相続手続き完全マニュアル|家族と揉めずに遺産を残すコツ

相続手続きを行う場合、もっとも注意すべき点は相続人同士の揉め事です。テレビドラマでもよく見かける通り、多額のお金が絡んだ場合の話し合いというものは、やはり泥沼化してしまいがちです。今まで仲良く暮らしていた家族間でも、急に険悪な仲になってしまうことも珍しくありません。

では、一体どのようにして、こうした相続トラブルを回避すればよいのでしょうか。今回は、相続に関する基本的な知識を紹介しつつ、家族と揉めずに遺産を残すコツをお伝えしていきましょう。

相続の手続き前に押さえておきたい3つのツボ

相続とは、特定の人の財産を次の世代の人に引き継ぐ行為のことです。相続を行うことによって、今まで蓄えた資産や財産を、子供や孫に引き継いでもらうことができます。これはとても大切なことですが、一生のうちに何度も相続手続きを行う人は稀でしょう。ほとんどの人は、一生に一度の手続きということが多いのではないでしょうか。

ただ、人生で訪れる機会が少ない分だけ、相続に関しては分からないことだらけという方も少なくありません。しかし、相続時には、今まで仲の良かった家族間で揉め事が発生したり、争いの火種になることもあります。こうしたトラブルを防ぐためにも、今から相続に関する知識を身につけておきたいものです。

ここでは、相続の手続き前に押さえておきたい3つのツボを紹介していますので、ぜひご参考ください。

相続財産の対象について

相続について知るには、まず「どんなものが相続財産となるのか」ということを押さえておきましょう。

相続できる財産は、現金や預貯金、もしくは株や不動産などが始めにイメージできますよね。しかし、実は「負債」も財産の一部だということを忘れてはいけません。たとえば、被相続人(財産を残す人)が生前に借金を抱えていた場合、それは相続人(財産を受け取る人)にも受け継がれます。

相続する人と分配の割合

相続する人、すなわち相続人が誰かということも押さえておきましょう。簡単にいえば、「誰が遺産を受け継ぐのか」という問題です。不幸にも被相続人の配偶者が早くに亡くなり、そのお子様も一人しかいないという場合には、話は簡単です。相続人は、そのお子様一人が対象です。

一方で、お子様が何人もいる、配偶者の方も元気に暮らしているとなると、相続人が複数存在してきます。

また、相続人が複数人の場合は、その割合も決めておきましょう。

相続財産の分配割合は、民法によって正確に定められています。また、各ケースごとに具体的な割合が定まっているため、民法をベースに決めていくことが基本となります。仮に、この分配割合が納得できないというケースでは、遺言書を残して被相続人の意思を尊重することが一般的です。

この部分がもっとも相続人間で揉めやすいところなので、家族同士でしっかりと話し合いの場を設け、できるだけ早めに対処をしておくことをおすすめします。

相続税の問題について

親から子へ、被相続人から相続人へ遺産を残す場合は、必ず税金が絡んできます。いわゆる相続税です。

近年では、相続税にかかる基礎控除が大きく引き下げられ、今では相続税を支払う義務を負う家庭が増えつつあります。従来であれば、相続する遺産の価値が低いほど、基礎控除で相殺が可能でした。この場合は相続税の納税義務はありません。しかし、基礎控除の引き下げによって、遺産価値が低くても相殺できないケースが増えたということです。

さて、ここまで「遺産の対象」「相続する人と割合」「相続税」の3つの押さえるべきツボを紹介してきました。それでは今度は、各ポイントに沿って、遺産の対象や相続人の決め方などを学んでいきましょう。

3つのポイントを押さえた相続税の基礎知識

相続遺産の対象範囲

相続遺産の対象は、先ほどお伝えした通り、プラス(資産)のものとマイナス(負債)の2つに分かれます。

【プラスの相続遺産】

  • 現金
  • 預貯金
  • 不動産
  • 投資信託
  • 株式
  • 貴金属
  • 骨董品
  • ゴルフ会員権 など

【マイナスの相続遺産】

  • 消費者金融から借りた借金
  • 銀行融資などの残債
  • 売掛金などの残債
  • 未払いの家賃 など

【権利義務】

  • マンションの賃貸借契約
  • 連帯保証人の義務 など

相続人の対象人物

相続人の対象人物とは、簡単にいえば「誰が遺産を受け取るか」という特定人物を決めていきます。

この対象人物は民法で定められており、その人を「法定相続人」といいます。法定相続人は次のように決められています。

  • 被相続人の配偶者
  • 被相続人の子供(1位)
  • 被相続人の親(2位)
  • 被相続人の兄弟姉妹(3位)

被相続人に配偶者がいれば、その方は法定相続人として確立します。

しかし、配偶者以外の法定相続人に関しては優先順位が決められているのです。上記ではその順位を決めていますが、1位ほど優先度が高くなります。たとえば、配偶者がいない場合は子供に相続人の優先権があり、配偶者も子供もいなければ親というように順々に法定相続人が決定していくという仕組みです。

仮に、上記の法定相続人が誰もいないというケースは、「相続財産管理人」を法的に選任してもらい、相続財産を清算するという形になります。また、相続人があまりにもたくさんいるという場合は、弁護士など専門家に頼み、相続人調査を行ってもらうことも可能です。

遺産の配分割合

遺産の配分をどのくらいに設定すれば良いのか、こちらも民法である程度の規定があります。

まず、配偶者のみが相続人になる場合は、遺産のすべてを受け取ることができます。

また、配偶者と子供1人ずつに相続する場合は、それぞれ50:50で遺産を分割します。ただし、配偶者の取り分は全体の50%で変わりません。たとえば、子供が2人いた場合は、配偶者の取り分を50%と変えず、子供の50%を2分割するという仕組みです。

子供がおらず、配偶者と親が相続人になるケースもあるでしょう。その場合は、配偶者に3分の2、そして親には3分の1の遺産が行き渡ります。仮に両親がいる場合は、その3分の1から2分割される仕組みです。

相続手続きをしなかったらどうなる?

相続手続きをしなかったからといって、すぐに罰則やペナルティがあるわけではありません。たとえば、相続する遺産が減少したり、それを国が没収するなど、こうしたデメリットもないわけです。

ただし、被相続人が亡くなられたまま手続きを放置すると、その遺産は凍結された状態となります。この状態では相続人が資産を受け取ったり、その権利を行使したりすることができません。また、数年間その手続きを放置していると、その間に共同相続人が亡くなる可能性もあり、様々なトラブルや手続きの煩雑化へとつながることもあるでしょう。

被相続人の財産をそのまま凍結ということになると、倫理面でも問題が出てきます。特に、被相続人が相続の意思があったにもかかわらず、そのまま相続人が手続きを行わないということになれば、故人に対して失礼でもありますよね。

こうした観点から、相続人はできるだけ早期に手続きを行うことをおすすめします。

相続手続きの期限は?

相続手続きを行う場合、複数の役所などを訪れることが多くなります。たとえば、市役所や年金事務所などでの手続きは、7~14日以内と期間が定められていることが一般的です。しかし、こうした役所での手続きに関しては、それほど深く期限を気にする必要はありません。実は、期限が切れても手続きを受け付けてもらえます。

ただし、相続税の手続きだけは必ず期限を守りましょう。納税手続きに関しては、期限が切れると受付してくれないケースもあり、または追徴課税など、本来であれば要らなかったお金まで徴収されてしまうこともあるからです。

相続税の手続きは次の3種類があり、それぞれ期間が定められています。

  • 相続税の申告:亡くなられた日から10か月以内
  • 準確定申告:亡くなられた日から4か月以内
  • 相続放棄:亡くなられた日から3か月以内

相続手続きの流れ・手順

相続の手続きでは、次の通り、各役所への期限によって多数の処理を行わなければなりません。

7日以内に必要な相続手続き

  • 死亡届の提出

3ヶ月以内に必要な相続手続き

  • 葬儀を行う
  • 金融機関に連絡する
  • 生命保険金を受けとる
  • 健康保険、遺族年金の手続き
  • 遺言書の確認
  • 遺言書の検認
  • 相続人調査をする
  • 相続財産の調査をする
  • 遺産分割協議の開始
  • 限定承認、相続放棄

4ヶ月以内に必要な相続手続き

  • 所得税の準確定申告

10ヶ月以内に必要な相続手続き

  • 遺産分割協議書作成
  • 各種の相続手続きを進める
  • 相続税申告と納付手続き

1年以内に必要な相続手続き

  • 遺留分減殺請求の期限

3年以内に必要な相続手続き

  • 配偶者相続税軽減の手続き

具体的な相続手続き方法

市区町村役場へ死亡届の提出

被相続人が亡くなられた場合、まずはお近くの市区町村役場へ死亡届を出しに行きましょう。死亡届は、被相続人が亡くなられた病院にて専門医に作成してもらえます。

また、役場へ死亡届を提出した後は、火葬許可証の発行が受けれます。それを葬儀社に持っていくことで、今度は火葬の手続きができるという流れです。

被相続人の葬儀

被相続人の葬儀を行う場合、まずは葬儀社を決めましょう。役所で発行してもらった火葬許可証を渡せば、葬儀の申し込みが可能です。

葬儀が済んだ後は、お墓の建立から戒名、仏壇の購入など、まだまだ多くの手続きが必要です。

金融機関で被相続人の取引を停止

今度は金融機関に足を運びます。

過去に被相続人が行っていた金融取引をすべて停止しなければなりません。たとえば、被相続人が利用していた銀行の預貯金などです。取引を停止する理由は、ほかの相続人が勝手に預貯金を引き出すことを避けることです。

生命保険の受取

被相続人が生命保険に加入していた場合、お亡くなりになったことで保険金がおります。その方の生命保険会社へ連絡をとり、保険金の申請を行いましょう。

遺言書を確認する

49日の法要が済んだ頃を見計らい、今度は本格的に遺産相続の手続きを開始していきます。この相続手続きでは遺言書が大きな役割を果たすため、まずはその書面を確認しておきましょう。

遺言書がある場合は、基本的にその内容に沿って手続きを進めていきます。一方で、書面がなければ、「遺産分割協議」を相続人同士で行い、話し合いで遺産の割合などを決めていくことが必要です。

ただし、遺言書は相続人でも開封は許されていません。まずは「検認」という手続きを踏み、遺言書の現状を保全することが必要です。検認は家庭裁判所が行ってくれるため、遺言書を見つけたら、最初に相談に行きましょう。場所は、被相続人が住んでいた最終地の家庭裁判所です。

家庭裁判所に遺言書を持ち込むと、その場で確認・開封が行われます。

遺産分割協議

遺産分割協議では、必ず相続人が全員集まらなければなりません。一人でも欠けてしまうと、その協議は無効扱いになり、相続は不可能となります。こうして集まった相続人同士で、最後に遺産分割協議書を作成し、ここでも全員の署名捺印が必要です。

家族と揉めずに相続を行う手続き方法

相続では、一度に大きなお金が動くため、そのことで家族同士が喧嘩をしたり、揉め事の原因になってしまうことも少なくありません。お金が絡んでしまうと、今まで仲の良かった相続人同士であっても、急に仲違いになってしまうこともあります。相続手続きは慎重に、次のような点に注意して行うようにしましょう。

不動産の遺産相続は特に注意

遺産相続でもっとも気をつける対象物は「不動産」です。特に、相続人同士で揉め事の原因になるのは、この不動産の相続というケースも珍しくありません。一方で、不動産を保有している家庭は多いため、ほぼ確実にご自身も当てはまるケースだと認識しておいてください。

不動産は相続人にとってのコストでもある

不動産とはマンションやアパートのほか、住宅ローンなどで購入した戸建ても含みます。この建物や土地をそのまま相続人が受け取れるとすると、大きな財産になるようにも思えます。しかし、実は不動産は大きなコスト要因でもあるのです。

たとえば、不動産は保有しているだけで税金が発生します。固定資産税ですね。

また、不動産を相続したものの使う予定がなければ、ご近所に迷惑がかからないようメンテナンスや修繕も必要になってきます。もちろん不動産は売却することも可能ですが、築年数が古ければそのままでは資産価値が低く、リフォーム代もかかるでしょう。取り壊すにも100万円以上のお金が必要です。

このコスト面で相続人同士で揉めることも多いため、じっくりと話し合いが要ります。

弁護士に相談してみるのも一つ

相続のトラブルを解消するためには、専門家の力を借りることも重要です。たとえば、弁護士は遺産相続の手続きで発生しやすい揉め事の仲裁を行ってくれます。相続人同士では法律の知識が乏しいこともあるため、第三者の視点から、さらに法律の専門家が客観的な意見を発してくれるのは心強いですよね。

また、弁護士に依頼する場合は、財産の調査や相続人の調査など、細かい手続きまで代行してくれます。もちろん、弁護士に依頼する費用が発生しますが、円満に相続手続きを行うためにも、専門家への依頼は効果的です。

もっとも最悪なケースは、相続人同士の話し合いがまとまらずに放置してしまうことです。相続を放ったらかしにしてしまうと、被相続人の財産が凍結されるばかりではなく、相続税の申告漏れとして過大な納税義務が発生することもあるので注意です。

弁護士の場合、電話での初回相談などは無料で行ってくれることも少なくありません。まずは、こうしたトラブルを一人で抱え込まず、誰かに打ち明けてみることも重要といえるでしょう。また、相続税など専門的な知識について、専門家の知識を借りるというのも大いに役立つはずです。

まとめ

ゆきひろ
ゆきひろ
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クラウドワークス・自社メディアサイトを中心にフリーのWEBライターとして活動しています。ネット記事やブログなど、約1年6か月で3,000記事を超える実績があります。執筆ジャンルは仮想通貨をメインに、投資・資産運用、副業、貯金・貯蓄、タイム/マネーなど金融系が得意です。

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