クレジットカードを持ってみようをしているけれど、クレジットカードに描かれたVISAやJCBのロゴに違いはあるのだろうか?などの疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。
クレジットカードにはさまざまな国際ブランドがありますから、何を基準にして選べば良いのか悩む方も実際にたくさんいます。
また、国際ブランドが違うことで使い勝手も異なってくるため、どのブランドを選ぶかは前もってしっかりと検討しておくのがスムーズでしょう。
よく考えずに国際ブランドを選んでしまった場合、違和感を覚えて後から違うブランドのクレジットカードを申し込むことは可能です。しかし、手続きをするための時間と手間をかけることになりますし、何よりもクレジットカードを手にするのが遅れることになります。
そこで今回は、クレジットカードの主要国際ブランドの特徴やシェアについて詳しくまとめてみました。記事を最後まで読むことでクレジットカードの国際ブランドに関する知識を得られるので、自身に合った最適な1枚を手にしやすくなるでしょう。
クレジットカードを選ぶときは国際ブランドにも注目
クレジットカード選びを進める中で、どうしても目が行きがちになるのが年会費や付帯サービスなどのことが多いかと思います。しかし、国際ブランドにも注目することも大切です。
選ぶ国際ブランドしだいで使い勝手を左右
国際ブランドとはクレジットカードの決済ネットワークを提供するブランドのことで、どこで利用できるのかを示すものです。
クレジットカード券面表の右下に記載されたマークと同じ国際ブランドの加盟店でのみ利用できます。
国際ブランドは特に海外での使い勝手を左右しやすく、加盟店の多い国際ブランドであれば使いやすいですし、加盟店が少なければ支払いに対応していなくて困る場合があるでしょう。
国際ブランド=クレジットカードではない
VISAやMasterCardなどの国際ブランドがクレジットカードと認識している方も多いかもしれませんが、それは間違いです。
クレジットとは「信用」を意味する言葉のため、後払いのことを指します。要するに後払いが可能なカードであればクレジットカードとなり、国際ブランドがなくてもクレジットカード扱いになるのです。
なお、百貨店やガソリンスタンドでは「ハウスカード」という名称の特定の店舗のみでしか利用できないカードが発行されています。
同じ国際ブランドでも発行会社が違えばサービス内容は異なる
同じ国際ブランドが付帯しているクレジットカードでも、発行元会社が違うことで付帯サービスや特典内容も異なります。
発行会社は「イシュアー」と呼ばれていて、日本国内では以下の会社が挙げられます。
・ジャックスカード
・クレディセゾン
・三菱UFJニコス
発行会社はクレジットカードを発行したり、その他にも会員向けのサービスや特典を提供したり、利用明細書の発行から送付も行います。そのため、国際ブランドに同じVISAが付帯していても、発行会社が異なるクレジットカードではポイント制度に保険の内容、優待サービスなどもすべて異なると思って良いでしょう。
国際ブランドによる使い勝手はもちろん、そのクレジットカードに付帯するサービスや利用特典は別に考えたうえで、自身に適しているのかを検討してください。
国際ブランドの世界シェア
世界的にシェアの高いクレジットカードを選ぶことによって、日本国内だけでなく世界各国での利便性が高まるでしょう。
サービスに特典内容などもカード選びで重要なポイントですが、持っていても特定の場所でしか使えなかったり、提示しても受け付けてもらえなかったりしたら保有する意味がありません。
なお、アメリカの調査会社ニールセンによる2018年4月現在のデータでは、VISAが全体の半分を占めていることがわかります。
2位:MasterCard(マスターカード) 26%
3位:中国銀聯(ちゅうごくぎんれい) 20%
4位:American Express(アメリカン・エキスプレス) 3%
5位:JCB(ジェイシービー) 1%
6位:Diners Club(ダイナースクラブ) 1%未満
これだけ見ればVISA一択と受け止めがちかもしれませんが、実は違います。こちらでは、国際ブランドの世界シェアについて詳しく解説していきましょう。
なお、上記ランキングに含まれない第7の国際ブランドが「Discover Card(ディスカバーカード)」です。国際ブランド入りしたのは2005年で、予想シェアは0.5%ほどとされています。
後進のカードであるうえに、現時点では日本国内で発行をしていません。
世界一のシェアの「VISA」
VISAは世界シェア第1位の国際ブランドで、200以上の国・地域における4,000万以上の加盟店で利用できます。また、VISAの国際ブランドが付帯するクレジットカード発行枚数は約14億枚ともされるなど、知名度も世界的に高いでしょう。
その他にも旅行や出張で海外に行った際も利用に困ることなく使いやすいことから、クレジットカードをはじめて作る方はVISAの付帯するカードを選ぶことも多いほどです。
なお、VISAは自社でクレジットカードの発行業務は行っていません。行うのは決済システムの提供のみとなっています。
ヨーロッパで強い「MasterCard」
VISAの次に高いシェアを獲得するのがMasterCardです。MasterCardもVISA同様に自社でクレジットカード発行業務を行わず、カード発行会社に決済システムを提供するのみとなります。
日本国内においてVISAとMasterCardを比べた場合の使い勝手に大きな違いはありません。ただし、VISAはアメリカに強く、ヨーロッパではMasterCardが強い傾向があります。
実際のところはVISAとMasterCardは加盟店に同時契約されるケースが多いため、片方しか使えないケースは少ないでしょう。しかし、こればかりは現地に行かないことにはわからない部分かもしれません。
その他にもクレジットカードによってVISAとMasterCardいずれかの国際ブランドを選べる場合があります。国際ブランドは付帯サービスや特典が異なる場合も多いので、選ぶ際は自身の求める内容かどうかを比較確認するようにしてください。
富裕層に高い人気を誇る「ダイナースクラブ」
富裕層を中心に高い人気を誇り、ステータスカードともされるダイナースクラブですが、日本国内ではVISAなどと比べて知名度は低いです。
世界で初めて登場したクレジットカードですが、積極的な宣伝活動もあまり行っていませんし国際ブランドとしてのシェアも低めなので馴染みも少なめでしょう。
日本国内でダイナースクラブそのものの加盟店は多くありませんが、JCBと提携することからJCB加盟店での利用が可能です。また、海外に行く機会が少なく、日本国内でのみクレジットカードを利用するのであれば、ダイナースクラブのみ保有するのでは不便な場面があるかもしれません。
できれば他の国際ブランドと複数持ちして、場面に合わせて使い分けるのがおすすめです。
1人あたりの利用が多いアメリカン・エキスプレス
ダイナースクラブと同様にステータスカードとして知名度の高いアメリカン・エキスプレスは世界シェア第4位に位置する国際ブランドです。世界的な通用度にシェアはダイナースクラブやJCB以上に高く、特にお膝元であるアメリカ国内では利用可能な場所が多くあります。
日本での加盟点数は公表されていませんが、ダイナースクラブと同様に加盟点数は少ないでしょう。しかし、アメリカン・エキスプレスも日本国内でJCBと加盟店契約をしていて利用に困ることはなさそうです。
なお、世界的なシェアの面では他の国際ブランドよりも低いものの、1人あたりの利用金額が高額な特徴があります。目安として、1人あたりの年間利用金額が「VISAやMasterCardが2,500ドル前後」なのに対して、アメリカン・エキスプレスは7,500ドル以上という差が出ているほどです。
アメックスが富裕層に支持されていること、メインカードとして高額利用する方が多く、さまざまなシーンで積極的に利用されているのがわかります。
JCB加盟店は日本国内No1の約1,000万件
日本発の国際ブランドでもあるJCBの世界的シェアはわずか1%のため、VISAと比べたら圧倒的な差です。
しかし、世界的なシェアは低いものの、日本国内における加盟店数は1位で約1,000万件となります。特に地方などではJCBのクレジットカードしか使えないこともあるほどに国内利用時最強の国際ブランドでしょう。
日本国内で使えなくて困ったと感じる機会は少ないため、海外に行く機会が少ない方でしたらJCBのみを保有しても不便さはありません。その他にも日本以外に、韓国・台湾・中国などのアジア圏、日本人観光客の多いハワイなどでも利用可能な場所が多いです。
なお、前にも説明しましたが、JCBはアメリカン・エキスプレスとダイナースクラブと加盟店開放契約を結んでいます。国内のJCB加盟店では、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブの利用が可能です。
クレジットカードに付帯する6大国際ブランドの特徴
世界各国で利用可能なクレジットカードの国際ブランド6つの概要を解説します。
・VISA(ビザ)
・MasterCard(マスターカード)
・American Express(アメリカン・エキスプレス)
・JCB(ジェイシービー)
・Diners Club(ダイナースクラブ)
・中国銀聯(ちゅうごくぎんれい)
これらの国際ブランドを目にする機会はあっても、詳しいことを知らないという場合も多いことでしょう。具体的にどんな特徴があるのでしょうか?
VISA(ビザ)
「Visa International Service Association」の略称である「VISA(ビザ)」は国際ブランドの中で最もメジャーと言えるでしょう。
始まりは1958年に「Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)」が創業した「バンクアメリカード」で、1960年代にアメリカ全土、1970年代に入ると世界中に進出していきました。
クレジットカードの発行自体はVISAで行わず、世界中の各カード会社がライセンスを受けることで発行できます。日本国内でも多くのカード会社が取り扱っているので、初めて手にしたクレジットカードが自然にVISAだったというケースも珍しくないでしょう。
海外で現地通貨のキャッシングも可能で、その際はVISAもしくはPlusのマークが付いたATMを目印にしてください。
MasterCard(マスターカード)
VISAと同様に世界を代表する国際ブランドが「MasterCard(マスターカード)」になります。
1966年にアメリカはニューヨーク州のバッファローで創業した「Interbank Card Association(ICA)」が前身で、1979年に「MasterCard International(2006年からはMasterCard Worldwide)」と社名変更しました。
MasterCardもVISAと同じく決済システムを提供するのみなので、クレジットカードを発行するのはライセンスを受けたカード会社です。日本国内ではクレジットカードだけでなくプリペイドカードの取り扱いもありますが、デビットカードはありません。
MasterCardでは発行するカード会社関係なく、共通の優待にキャンペーン、体験イベントなどが開催されます。その他にも海外で現地通貨のキャッシングを利用したい場合はMasterCardもしくはCirrusのマークが付いたATMで対応可能です。
American Express(アメリカン・エキスプレス)
アメックスと呼ばれることでも知られる「American Express(アメリカン・エキスプレス)」は、もともとは運輸業として始まった会社です。
ブランドネームのとおりアメリカ発の国際ブランドでステータスの高いクレジットカードとしても知られています。その他にも保険内容の充実度が高いこと、独自の魅力的なサービスを用意することも特徴で、クレジットカードを持つのであればアメックスと考える方も多いでしょう。
国際ブランドの決済システムでありつつも、自社でアメックスの付いたクレジットカードを発行。また、ライセンスだけ提供して、管理や審査はアメックスが行わない「加盟店開放」も増えています。
海外で現地通貨のキャッシングを利用したい場合、自社発行のカードは対応していません。提携カード会社が発行するクレジットカード(クレディセゾンなど)であれば、アメリカン・エキスプレスのマークが付いたATMで利用できます。
JCB(ジェイシービー)
「Japan Credit Bureau(ジャパンクレジットビューロー)」が略称で、日本国内唯一の国際ブランドが「JCB(ジェイシービー)」です。
・Uniquely Yours
日本国内と海外向けに上記のブランドメッセージを出しています。
発行カード会社は関係なく、JCBカード会員対象の優待やキャンペーンを随時行っています。また、東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどのテーマパークのスポンサーにもなっているため、抽選による招待キャンペーンなども定期的に開催されています。
選招待の企画も毎年行われています。
3種類の発行形態(本体・FC・ライセンス供与)があり、それぞれに違いがあります。
・FC契約を締結した会社で発行
・JCBのライセンスを供与された会社で発行(加盟店開放)
加盟店開放型にはJCBの国際ブランドが付くものの、発行会社は別です。また、アメリカン・エキスプレスと同じく、管理や審査は各発行会社が独自に行います。
Diners Club(ダイナースクラブ)
アメリカはニューヨークにて、1950年に創業した「Diners Club(ダイナースクラブ)」ですが、ダイナースの言葉は「食事をする人」を意味します。その名前のとおり、レストランやグルメに関する優待をはじめとする充実度が高いです。
利用限度額が高めに設定されやすく、高額決済などにも余裕を持って対応できるでしょう。ただし、入会の条件となる年齢が27歳以上でないと不可能な点もあり、他のクレジットカードのように気軽に取得できない部分も見られます。
クレジットカードの発行をするのは自社のみで、年会費も高額です。たとえば、一番スタンダードな「ダイナースクラブ ビジネスカード」でも29,700円(税込)となっています。
中国銀聯(ちゅうごくぎんれい)
中国発の国際ブランドで、中国中央銀行主導で作られた「中国銀聯(ちゅうごくぎんれい)」の「銀聯カード」は発行されるほとんどがデビットカードです。
英語表記では「UnionPay(ユニオンペイ)」となる銀聯カードですが、そもそもデビットカードはキャッシュカードと連動します。与信システムを介するクレジットカードとは異なるカードとなり、その背景には日本国内のような与信審査が発達していないことがあるでしょう。
中国国内での普及率の高さはもちろん、日本国内も訪日中国人の増加にともない加盟店数も増えています。
なお、中国銀聯の発表によると2015年第1四半期時点での銀聯カード取扱高は約1兆9,000億ドルで、VISAの1兆7,500億ドルを上回るほどです。カード発行枚数も65億をこえているなど、中国国内で一番使われているカードと言っても良いかもしれません。
中国国内では銀聯カードしか対応していない店舗も多いです。中国に旅行・出張で出かける機会が多いのであれば、1枚持っていると心強いでしょう。日本国内で銀聯カードを発行するのは「三井住友カード」「三菱UFJニコス」となり、こちらではクレジットカードとしての取り扱いです。
注意点として、海外ATMで現地通貨キャッシングは利用できません。
Apple Payのオンライン決済が可能な国際ブランド
日本国内でApple Pay(アップルペイ)のオンライン決済に対応するのは、MasterCard、JCB、アメリカン・エキスプレスのみです。(この3つの国際ブランドでも一部のカードは非対応)また、VISAもオンライン決済を除くサービスは、対応カードであれば利用できます。
ダイナースクラブはApple Payそのものに対応していません。
まとめ
最後に記事のポイントを振り返ってみましょう。
・海外での使い勝手が左右される国際ブランドに注目したい
・国際ブランドの売上高の世界シェアはVISAが第1位で全体の約半分
・日本国内における加盟店数は国産ブランドであるJCBが一番多い
・アメリカン・エキスプレスは1人あたりの利用金額の多いステータスカード
単に国際ブランドのシェアと汎用性を考慮すればVISAが優勢でしょう。しかし、場所によってはMasterCardやJCBの方が使い勝手は良いなど、利便性の面は異なります。シェアだけで国際ブランドを決めるのではなく、自身の利用に合わせて選んでみるのが良いでしょう。
適した国際ブランドを選ばなければ使いにくくなるだけです。今回ご紹介した内容を踏まえながら、幅広く使えるクレジットカードを利用してください。