失敗しない不動産投資3つの条件とは?利益計算をきちんとしよう!

不動産投資をする場合、つい利回りの高さに目がいってしまいますが、結局あとで損をしてしまうことがあります。不動産投資の成功者と呼ばれた投資家が、数年後には失敗者になっていることも珍しくありません。

今回は、不動産投資で失敗しないための物件選びや利益計算について解説します。

選んではいけない物件

投資用不動産には、次のようなリスクがあります。

1.入居者が決まらない

2.転売しづらい

3.不動産価格は景気に左右されやすい

 

このようなリスクを避けるためには、どのようにすればいいのでしょうか?対処法を見ていきましょう。

1.新築物件を避ける

新築物件は資金効率が悪いので、初心者は避けるべきです。価格が割高で、得られる利回り(家賃収入)が少なくなります。その理由は、「新築プレミアム」にあります。新築物件は、本来の市場価格から約2~3割ぐらい高い傾向にあります。

その内訳は、ディベロッパーや販売会社の人件費や宣伝費です。きれいなパンフレットやチラシ、ウェブページなどの費用が販売価格に上乗せされているのです。

例えば、3000万円のマンションをフルローンで買い、2~3年後にローンの支払いがきつくなって売却しようとしても、価格は3割引の2,100万円。ローンを差し引いても多額の自己資金で補てんしなければいけません。

2.新耐震基準前に建てられたマンション

1981年に耐震基準が大きく改正されて「新耐震基準」になりました。以前の基準では「震度5程度の地震に耐えられる住宅」と規定されていましたが、新基準では「震度6以上の地震で倒れない住宅」に変わりました。

2011年に発生した東日本大震災の影響も大きく、地震に対するリスクはとても敏感になっています。ですから、新耐震基準前に建てられたマンションなのか、それ以降に建てられたマンションなのかによっても人気度が違ってくるのです。

旧耐震基準でもきちんと耐震補強したものであれば問題ありませんが、将来の転売のしやすさを考えても、新耐震基準のマンションを選ぶようにしましょう。

ただ、賃貸の入居者は、マンションが新耐震基準かどうかで借りるほど、地震のことを気にしていません。新耐震基準前に建てられたマンションだからといって、次の入居者がなかなか決まらないという可能性は低いです。

それよりも、転売しづらいということが古いマンションの欠点です。投資家が物件を選ぶ基準が新耐震基準以降という流れになっている以上は、スムーズに売却できる物件を選ぶようにするべきです。

新耐震基準は1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物に対して適用されます。マンションが完成するまで1年以上かかるので、1981年から82年に完成したマンションは、新耐震基準のものとそうでないものがあります。どちらが適用されているのか必ずチェックするようにしましょう。

チェックする方法は、①仲介業者に確認する②役所の建築指導課などで調べる、の2通りがあります。 旧耐震基準で建てられたものは表面利回りが高い物件も多いのですが、転売する時になかなか買い手がつかない可能性が高い不動産物件です。

そして、建て替えの可能性も考慮しなければいけません。例えば、築50年だとするとあと何年もつのでしょうか。鉄筋コンクリートの場合は、理論上100年以上持つと言われていますが、実際は40年前後で立て替えられています。

また、古いマンションは管理費や修繕費積立金が段階的値上がりすることが多いので注意が必要です。表面利回りが10%以上と高くても、経費を引いた実質利回りが低いという不動産物件はたくさんあります。目に見えない配管設備など古くなっていることが多いので、設備交換などにもお金がかかります。高利回りに隠れて見えないところでコストなどのハードルが高いのが現実です 。

自己資金ゼロで不動産投資を行う

自己資金で不動産投資、特にアパート経営を行うときはさまざまなリスクが高くなります。借入金が大きければ大きいほどリスクに対して弱くなります。さらに金利上昇リスクに対して、いざという時に対応ができません。過剰な借金は不動産投資に失敗をもたらす大きな原因の一つです。

頭金なしでローンを組めば、毎月の家賃収入から経費を差し引いた手取りの額から賄う返済額が増えます。家賃収入が減ってもローンの支払いは待ってくれません。返済は給与収入の中から補填することになります。アパート経営には以下のようなリスクがあります。

 

1.空室・滞納リスク

2.設備の老朽化

3.災害・事故物件

 

空室や滞納が発生すれば、家賃は入ってきません。また、周辺に新築アパートができたり設備が古くなれば家賃を下げたりして募集しないと入居者が決まらないこともあります。設備更改や階段といった共用部の修繕もオーナーの負担です。例えば、中古物件であれば買ったその日に雨漏りが発生することもあります。

地震や火災といった災害も避けられません。入居者が事件や事故に巻き込まれた場合は、新しい入居者が決まらない可能性が高くなります。これらのリスクに対応できるような自己資金がないのに、アパートやマンション経営を始めるというのは非常に危険です 。

地域を選ぶ

地方では需要が少ない

不動産投資で失敗しないためには、地域を選ぶことも大切です。例えば、郊外を買うのは失敗になりやすい買い方です。なぜなら空室リスクが高すぎるからです。人が集まらない、人口が減り続けている地方郊外で不動産投資を始めるのはリスクがあります。いくら表面上の利回りが高くても、入居者がいなければ意味がないのです。

賃貸の需要というのは、部屋を借りる入居者がどのくらいいるかということです。郊外は人口が少なく、減少しています。賃貸物件に住む10~30代の若者の割合も少ないです。部屋を借りる人がいても、大学のキャンパスや大きな工場など特定の要因に依存している場合もあります 。

これらの施設が閉鎖したり、撤退したりしてしまうと、たちまち借り手はいなくなってしまいます。不動産投資もビジネスです。現在大丈夫でも、20年後、30年後に賃貸の需要は維持されているのかきちんと見極め必要があります。

10%以上の 高い利回りの物件は地方に存在しますが、そのぶん空室リスクが高くなります。目先の高利回りに惑わされず、きちんと入居者が入るのかといった長期的な目線で捉えることが大切です。

サブリースの保証も続かない

地方の物件の空室リスクを避ける方法として、サブリースによる一括借り上げを提案されることもあります。サブリースとは、不動産賃貸において又貸しを目的とした一括借り上げのことです。

サブリース会社が大家から物件を一括で借り上げ、入居者が決まらなくて空室でも一定のリース料を大家さんへ支払うものです。確かに一定額の家賃を得られる見込みは立ちますが、本質的にリスクを抑えているわけではありません。

家賃保証といっても実際にはきちんと保証してくれるわけではありません。たとえば、家賃の値下げリスクです。契約当初の家賃がずっと保証されているわけではなく、契約賃料の見直しが2~3年ごとに行われます。

見直しの結果、保証家賃が下げられる可能性もあるのです。もしこの値下げを断った場合、一括借り上げ契約を解除されるケースもあります。突然の契約解除が起こった場合、手元に残るのは空室だらけのアパートと、多額の借金という状況にもなりかねません。

ワンルームマンションにも注意

同じ 1Kタイプでも実際は部屋によって大きさが違います。小さい1Kの坪単価が高く、投資効率は良くなります。しかし、あまりにも部屋が小さい不動産物件は人気がありません。1Kの小さい物件ですと4坪ぐらいです。一坪畳2帖なので、玄関やキッチンを含めても8帖程度です。小さなビジネスホテルの部屋程度しかありません。

 このような狭いワンルームマンションは、平成バブルの頃に多く作られました。マンションの価格も非常に高かったからです。その時に建てられた4坪程度の不動産物件は、現在も流通しています

バブル崩壊後はバスとトイレが別々の1Kが主流となったので、小さなワンルームマンションは人気がなくなってしまいました。借りてくれる人がいないのでは、いくら投資効率が良くてもお金が入ってきません。

景気がいい時は賃料が全体的に値上がりするため、安い部屋を求めて入居者がいます。また転売も比較的容易にできます。しかし、景気が悪くなると次の入居者がなかなか決まらない。転売が困難など投資に向かない不動産物件になってしまいます。

さらに新築のワンルームマンションでは利回りが5~6%程度になる物件も多く、銀行の返済や管理費を入れるとほとんど利回りはなくなります。毎年マイナスになる可能性もあります。リスクを取れる投資家、元本が豊富にある方なら安く買える不動産物件になるかもしれませんが、初心者がこういう小さなワンルームに手を出すのは危険です。部屋の広さは大きなチェックポイントになるということを覚えておくようにしましょう。

壁芯計算と内法計算の違い

マンションの部屋の広さ表す方法には壁芯計算と内法計算があります。

 

壁芯計算 壁の中心から部屋の面積を計算する方法

内法計算 壁に囲まれた内側の面積で計算する方法

 

壁の厚さにもよりますが、内法の面積は壁芯の面積を比べると5~6%程度小さくなります。分譲マンションでは、パンフレットは壁芯計算で算出された面積が記載され、登記上は内法計算で算出された面積になります。

表面利回りと実質利回り

不動産事業の採算性を見るには、表面利回りと実質利回りの2種類があります。

  • 表面利回り= 年間家賃収入÷総投資額(自己資金+借入金)

表面利回りは、物件価格に対してどの程度の家賃収入が得られるかという表面的な収益を表す数値です。マンションの維持・管理費など保有コストを計算に入れないので、実質的な利回りとは異なります。実質利回りの計算式は、以下の通りです。

  • 実質利回り=(年間収入の合計額―諸経費)÷総投資額(自己資金+借入金)

実質利回りは、マンション経営にかかる諸経費などを考慮して計算した利回りです。購入時の諸経費の他にも、管理費・修繕積立金・固定資産税・都市計画税・不動産仲介手数料などがあります。

不動産投資を行う場合は、表面的な数字だけで判断するのは危険です。様々な不確定要素があるからです。現在の不動産価格や表面利回り、不動産の営業マンが提示するシミュレーションだけで投資判断してしまうと、想定外のリスクに苦しむことになります。

駅からの道のり、エリアの入居者層、他の仲介業者からの評判など数字に現れない要素も考慮しながら、総合的に判断することが大切なのです。

不動産売却の考え方

不動産投資では、長期にわたり安定的な家賃収入という形でインカムゲインを得ることが目的です。 短期的なリターンを目指す場合は、売買差益であるキャピタルゲインを狙うことになります 。

ただし、短期的なキャピタルゲインを狙おうとするのはリスクが高い手法です。数年単位にのぼる相場変動は予想が難しいからです。借入が絡めば不動産のプロであっても失敗することがあります。初心者の不動産投資は、長期間で利益をコツコツ回収するというインカムゲイン中心の考え方が基本です。

ただ、所有してから5年が過ぎたら売却も視野に入れるようにします。なぜ5年かというと、購入した金額よりも高く売れて売却益が出た場合、物件を所有してから5年を境に税率が大きく異なるからです。

 

5年以下:短期譲渡所得として売却益の39.63%

5年以上:長期譲渡所得として売却益の20.315%

 

このように5年を境にかかる税金に2倍の差が生じるのです。20.315%の長期譲渡所得は、株や投資信託などの金融商品と同じ税率になります。5年以下の場合は、短期売買として税金を多く取られてしまうのが不動産投資のキャピタルゲイン課税なのです。

このような高い税金が課せられている背景には、大都市圏のタワーマンションなどを舞台にした転売投資家の躍進があります。短期間で数千万単位の利益を上げている投資かも多く、マンションの転売で儲けている人は「空中族」と呼ばれました。5年以内の不動産売却に係る短期譲渡所得の課税は、空中族を封じるためともいわれています。

不動産投資の考え方として、5年間は毎月入る賃料でインカムゲインを得ながら、5年後に購入価格より高く売れるなら売却してもいいし、そのまま所有し続けるのもありといったふうに考えておくと、キャピタルゲインとインカムゲイン両方狙えるので余裕のある運用ができます。

不動産から得られる利益は所有者期間の賃料収入(インカムゲイン)+売却益(キャピタルゲイン)の合計です。実際は毎年の経費と購入時や売却の時の手数料がかかってくるので少なくなりますが、転売は5年過ぎてから行うと税務上有利になります。

定期的に物件価格を確かめる

現在の物件価格を調べるには、不動産会社に査定をしてもらうか、ネットで同じマンションの部屋がどれぐらいで売りに出されているかを調べる方法の2種類があります。不動産会社に査定をしてもらう場合は、きちんとしたところを選ぶ必要があります。

まずは宅地建物取引業免許証番号を確認しましょう。これは、無免許業者との取引を防ぐためです。不動産会社には、 テレビ CM をしているような大手から地域密着型まで様々あり、それぞれに良いところと悪いところがあります。

現在の管理会社との関係が良好であれば、入居者の状況を把握している管理会社に頼んでみて、その間に決まらなければ大きな不動産会社と地場の不動産会社も合わせて3社ぐらいで検討するのがいいでしょう。

ネットで調べる場合は、階層や広さによって坪単価が違ってくることに注意しましょう。1Kの方が3 LDK よりも坪単価が高くなります。

また、価格はあくまでも売主が売りたい価格です。不動産会社の適正な査定価格であれば問題ありませんが、売主の意向が反映されるので売り出し価格は高めになることが多くなります。できるだけたくさんの売り出し価格を調べることが重要です 。

まとめ

今回は、不動産投資において選んではいけない物件や失敗しないための方法について解説しました。不動産投資においては、表面利回りが15~20%以上と高いものもありますが、空室や滞納リスク、災害や事故など様々なリスクがあります。

特に地方では人が集まらず空室リスクが高くなります。きちんとリスクとリターンを把握した上で不動産投資を始める必要があります。また、不動産売却においても基本的に短期売買は40%の売却益に対する税金がかかるのでお勧めできません。最低でも5年以上保有するつもりで、賃料収入と売却益を狙えるような物件を購入するようにしましょう。

 

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