法人デビットカードと法人カードを徹底比較!メリット・デメリットも解説

経費の精算を簡単にするために、法人デビットカードの導入を検討する法人代表者もいるのではないでしょうか。銀行口座から即時決済されるデビットカードを利用することで、現金のやりとりなどの細かい手間を減らすことに役立ちます。

しかし、法人デビットカードのメリット・デメリットをはじめ、クレジット機能のある法人カードと比べてどちらに利用価値があるのかを知っておくと便利でしょう。

今回の記事では、法人デビットカード利用時のメリット・デメリットについて解説します。記事を読むことで、法人デビットカード・法人クレジットカードではどちらにメリットが大きいのかがわかるようになり、適したカード選びの実現が可能です。

また、どちらのカードを選べばビジネスに活用しやすいのかを知りたい方も、ぜひ参考にしてください。

法人デビットカードの概要

法人デビットカードとは、その名のとおり「法人名義のデビットカード」です。

こちらでは、最初に法人デビットカードの概要をまとめてみました。

・法人デビットカードとはどんなカード
・引き落としはどうなっているのか

法人デビットカードの基本となるポイントなので、しっかりとチェックしておきましょう。

法人デビットカードは法人口座に紐づいて発行されるカード

法人デビットカードは法人銀行口座を保有することで発行のできるカードで、一般的なクレジットカードと同様に利用できます。

なお、デビットカードの括りに含まれるのが、以下の2種類です。

・キャッシュカード(全国のJ-Debit加盟店にて使用可能)
・国際ブランドの付帯があり、銀行口座から即時引落しとなるカード

国際ブランドが付帯するデビットカードは国内だけでなく、世界各国の加盟店でも使用できます。

今回、主に取り上げて行くのが後者の国際ブランド付帯のデビットカードで、決済先となる法人銀行口座がなければ発行ができません。

銀行口座から即時引き落とし

デビットカードはクレジットカードとは異なり、後払い方式を採用しないカードです。利用時に指定の銀行口座から即時引き落としとなり、利用限度額は残高の範囲内となります。

また、深夜に決済を行っても手数料が発生しない他、預金を引き出すときの手間もかかりません。

法人カードと法人デビットカードの違い

クレジット機能のある法人カードと法人デビットカードの主な違いが以下の3つです。

・支払いサイクル
・還元サービス
・審査基準

こちらでは、両カードの違いを取り上げて解説していきます。

支払いサイクル

法人デビットカードを利用すると同時に銀行口座から引き落とされるのに対し、法人カードでは毎月決まった日に利用金額が一括で引き落とされます。支払いサイクルはまったく異なると言って良いほどで、両カードの大きな違いにもなるでしょう。

また、法人カードの場合は利用時に資金がなかったとしても、引き落とし日までにお金を用意すれば問題ないのでキャッシュフローの面でも余裕のある取引が行えます。

法人デビットカードは、利用と同時に銀行口座の残高がなければ使えません。口座には常時お金を入れておかなければなりませんが、上限額が決まっていることから無駄な利用を避けることが可能です。

還元サービス

法人デビットカードの利用特典は主にキャッシュバックとなります。

法人カードのように利用金額に応じたポイントが付与されて、商品やギフトカードに交換したりマイルへ移行したりすることができません。

ただし、法人デビットカードの中にはキャッシュバック率1%の高還元率を実現しているものもありますし、面倒な手続きや有効期限などを気にしなくて済む特徴もあります。

審査基準

利用と同時に銀行口座から引き落としが行われるデビットカードには貸し倒れのリスクがないです。

法人の実態さえ確認できれば起業後すぐの法人や業績が思わしくない場合でも問題なくカード作成ができますし、法人口座を保有していれば法人だけでなく個人事業主も法人デビットカードの作成が可能です。

そして、クレジットカードとなる法人カードの場合、ショッピングで利用したとしてもお金を借りた=借金と見なされてしまいます。カード会社は契約者に代わって利用料金を立て替え払いしていますから、回収できない場合は貸し倒れとなるわけです。そうなった場合、カード会社が損をすることになるので何としてでも避けたいところでしょう。

そのため、カード発行の際は所定の審査に通過することが絶対条件で、さまざまな項目をクリアしなくてはなりません。

以前は法人カードを発行する際の審査基準に「開業年数」「2期連続の黒字決済」などを必要とすることも多かったですが、最近は法人代表者の本人確認書類のみの提出で済む場合もあります。それに加えて法人代表者となる方の信用情報に問題がなければ審査通過はしやすい傾向なので、カードの作りやすさには大きな違いはないかもしれません。

法人デビットカードのメリット

導入すると役立つメリットも多い法人デビットカードですが、こちらでは主なメリットを解説していきます。

・即時決済が可能
・年会費無料の場合が多い
・発行に時間がかからない
・使い方が簡単
・キャッシュカードと一緒に使える
・手数料の優遇
・海外でも利用可能
・利用限度額が無制限

上記の8つですが、どんな内容になっているのでしょうか。

即時決済で後払いの手間が不要

クレジットカードは後払いとなり、翌月以降の支払いとなります。あらかじめ支払い日をチェックして請求金額を入金するなどの対応が必要ですが、デビットカードは即時決済なので利用時に引き落とされる仕組みです。

クレジットカードのような決まった支払い日がなく、事務処理の負担が軽減されますし、経理面でも「未払い金」の処理などが不要で直接仕訳が可能です。

年会費無料のデビットカードが多い

法人クレジットカードは年会費がかかることがほとんどですが、法人デビットカードは年会費無料で保有できるカードが多いです。

なお、年会費無料の法人デビットカードは主に下記のカードがあります。

・JNB Visaデビット
・みずほビジネスデビット

発行手数料のみかかる場合はあるものの、法人カードのように維持するためのコストがかからない点は大きなメリットと言えるでしょう。

審査不要で発行に時間をかけずに持てるカードも多い

法人カードの場合、所定の審査を受けることが必要なので発行に時間がかかります。発行するカードにもよりますが、大体3~4週間程度と考えておけば良いでしょう。

その一方、法人デビットカードは審査不要で発行ができるため、手にするまでの時間は大きくかかりません。こちらも発行するカードによって異なるものの、10日~2週間が目安です。

クレジット機能があることで1カ月近く待たずに入手できますから、カード決済を少しでも早く導入したい場合に役立ちます。

クレジットカードと使い方は同じ

法人デビットカードの使い方はクレジットカードと同じで、支払い時に何か特別な手続きを求められることもありません。提携する国際ブランド、もしくはJ-Debitの加盟店であればクレジットカードと異なることなく使えます。

そして、引き落とし先となる銀行口座に残高さえあれば、署名の記入、暗証番号の入力、ワンタッチ決済をすることで支払いが可能です。

キャッシュカード一体型になっている

法人カードの場合、銀行が発行していてもキャッシュカードとクレジットカードは別で発行されるケースが多いでしょう。しかし、法人デビットカードはキャッシュカード一体型のタイプもあり、発行するカードを1枚で済ませることが可能です。

たとえば、ジャパンネット銀行の発行するVISAデビットは、キャッシュカードにVISAデビットをプラスしています。キャッシュカードとデビットカードのそれぞれの機能を備えているため、カードの枚数が増えることもなく管理面も少なくなる点がメリットです。

手数料が優遇されることも多い

法人デビットカードは手数料面の優遇も多くあります。

まず、銀行が発行することも多いので、発行元となる銀行での利用が有利になりやすい点が挙げられます。住信SBIネット銀行の場合ですと、1カ月あたりのVISAデビットカード利用金額10万円以上で振込手数料が無料。上限は月10回となりますが、振り込みをする機会が一定回数以上ある企業であればメリットは大きいでしょう。

海外で現地通貨の引き出しができる

法人デビットカードは、海外のATMで現地通貨を引き出すことも可能です。日本の口座に預金残高さえあればアメリカのATMでは米ドルを引き出せますし、ヨーロッパ圏ではユーロの引き出しができます。

その他にも世界各国の空港をはじめ、観光地にいても現地通貨を引き出せますから、ビジネスや旅行目的で海外に行った際に利用する機会も多いでしょう。

利用限度額が無制限

法人デビットカードに利用限度額はなく、預金口座に残高さえあればいくらでも使うことが可能です。

実質利用限度額無制限となりなすが、残高が不足していれば当然のごとく使うことはできません。

法人デビットカードのデメリット

メリットも多い法人デビットカードですが、利用にあたってのデメリットもあります。

・使い方次第で資金繰りが困難になる
・ポイント還元は期待できない
・発行可能枚数に制限がある
・引き落とし口座の変更が困難
・付帯サービスがないに等しい
・国際ブランドの選択肢が少ない

こちらでは、法人デビットカードの6つのデメリットについて詳しくまとめています。

支出が多い時期は資金繰りが困難になる

法人デビットカードは利用時に即時決済されるカードです。クレジットカードのように支払い日までの猶予期間がないため、支出が重なると資金繰りが困難になりやすいでしょう。

たとえば、法人カードの中でもJCB法人カードは毎月15日締めの翌月10日払いです。利用してから実際に支払うまで1~2カ月の猶予期間ができることになります。

余裕を持った資金管理ができれば特に問題はありません。しかし、前払いが必要になったなどの事情で支払いが重なったときは大変です。

ポイント還元はないも同然

法人カードもポイント還元率は決して高めではありませんが、法人デビットカードはさらにポイントが付きにくいカードがほとんどです。

ポイントをまったく獲得できなくても、利用金額に応じてキャッシュバックを行うカードはあります。しかし、法人カードと比較すると還元率は低いと言えるでしょう。

なお、具体的な内容は下記のようになっています。

みずほビジネスデビット
ポイント:対応なし
キャッシュバック:対応なしりそなビジネスデビットカード
ポイント:対応なし
キャッシュバック:0.6%

この内容を見てしまうと物足りなさを感じてしまうかもしれません。

発行可能枚数が希望に対応していない

法人カードで追加カードを発行して社員に渡すケースも多くあり、実際に発行枚数の上限がないカードもあります。しかし、法人デビットカードでは発行可能枚数が限られていることがほとんどで、必要な枚数を発行できないことも考えられるでしょう。

一例ですが、みずほビジネスデビットの最大発行可能枚数は10枚です。このように発行可能枚数に上限があると、社員が多くても全員にカードを渡せません。

複数枚発行可能な法人デビットカードは年会費が発生する

法人デビットカードの中には発行可能枚数が多いものもありますが、ほとんどで年会費が発生すると思って良いでしょう。

たとえば、楽天銀行ビジネスデビットカードは9,999枚まで発行可能ですが、1枚当たり1,080円(税込)の年会費が必要となります。

法人デビットカードそのものの年会費は少なく済ませられるのに、追加カードで年会費の負担が増えたらメリットを活かすことができません。

三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック)などのように、追加カードの負担が少ない法人カードなどを検討した方がおすすめできるようになります。

引き落とし口座を変更できない

法人デビットカードは法人銀行口座に付帯するカードなので、クレジットカードのように引き落とし先の銀行口座を気軽に変更できません。

引き落とし口座を変更したい場合は新たなデビットカードを作らないといけないため、口座を変える可能性が高い場合は最初からクレジット機能のある法人カードにしておいた方が使いやすいです。

法人カードのような手厚い付帯サービスがない

法人デビットカードは決済を手軽にするためのカードと言えるでしょう。そのため、クレジット機能のある法人カードのようなさまざまな手厚い付帯サービスはほとんどありません。

年会費が無料というお得さを考えたら仕方のないことかもしれませんが、年会費が安い法人カードでも福利厚生をはじめとする付帯サービスはあります。

新規発行に問題がないのであれば、最初から法人カードの申し込み一択にしておいた方が何かと活用できる場面は増えるでしょう。

国際ブランド選択の自由度が低い

法人カードはVISAやMasterCardなどから国際ブランドを選べることも多く、目的や利用シーンに合わせて選べます。しかし、法人デビットカードのほとんどで国際ブランドが決まっているため、自身の希望や都合で選ぶのは困難です。

各法人デビットカードにおける、国際ブランドは下記のようになっています。

・ジャパンネット銀行VISAデビット:VISA
・みずほビジネスデビット:VISA
・楽天銀行ビジネスデビットカード:JCB

このように、法人カードとは異なって発行時点における国際ブランドに選択の余地がないです。

法人デビットカードよりも法人カードの方が役立つ理由

付帯サービスがないことに資金管理が必要な点など、法人デビットカードはビジネスを円滑に進めるのにデメリットとなる点も見られました。

もちろん、法人デビットカードでもビジネスに活用する機会はありますが、法人カードと比較した場合にどうしても利用幅が狭くなってしまうのです。

それでは、法人カードを選んだ場合はどんなメリットがあるのでしょうか。

・ETCカードの発行が可能
・ポイント交換の選択肢が多い
・補償内容が手厚い
・ステータスの高さ

詳しく見ていきましょう。

ETCカードの発行で高速道路利用がお得になる

法人カードにはETCカードを付帯させることが可能です。

選ぶ法人カードによっては発行枚数に上限がない、上限がとても多い場合もありますから、保有する社用車や社員数にあった枚数のカード発行もできるでしょう。

ETCカードを使えばビジネスで高速道路を利用する際に割引を受けられますし、その他にも経費管理の面でも役立ちます。

法人デビットカードはETCカードの付帯がありません。現金払いのみ、もしくはETCコーポレートカードなどを発行するしかありませんが、年会費や保証金などが発生してコスト高になってしまいます。

獲得したポイントの使い道が豊富

法人カードは提携店での利用でポイントを多く獲得できるなど、工夫によって還元率を上げることが可能です。

それに対し、法人デビットカードの中にもキャッシュバック対応のカードはありますが、貯まったポイントを商品やマイルに交換できるなどの対応はありません。

また、法人カードでは獲得したポイントをビジネスに使う商品などに交換すれば経費削減につながります。法人デビットカードではそれらのことができないため、現金払いとまったく同じ扱いになると思って良いでしょう。

保険などの補償充実度が高い

法人カードに付帯する国内外の旅行傷害保険があれば、出張はもちろん個人的な旅行にも安心です。

もしも海外で突然のケガや病気をした場合の医療費は大きなものになるでしょう。しかし、法人デビットカードでは医療費がどんなに高額になっても自身で払わなければなりません。

法人カードも各カードによって異なりますが、契約しているだけで死亡時最高1億円補償のものもあります。また、盗難時や不正利用時における補償に対応していることも多いです。

ステータスの高いカードを選べる

法人デビットカードにはステータスの高さはまったくありません。

ビジネスを行う中で取引先と接待や会食時にカード決済をする場面もあることでしょう。そこで、アメックスのプラチナやゴールドランクのカードを使う場合と法人デビットカードを出した場合とでは、相手に与える印象は大きく変わります。

法人カードはビジネスで使う機会が多いカードなので、ステータスの高さもある程度重要視されると思っていてください。

まとめ

今回の記事では法人デビットカードと法人カードの違いについて、徹底的に比較しました。また、メリットにデメリットについても解説しています。

ビジネスをスムーズ、かつ円滑に進めるためには効率化と合理化の考慮が必要です。しかし、法人カードの特典やメリットは、法人デビットカードでは得ることが難しいでしょう。

法人カードは年会費がかかりますが、相応のサービスや補償がそろっています。「法人カードの新規発行は難しいかもしれない」と思っていた方も、自社に適した1枚はどちらなのかを考えてみて、納得できるカードを選んでください。

とさかおみ
とさかおみ
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メガバンクに勤務経験あり。

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