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不動産投資と一口にいっても、様々な種類が存在するため、何から始めればよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。たとえば、今回紹介する不動産投資の種類だけでも6タイプもありますし、クラウドファンディングやシェアビジネスが生まれたことで、さらにその数は増え続けています。
しかし、こうした種類を選ぶのも不動産投資の醍醐味と言えるのではないでしょうか。
- 「あの地域のマンションやお手頃だし、こっちのアパートの部屋も借りてみようかな」
- 「日本だけでなくアメリカや新興国の不動産にも興味がある」
こうしたことを考えるだけでも少しワクワクしませんか?
今回は不動産投資の種類を6タイプ紹介するとともに、時代の進歩とともに現れた新興不動産についても触れていきます。ぜひ、あなた自身にピッタリの不動産投資を見つけてみてください。
不動産投資|6つの種類
不動産投資には6つの種類があります。「不動産投資=アパート・マンション経営」というイメージを抱く方は多いのではないでしょうか。しかし、意外と選択肢は広く、ご自身の考えた戦略を複数の選択肢で生かせるという楽しみもあります。
次の6つのタイプが不動産投資の代表的な種類です。
- 区分マンション物件投資
- 一棟アパート投資
- 一連マンション投資
- 戸建て物件投資
- REIT(リート)
- 不動産私募ファンド
ここからは、それぞれの特徴やメリット・デメリットをお伝えしていきます。これから不動産投資を始めるという方は、ぜひご参考ください。
区分マンション投資とは?
区分マンション投資とは、マンションやアパートなどを一棟まるごと購入するのではなく、各部屋単位で投資していく方法です。不動産投資といえば「マンション丸ごと」というイメージを持つ方も多いですが、実はこの区分マンション投資がもっとも初心者に人気があります。
区分マンション投資のメリット
- 物件価格が安く、初期投資額が少なくて済む
- 初期費用が低くなり初心者にもおすすめ
- 地震や災害などのリスク分散におすすめ
区分マンションの最大のメリットは「リスク分散」です。たとえば、マンションを一棟まるごと保有している場合、地震や大きな災害などで資産価値が大幅に減少したり、最悪の場合は倒壊する危険性もあります。しかし、異なる地域ごとに一室ずつ分散して借りておけば、それだけリスクを和らげることが可能です。
区分マンション投資のデメリット
- 建物は資産となるが土地は資産対象外となる
- リフォームや修繕など自由度がききにくい
区分マンションのデメリットは、資産対象として土地は含まれていないということです。土地の所有権を持たない場合、建物の資産価値が下落すると回復しにくいということも考えられます。
一棟アパート投資とは?
一棟アパート投資とは、アパートを一棟まるごと購入して、その中のすべての部屋を貸し出す方法のことです。当然ですが、20部屋、30部屋と埋まっていくごとに大きな家賃収入が期待できます。
次の項目で一棟マンション投資についてお伝えする通り、アパートとマンションでは特徴が少し異なるので、別々に考えましょう。特にアパートは小型物件が多いため、マンション投資より費用が抑えられるという点が大きな魅力となります。
一棟アパート投資のメリット
- 空室率の減少リスクを大幅に抑制できる
- 一棟マンションと比べると初期投資が少なくて済む
- 物件価格が安い割に投資効率が高く利回りが良い傾向にある
- 相続税で大きな節税効果が見込める
一棟アパート投資の最大のメリットは、空室率の減少リスク抑制です。不動産に限らず、株やFXでも、いかにリスクを抑えられるかで投資の成功が決まるといっても過言ではありません。そのため、複数の部屋数を持つことえ、完全に家賃収入がゼロになるリスクが少ない一棟アパート投資は、大きなメリットを有します。
一棟アパート投資のデメリット
- アパートとしての価値が低くなると弱い
- 地震や大規模な災害に弱い
一棟アパートは投資は、価値の下落、そして大規模災害に弱い面は否めません。
たとえば、周辺に自分の物件より魅力的な建物ができたり、駅周辺に人気のスポットが集まって地方物件の価値が下落するなど、その場合は価値の回復が難しくなります。また、地震や大規模な災害によって、多額のリフォーム代が必要となるケースも想定しておきましょう。
一棟マンション投資とは
一棟マンション投資では、マンション建物のまるごとに投資する方法です。一棟アパート投資とよく似ていますが、マンションのメリット・デメリットと、アパートのメリット・デメリットは異なるため、両者の違いをしっかりと押さえておきましょう。
特に、マンションを一棟で購入する場合は1,000万円以上の膨大な初期投資が必要です。不動産投資に慣れないうちは、まずアパート経営から始め、徐々に慣れ始めてからマンションにチャレンジしてみるのも方法の一つです。
一棟マンション投資のメリット
- 部屋数が多く、空室率の減少リスクを大幅に抑えることが可能
- 土地と建物を同時に所有することで資産価値下落のリスク分散となる
- マンションは担保価値が高いため、それだけ銀行融資も有利に
- 土地や建物の将来的な売却益も期待できる
一棟マンション投資では初期投資に大きなお金が必要ですが、逆にいえば資産価値がそれだけ高いということです。土地と建物を合わせれば、将来的に売却したときでも大きな売却益を期待できます。また、担保としての価値も高く、それだけ銀行融資の審査にも通りやすくなるでしょう。
一棟マンション投資のデメリット
- 物件購入価格が高くなり、初心者にはおすすめできない
- ハイリスクハイリターンになりがちで十分な投資シミュレーションが必要
- アパートに比べると流動性の低さが難点
一棟マンション投資は初期投資額が高くなりがちで、それだけリスクの高い運用方法となります。それだけリターンも高いという両面性を持ち合わせますが、リスクを抑える的確な投資シミュレーションを組んでおきたいものです。また、投資のハードルが高いため、アパートに比べて資産流動性が落ちます。
戸建て投資とは?
戸建て投資とは、戸建てに投資して、その入居者から家賃収入を得る方法です。戸建ては「一軒家」といった方が馴染みがあるかと思います。
こうした不動産の家賃収入は、アパートやマンション投資によって得られるものというイメージが強いですが、実は戸建て住宅も人に貸すことが可能です。今までは一つの戸建に一組の夫婦という賃貸が一般的でしたが、今では「シェアハウス」という考え方が生まれ、スペースを複数に分け、複数の家庭に賃貸する方法も活用されています。
戸建て投資のメリット
- 土地と建物を所有するため、資産価値下落リスクを分散できる
- 物件を建てる自由度が高く、狭小地や変形地にも対応可能
- アパートやマンションと比べて競争が少なく、独自の建築企画もできる
戸建て投資の最大のメリットは、その自由度の高さです。マンションやアパートに比べて、建築する際の提案が通りやすく、たとえ狭小地や変形地であっても企画次第で対応可能です。そうした場所は競争も少なく、独自の強みが存分に発揮できるでしょう。
戸建て投資のデメリット
- 庭や玄関回りなど、コスト増になる範囲が広い
- 戸建て住宅の賃貸サービスがまだ浸透しきっていない
日本では、戸建て住宅といえば住宅ローンを組んで、自分で購入するものというイメージが強いです。そのため、戸建て住宅の賃貸という点がユーザーに伝わりにくく、入居者の獲得に繋がりにくいケースもあります。
REIT(リート)とは?
REIT(リート)とは、日本語で「不動産用の投資信託」という意味で用いられます。投資信託は、ファンドマネージャーと呼ばれるプロの運用担当者に資金を預け、銘柄選びや資産運用など、投資実務のほとんどを任せる方法です。投資信託の多くは株式ですが、それを不動産の対象にしたものがREITとなります。
REITといえども、基本的な投資方法はアパート経営やマンション経営と変わりません。REITを利用する投資家は家賃収入の一部が受け取れますが、その運用はファンドマネージャーが行うという形です。
REITの中には日本の証券取引所に上場されている銘柄もあります。「J-REIT」という名称で、今では人気の投資先の一つとなりました。
REITのメリット
- 数万円から投資可能という、不動産投資では最安クラスの運用方法
- 初期投資額が少ないため、それだけリスクも抑えられる
- ミドルリスク・ミドルリターンで安定した投資先になることも
- 運用をお任せできるため、多くの手間を削減できる
- REITそのものが複数の銘柄に分散投資しているため、リスク抑制効果が高い
REITは不動産投資の中で最安値クラスの初期投資額で済み、なおかつほどほどのリターンも期待できます。また、運用はファンドマネージャーに一任できるため、初心者の方にもおすすめです。
REITのデメリット
- 土地や建物を所有するわけではないので、将来の売却益は得られない
- 運用会社のカウンターパーティーリスクが発生する
カウンターパーティーリスクとは、取引している運用会社などが倒産してしまい、資金の回収ができなくなる可能性のことです。REITでは運用会社のほかにも、不動産会社や管理会社、金融機関など複数の会社が絡み合い、それだけカウンターパーティーリスクも高まります。
不動産私募ファンドとは?
不動産私募ファンドとは、特定の事業体が母体となって投資家から資金を集め、運用した利益から分配金を渡す仕組みです。先ほどのREITは「公募ファンド」と呼ばれ、一般の投資家でも参加することができました。しかし、「私募ファンド」の場合、参加する権利を持つのは大口投資家に限られるという特徴があります。
投資の経験がない方や資金力を持たない人にとって、この不動産私募ファンドを利用することはできませんでした。しかし、最近ではクラウドファンディングで多くの投資家から資金を集め、それを不動産私募ファンドに再投資するという方法も生まれています。つまり、一般投資家であってもクラウドファンディングを通じて、間接的に不動産私募ファンドに参加することが可能になったのです。
不動産私募ファンドのメリット
- 一般市場に出回っていないレア案件・魅力的な案件に出会える
- ほとんどの案件が利回りの高さを売りにしている
- 一般の市場に流通していないため価格変動リスクが極めて低い
- REITと同様に運用はプロのファンドマネージャーに一任可能
不動産私募ファンドは、REITの会員限定サービスのようにイメージすると分かりやすいでしょう。一般の投資家には利用できない閉じられた市場でのみ取引しているため、それだけレアな案件もあれば、利回りの高い魅力的な案件にも出会えます。
さらに、運用はプロに一任できるというREITと同じメリットを受けれます。
不動産私募ファンドのデメリット
- 途中解約はできないため換金性が低い
- カウンターパーティーリスクがある
- ソーシャルレンディングで過去に大きなトラブルも……
不動産私募ファンドに参加する場合はクラウドファンディングやソーシャルレンディングを使うことが多いでしょう。しかし、日本ではこうしたサービスの歴史が浅く、過去には不正やトラブルなど大きな事故も起こっています。そのため、一般的な不動産投資と比べて思わぬリスクが発生する可能性もあります。
近年注目の不動産投資の種類
不動産投資には他にも、最近生まれたばかりの方法などもあり、中には高利回りに注目が集まるものもあります。これまで取り上げた6種類の不動産投資に比べると、まだ明確な投資手法が確立されたわけではありませんが、これから活況になっていくタイプもあるでしょう。
少しだけそうした不動産投資も見ていきましょう。
駐車場経営
駐車場も土地に投資し、その地を有効活用するということから不動産投資に分類できます。特に、相続などで土地を手に入れ、そこに駐車場を開設して不労所得を狙う人も多いです。
駐車場経営は立体式タイプもありますが、その場合は大きな初期投資が必要となります。ただし、一般的な平面の駐車場であれば、特に建物を建築する必要もなく、低コストの予算で月々の家賃収入が望めます。
シェアハウス
少し大きめの一軒家に投資し、スペースを区切って複数の家族に貸し出すこと、これをシェアハウスといいます。たとえば、個室一部屋ごとに賃貸に出し、リビングやトイレ、シャワールームなどは共有スペースとして活用する方法がとれるでしょう。共有スペースを設けることで設備コストを下げるメリットがあります。
戸建て住宅投資と同じく初期投資額は多くなりますが、複数の入居者によって家賃収入の利回りが向上します。
民泊
民泊は不動産ビジネスとして注目を集め始めています。訪日外国人の急増により、日本ではホテルの部屋が不足状態に陥り、特に外国人を中心に民泊の利用者が増え続けています。
ただし、法律的にはグレー部分も多く、法律や地方の条例などについて理解しておかなければなりません。現在では、東京の一部地域や大阪など、地方自治体の条例によって合法化を目指す地域もあります。今後は民泊新法の成立も叫ばれており、法整備が進むとともに日本各地の人々の投資意欲も向上していくことでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅
不動産投資でサービス付き高齢者向け住宅を運用するケースも徐々に散見されます。サービス付き高齢者向け住宅とは、民間事業者が運営する、バリアフリーや広い共有スペースなどが特徴の建物のことです。少し家賃は高めですが、入居者は事業者からヘルスケアなどの手厚いサービスを受けることができます。
日本では少子高齢化の進行が進み、こうした高齢者向けの住宅設備にも投資資金が集まりつつあります。
まとめ
不動産投資の種類は6タイプも存在し、様々な手法を組み合わせることでリスクの抑制もでき、なおかつ利回りを高めていくことも可能です。今回は次の6点を紹介しましたが、もう一度おさらいしておきましょう。
- 区分マンション物件投資
- 一棟アパート投資
- 一連マンション投資
- 戸建て物件投資
- REIT(リート)
- 不動産私募ファンド
上記の不動産投資には、それぞれメリットとデメリットの両面がありました。つまり、どの投資が良い・悪いではなく、メリットとデメリットを見比べても、ご自身に最適なものを選ぶことが大切ということです。この記事を読んで、これなら自分にピッタリというものが見つかれば幸いです。
もちろん複数の種類に分散投資することも可能ですので、まずはリスクの低いREITや区分マンション物件投資などから始め、不動産投資に慣れていくことから始めてみましょう。そして、新しい投資にもチャレンジしていくことで、不動産投資がさらに楽しくなっていくはずです。