【不動産クラウドファンディング】元本は全額戻ってくる?元本割れのリスクや償還のしくみを解説。

不動産クラウドファンディングは、少額から不動産に投資ができる近年の新しい投資方法ですが、まだ新しい分野であるため情報の入手が困難なのが現状です。

初心者でも気軽に投資に取り組めるクラウドファンディングは、これまでは投資にためらっていた人でも会員登録さえすれば、証券や不動産のことがよくわからなくとも始められる気安さがあります。

投資を始めるにあたって、まずは不明点をクリアにすることが欠かせませんが、投資の初心者の中には、何を確認すべきかがまずわからない、という人も多いのではないでしょうか。

投資をする上で最初に確認しておきたいのは、やはり投入した投資資金、つまり元本がどうなるのかということです。

そこで、今回は不動産クラウドファンディングで投資した場合に、元本は戻ってくるのか、元本の償還はどのようになされるのかを解説していきます。

合わせて、その他のリスクや中途解約についても解説いたしますので、参考にして下さい。

初心者の投資への不安

少額からできるのであれば投資をしてみたい、

本当に稼げるチャンスがあるのなら1度投資を試してみたい、

投資に興味があるけどよくわからないから不安・・・

などと、投資を始めてみようかと思いながらも、いざ始めるにあたっては様々な思いがよぎります。それがどんな投資であっても、そんなに簡単に利益が得られるわけがない、と常識を備えた人なら誰でも不安に思うものです。

特に不動産投資には高額な資金がかかり、初心者が一歩踏み出すにはかなりの覚悟が必要です。

そんな中、不動産クラウドファンディングの存在を知って、1万円~数万円で不動産投資ができるのであれば、やってみたいなと考える人も多いのではないでしょうか。

不安に思うのはわからないから

そこで、初心者にとって何が最も不安な要素になっているのかというと、損失を出すかもしれないことはもちろんですが、その投資の仕組みがよくわからないからなのです。

今、自分が取り組もうとしている投資に対して、どのような場合に利益が出て、どのような場合に損失になるのかが明確になれば、損失のリスクを抱えつつも、きっと一歩踏み出すことができるのだと思います。

何が不安なのかよくわからない、といった漠然とした思いが一歩踏み出すことを思い留まらせる理由になってしまうのです。

投資のしくみがよくわからない、と初心者が思うのは不動産クラウドファンディングに限ったことではないのですが、クラウドファンディングはまだ新しい分野であるため、情報が少なく不明点を明確にしづらいというデメリットがあります。

そこで、今回不動産クラウドファンディングの投資のしくみ、元本はどうなるのか、そしてリスクについてわかりやすく解説していきます。

不動産クラウドファンディングのしくみ

 

それでは、そもそも不動産クラウドファンディングはわずか数万円から不動産投資ができるということですが、その投資方法はどのようなしくみになっているのでしょうか。

なぜ少額から可能で、どのように利益を得ることができるのでしょうか。

なぜ少額から可能なのか

不動産を購入するには通常だと、数百万円~数千万円の資金がかかります。となれば、どうしても誰にでも取り組めるというわけにはいきません。

しかし不動産クラウドファンディングは1万円~数万円で、その物件のオーナーの1人になることができます。

要は、不特定多数の投資家達が少額の資金を寄せ集めて、1つの不動産に投資を行うイメージです

1人でその不動産を購入することはできないけれど、多くの投資家の資金を合わせれば購入が可能となる、これが基本的な不動産クラウドファンディングのしくみです。だから少額でも不動産投資が可能なのです。

投資に必要な資金を代表して収集するのが、クラウドファンディング、ソーシャルファンディングと呼ばれる業者になります。

運用は不動産運用会社に任せることができるので、不動産の知識がない初心者でも始めやすいのです。

※不動産クラウドファンディングのしくみをさらに詳しく知りたい方はこちら。

どのように利益を得るのか

不動産クラウドファンディングで利益を得る方法は、まず分配金です。

みんなで出し合った資金にて購入した収益物件が、順調に賃貸や宿泊などで利益を得た場合にすべての投資家達にその利益が分配される仕組みとなっています。

また、その物件を売却した際に予定以上の利益になった場合は、元本が増えて戻ってくる可能性もあります。

※不動産クラウドファンディングの分配金について詳しくはこちらからご覧になれます。

元本は全額戻ってくる?

不動産クラウドファンディングは、基本的に投資期間(運用期間)が定められています。

短期だと数か月~半年くらい、今のところは長期でも2,3年ぐらいが多くなります。中には5年、10年のプロジェクトもあります。

不動産クラウドファンディングに投資した金額、つまり元本は運用期間が終了した時に償還される仕組みとなっています。

原則として、10万円(1万円、100万円)など投資した金額が元本として償還されることになりますが、必ず100%元本が保証されるわけではありません。

元本が少なくなるケースとは

では、どのような場合に元本が少なくなってしまうのでしょうか。

これは、2つの要因を考えることができます。

賃貸や宿泊の収益が予定を下回った場合

元本が減少してしまう大きな理由の1つは、その物件から得られる予定だった賃貸料や宿泊料が予定を下回った場合です。

その場合は、分配金を少なくする、または予定していた分配金が支給されない、などと調整することで、少なくとも投資家たちが提供した資本をも守ることも可能です。

ただ、それでも収支がマイナスとなった場合は、元本が削られてしまう可能性があります。

売却値が購入価格より下回る

元本が減少してしまうもう1つの理由とは、その物件の売却値が購入価格を下回った場合です。

例えば、あらかじめ物件には投資期間が設けてあります。まず集めた資金は物件の購入費用にあてます。そして、定められた期間は担当の不動産運用会社が運用した後、その物件を売却する流れになるものが多くなります。

そこで、仮にその物件の売却値が購入費用よりも下回った場合には、元本が削られてしまう可能性があります。資金を提供した投資達に償還する資金が足りなくなるからです

最大のリスクは運用会社の信用度

そして、これはごく稀なケースとなるのですが、不動産クラウドファンディングの最大のリスクとは、投資した運用会社が倒産してしまう可能性があることです。

不動産クラウドファンディングにおける運用会社は、比較的歴史の浅いベンチャー企業が多くなります。そのベンチャー企業のバックに大手がついている場合もありますので、一概には言えませんが、倒産のリスクは1部上場の大手不動産会社に比べれば高くなってしまいます。

もし、不動産運用会社が倒産してしまえば、当然ながら元本は戻ってきません。ということは投資した金額をすべて失うことになってしまうのです。

ただ、不動産クラウドファンディングの最大のメリットは、アイデアや運用方法などに魅力があり、新時代の需要に対応できることです。

自分で不動産を購入するつもりで

というように、ほとんどの不動産クラウドファンディングでは投資した金額(元本)や運用会社の存続の保証はありません。

たまに、元本が保証されて、その代わり分配金が少ない募集企画が出ることもありますが、その場合でもその運用会社の存続が100%保証されるわけではないのでリスクは生じることになります。

ですから、いくら少額で不動産投資ができると言われても、運用会社選びや物件選びは、自分で不動産を購入するつもりで慎重に進めていく必要があるのです。

1万円ならあきらめもつく?

もし、失う金額が数十万円、数百万円となれば、ショックのあまり一生立ち直れない人もいるかもしれません。

でも1万円ならどうでしょうか?

手始めに1万円だけ試しに投資してみるのであれば、失敗したとしてもあきらめがつくのではないでしょうか。

もし成功すれば次に進む励みになりますし、失敗した場合でも何が悪かったのか勉強する機会になります。

これは決して1万円という金額を軽く見なしているわけではないので、誤解しないで下さい。お金の価値は、1円であっても1万円であっても100万円であっても等しく貴重です。

無から1円をつくるのは容易なことではありません。1万円だから失ってもいいというわけではないので注意して下さい。(打撃が少ないという意味です。)

不動産クラウドファンディングのリスク

では、元本の次に考慮しておきたい不動産クラウドファンディングのリスクにはどのようなものがあるでしょうか。

不動産クラウドファンディングで投資始める際に注意しておきたいリスクをご紹介しておきます。

情報が少ないリスク

不動産クラウドファンディングは周知のように、まだ実例・前例が少ない分野になります。参考にする情報が少ないことが投資家にとって大きなリスクになってしまいます。

また、不動産クラウドファンディングの募集自体がまだ少ないため、条件に合う物件の募集を、投資したい時期に見つけることが難しいかもしれません。

こまめに新しい募集企画がないかチェックすることが欠かせません。

募集が即終了するリスク

不動産クラウドファンディングの募集企画が出た場合でも、即目標金額が収集されて募集が終了してしまうものも多々あります。

人気ある運用会社の物件だと、30秒で募集が終了するケースも見られています。気に入った物件を見つけても十分に検討する時間が持てないかもしれません。

普段から、利用したい運用会社やどのような不動産物件に投資がしたいのかを明確にしておくと、いざ募集が出た時に判断しやすくなるでしょう。

運用会社が明確にできないリスク

また、不動産クラウドファンディングの中には、金融機関が資金を集めてそれを運用会社に融資するタイプのものがあります。これはソーシャルレンディングとも呼ばれる投資方法になります。

この場合、ソーシャルレンディングの業者の詳細が確認できても、どこの不動産運用会社に融資が行われるのかの詳細が表記されてない募集もあるので注意しましょう。

そのソーシャルレンディングの業者が、信頼できる業者であれば投資先が不明でも任せることもできるのでしょうが、リスクは高いといえるでしょう。

投資物件が明確にできないリスク

また、不動産クラウドファンディングに投資する上で注意しおきたいリスクは、投資する物件の詳細が確認できるかどうかということです。

募集企画によっては、大まかに「○○地区のワンルームマンション」としか表記されていないものもあります。これでは、この物件に投資すべきかどうかを判断することができません。

通常は、住所、物件の詳細、物件の特徴などが写真で確認できるようになっています。住所や建物名がわかれば、自分で周辺の環境を調べることも可能です。

投資物件の詳細が確認できるかどうかは重要なポイントになるでしょう。

中途解約/償還方法

それでは、最後に不動産クラウドファンディングを行う上でクリアにしておきたい項目として、中途解約や元本の償還方法について解説していきます。

中途解約はできる?

不動産クラウドファンディングは原則として投資期間(運用期間)が定められていることをご説明いたしました。そこで、もし途中で解約はできるのどうか疑問に思う人もいるでしょう。

悪化する運用状況、運用会社への不信を引き起こすニュースを聞いた時には、解約することで先々の損失を最小限に抑えることが可能になります。

不動産クラウドファンディングでは、中途解約できるものもありますが、解約できないものも多いので注意する必要があります。

持ち分の買い取り

不動産クラウドファンディングで解約できないものが多いのは、不動産運用の資本金を投資家達で寄せ集めていることが理由となっています。

つまり、目標金額に達した時点で資金収集の募集が締め切られ、運用が開始されるわけです。その資金の1部が解約されるということは、運用資金が穴があいてしまいます。

資金の穴埋めをするために、解約される金額を運用会社が買い取る場合があります。この方法は、「持ち分の買い取り手続き」とも呼ばれる解約方法になります。

持ち分の買い取り手続きが可能かどうかを、投資の段階で確認しておくようにしましょう。

早期償還になる場合がある

不動産の運用状況によっては、投資期間が短縮されて満期が早まる場合もあります。これを繰り上げ返済、早期償還といい、2つの理由が考えられます。

1つは、運用が好調で思った以上に利益が得られた場合や、予定以上の高値がついて早めに物件の売却が進められる場合です。

もう1つは逆のパターンで、これ以上の運用は損失を拡大するとなった際にも早めにその物件の売却が検討される場合もあります。

償還方法

一般的には、投資期間が終了し満期時になった時に投資した元本は償還される仕組みになっています。その時には投資家指定の銀行口座に元本の払い戻しが行われます。

不動産クラウドファンディングの運用会社や案件によっては、分配金と一緒に分割で払い戻しが行われる場合があります。

元本の払い戻し金は、「出資払い戻し金」といって「分配金」とは異なりますので、受け取った金額が分配金なのか投資した金額なのかを確認するようにしましょう。

契約書・運用報告書を必ず確認

不動産クラウドファンディングに限ったことではありませんが、投資を行う際には、まず募集要項を確認し今回ご紹介したような項目を必ずクリアにしておきましょう。

そして、契約時には契約書、運用中には運用報告書をしっかりと確認することが失敗を回避する最善の方法となります。

クーリング・オフ

万が一、資金を投入した後に何かの理由で解約したい場合は、契約後一定期間内であれば法的に解約が認められています。

しっかりとリサーチして投資に取り組むことが大切ですが、もし、「しまった!早まった!」となった場合は8日以内であれば解約することができます。

原則としてクーリング・オフでは、違約金や解約金は発生しません。念のため、入金前にはクーリング・オフの対象かどうかを確認することも忘れないようにして下さい。

※中古住宅を活用した不動産クラウドファンディングに関する情報も参考にしてみて下さい。

※こちらの記事では1万円からできる不動産クラウドファンディングをご紹介しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回、不動産クラウドファンディングをきっかけに初めて投資を行う人も、だいぶん気持ちがすっきりしたのではないでしょうか。

損失を抱えるリスクは確かに不安ですが、それよりも何よりも、どのようなリスクが介在するのかわからない、というのが一番恐ろしいことだといえます。

  • 元本がどうなるのか
  • 元本がどのように戻ってくるのか
  • 損失となる場合はどんな時か
  • その他リスクにはどのようなものがあるか
  • 中途解約、クーリング・オフはできるのか

以上ご紹介したような内容が確認できれば、投資に対する不安も軽減して、案件を選ぶ時にどのような点に注意すればいいのかが見えてきますよね。

不動産クラウドファンディングなら、少額から不動産投資に取り組める上に、これまでの不動産運用では見られなかった面白いアイデアを見つけることが可能です。

ぜひ、この機会に具体的にどのような募集企画があるのかを調べてみて下さい。初めての投資を不動産クラウドファンディングでまずは少額から利益を獲得してみましょう!

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