がん治療にはどのくらいの費用が必要?がん治療費から考えるがん保険の必要性

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がん治療の基本

「がんの治療費はどのくらい?実際の費用が分からないと、保険の必要性も分からない!」

がん保険とは、がんになった時の治療費を保障するためのものであり、三大疾病の中でも特にリスクの高い「がん」という疾患に対応した保険です。

ただ、やはり「がん」のリスクが高い事は理解しているけど、1つの疾患に対して決して安くない保険料を支払うのに対して、抵抗があるという方も少なくありません。

なので、今回は「がんの治療費」という観点を中心的に、がんになった場合の経済的なリスクについて

      • がん治療の基礎的な部分
      • がんの部位別の解説
      • がん保険と健康保険

等を、解説していきたいと思います。

まず、はじめにがん治療の基礎的な部分についてご紹介するので「がん治療の流れ」というポイントを掴んで頂きたいと思います。

「がん」と診断されたら

様々な症状が出てきたり、健康診断等で「何かおかしい」と医師が気付き、がんが発覚するケースが多いです。

ただ「がんの疑い」という部分だけでは、がんの治療法は決まりません。

また、治療費というのも治療法によって大きく異なってくるので、この時点では必要な治療費も具体的に定まる訳ではありません。

がんの治療法

がんの治療法には様々な種類があり、現代の西洋医学では三大治療を中心的に進める物が多いです。

三大治療とは?

手術、放射線治療、薬物治療という「がん」を治療する上で、最も用いられることの多い3つの治療法の総称

ただ、三大治療という大枠の治療法は存在していますが「どれとどれを組み合わせるのか?」等の部分は、患者1人1人によって異なってきます。

それに加えて、がんと一括りしても

  • 部位は?
  • 進行度は?
  • どんながんか?(悪性度)

等の部分が各患者によって大きく異なります。また、患者が希望する治療法等によっても、実際に行う治療法も異なってくる事があります。

実際に治療が始まるまで

上記した各患者によって異なる部分を検査して、検査結果が返ってくるまでに数週間は掛かると見ておいた方が良いでしょう。

「あなたはがんです。ただ、治療法については少し時間をください」と言われているようで、中には「がんなのにそんなにモタモタして大丈夫か?」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、がんというのは今日・昨日ですぐに進行するというよりも、発覚時には既にがん細胞が数年間掛けて大きくなっていたというケースが多いです。

つまり、がん自体はリスクの高い疾患ではありますが、すぐに病状が悪化するような進行の早い疾患ではありません。(もちろん、個人差はあります)

がんと聞くと焦りや不安を感じてしまうのも無理はありませんが、診断された場合は「冷静に治療法を選ぶ」というのも、重要なポイントになってくるでしょう。

がんの部位・ステージ・治療法

先程も少しご紹介しましたが、がん治療においては3つの点が重要になってくるでしょう。

それは、

  • がんの部位
  • ステージ(進行度)
  • 治療法

という3つのポイントです。この点はがん治療において、重要な点になってくるのでもう少し深掘りしていきたいと思います。

がんの部位

がんは進行が進むと体全体に広がっていきますが、通常どこかの部位にのみがん細胞が活動しているという事が多いです。

がんの部位によって、選択できる治療法は大きく異なってくるので、ポピュラーながんの部位について押さえておきたいと思います。

日本人に多いがんは、以下の「9種類」が挙げられると思います。

        • 肺がん
        • 乳がん
        • 食道がん
        • 胃がん
        • 大腸がん
        • 肝細胞がん
        • 膵臓がん
        • 膀胱がん
        • 前立腺がん・子宮頸がん
          (男性は前立腺、女性は子宮頸がん)

男性・女性によってリスクは変化しますが、男女混合でリスクの高いがんを挙げると上記になります。

各部位によって「死亡リスク」や「治療法」については異なってきますが、上記のがんの場合はやはり三大治療が中心的になってくると言えます。

ステージ

がんに関するドラマや映画、その他の書籍等でがんに関する事を見たり聞いたりした事がある方は「ステージ」という言葉を聞いた事があると思います。

ステージには全部で5段階あり、その内訳は以下のようになっています。

がんのステージ

  • ステージ0
    (最も初期の段階、がんの進行が上皮細胞に留まっている)
  • ステージ1
    (がんが上皮細胞を飛び出して、筋肉に達している状態)
  • ステージ2
    (がん細胞が筋肉を飛び出して、若干ではあるがリンパ節に達している or 筋肉に深く根付いている)
  • ステージ3
    (がん細胞がリンパ節に転移している)
  • ステージ4
    (多臓器への転移も認められる、全身に広がり初めている)

がんのステージは「TNM」と言われる3つの要素、「がんの大きさ」「リンパ節への転移」「他臓器への転移」という点を総合的に見て、ステージが判断されます。

部位はもちろんですが、ステージというのも治療法を大きく分ける要素です。

また、傾向ではありますが、一般的にステージ0~4とステージが進めば、進むほど治療は長期的なものになっていきます。

治療が長期的になってくるので、治療費に関してもステージが進むにつれて大きくなっていくと言えるでしょう。

三大治療

三大治療とは「手術」、「放射線治療」、「薬物治療」の総称であり、がん治療に用いられる事の多い治療法の事です。

ただ、一つ一つの治療法によって用途は少し異なってきます。

手術が用いられる際は、主に「その部位自体を切り取ってしまう」という用途が多く、1~2回程度の回数である事が多いです。

一方の薬物治療や放射線治療というのは「徐々に小さくしていく」というものです。(ものによっても異なります)

そのため、切り取ってしまう手術と比較した際に、治療が長期化する事が多く、それに伴って回数も多くなります。

また、薬物治療・放射線治療は「手術の後に薬物治療で再発防止をする」というように、併用して用いられる事が多いです。

最近では初期段階であれば、手術は必要なく「薬物治療・放射線治療のみ、もしくは両者のみを用いる」という事もあります。

手術を用いられない治療法であれば、通院のみで治療が可能なケースもあります。(入院が必要なし)

このあたりは、患者が希望する治療法等によっても異なってきます。

「がん = 手術・入院」と想像してしまいがちですが、手術・入院なしという選択肢も広がりつつあります。

がん治療と部位

がん治療は部位・ステージ等によって治療法が異なり、治療費が大きく異なる事をご紹介させて頂きました。

そのため、がんに掛かる治療費を解説する場合は「部位別」で解説していく事が最も適切だと思います。

ただ、部位別で個別にご紹介したとしても、実際の治療費等は本当に各自異なってきます。

なので、平均的な値を厚生労働省の医療給付実態調査を参考にしながらご紹介していきたいと思います。
(治療費の総額をご紹介します。自己負担分については、健康保険の章で解説しています。)

今回は、がんの中でも

  • 胃がん
  • 肺がん
  • 乳がん
  • 前立腺がん

という4つの日本人にとってリスクの高い部位についてご紹介していきたいと思います。

胃がんの治療費

胃がんの平均的な治療費は「約64万円」となっています。胃がんの治療法はステージ等によっても大きく異なる部分ではありますが、「手術」を用いる事が多いです。

というのも、胃の場合は部分的に切り取ったとしても使えてしまうので、仮に胃を切り取った場合でもそれほど大きなデメリットが無いのです。
(諸説ありますが、他の臓器と比較した時にデメリットが少ないです)

また、胃がんであってもリンパ節転移や多臓器への転移が認められる場合は、別途薬物治療や放射線治療が必要になるケースがあります。

そのようなケースでは治療費はもっと大きくなり、年間で数百万円以上の治療費が掛かる事を見込んでおいた方が良いでしょう。

ただ、基本的には手術を用いる事が多く、入院が必要になる事が多いです。

肺がんの治療費

肺がんの平均的な治療費は、他の部位と同じように「約60万円」程度で済む事が多いです。主な治療法は「手術」「薬物治療」になっています。

ただ、肺がんに関しては手術の方法によって治療費が大きく異なってくる事が多いです。

例えば、肺葉切除術という手術を受けた場合に、2~3週間程度入院した場合は「140万円~170万円」程度の金額が必要になってきます。

また、進行が進んでおり長期的な薬物治療が必要になった場合は、年間で50万円~100万円程度の治療費が必要です。

乳がんの治療費

乳がん場合の治療費は、診断された年に関しては「60万円~50万円」程度の治療費が掛かってきます。

ただ、乳がんは殆どのケースで「手術」とプラスアルファで「薬物治療(抗がん剤・ホルモン治療)」が必要になってきます。

特にホルモン治療に関しては、治療が長期化するケースが多く、治療費も年間100万円程度と高くなりがちです。

乳がんは他の部位のがんと比較した時に、長期化しやすいのが治療費を左右する大きな要素になっています。

前立腺がん

最後にご紹介したい部位は「前立腺がん」です。前立腺がんの治療費は「50~100万円」程度になってきます。

治療法が多く、治療法・治療費について「これ」とはっきりさせる事は難しいですが、「手術」「放射線治療」が中心的になってくるでしょう。

一例を出すと手術では、ダヴィンチというロボットを用いた手術があります。(もちろん、ロボット手術以外も選択肢はあります)

比較的最近(2012年)に健康保険の対象になったので、ロボット手術の治療費についてご紹介したいと思います。

ダヴィンチを用いた手術の治療費は、手術だけで「90万円」近くの治療費が必要になり、そこに入院費が必要になってくるという感じです。

前立腺がんで、手術を用いた場合は100万円を超える場合もあると考えておいた方が良いでしょう。

しかし、前立腺がんに関しては「放射線治療」も、重要な治療法として用いられる事が多いです。

前立腺がんの放射線治療では2~3ヶ月程度の期間、十数回の照射を受けるというものになっています。

放射線治療の近年の発展は目を張るものがあり、がん治療に大きな貢献をするというケースも少なくありません。

前立腺がんにおいては特に有効で、殆どのケースで放射線治療を行います。

がん保険と健康保険

先程、がんの治療費ついて解説させて頂きました。中には「え?がんの治療費ってそんなに掛かるの?」と疑問を持った方もいると思います。

がんは部位・進行度によっては、治療が長期化するケースも少なくなく、2人に1人は掛かると言われているのでリスクの高い疾患ではあります。

また、治療中は「仕事が出来ない」という事が多いので、経済的な負担が大きくなるのも事実です。

ただ、先程解説させて頂いた治療費は「治療費の総額」であり、実際に「負担すべき金額」ではありません

というのも、国民皆保険という制度があるため、日本国民は原則何かしらの「健康保険」に加入しています。

健康保険によって、治療費をかなり軽減する事が可能であり、がんの治療費を解説する上でこの点は外せません。

なので、これから

  • 「がん治療費と健康保険」
  • 「がん治療費と高額療養費制度」
  • 「がん保険の必要性」

というポイントについて、解説していきたいと思います。

がん治療費と健康保険

まず、はじめにがん治療費と健康保険というテーマで解説していきたいと思います。先程も触れましたが、健康保険は日本国民なら基本的に加入しています。

健康保険について解説

加入しているという感覚は無いかもしれませんが、給与等から自動的に天引きされており、ほぼ強制的に加入という形になっている事が多いです。

なんだか、強制的に保険に加入するというのに対して、違和感を感じる方もいるかもしれませんが、実際はかなり優秀な保険です。

というのも、健康保険は加入者(国民)からの保険料で成り立っているという面もありますが、それよりも「税金」が大きな予算の1つになっています。

つまり、通常民間の保険では「支払った保険料のみの保障」しか受けられない訳ですが、健康保険なら保険料にプラスして税金分の保障を受ける事が可能なのです。

その分、支払った保険料・保障内容を比較した時に手厚い保障となっており、強制的に加入していても損はないと言える保険でしょう。

どのくらいの負担をしないといけないのか?

健康保険を民間の保険を分析するように、保障内容を解説していくとかなり多くの要素を持っており、説明しきれません。

そのため、がん治療において健康保険が保障を行う事の出来る部分について解説したいと思います。

がんに限らず、健康保険では「自己負担3割」「自己負担1割」というように、予め負担するべき治療費の金額が決まっています。

この負担する割合は、加入者の収入・年齢によって大きく変化する部分なので、詳しくは厚生労働省のページが参考になります。

ただ、一般的な加入者であれば「自己負担3割」というケースが多いでしょう。

つまり、先程ご紹介したがんの治療費で、仮に「100万円」の治療費が必要なケースであっても「30万円」の負担で治療を受ける事が可能なのです。

なので、実際に負担する金額は先程ご紹介したものよりも、かなり金額的な面が軽減されたものになります。

がん治療費と高額療養費制度

ただ、中には「30万円の治療費でも大きい」と感じる方もいると思います。

もちろん、元々の金額から考えるとかなり軽減されたものにはなっていますが、それでも大きな負担であることには変わらないでしょう。

そのような部分を補填するために、健康保険に加入している方は「高額療養費制度」を利用する事が可能です。

高額療養費制度とは「月あたりで一定金額を超えた場合は、それ以上医療費を負担する必要がない」という制度です。

この一定金額という部分は年齢・収入によって変化しますが、最も低いケースで「3万5,400円」になっています。

つまり、月あたりで3万5,400円を超えた場合はそれ以上、負担する必要がないのです。

詳しい内訳については、厚生労働省の高額療養費制度のページが参考になります。(内容が変わる事もあるので、随時確認しておくのがおすすめ)

がん保険の必要性

先程、健康保険や高額療養費制度についてご紹介させて頂きました。

上記したような事を考えると「がん保険って本当に必要なの?」という疑問が出てくると思います。

がん保険は、がんのみを専門的に保障するものです。そのため「がんのリスクが高いのは事実だけど、がんだけに保険料を支払う必要はある?」という疑問が出やすいです。

結論から言うと、がん保険の必要性は「経済的な状況・環境」によって異なると言えます。

上記したように高額療養費制度等によって、年間の医療費負担は高くても「20万円~60万円」程度に押さえる事が可能です。(一般的な収入の場合)

つまり、最高でも月約5万円程度の負担でどうにかるなるので、人によっては「そのくらいどうにかなる」と感じる方もいるでしょう。

ただ、しっかりと考えたいのは「治療の間、診断前と同じように仕事が出来るとは限らない」というポイントです。

そのため、がん治療を行っている時は「医療費負担増 + 収入減」というマイナス要素が重なる可能性も十分にあります。

なので、十分な貯蓄・資産を持っている経済的に余裕のある方なら、必要性は低いと言えます。

しかし、一般的な貯蓄状況・収入だとがん保険の必要性は高いと言えるでしょう。がん保険の必要性ついては以下の記事で詳しく解説しています。

がん保険って不要かも?考えたいがん保険の必要性やメリット・デメリット

人気のがん保険はこちら

まとめ

がん治療の基本

  • 治療の方法は個人によって異なる
  • ステージ・部位等によって選択出来る治療法は異なる
  • 一般的には三大治療を用いる

がん治療と部位別の治療費

  • 胃がんの平均的な治療費は約64万円
  • 肺がんの平均的な治療費は約60万円
  • 乳がんの平均的な治療費は約50万円~60万円
  • 前立腺がんの平均的な治療費は50万円~100万円

がん保険と健康保険

  • 健康保険によって治療費は自己負担3割が多い
  • 高額療養費制度もある
  • ただ、がん保険の必要性は依然高い

今回はがんの治療費という観点から、部位別の治療や各治療費、健康保険の保障等についてご紹介させて頂きました。

健康保険は様々な医療費をカバーする事が可能であり、保障も手厚いと言えるでしょう。

ただ、それだけではカバーしきれない部分は存在しており、各状況・環境によって、がん保険の必要性を見直していきましょう。

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