行います。着実な成長と安定性を重視したファンドです。
【価額】11,288円
【分配金】毎月決算型(過去3か月 30円/月)
【利回り】3.19%
【騰落率】4.5%(3年)
【年間資金流入率】1835億円
【特徴】比率固定型(1部変動)
年間の資金流入率では、断トツ1位のバランス型ファンドになります。債券の比率が約70%と大半を占めるのが大きな特徴です。あとは、状況に応じて国内株式とJ-REITに資産配分を行います。
景気が悪化しそうな時には株式の比率を最小限にすることで、損失を防ぎます。価格変動リスクが非常に低く。安全性を重視したい人におすすめです。(年1回決算型も選べます)
※東京海上・円資産バランスファンドの目論見書
【手数料】申し込み時1.62%、信託手数料0.907%
スマートファイブ
日興アセットマネジメントが運用する投資信託です。スマートファイブは、日本国債、海外債券、グローバル株式、グローバルREIT、金の5つに資産を分散します。5つの資産を状況に応じて組み入れを行い、市場変動に左右されにくいファンドです。
【価額】9,709円
【分配金】毎月決算型(直近3カ月 40円/月)
【利回り】4.94%
【騰落率】5.3%(3年)
【年間資金流入率】939億円
【特徴】比率変動型
中長期的に収益が期待できる5つの資産を投資対象として、変動を抑えながら収益の獲得を目指します。値動きが異なる5つの資産を組み合わせることで、リスクを抑えつつも収益が期待できます。
資産配分は定期的に見直しが行われ、比率は市場動向に応じて調整されるのが大きな特徴です。安全資産である金にも投資できることが魅力の1つでしょう。(年1回決算型も選べます)
※スマートファイブの目録書
【手数料】申し込み手数料2.00%、信託手数料1.00%
JP4資産バランスファンド
ゆうちょ銀行のJP投信株式会社が投資の運用を行います。主に、日本を含めた先進国の株式へ投資を行いつつも、債券の比率を高くすることでバランスをとったファンドです。安定性と収益のバランスを重視しています。
【価額】9,982円
【分配金】分配金は今のところ設定されていません
【利回り】リターン率は1.38%
【騰落率】13.3%(3年)
【年間資金流入率】739億円
【特徴】比率固定型
伝統的な4つの資産、日本債券、海外債券、日本株式、先進国株式バランスよく投資を行います。JP4資産バランスファンドは3つのコースから選ぶことができます。
債券の比率が70%になる安定コース、債券の比率が50%になる安定成長コース、債券の比率を30%に抑えた成長コースがあります。それぞれの投資の意向に合わせて資産配分の比率が選べることが大きな特徴です。
※JP4資産バランスファンドの目論見書
【手数料】申し込み時1.08%(上限)、 信託報酬0.4968%
財産3分法ファンド
日興アセットマネジメントが運用する投資信託です。不動産、債券、株式の3つの異なる資産にリスクを配分します。高い収益性とリスクヘッジでバランスを保ちます。
【価額】4,123円
【分配金】毎月決算型(50円/月)
【利回り】5.42%
【騰落率】13.4%(3年)
【年間資金流入率】591億円
【特徴】比率固定型
原則として、不動産25%、株式25%、債券50%を維持して投資を行います。収益率の高い不動産、株式投資と安全性が高い債券投資の比率を同等にすることで、安定性を測りながらも高い収益が狙えます。
高い収益を狙うことで、安定した分配金を目指しているのが大きな特徴です。りすくを抑えながらも分配金の利回り率を重視したい方におすすめです。
※財産3分法ファンドの目論見書
【手数料】申し込み時3.24%、信託報酬1.026%
リスク御制世界8資産バランスファンド
アセットマネジメントOneが運用する投資信託です。国内、海外の債券、株式、不動産など8つの資産に投資を行います。世界中の資産に幅広く分散して投資を行うことで、価格の変動率を約2%程度に抑えることが可能です。市場の下落局面にも強いファンドになります。
【価額】10,089円
【分配金】2カ月毎の決算(10円/2カ月)
【利回り】0.59%
【騰落率】1.92%(1年間)
【年間資金流入率】391億円
【特徴】比率変動型
定期的に資産配分の比率を見直し、各資産への投資比率の調整を行います。その時の市場動向に応じて、リスク要因を分析・抽出し全体的なリスクを均等に保ちます。
市場が上昇傾向にある時にはリスクの高い資産の組み入れを増加、市場が下落傾向にある時にはリスクの低い資産を増加させる機能的配分戦略を適用しています。大まかには、世界の経済成長、金利水準、為替変動の3つの視点からグローバルに投資ができることが大きな特徴です。
※リスク御世界8資産バランスファンドの目論見書
【手数料】申し込み時手数料1.08%、信託報酬0.7452%
ピクテマルチアセット・アロケーションファンド
ピクテ投信投資顧問株式会社が運用する投資信託です。ピクテマルチアセットでは資産を安全に守ることを最重視して、株式、債券、オルタナティブ資産へ分散投資を行います。日本よりも早くからマイナス金利を導入しているスイスの運用手法を基本にしたファンドになります。相場の急落や急激なインフレなどに「負けない」「損失をつくらない」ことをモットーにしています。
【価額】10,739円
【分配金】今のところ分配金の設定はありません。
【利回り】リターン率は3年間で1.32%
【騰落率】3.8%(3年間)
【年間資金流入率】263億円
【特徴】比率変動型
収益を高めるよりも、いかに市場の急激な変動時にも資産を安全に守っていくかを考えた分散投資となります。欲張らずに安全な資産運用と行います。
日本を含めて世界中の株式、債券、さらにオルタネイティブ投資と呼ばれるデリバティブ商品への投資を行います。市場動向に応じて資産の配分調整を行いますが、比較的に安全性の高い海外債券への配分比率が高いのが特徴で、運用者であるファンドマネージャーの詳細も確認できるのが嬉しいですね。
※ピクテマルチアセット・アロケーションファンドの目論見書
【手数料】購入時手数料3.87%、信託報酬1.107%
投資のソムリエ
投資のソムリエはアセットマネジメントOneが運用を行う投資信託です。安定資産である国内債券、為替ヘッジ先進国債券の2資産と、国内株式、先進国株式、国内REIT、先進国REIT、新興国債券、新興国株式の6資産に分散投資を行います。
安全性を保ちながらも収益率が高い運用を目指しています。
【価額】11,520円
【分配金】年2回決算(30円/年2回)
【利回り】0.52%
【騰落率】6.5%(3年間)
【年間資金流入率】222億円
【特徴】比率変動型
市場の変化を敏速に察知して、中長期的に安定した収益を得ることを重視しています。基準価額の変動率は4%前後になり、リスクを抑えつつも高い収益率を目指しています。
各資産への投資配分は市場動向によって、毎日戦略が練られています。新興国や先進国の株式などリスクが高い商品への投資を行いますが、国内債券と為替ヘッジ先進国債券などの安全資産へ投資を行うことで、バランスを測るファンドになります。リスクも抑えたいけれど収益率も重視したい人におすすめです。
※投資のソムリエの目論見書
【手数料】申し込み時手数料3.24%、信託報酬1.512%
※目論見書の見方を学びたい人は、こちらの記事をご覧下さい。
※ポートフォリオをバランス投資に活用する方法がこちらからご覧いただけます。
まとめ
世界的に市場の相場が暴落したリーマン・ショック以降は、ギリシャ危機によるEU経済の低迷、トランプ政権による市場変動のリスクなどによって、株式や為替などの市場は大きく揺れ動いてきています。
また、最近ではまだ先行きが見えないBrexitや米中摩擦が市場に大きな打撃を与えるネガティブ要因として注目されています。そんな中、安定性を重視する投資方法、バランス投資のニーズが高まっており、今回ご紹介したバランス型投資信託は、とくに注目されているファンドになります。
収益率を考えた時には、バランス型ファンドは若干勢いに欠ける部分もあり、物足りなく思う人もいるかもしれません。でも、できるだけ損失を抑えたい方や、中長期で収益を得ていきた方にとっては最適な投資方法だといえます。
バランス型投資信託を選ぶ際の目安として、安全性をとにかく重視したい場合は、債券、とくに国内債券の比率が高いファンドを選ぶ方法があります。安全性を重視しつつも、収益を得たい人は、株式の比率が極力高いものを選ぶといいでしょう。
それぞれの意向に応じて、安心して投資が行えるバランス型投資信託を、この機会にぜひ吟味してみて下さい。