ニュースや新聞で円高円安という言葉をよく見聞きします。
外貨を活用する投資方法として、外貨預金やFXがありますが、円高や円安に動くことによって利益を大きく左右しています。そもそも円高円安とは何なのでしょうか。
投資の初心者にとって、まず最初にぶつかる壁がこの円高円安です。いったいいくらなら円安なのか、いくらになったら円高といえるのか、ある程度の基準がわかれば外貨取引だけでなく、投資全般おいても大きく役に立ちます。
今回は、これから外貨預金やFXを始めたい人を対象に円高円安について、わかりやすく解説していきます。これを読んだら、円高円安のことがきっと理解できますので、最後までお付き合い下さい。
世界の通貨
海外旅行へ行ったことがある人は、空港や現地の金融機関にてその国で使える通貨に日本円を両替します。あらかじめ国内でトラベラーズチェックを用意する人もいますが、いずれの場合でも両替をする日時によって、100円の日本円がいくらの外貨に両替できるのかが異なります。
この両替の基準となるのが為替レートと呼ばれるものです。
世界には国の数だけ通貨の種類があり、それぞれの通貨の価値は、その時の世界経済やその国の諸事情によって互いに影響を与えながら、上がったり下がったりと日々変化しています。
外貨預金やFXで取り扱っている通貨の種類は、国内ではある程度限られていますが、世界にはどのような通貨があるのかをまずは見ておきたいと思います。
世界の通貨
世界中の通貨情報を提供している、World Facts によると、一般的に外貨の流通がある国は世界で195か国。今日、世界市場に流通している通貨は約180種類以上あるといわれています。
地域別にメジャーな通貨をいくつか挙げておきましょう。
アジア圏
- 日本円→円(yen)
- 中華人民共和国→元(CNY)
- 香港→香港ドル(HKD)
- 大韓民国→ウォン(KRW)
- インド→インドルピー(INR)
など・・・
ヨーロッパ
- EU諸国→ユーロ(EUR)
- スイス→スイスフラン(CHF)
- UK→イギリスポンド(GBP)
- スウェーデン→スウェーデンクローナ(SEK)
- トルコ→トルコリラ(TRY)
- ノルウェー→ノルウェークローナ(NOK)
- ロシア→ロシアルーブル(RUB)
など・・・
アフリカ・中東
- 南アフリカ→ランド(ZAR)
- エジプト→エジプトポンド(EGP)
- コンゴ共和国→コンゴフラン(CDF)
- アラブ首長国連邦→UAEディルハム(AED)
- サウジアラビア→サウディリアル(SAR)
など・・・
オセアニア
- オーストラリア→オーストラリアドル(AUD)
- ニュージーランド→NZドル(NZD)
- フィジー→フィジードル(FJD)
- ニューカレドニア(XPF)
- パプアニューギニア(PGK)
など・・・
北アメリカ・南アメリカ
- USA→アメリカドル(USD)
- カナダ→カナダドル(CAD)
- メキシコ→メキシコペソ(MXN)
- アルゼンチン→アルゼンチンペソ(ARS)
- ブラジル→レアル(BRL)
- チリ→チリペソ(CLP)
など・・・
聞き覚えのある国の通貨だけでもかなりの数になります。
外貨取引にはいろいろな方法がある
国内の金融機関を利用する場合は、ある程度取り扱いにも限りはありますが、何も外貨預金やFXの口座を作らなくとも、現地で両替のタイミングを計るだけでも利益につなげることは可能なのです。
また、世界中の通貨を取り扱っている両替サイトも活用できます。
世界中の通貨の為替レートを調べられるサイトをいくつかご紹介しておきます。今後のFXや外貨預金、外貨両替、外貨送金などにお役立て下さい。
※通貨の取り扱いが豊富です。アプリで簡単に為替レートがチェックできます。シンプルな仕組みで外貨両替もして頂けます。
※こちらも外貨の取り扱いが多いFXサイトです。単純に為替レートを調べるサイトなので、初心者にもわかりやすいです。
どんな通貨があって、日本円に換算するといくらぐらいなのか参考までに見てみましょう。
為替レート
では、次に外貨預金やFXにて利益を得るために必要不可欠な通貨の基準、為替レートについて解説していきます。
上記でご紹介したように、世界中に様々な国がある中、それぞれの国で利用可能な通貨に両替しなければなりません。そこで、100円を1ドルや1ユーロに両替したらいくらになるのか、それを定めたのが為替レートです。
為替レートは世界共通に適用されている、各通貨の価値の基準価格です。
為替レートはなぜ必要?
為替レートはなぜ変動する?
円高円安とは
外貨預金やFXでは、世界共通に定められている為替レートを利用して利益を出す投資方法です。
購入した通貨(両替した通貨)が円高に向かうか円安に向かうかによって利益が出たり、損失になったりするわけです。ですから、外貨取引を行う際には、仮にそれが単純に現地で行われる両替であったとしても、今が円高なのか円安なのかを考慮することが欠かせません。
では、そもそも円高円安とは何なのかをわかりやすく解説していきます。
米ドルに対する円の価値
原則として、一般的に使われている「円高円安」とはアメリカドルに対して日本円の価値が高いのか安いのかを表しています。
過去のデータと比較してどうなのか
この円高円安という言葉は、過去の為替レートと比較して円の価値が下がったのか、上がったのかを示す言葉となります。
- 昨日と比べて円の価値が下がったら・・・円安
- 1カ月前と比べて円の価値が下がったら・・・円安
- 1年前と比べて円の価値が下がったら・・・円安
というように、ある日時の為替レートと比較して、円の価値が上がっていれば逆に円高と表現します。
- 昨日と比べて円の価値が上がったら・・・円高
- 1カ月前と比べて円の価値が上がったら・・・円高
- 1年前と比べて円の価値が上がったら・・・円高
といいます。
円がどのように動いているのか
また、「円高」「円安」は円の価値が動いている方向を示すためにも使われます。
例えば、
- 円の価値が下がり続けている→日本円は円安状態(円安傾向)にある
- 円の価値が上がり続けている→日本円は円高状態(円高状態)にある
という言い方もします。
円高円安の例
円の価値が上がったら、円高。円の価値が下がったら円安。となりますが、投資の初心者が最初に混乱しがちなのが、ドルに対する円の価格の見方です。
円の価値が下がる
まず、円の価値が下がるとは、どういうことなのかを考えていきましょう。
- 1ドルが100円
- 1ドルが110円
の違いは・・・
1ドルを入手するために前者は100円が必要ですが、後者は10円高い110円が必要となります。
つまり・・・1ドルが10円値上がりしていることになります。
ということは100円から110円となった場合は、円の価値が減少しているということなのです。ですから円安になるのです。
円の価値が上がる
では、反対に円の価値が上がった場合を考えてみましょう。1ドル100円が90円になった場合、これを円高になったといいます。
- 1ドル100円
- 1ドル90円
1ドルを入手するのに100円が必要でしたが、為替レートが90円に変わったため10円少ない90円で1ドルが入手できます。
ということは、ドルの価値が10円安くなっていることになります。つまり円の価値が上昇した、円高になったと表現します。
為替差益
このように、円高になったり円安になったりと為替レートが変動することで利益を得るのが外貨預金やFXの基本的な仕組みとなります。
為替差損と為替差益
- 為替レートが変動することで得る利益を為替差益
- 為替レートが変動することで損失を出すことを為替差損
といいます。
円高から円安が基本
外貨預金もFXも基本的には円高から円安に向かうことで利益を出すことが可能となります。
円の価値が下がったのに、なぜ利益になるのか、一見すると矛盾しているようにも思えます。この仕組みを詳しく解説していきましょう。
10万円の例
10万円を1ドル100円の時にドルに換金しました。
→1000ドルが手元にあります。
そして、1ドルが110円の円安になり、その時に円に戻すといくらになるでしょうか。
→1000ドルが11万円になって戻ってきます。
ドル/円の為替レートが円安になったため、1万円の利益を獲得したことになります。
FXでは円安から円高での利益も可能
FXでは、これから円高に向かうな、となった場合は売りから始めることが可能です。
1ドル100円の時に1000ドルを10万円で売ります。
→後で1000ドルを買うことを約束してから売ることができます。
手元には10万円が残っています。買うことを約束しているので、円高になった時に買い戻しをすると利益になります。
1ドル90円の時に1000ドルを9万円で買います。
→すると手元には10万円が残るわけです。これが利益になります。
いくらなら円安?
外貨取引にて利益を得るには、これから円高に向かうのか円安に向かうのかの判断が重要なポイントとなります。
初心者の場合は、では、円安・円高の基準はいくらぐらいなのか、と疑問に思ってしまうでしょう。判断を間違えるとそのまま損失につながってしまいます。
円安・円安の基準がいくらぐらいかを判断するのは、どれくらいの期間で見ていくかによって大きく異なります。
短期で見る円安
以下のグラフは5日間で見たドル/円の為替チャートです。
※ドル/円 為替レート5日間
たったの5日間の間にもドル/円の為替レートは111.83ドル~112.13ドルの間を上がったり下がったりしています。5日間で見ると円安の基準は112円前後であることがわかります。
中期で見る円安
※ドル/円 3か月間の為替レート
次に、3か月間という期間で見ていくと、ドル/円の為替レートは109円から112円に向かって動いていることがわかります。
3か月間で考えれば110円以降は円安だと見ることができ、1月末から4月半ばにかけては円安傾向にあるといえます。
長期で見る円安
※ドル/円 1年間の為替レート
1年間の長期で見てみると、112円はそんなに円安でもないのかな、といった見方もできます。2018年の9月と11月には114円の円安を記録しています。
もし、現在が円安傾向にあるのであれば、113円114円まで円安が進む可能性あるかもしれません。
いくらなら円高?
それでは、いくらなら円高と言えるのかを、期間別に見ていきたいと思います。円安の参考にした期間とは違う期間をあえて選んで見ていきます。
短期で見る円高
※1カ月で見る円高
1カ月で見るドル/円は、110円前後から112円前後へと動いています。上記のグラフで見ると110円だと円高だと見ることができます。
中期で見る円高
※6か月間で見る円高
ところが、6か月間で見る円高は107円~110円ぐらいの価格です。
6か月間という視点で考えれば3か月のチャートで見た110円の円高は、むしろ円安傾向にあるのかなと見ることができます。
長期で見る円高
引き続き3年間という長い期間で円高を見てみましょう。
※3年間で見る円高
3年間で見る円高の基準は、100円~105円辺りとなります。
2016年の7月以前は110円だったドル/円の為替レートは7月に入ると円高基調で動いています。さらに、2017年の12月に円安基調で動いていた113円の価格は一気に翌年1月には105円まで円高が進んでしまったことがわかります。
短期・中期・長期の視点
というように、短期・中期・長期と期間が異なるごとに、円高時の価格、円安時の価格も違ってきます。円高円安を判断する基準の為替レートは短期・中期・長期と様々な視点で見ていくことが大切です。
そして常に、円高・円安が何等かの理由で一気に進む可能性があることを考慮しておく必要があるのです。
長い視点で見れば見るほど、リスクを抑えた投資を実現していくことができます。
おすすめの為替情報サイト
それでは、最後にこれから投資を始める人のために、おすすめの為替情報サイトをいくつかご紹介しておきたいと思います。
日経新聞
まず、投資を行う上で最低でも読んでおきたいのが、日本経済新聞です。
国内の経済ニュースだけでなく、一般的な政治・教育・ビジネス・ローカル情報など幅広いジャンルのニュースを見ることができます。
最初は、馴染みにくい記事も多いかもしれませんが、わかるところだけ、また興味のあるところだけでも読んでいけば、徐々に読める範囲が広くなっていきます。
ロイター
為替レートの動きは、世界経済をそのまま反映しているともいえます。
世界経済の動きもチェックしておくことで、リスクを抑えながら、高い利益を狙うことが可能になります。
ロイターは世界中のニュースが投資家の視点で解説してあります。最初は1日1記事でも読むようにするといいでしょう。
野村アセットマネジメント
野村アセットマネジメントは、主に投資信託を運営・販売している金融機関です。野村証券などの野村ホールディングスに属する投資関連サービスの1つになります。
投資信託に関する情報がほとんどなのですが、投資信託の情報が為替レートや株式、世界経済の動きを図る材料となる場合も多々あります。
しかも、野村アセットマネジメントの為替チャートは、一覧で見ることができます。世界各国の為替チャートを全体的に比較しながら見れるので便利です。
※今回の記事に関連する内容として、米ドルはいくらならドル安なのか、わかりやすく解説しています。ぜひ、こちらも参考にしてみて下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これまで円高円安と聞いても、今いちピンとこなかった人も、今回の記事をきっかけに円高円安が何となくイメージできるようになったのではないでしょうか。
円高円安とは・・・
通常は米ドルに対して使われている言葉で
- 過去のデータと比較して現在円が高いのか安いのかを表現する言葉
- 為替レートの動きとして、円安に向かっているのか、円高に向かっているのかを表現する言葉
- 円の価値が下がったら円安
- 円の価値が上がったら円高
であることがわかりました。
近年の傾向としては、110円前後が円高区域と円安区域を分ける基準になっているようです。しかし、いくらを円高、いくらを円安と見るかは、それぞれの視点によっても異なってきます。
ただ、初心者が始めて外貨を購入する場合は、できるだけ長期間で見た為替レートの動きを基準にした方が成功率は高くなります。
今回の記事を参考にしながらも、いくらで買いなのか、いくらで売りなのか、皆さんそれぞれに判断も異なってくるでしょう。
これから投資を始める人は、まずはチャートを見ながら、シュミレーションを楽しむことから始めてみましょう!