分筆で固定資産税が大幅に節税できる!?分筆の活用方法、メリットデメリットをご紹介します。

その不動産がマイホームであったとしても、投資用の収益物件だったり、あるいは相続した空き家だったとしても、毎年必ず固定資産税が課税されます。

ローンの返済が大変だったり、収入が少ないのに支払わなければならなかったりと、固定資産税の課税金額を負担に思う人も少なくありません。

土地や建物を持っている限り、所得額にかかわら必ず支払わなければなりません。中には、固定資産税の支払いが重荷になりすぎて家を手放す人の話も耳にします。

そこで、所有する不動産を上手に分割して登記を行えば、固定資産税を大幅に削減することも可能です。このように分割して不動産を登記する方法を分筆といいます。

今回は、分筆とは何なのか、分筆の活用方法やメリットデメリット、そして分筆の手続き方法などを解説していきます。ご自身にとって、最も節税効果の高い方法を検討していきましょう。

分筆で固定資産税を節税!

毎年必ずかかってくる固定資産税は、不動産を所有する人にとって、避けることのできない税金の1つで、日本国民である以上は、多少負担に思っていても半永久的に支払う義務があります。

それぞれ、その土地や建物は居住用だったり、投資用だったり、たまたま相続した資産だったりと状況も様々です。

そこで、毎年の税負担が軽減できたらと、固定資産税の存在に深刻に悩む人も多いのではないでしょうか。退職者や高齢者の中には、固定資産税を理由に小じんまりとしたアパート住まいを検討する人もいるくらいです。

固定資産税はどれくらい?

では、固定資産税は所有する不動産に対してどれくらい課税されるのでしょうか。改めて、ここで確認しておきましょう。

原則として固定資産税は、

不動産の課税評価額×1.4%

にて計算されています。

1000万円の評価額であれば、税金だけでも14万円も支払わなければなりません。これが10年間続いただけでも140万円です。

土地や建物の種類によって、軽減措置が適用され多少は安くしていくことも可能です。一般的には土地のみで保有するよりは居住用の建物があった方が大幅に税率は安くなります。

さらに、土地の地目に応じて軽減措置が適用できたりもするわけです。

どのような形状で土地と建物を保有していくかが、長年に渡る税負担の大幅軽減につながるのです。

不動産の登記方法

土地や建物の種類を考えることも固定資産税の節税対策では欠かせませんが、ぜひ、考慮しておきたい節税対策は登記方法にあります。

通常、不動産の所有者は土地や建物などの敷地全体を1区間として、1つの登記を行っています。

そこで、そもそも1つの不動産を分割して登記を行うことで、大幅に固定資産税を少なくできる場合が多々あるのです。

このように、1つの登記を分割していく方法を分筆といいます。

分筆とは何?

分筆とは、1つの登記を分割して複数の不動産として登記を行う方法のことですが、分筆という登記方法について詳しく解説していきます。

そもそも登記とは

では分筆をわかりやすくするために、まずは登記とはそもそも何なのかを見ておきたいと思います。

登記とは、国が定めた法制度の1つです。不動産を所有する人はすべて、その不動産の使途にかかわらず、登記を行うことが法律で定められています。

登記にも商業登記、法人登記などいくつか種類があるのですが、不動産を登記することを不動産登記といいます。

不動産登記を公的に行うと、土地や建物がその人の所有物であることを法的に認めることになります。登記後は、不動産の詳細や所有者の記録が登記簿に記載されます。

登記簿に名前が載ることによって固定資産税が発生することになるのです。

一筆とは

そこで、通常は土地や建物などの敷地全体を1区切りにして、1人の所有者が1つの登記を行います。

1つの不動産に対して1つの登記を行うことを一筆といいます。2つの登記で二筆、3つの登記で三筆というように使われている登記用語になります。

分割して登記を行う

この1筆の登記を、1人の所有者が複数に分割登記する方法を分筆というのです。

相続などで、1人の所有者から、複数の兄弟・親族などによって不動産が分けられる場合も、まずは分筆することが必要となります。

分筆することで、不動産をばらばらに分けて売買・所有できることになるのです。

分筆で節税できる!

先述したように、この分筆によって固定資産税の節税が可能となるのですが、ただ、やみくもに分筆すれば節税につながるというわけではないので注意して下さい。

分筆を上手に活用するためには、まずは固定資産税評価額とは何なのかを知る必要があります。

固定資産税評価額とは

では、固定資産税評価額とはいったい何なのでしょうか。

固定資産税評価額とは、固定資産税の対象となる不動産の評価額のことをいいます。この、評価額は総務省が定めた固定資産税評価額基準法によって、市区町村の自治体が価額が決められています。

固定資産税は、この評価額×1.4%ですから、評価額を抑えることができれば、固定資産税の税額も必然的に軽減することができるのです。

固定資産税評価基準法

固定資産税の評価額がどのように決められているのかが分かれば、それを上手に利用して分筆することができます。上手に分筆することによって、つまりは固定資産税の税額も抑えていけるのです。

そこで、固定資産税評価額を決める上で欠かせない固定資産税評価基準について、ご説明しておきます。

固定資産税評価基準は、

  • 土地
  • 家屋
  • 償却資産

の3つの項目に分かれており、それぞれ土地や家屋を評価する規定が定められています。

※「総務省 固定資産税評価基準」の詳細は以下からご覧いただけます。まずは軽く目を通しておきましょう。

今回、ご紹介する分筆とは、主に土地にかかわる評価方法を利用した節税対策となります。

分筆の活用方法

分筆を上手に活用していく上で役に立つのが、上記でご紹介した固定資産税評価基準です。

土地の評価基準法では、どういった場合に土地が高くなり、どういった場合に土地の価値が低くなるのかの規定が定められています。

つまり、分筆を活用した節税対策とは、価値の高い土地と価値の低い土地を分割登記を行うことで、全体の資産評価を下げていく方法となります。

もちろん専門家に相談して分筆するのが一番ですが、土地の評価基準法がわかれば、所有者自身で費用をかけずに分筆登記が行うことができます。また、専門家に相談するにしても、本人が分かっていた方が安心です。

土地の評価基準法を知る

土地の価値を評価する方法は、基本的な基準として、道路の価値に準じて評価していく路線価が用いられています。

路線価

路線価とは、それぞれの土地の面積(地積)と隣接・近隣している道路の価値を掛け合わせてだされる不動産の評価額のことをいいます。

実際には、道路の価値だけでなく様々な要素が土地の価値を左右していますが、まずはこの路線価を覚えておくことで大まかな目安にすることが可能になります。

路線価では、原則として国道や県道などの大きな道路や交通量の多い道路ほど価値が高いとされています。

道路が狭くなり、交通量が少なくなるほどに対面する土地の価値は低くなっていきます。また、道路に対面する1区画の土地であっても、道路からの距離が遠くなるほどに、価値は減少するとされているのです。

路線価を基準に土地を分割

それぞれの土地の形状や、道路との隣接状態によっては、価値の低い土地と価値の高い土地とを分割することができます。

節税対策として土地を分割するポイントは大きく2つあります。

道路に面している土地の比率を少なくする

道路に面している土地は評価額が高くなってしまいます。道路に面している土地の比率を極力最小限に区分けすれば、全体の土地の評価額を抑えることが可能になります。

また、2本の道路に接している場合は、路面価が高い方の土地を小さくすることで評価額を抑えることになります。

道路に面していない土地を広くする

道路に面していない土地や、道路から遠く離れた土地は評価額も低くなります。このような土地の比率を大きく1区切りにまとめることで、全体の評価額を抑えることができるのです。

路線価と分筆の事例

では具体的にどのような分筆方法があるのかを、事例を挙げていきます。

以下の図は路線価1000の土地Aの分筆前の評価額が1400だとした場合です。(わかりやすくするための仮の数字)

※分筆前の土地の評価額

【自社作成図 路面価と分筆事例】

この土地の評価額1400を分筆することで1000に抑えることが可能となります。

※分筆後の土地の評価額

【自社作成図】路線価と分筆事例

というように、土地を分割し分筆登記を行えば、土地はB、Cと個々に評価されることになるのです。

建物はマンションやアパート、または2世帯や共同住宅でない限りは、基本的に分筆は難しくなりますので、建物の形状に合わせて庭部分や駐車場部分、裏庭部分などを2分割、3分割としていくことができます。

住宅用地の軽減措置も活用できる

さらに、分筆を行い土地の評価額が高くなる区分に住宅を建てれば、住宅用地の軽減措置も活用できることになります。これから、新たに建て替えや新築などで家を建てる場合には、固定資産税も考慮して建てる場所を考えることができるのです。

住宅用地の軽減措置の要件に該当すれば、最大で税率は半分になります。

住宅用地の軽減措置は原則として居住用の建物が対象となりますので、子供用や高齢者用、または客室用などの小さな建物を建てても節税になります。

住宅用地の軽減措置の種類

  • 小規模住宅用地→税率6分の1
  • 一般住宅用地→税率3分の1
  • 新築住宅→税率2分の1
  • 認定優良住宅→税率2分の1

分筆のメリット・デメリット

以上ご紹介したように、分筆登記を行うことによって固定資産税の大幅な節税につながることを解説いたしました。確かに、分筆にて税負担が軽減できれば嬉しいことです。

でも、分筆を行うことによって生じるデメリットも理解しておくことが大切です。分筆のメリット・デメリットを十分に把握した上で最も最適な方法を検討したいものです。

ここで、分筆によるメリットとデメリットを確認していきましょう。

分筆のメリット

分筆のメリットは、大まかに3つあります。

1つの土地を複数の権利に分けることができる

本来1つの土地(一筆)であれば、所有権、抵当権、貸借権、永小作権などの権利は土地全体をひとまとめに設定されるものです。

分筆登記をすることで、個々の土地の権利を分けることが可能になります

例えば、土地の一筆のみを売却したり、一筆のみを抵当にしたり、貸借したりと活用しやすくなります。土地全体を家族で分けたり、相続を複数人に指定する場合も便利です。

Woman
リフォームや建て替えなどでローンを組む時には、全部の土地が担保になるわけではないなら安心かも。

土地の地目を複数に分けることができる

土地には登記地目という項目があり、宅地、田、畑、山林などいくつかの種類に分類されています。それぞれの地目に応じて、土地の地目を複数に分けて活用していくことができます。

土地は基本的に地目別に税率も異なり、地目によっては税率が優遇される場合もあります

もし、住宅のある土地であれば、一筆では土地全体が宅地に分類され、建物意外の部分は基本的に軽減措置の対象とはなりません。

しかし、分筆にて土地の地目を変更すれば、土地全体にかかる課税率を低くすることも可能になります。

Man
不動産投資としても、空いた土地をさらに効率よく土地活用できるならお得かも。

節税対策がしやすくなる

分筆の最大のメリットは、今回ご紹介したように大幅な節税が期待できる

固定資産税の基盤となる固定資産税評価額は路面価や住宅用地の軽減措置だけでなく、様々な項目によって測られています。

固定資産税評価基準法をじっくり研究すれば、効率のいい分筆にて節税対策がしやすくなります。

固定資産税は毎年必ずかかる税金で、土地や建物を所有する限りゼロになることはありません。長年に渡って、半永久的に支払い続ける固定資産税を最小限に抑えられれば助かります。

Woman
とにかく固定資産税がきつい!安くなるならどれだけ助かることか・・・

分筆のデメリット

というように、一見すると分筆は非常にメリットがあるように思えますが、同時に分筆のデメリットもしっかりと確認していきましょう。

必ずしも節税できるわけではない

それぞれの建物の状況や、路面価の関係によっては、必ずしも固定資産税評価額を下げれるわけではありません

道路に面している部分と、道路に面してない部分に土地の分割が可能かどうかが最初のポイントとなります。それぞれの状況によっては、節税を期待できない場合もあります。

節税効果の高い分筆を行うためには、まず基本となる路線価に対して、どのような形状の土地で、建物はどこにあるのか、またどのように分割できるのか、ある程度の評価額の目安を立てる必要があります。

Expert
遺産相続や売却などを目的にする場合は、分割方法もまた違ってくるでしょう。

測量の費用や手間がかかる

まず分筆を行うためには、それぞれ所有者の要望に応じて測量士による法的な境界泉を設定しなければなりません。

境界確定測量が行われて、初めて分割が可能な土地が存在することになります。

この測量は、高額な設備等が必要となり一般的には、プロの土地家屋調査士、測量士に境界線の設定を依頼します。その際の測量の費用が概ね20万円~30万円程度かかってしまい、時間や手間がかかることが大きなデメリットとなります。

Expert
境界線さえ法的に設定できれば、各自、自分で分筆を行う人はたくさんいます。

分筆によって売却時に不利になる場合もある

また、土地を分割することによって、必然的に土地の価値自体が低く評価されてしまう場合も多々あります

先に、道路に面している土地は価値が高くなることをお伝えしました。一筆の場合は、道路に面していない土地も全体で1つなっていたために、トータル的には評価額も高くなり、それなりの売値をつけることもできます。

しかし、分筆によって道路に面していない土地を売却する際には、評価額は低くなってしまい売却時には不利になってしまいます。

Expert
駐車場やコインランドリー、畑や太陽光発電、新築用の宅地などと付加価値をつけて売却値を上げていく対策が欠かせないですよね。

分筆登記の手続き方法

それでは、最後に分筆登記の手続き方法を簡単にではありますが、解説しておきましょう。

分筆登記の流れは以下のようになります。

まずは、分筆の準備として専門業者による土地の境界線の設定を法的に行う必要があります。

分筆の準備を行う

  1. 法務局による土地の事前調査
  2. 自治体による土地の事前調査
  3. 専門業者による現地調査
  4. 事前の仮測量を行う
  5. 境界線を設定する(立ち合いのもと)
  6. 境界線の設定に必要な書類を作成する

といった流れになり、境界線の設定に必要な書類は、以下のようになります。

境界線の設定に必要な書類

境界同意書、境界協定書、地積測量図

など、分筆登記を行う上で必要な書類を業者に依頼します。

分筆登記を申請する

土地の境界線の設定ができたら、分筆案を自治体に提出して分筆登記を役所に申請します。

申請に必要な書類
  • 分筆登記申請書
  • 地積測量図
  • 筆界確認書

の3種類で、筆界確認書は、境界確認書、境界同意書、境界協定書の3枚の書類が必要です。これらの書類は測量士に測量を依頼した時に作成することができます。

交付を受ける

自治体に分筆登記の申請をすると、申請が受理され新しい番地が記載された登記識別情報が交付されます。

交付を受けた時点で、分筆は完了です。

※分筆にかかる期間は、境界画定測量が終了した時点から約2週間程度です。境界測量にかかる期間が約1カ月~2カ月程度となりますので、日数に余裕を持って臨むことが大切です。

まとめ

今回は、固定資産税の節税対策として、土地の分筆登記について解説していきました。

土地を分割して分筆登記を行うと、

これまでは土地全体を1つの資産として見なされていたものが、複数の個別の資産として法的にも認定されることになります。

分筆登記のメリットは、

土地の権利や、地目を複数に分けることで、効果の高い節税対策や土地活用を実現していくことが可能になることです。ただ、実際には測量にあたって、ある程度の費用や手間がかかってしまい、分筆登記はいくつかのデメリットもあります。

必ずしもすべての人にとって、メリットがあるとは言えず、やはり、事前に十分なリサーチをしておくことが重要なポイントとなります。

まずは、路線価を基準にどのような土地の分割方法が可能なのかを検討してみることが、分筆への第一歩となるでしょう。

mi001you
mi001you
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投資信託、株式投資、外貨預金、FX、金、プラチナ、不動産投資などのバランス投資を副業として5年目。自己流の金融ライターが投資や資産運用をわかりやすく解説します!

これまでの経験を活かした節約・お得な金融情報なども公開しています。

職歴:飲食関連、IT業界、住宅設備等の営業職を経て、独学にて投資を学び個人投資家・金融ライターとして独立。

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