法人カードのトラブルに防止対応策とセキュリティに強い5つのカードを解説

ビジネスを円滑に進めるにあたり、法人カードはさまざまな場面で役に立つでしょう。しかし、カードトラブルが不安で申し込みに踏み切れないという方もいるかもしれません。

優れたシステムを導入していてもトラブルから100%守れるという保証はありませんが、トラブルの事例や具体的にどんな対策をすれば良いのかを知っておくことで万が一のときにも対処しやすいです。

なお、クレジットカードで発生するトラブルといえば、紛失に盗難、利用制限などが挙げられます。その他にも法人代表者や個人事業主が使用する本カードだけでなく、社員が使用する追加カードのトラブルも考える必要もあります。

今回の記事では、法人カードでどんなトラブルが発生するのかをはじめ、場面別の対処法をまとめてみました。その他にもセキュリティに強い法人カードもご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

個人カードと法人カードは取り扱いが違うことを理解する必要がある

クレジットカードは大きく2種類に分かれ、基本的に18歳以上の個人が申し込み対象となる個人カード、そして事業主(法人代表者・個人事業主)を対象にした法人カードがあります。

加盟店や利用方法に大きな違いはありませんし、どちらも変わりなく利用できるものの、それぞれの違いを理解しておかないと思わぬトラブルに発展することがあるでしょう。

法人カードは本カード以外に追加カードを発行できる

法人カードを持つ場合、法人代表者もしくは個人事業主の使用する本カードと社員が経費の支払い目的で使用する追加カードがあります。追加カードとは個人カードで言えば家族カードと同じ扱いになり、社員の人数に合わせるなどして必要枚数を申し込む流れです。

ただし、個人カードで発行する家族カードは追加カードとは異なり、社員の人数や事業規模によって幅もあるでしょう。そのため、法人カードを導入するにあたり、追加カードを発行できる上限枚数とカードを渡したい社員の数を確認しなければなりません。

その他にも現時点における社員数でなく、今後人数が増えることも考慮しないと追加カードが不足することになってしまいます。新たに別の法人カードを契約するのでは面倒や手間もかかりますし、トラブルの原因にもなりやすいです。

法人カードのポイント還元率は個人カードより低いことが一般的

個人カードは個人の私的利用を目的にカード発行していますが、法人カードはビジネスで支出する経費の決済を目的に発行するカードです。また、経費に関する事務の効率化をはかることも主な導入目的でしょう。

そのため、法人カードのポイント還元は主なサービス項目ではないということです。しかし、最近は各カード会社が会員増のためにサービス合戦を行っており、法人カードのポイント還元率もスルーできないレベルになってきました。

そうは言っても、1%還元も珍しくない個人カードと比較すると、法人カードは還元率が低いことが多いのも事実です。

法人カードで獲得できるポイントが個人カードと同じくらいと考えていると、後から予想外の結果に残念な気持ちになってしまうかもしれません。

対応する支払方法が限定的

すでにお伝えしたように、法人カードの導入目的は経費事務の効率化をはかることです。そのため、個人カードのようにライフスタイルを考慮した支払方法を用意する必要性はないと考えられています。

個人カードではリボルビング払いや分割払いに対応するのが当たり前です。しかし、法人では手数料や利息も発生することから、買掛金の管理面を考えると検討することは少ないでしょう。

もしかしたら法人代表者や個人事業主によっては、1回払いではない法人カードを導入したいと考えるケースもあるかもしれません。そんなときは一部の法人カードではあるものの分割払いやリボ払いに対応するカードもあります。

ただし、カードごとに対応状況が異なるため、後でトラブルにならないようにあらかじめ詳細を調べてから利用するのがスムーズです。

法人カードで起こる主なトラブル

トラブルに遭っても焦ることなく対応するには、まず知識を身につけておくことです。こちらでは、法人カードの主なトラブルについて、事例を3つチェックしていきましょう。

・不正利用
・法人カードが突然使えなくなる
・入金ミスが原因の引き落としエラー

以下でまとめています。

1:不正利用

法人カードの不正利用は大きく2つ挙げられ、社員による不正と盗難・紛失から起こる不正があります。どんな内容なのかを見ておきましょう。

社員による不正

社員による法人カードの不正利用は以下のような例があります。

・マイカーの給油に法人カードを使う
・私的(ビジネス以外)の飲み会で法人カードを使う
・ETCカードを私的に使う
・法人カードで貯めたポイントやマイルを私的に使う

これらは、社員が私的に法人カードを使うケースになっています。特に飲み会で使うのはビジネスの場でなく私的なのかと判断が難しいケースもあるでしょう。

あらかじめルールを決めるなどした、慎重な対応が求められます。

盗難・紛失から起こる不正

社内外で法人カードを盗難したり紛失したりすることでも、不正利用につながるでしょう。もしも、法人カードの盗難や紛失が起きた場合、以下のような手順で対応しないとなりません。

1.カード会社に連絡して法人カードの利用停止
2.盗難届を警察に提出
3.届出番号が発行されるので、カード会社に番号を伝える

注意すべき点がカード会社に連絡するのみで済まない点です。警察に被害届を提出していないと、法人カードの悪用が原因で発生した損害をカード会社が補償してくれません。

2:法人カードが突然使えなくなる

不正利用以外にも、法人カードが突然使えなくなるなどのトラブルもあります。こちらも具体例をチェックしておきましょう。

利用限度額のオーバー

法人カードの利用代金が決済されるのは最長で翌々月となります。そのため、前月の利用金額引き落とし前にカードを使うと予想しない限度額オーバーを起こすことになるのです。

たとえば、法人カードの利用限度額が100万円で4月に70万円の決済をした場合、引き落とされるのは6月中旬以降になります。よって、6月上旬に30万円以上の利用をすると限度額がオーバーするので使えなくなるでしょう。

いずれにしても、「法人カードの利用限度額は約2カ月分」ということを覚えておくのが、トラブルを起こさなくて済みます。

有効期限切れ

券面に記載されている有効期限ですが、失効を見落としているケースも意外とあるものです。券面をよく見ていないことはもちろん、インターネットショッピングの利用が多いことで気づきにくくなってしまいます。

なぜならインターネットショッピングでは、カード情報を登録することで次回以降の利用における情報入力の手間が省けるためです。そして、有効期限切れによるエラーが発生しますが、この期限切れエラーは新しい法人カードの情報さえ登録すれば問題なく利用できます。

法人カードの名義相違

法人カードは、契約名義人以外が使うことを利用規約で禁止しています。そのため、法人カード利用時の署名と名義人が異なったら決済はできませんから、法人カード券面の名義と銀行口座名義を混同しないようにしてください。

なお、法人カード追加カード券面に、法人名義ではなく、社員それぞれの個人名が記載されています。引き落とし先は法人口座から一括で行われますが、法人カードを使った際の署名は券面の名義人を記載してください。

システムエラーの発生

有効期限や名義人に特に誤りがないのに法人カードを使えない場合、システムエラーなどが発生している可能性があります。また、店舗で支払った際のエラーであれば、端末の故障が考えられるかもしれません。

このようなエラーの場合、利用者による対象方法はありません。その場は現金で支払うなどして、後でカード会社に問い合わせてみるのが良いでしょう。

3:入金ミスによる引き落としエラー

引き落とし日に銀行口座の残高が不足している場合、法人カードが利用停止となることがあります。

引き落とし日に合わせて口座残高をチェックしておけば特に問題はないですが、業務が多忙な場合はつい忘れてしまうかもしれません。

引き落としができない場合、法人カードの利用履歴に傷がつくことになります。状況しだいでは強制解約となり、今後法人カードを持てなくなるでしょう。

そうなってからでは大変なので、口座残高や引き落とし日はちゃんと確認する習慣をつけてください。

法人カードのトラブルを防ぐ方法

こちらでは、法人カードのトラブルを防ぐ方法について解説します。不必要なトラブルを防いで、法人カードを効率良く使ってください。

徹底した管理が必要となる

社員による不正利用を防ぐために、あらかじめ追加カードについての社内ルールを詳細に決める必要があるでしょう。

カードの持ち出しを業務時間外以外は完全禁止、法人カードを使用する前に報告を必要とするなど。さまざまなことを取り入れると効果的です。その他にも、万が一の盗難や紛失に備えて、セキュリティーコードやパスワードの管理も徹底してください。

ただし、法人カードはビジネスをはじめ、事務作業をスムーズにするために導入するのが目的です。ルールを厳格化しすぎてしまうと、カード管理だけで手間がかかって担当者の負担増となってしまうかもしれません。

よって、不正防止と法人カードの利便性のバランスを考慮した社内ルールを決めることが重要です。

セキュリティが充実した法人カードを選ぶ

セキュリティが充実した法人カードを選ぶことで、トラブルが発生しても被害を少なく済ませることができます。

不正利用時の被害額補償をはじめ、盗難などの緊急事態発生時に24時間365日対応してくれる専用デスクを設置する法人カードもあります。

合わせて、法人カードを使って購入した商品が思いがけなく破損したり盗まれたりした場合、その代金の保証対応ができるショッピング保険もあるので重視したいところです。

セキュリティに強いおすすめの法人カード5選

こちらでは万が一のときに安心できる、セキュリティに強い法人カードを5種類ご紹介します。盗難や不正利用による被害も補償してくれる法人カードを選ぶことで、ビジネスにも幅広く活用できるでしょう。

・アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
・JCB法人カード
・楽天ビジネスカード
・EX Gold for Biz
・三井住友ビジネスカード for Owners

それぞれの法人カードについて、特徴をまとめています。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードがあれば、どの社員が、「いつ」「どこで」「どのくらいの金額」を利用したのかが簡単にわかる追加カードを発行できます。

仮払いや小口決済などの面倒な手間も軽減されることから、事務処理において大幅な効率化が可能でしょう。

もしも法人カードを利用して購入した商品が盗難に遭ったり、損害が発生したりした場合でも、購入日から90日は年間最高500万円まで補償となる「ショッピング・プロテクション」をはじめ、購入商品の返品受け付けがしてもらえない場合に年間最高15万円までアメックスが購入代金を肩代わりする「リターン・プロテクション」など。豊富かつ多彩なプロテクション・サービスが大きな魅力です。

さらに、インターネット上で第三者による不正使用が発生した場合、被害金額がカバーされる「オンライン・プロテクション」の付帯もあります。

法人カードを盗難や紛失した場合は「メンバーシップ・サービス・センター」に連絡しますが、24時間年中無休で対応していることも安心できるポイントです。法人カードの利用をその場で停止してもらえるので、さらなる被害拡大を防いで新しくカード発行の手続きをしてもらえます。

JCB法人カード

JCB法人カードでは、法人カードが盗難されたり紛失したりした場合、国内・海外を問わずに24時間体制でサポートしてくれます。

また、届け出から60日前までさかのぼって損害額を負担してくれますし、海外でも日本語対応で済むので安心できるでしょう。その他にも海外でカードを利用して購入した商品が損害を被った場合、「ショッピングガード保険」で最高100万円までの補償があります。

年会費も1,375円(税込)というお得さでありながら追加カードは複数枚発行できますし、機能的なビジネスの実現が叶うはずです。

なお。スターバックスコーヒーにamazon、昭和シェル石油などのビジネスシーンで利用機会の多い店舗でポイント還元率がアップする「JCBオリジナルシリーズパートナー」があることも大きな特徴となります。

楽天ビジネスカード

海外のビジネスが多い方におすすめなのが楽天ビジネスカードです。万が一のトラブルに遭った場合でも、60日前までさかのぼって損害額を補償する盗難保険が付帯しています。

さらに、購入した商品を90日間損害から守ってくれる、最高300万円のショッピング保険も付帯していて安心です。

条件として、楽天プレミアムカードの追加カードとして発行されますが、本体となる楽天プレミアムカードはビジネスに役立つサービスや特典が多く付帯しています。

特に利用価値があるのが、世界各国・地域の空港ラウンジが無料で利用できる「プライオリティ・パス」プレステージ会員に無料登録できる点は見逃せないポイントです。

楽天ビジネスカードは単体発行ができないので、楽天プレミアムカードで11,000円(税込)、楽天ビジネスカードで2,200円(税込)の合計12,200円(税込)の年会費がかかりますが、プレステージ会員のもともとの年会費は約43,000円のため、その部分だけでも元がとれるでしょう。

楽天ビジネスカードが追加カード扱いとなるため、さらに追加カードは発行できないものの、十分なトラブル対策を行いたい法人代表者や個人事業主にとっては心強いカードとなります。

EX Gold for Biz

EX Gold for Bizは年会費2,200円(税込)で保有できる、低価格の法人ゴールドカードです。国内・海外でカードの盗難被害、紛失に遭った場合は、24時間年中無休で「紛失・盗難受付ダイヤル」が対応を行っています。

また、海外で法人カードを紛失したとしても「海外緊急カード」を発行してもらえる点も安心できるポイントです。被害金額も届け出日から60日前までさかのぼって補償されます。

年間の利用金額によって還元率が変わり、最大で1.1%の実現も可能です。その他にもゴールドカードなので、空港ラウンジの無料利用、国内・海外の旅行傷害保険などの特典が付帯します。

三井住友ビジネスカード for Owners

三井住友ビジネスカード for Ownersの場合、クラシック(一般)で1,375円(税込)の年会費となります。

海外でカード利用をして購入した商品の破損や盗難は200日間、年間最高100万円まで補償される「ショッピング補償」をはじめ、最高2,000万円の海外旅行傷害保険が付帯されるなど補償の充実度が高いです。

追加カードは1枚440円(税込)で発行可能で枚数に制限もありません。また、法人カードの中では比較的作りやすいことからはじめての方にもおすすめの1枚でしょう。

まとめ

今回の記事では、法人カードで起こるトラブルについて解説しました。トラブルと言われると焦ってしまうかもしれませんが、前もって対策をすれば防げることがほとんどです。

利用する側ではどうにもならない盗難、不正利用は、セキュリティに強い法人カードを選ぶことで避けるようにしてみてください。

ご紹介したおすすめの法人カードを参考にしながら、トラブルに強い1枚を見つけてビジネスの中で役立てていきましょう。

コメントを残す