債権回収会社とは何?督促が来ている場合の対応を知る

もともとは消費者金融等から借り入れをしていたり、スマートフォンやネット上のサービスを利用していたのに、延滞して支払えないようになったところ債権回収会社から督促がくるようになった、というような事がよくあります。

そもそも、この債権回収会社とはどのようなものなので、何の権限があってこのようなことができて、それに対してはどのように対処をしていけば良いのでしょうか。

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別名「サービサー」ともいえるこれらの会社は、債権回収に関するプロなので、これらの会社から督促がきているような場合には早めに対処する必要があるといえます。

このページでは債権回収会社についての基礎知識と対処法についてお伝えします。

債権回収会社とは何か

まずは、債権回収会社についての基本的な知識を知りましょう。

債権回収会社とは何か

債権回収会社とは、基本的にはその名の通り、債権の会社をするものですが、「債権管理回収業に関する特別措置法」という法律に基づいて債権回収行為を許可された会社のことをいいます。

参考:債権管理回収業に関する特別措置法(e-Gav内の法令が掲載されたページ):http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=410AC1000000126

なぜ許可が必要なのか

債権回収だけなら、別に特別な許可など必要とせず、会社にやらせればよいではないか、という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、債権回収の代理・代行というのは、弁護士法72条に規定する「法律事務」であるため、この行為を報酬をもらって代理・代行・相談に乗る事については弁護士(および140万円未満の債権については司法書士も)しかできず、もし弁護士登録をしている人以外がこれを行うと非弁行為という犯罪になってしまいます。

参考:弁護士法

第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
三 第七十二条の規定に違反した者
弁護士に債権の回収を依頼する際には、着手金・成功報酬が必要になり、報酬の基準となる(旧)日本弁護士連合会報酬等基準によると、民事裁判を起こして回収行為を依頼するためには少なくとも10万円の報酬が必要となります。
参照:旧日本弁護士連合会報酬等基準(宮城県弁護士会ホームページ)
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現在は報酬は自由化されていますが、ほとんどの弁護士がこの旧報酬規程を利用しています。

一方でインターネットの普及によりカードや引き落とし決済で購入する商品・サービスというものが増えたため、現金を直接支払う場合でないと販売しない、というのもナンセンスな時代になり、少額のカードや引き落とし決済が増えています。

それに伴って、少額の債権が回収できないということも増えるのですが、普通に考えて10万円を切る金額の債権回収はそもそも赤字になりますし、特に回収の見込みがないものでも経理処理として貸倒償却をするために自社に訴訟関連の部署を作るのもコストになります。
もともと弁護士法は、法律の専門家でないような人が依頼を受けることで、依頼をする国民が適切に権利を行使できなくなることを防ぐ目的です。
であれば、債権回収についてのプロであれば、債権回収行為に限ってしまえば、弁護士法に固執する必要もないといえます。
以上のニーズを満たしつつ、弁護士法という規定がおかれている趣旨から逸れないように、債権回収会社という専門会社を許可を与えることで営業を認めたのが、「債権管理回収業に関する特別措置法」です。
参考:債権管理回収業に関する特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、特定金銭債権の処理が喫緊の課題となっている状況にかんがみ、許可制度を実施することにより弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)の特例として債権回収会社が業として特定金銭債権の管理及び回収を行うことができるようにするとともに、債権回収会社について必要な規制を行うことによりその業務の適正な運営の確保を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

債権回収会社が扱う「特定金銭債権」とはどのようなものか

債権回収会社が取り扱う「特定金銭債権」とはどのようなものなのでしょうか。
詳しくは、債権管理回収業に関する特別措置法2条に規定があるのですが、非常に難しく・長いものになりますので、我々の生活に身近な2つものについて条文とともに紹介します。

貸金業者がする貸付債権

貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)第二条第二項に規定する貸金業者
消費者金融や信販会社は、貸金業法に基づく許可を得て、貸金業を営んでいます。
こういった貸金に関しては一般的に5万~200万円程度の金額での限度額の中での貸し付けが多く、非常に多数の契約者を抱えています。
そのため、すべて自社での回収か、弁護士に依頼するとなるとコストが合わなくなるので、特定金銭債権とするべきニーズがあるといえます。

クレジットカードでの購入した金銭債権

それと引換えに、又はそれを提示して特定の販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下この号及び次号において「販売業者等」という。)から商品を購入し、又は役務の提供を受けることができる証票その他の物(以下この号及び次号において「証票等」という。)をこれにより商品を購入し、又は役務の提供を受けようとする者(以下この号において「利用者」という。)に交付し、当該利用者がその証票等と引換えに、又はそれを提示して販売業者等から商品を購入し、又は役務の提供を受ける場合において、その代金又は役務の対価に相当する金額を当該販売業者等に交付し、当該利用者から当該金額又はあらかじめ定められた時期ごとにその代金若しくは役務の対価に相当する金額の合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た金額を受領することを約する契約に基づいて、当該利用者に対し生ずる金銭債権
法律の規定では非常に難解に書かれているのですが、要は発行しているカードを利用して物品を購入したり、サービスを利用するような場合をいいます。
すこし上述したのですが、インターネットの普及にともない、少額のサービスを受けるのにあたってもカードを利用するなど、カード決済は近年広く普及しており、少額のサービスを多数の人が利用するようなケースが増えています。
それにともなって、少額の債権だからといって督促を無視したりするなど支払いがされないケースも増えてくるといえますので注意が必要です。

どのような対処が必要か

では、債権回収会社から督促が来たような場合には、どのような事をしなければならないのでしょうか。

気を付けたい特殊詐欺

当然のように「支払うことになるんですか?」という疑問を持たれるかもしれませんが、実は債権回収会社を名乗る特殊詐欺が多数発生しております。
方法としては
  • 債権回収会社のように装う
  • 債権回収会社の名前をつかって装う

というものになります。

こういったものにひっかからないようにするためには次のような確認をするべきです。

登録がされている会社かどうかを確認をする

まず絶対に行っていただきたいのが、その会社が本当に債権回収会社として登録がされてるのかの確認です。
上述のように債権回収会社は登録制になっており、登録がされていない会社が債権回収を行うことは、弁護士法72条違反になります。
そのため、あなたに督促をしてきた会社が正当な権限を持っているのかどうかを確認しましょう。
確認をするには、下記の法務省のホームページに債権回収会社の一覧がありますので、そちらに載っている会社なのかを確認をします。

会社の本社に確認をする

もし督促内容に心当たりがあるならば良いのですが、支払い内容に心当たりがない場合には、その内容が正しいのかどうかの確認をする必要があります。
この時に絶対にしてはならならないのが、DMやショートメールに書かれている電話番号に電話をすることです。
このような場合にはまず、債権回収会社のホームページを閲覧して、相談窓口を探し、そこに連絡をして督促の真偽を確かめるようにしましょう。
参照:ご返済・債務に関するお問合せ(アビリオ債権回収株式会社)

支払いが難しい場合には債務整理を検討する

もし支払いができていないのが、この債務のみならず他の債務の支払いもできなくなってしまっている場合には債務整理も検討しましょう。
もしこのまま放置しておくと、債権回収会社は訴訟をして回収をすることになります。
現在仕事をしているような場合で、債権者が職場を知っているような場合には給与の差し押さえを行うことになります。
もし「自己破産だけはしたくない」と思って支払えないような状態なのであれば、自己破産をしたくないのであればかえって早く弁護士・司法書士に相談しにいきます。
後述しますが、債務整理=自己破産ではなく、任意整理・個人再生といった手続きも洗濯することが可能な場合がありますが、返済ができない状態を放置しておくと手遅れになるためです。

債務整理とは

返済ができなくなっているときには借金の問題についての「債務整理」というものを少し聞いたことがあるかもしれませんので、ここでどんなものなのか説明しておきます。

債務整理とは、借金返済に困ったときに、弁護士・司法書士に依頼をして借金返済を楽にしたり免除してもらったりする手続きをまとめて呼んだものです。

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よく債務整理=自己破産と考えて、自己破産をすると人生終わり、といったイメージを持っている方も多いのですが、実際には自分の状況にあわせた経済的な再生方法をたくさんの手続きの中から選ぶ形になります。

種類としては「自己破産」「個人再生」「任意整理」という3種類のものが基本的なものになります。

自己破産とは

自己破産手続きとは、借金の返済など債務の履行ができなくなってしまっている時に、裁判所に申し立てをして、借金の返済などの義務を免除してもらう手続きです。

他の債務整理メニューは返済をしていくという事が前提になりますが、自己破産手続きは、税金や養育費などの一部の債権を除いてすべて免責されることになることから、経済的な再生に向けた一番強力なものです。

信用情報機関に登録されるという債務整理に共通のデメリットがある他は、実際のイメージよりもずっとデメリットがないものになりますので、支払いができない場合で早期に借金から解放されたいという希望がある場合には利用を検討すべきでしょう。

詳しくは、下記記事を参考にしてください。

個人再生とは

個人再生とは、借金の返済ができなくなってしまっている場合に、裁判所に申し立てをして借金を1/5程度に圧縮したものを、分割弁済していく手続きのことをいいます。

こちらは、民事再生法の個人が使うための章による手続きを利用するものです。

後述しますが、現在任意整理の実務上、借金の元金は分割でも必ず支払わなければならず、その分割支払いが難しい場合には任意整理は利用することができません。

このような場合には自己破産手続きを利用するのが本筋ですが、

  • 住宅ローンで自宅を購入しているような場合には必ず自宅を失うことになる
  • 警備員・宅建業のように他人の財産を預かる国家資格で仕事をしている人は退職しなければならなくなるおそれがある

という不都合があります。

このような場合に、個人再生手続きを利用して、住宅を失わずに債務整理ができる・職業を維持したまま債務整理ができるという特徴をもっています。

他の債務整理と同様に信用情報機関に登録される、全く収入がなくて支払いができない場合には利用できない、といったデメリットはあるものの、任意整理もできない・自己破産もできないといった場合に活躍する便利な手続きです。

詳しくは下記記事も参考にしてください。

任意整理

任意整理とは、債務者が債権者と個別に交渉をして、返済に関する条件について譲ってもらい、返済を継続していく手続きです。

自己破産・個人再生が裁判所の関与を必要とするものに対して、任意整理は債務者(実際には弁護士・司法書士が代理人として動く)と債権者が個別に交渉をするものです。

奨学金など債権者の中に連帯保証人がついてたり、自動車ローンを組んでいて自動車がなくなると生活ができない、といったような場合には、個別に手続きから外すことができるため、債務整理手続きの中でも最も柔軟な手続きができるものです。

交渉といっても金融実務として、債務は元金は少なくとも支払う(逆に未払い利息・遅延損害金はカットする)、分割回数は原則として36回というものになるので、それを支払うことができる場合でないと使えません。

債務整理は弁護士・司法書士に依頼をしてする

債務整理は法律上は自分でしてはいけない、というものではありませんが、実際上弁護士・司法書士に依頼をして行います。

これは、借金の大部分を占めることがおおい、貸金業者からの借金については、弁護士・司法書士に依頼をすると、本人に対する督促はしない、返済はストップすることができる、という実務上の運用が取られているためです。

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当然、弁護士・司法書士に対する報酬がかかるものではあるのですが、債務整理の専門家は債務者の窮状に理解があり分割での支払いに応じてくれます。本人への督促がこずに返済をストップできているので、借金返済に回していた金額をそのまま分割弁済にまわすことができるので、無理なく依頼することが可能です。

債権回収を法律事務所がやっている場合も同様

なお、近年では弁護士のほうでも業務を見直す流れがあり、法務専門事務職員(パラリーガル)を有効活用するなどして、報酬規程とは違った方針で債権回収株式会社と同様の機能を営むようになった事務所があります。

このような法律事務所の名前を騙った悪質な業者もいるので、同様の処理で注意をするようにしてください。

まとめ

このページでは債権回収会社についての基礎知識と、督促があった場合の注意点、対応方法についてお伝えしてきました。

スマートフォンの契約を切り替えたりした時などに、ついうっかり請求を見逃していた、というような場合などにこういった通知がくることもあるので、特殊詐欺に気を付けるようにしながら、正しい対応をするようにしましょう。

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法律・マーケティング・マネー系の記事の執筆をしているライターです
【経歴】
・司法試験受験生
・法律事務所・司法書士事務所パラリーガル
・行政書士・FP資格取得
・WEBマーケティング(リスティング広告・SEO)
などを経験

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