【不動産投資】土地と建物では固定資産税は大きく異なる!?土地の種類や税金の違いを解説。

固定資産税は土地や建物にかかる税金で、不動産を保有するかぎり毎年払い続けるものになります。不動産投資をするにあたって、税金にどれぐらいの金額がかかるのか気になる人は多いでしょう。

不動産投資は住宅やアパートなどの建物に限らず、土地そのものを売買する場合もあります。

そこで、土地と建物では固定資産税も大きく異なり、これからの節税対策としてわかっておけば安心です。

今回は土地と建物で異なる固定資産税土地の種類に応じて異なる固定資産税についてわかりやすく解説していきます。どうぞ、不動産投資や節税対策にお役立て下さい。

固定資産税

 

 

不動産といえば、固定資産税がつきもので、固定資産税のことは聞いたことがある、払っている、などと知らない人はほとんどいないでしょう。

でも、実際に固定資産税とはそもそもどんな税金なのかまでは、深く考えない人もいるかもしれません。単に納税通知がきたから払う、という人も意外に多いかもしれないですね。

また、これから不動産投資を始める人にとっては、全く未知の税金となり、固定資産税とは何なのか気になる人もいるでしょう。

まずは、固定資産税がどのような税金なのか解説することから始めていきます。

固定資産税は財産税

固定資産税は昭和25年(1950年)に始まった地方税の1つです。以前は家屋税などと呼ばれ改正に改正を重ねて現在にきています。

税金は仕組み自体が非常に複雑であるため、何となく納税通知がきたから仕方なく払う、という風潮にあるのが現状です。

固定資産税は所有する財産にかかる財産税のようなものになります。

固定資産税と固定資産評価基準

この所有する財産は、地方税法によって評価されその財産の価格が決められています。これが固定資産評価基準と呼ばれるものです。

固定資産は、固定資産評価基準額にそって課税額が計算されているのです。

固定資産評価基準とは

固定資産評価基準とは、一般的に妥当だと思われる財産の価格をあらわしたものです。通常の条件で売買を行った場合に正常な価格だと思われる金額がそれぞれの財産に設定されます。

この資産評価基準は実例にともなって判断されていますが、実際のところは各自治体の判断や評価を行う人達の価値観によって若干の差があります。

ただ原則として、この固定資産評価基準額は、適正で正常な財産の時価だとみなされています。

不動産の種類によって税額が異なる

固定資産評価基準額に沿って、固定資産税が計上されるのですが、不動産の種類によって定められる税額も様々です。また、固定資産税は土地と建物のそれぞれかかってくるもので、土地の比率や建物の比率によっても税額は変わってきます。

できるだけ税負担がかからない方法で不動産を購入することが、その後の収益率を左右することになります。不動産投資のベテランになると、すでに固定資産の税額も踏まえた上で物件選びをする人も多いのです。

不動産投資をこれから始める人も、不動産の種類によって異なる固定資産税の仕組みをしっかりと理解しておきたいでよすね。

土地と建物

固定資産税の税率は、土地と建物とすべての固定資産に対して1.4%の税率が適用されます。

そこで、なぜ不動産の種類によって固定資産税が大きく異なるのかというと、税額の計算の目安となる固定資産評価基準が土地や建物の種類によって変わってくるからです。

そこで、不動産をまずは土地と建物に分けて固定資産税の違いを解説していきます。

土地の固定資産税

土地とひとことにいっても、実は土地だけでも種類は23種類に分類されています。代表的な土地の種類は、宅地、田、畑、山林、雑種地などがあります。

土地の固定資産税を計算するために用いられるのが「相続税路線価」「路線価」と呼ばれる課税標準額です。

相続税路線価とは

相続税路線価とは、単に路線価と呼ばれることもある土地の評価方法になります。これはもともと、相続や贈与などで土地を取得した際に用いられる評価方法ですが、一般的に土地の評価基準額を計算する際に使われています。

路線価では、隣接する道路、近隣にある道路の価値から土地の評価基準が算出されます。概ねのところで、時価の8割前後の価格になるとされています。

国税庁の路線価図・評価倍率表にて、全国の路線価が確認できます。

※国税庁/路線価図(平成30年)
http://www.rosenka.nta.go.jp/

土地の固定資産税の計算方法

土地の固定資産税を算出する方法は、

土地の面積(1㎡)× 路線価=固定資産評価額

固定資産評価額×1.4%=固定資産税

となります。

※これが住宅用地である場合は、住宅用地の特例により減税が適用されます。

建物の固定資産税

ここでいう建物は、住宅やアパートなど住居用の建物について解説します。(商業用はまた規定が異なる)

建物の固定資産税評価額

建物の固定資産税評価額は、各自治体の評価基準に沿った建物の時価をもとに決められています。この時価に対して約6割前後で評価額が定められることになります。

建物の時価とは、基本的に一般的な市場の取引価格のことです。

時価が明確でない場合は、その建物を再建築した場合の費用に経年劣化を考慮した価格が定められています。

建物の固定資産税の計算方法

そして、建物の固定資産税の計算は、

固定資産税評価額×1.4%=固定資産税

で算出されています。

※固定資産税に関する記事は以下からもご覧頂けます。

固定資産税が免税される場合

固定資産評価額が以下に該当する不動産は固定資産税が免除されます。

  • 土地→30万円未満
  • 建物→20万円未満
  • その他償却資産→150万円

土地と建物の大きな違い

固定資産税で土地と建物が大きく異なるのは、固定資産税評価額がそれぞれ違ってくるからだと先に述べました。

固定資産税評価額に大きな差が出てくる理由として、減価償却の存在が大きく関わってきます。

減価償却とのかかわり

減価償却とは、固定資産の中で年数とともに価値が減少していくものを、耐用年数に応じて、購入にかかる費用を分割計上する方法のことをいいます。

この、減価償却できる固定資産とは、年々その資産の価値が少なくなっていくことを意味しています。

では、ここで土地と建物について考えてみましょう。

土地の価値

土地は基本的に年数が経ったからといって、劣化していくものではありません。従って減価償却の対象とはならず、土地の価値はむしろ高騰していく可能性さえ秘めています。

ということは、その分何年たっても、固定資産税も多くかかる傾向にあります。

建物の価値

建物の価値は、一般的な常識でいけば年数とともに劣化していくものであり、減価償却の対象となる資産です。

従って、年々建物の評価基準は低下してく傾向にあり、その分固定資産税を安くすることが可能となるのです。

※減価償却とは何なのか、詳しく知りたい方はこちら。

※中古住宅の減価償却を節税対策に活用する方法はこちら。

住宅用地と非住宅用地

というわけで、土地はそのまま保有するよりは建物を建てた方がいい、とよく言われているのです。これは、節税対策につながる方法として、一般的に認識されている事実です。

確かに、節税を考えれば土地だけで所有するよりは建物を建てた方が経費節約につながりますが、土地のまま売買する人も少なくありません。

中には評価額が結局は建物よりも低下しづらい土地を好む人もいます。ではすべての土地は、その種類に関わらず同じように固定資産税が計算されてしまうのでしょうか。

土地は先述のように宅地や山林など様々な種類に分類されています。

まずは、土地を住宅用地と非住宅用地の2種類に分けて解説していきましょう。

住宅用地とは

住宅用地とは専門的には宅地と呼ばれるもので、原則として住居用の建物を建てる土地のことをいいます。

田、畑、山林、雑種地などでもも法律上規制がされていなければ、宅地として活用することができます。最初から住宅を建てることを目的に売買される土地は宅地として売買されます。

住宅用地の固定資産税

住宅用地の固定資産税は、

固定資産税評価額×1.40%

で計算されます。この住宅用地は、特例によって減税の対象となる部分があるので覚えておきましょう。

住宅用地の特例

住宅用地の面積のうち、建物がある土地の部分は以下のように減税の対象となります。

  • 200㎡以下の部分(小規模住宅用地)→固定資産税6分の1、都市計画税3分の1
  • 200㎡を超える部分(一般住宅用地)→固定資産税3分の1、都市計画税3分の2

ですから、同じ住宅用地でも建物があるのとないのでは税額が最大で6倍も変わってしまうのです。どんなに古くてもいいから建物を残しておくことで、税額を抑えていくことが可能となります。

非住宅用地とは

一方、住宅用ではなく商業施設や工業・産業用で使われる土地、また法的規制によって住宅を建てられない土地のことを非住宅用地といいます。

非住宅用地は減税できない

非住宅用地の場合は、特例が適用されず通常通りに固定資産税が計上されます。

固定資産税評価額×1.40%=固定資産税

ただ、建物の部分のみは減価償却により税額を抑えていくことは可能です。

住宅を建てれない土地もある

土地を購入する際に注意しておきたのが、土地によっては法的規制があり、住宅が建てられない場合があることです。

以下の法律によって宅地とできない土地が指定されています。

  • 都市計画法
  • 建築基準法
  • 農地法
  • 森林法

例えば、公立公園の指定区域の近辺であるとか、重要文化財などの景観上の問題、安全上の問題、農産物確保上の問題などが理由とされています。

事前のリサーチが大切

いずれの場合も、状況によっては宅地利用へと転用できる場合もありますので、事前のリサーチが重要となってきます。

将来的に地目の変更は見込めるのか、変更できる場合は契約条件に設定してもらえるのか確認する必要があります。

これらの土地は、だからといって不動産投資として決して役に立たないわけではありません。もし、将来的に都市計画や国の政策などでその土地が必要となれば、公的に貸付を行ったり、買い取ってもらう可能性もあり得ます。

更地

それでは次に更地について解説していきます。

更地とは、建物が建っていない状態の空き地となった宅地のことをいいます。原則として、更地とは住宅用地に分類され住宅を建てることが可能となる土地のことです。

更地は建物が過去に建っていた、あるいは、建物を建てることが目的となる土地なので、一般的な雑草の生い茂った雑種地や用途不明の土地とは分類されています。

更地の固定資産税

更地の場合も、住宅用地ではあるのですが、建物がないため住宅用地の特例の対象外となり、固定資産税が減税できません。

ですから、土地全体に対して通常通り固定資産税が計上されることになります。

整地とは

整地とは、建物を取り壊した後や放置状態が続いた後の土地を、住宅用地としてきれいに整備した土地のことをいいます。

大きな石や木くず、雑草などを取り除き、重機でしっかり土地を踏み固めて軽圧作業が施されてある土地になります。

その分、同じ土地でも売買の金額は少し高めになると言えますが、固定資産税に関しては、更地も整地もほとんど違いはありません。

更地にするメリット・デメリット

ここで、空き家を更地にするメリット・デメリットについて軽く触れておきたいと思います。

メリット

  • 自治体によっては、空き家解体の費用に補助金が支給される場合がある。
  • 空き家放置によって生じる周囲とのトラブルを避けることができる
  • 価値のない倒壊寸前の家があるよりは、土地を売却しやすくなる
  • 更地を好んで土地を購入する人もいる

デメリット

  • 住宅用地の特例が適用されないので固定資産税が高くなる
  • 建物の面積が大きいほど固定資産税が高くなる
  • 新しい建築基準法の規制を受け再建築不能となる場合がある
  • 補助金が支給されない場合は全額負担する必要がある

といったことが考えられますので、現在空き家をどうしようか迷っている人は、固定資産という観点からもしっかり検討することが大切です。

※ただ、土地の割合が非常に大きい場合は、もともと減税されていた面積の比重も小さくなるために、そんなに大きく税額が変わることはないといえます。

農地

次に気になるのが農地と呼ばれる土地の存在です。

農地法によると、農地とは耕作の目的に供される土地であることが定められています。

穀類、野菜、花、桑、お茶、たばこ、リンゴ、モモなどと一般的に食品や産業として必要な植物を栽培している土地のことを指し、林業とは区別されています。

現況によって農地と判断

農地と認定される土地は、現況がどうなのかによって判断されています。現在、農作物を栽培・出荷・販売していることが基準とされています。

間違えやすいのが、雑草の生い茂った雑種地や家庭菜園などの趣味の範囲での栽培地です。

農地の固定資産税は

農業をリタイヤする人や、あえて農地を購入したい人、不動産投資として農地を活用していきたい人など農地の固定資産税は他の土地とどのように異なるか気になる人もいるでしょう。

農地はそれぞれ土地の種類や、その農地から得る収益額によって固定資産税評価基準が算出されています。

  1. 一般農地
  2. 一般市街化区域農地
  3. 特定市街化区域農地

農地評価基準額×負担調整率×1.40%=固定資産税、で計算されます。

負担調整率とは、前年度の収益率と本年度の収益率によって調整率が決まります。つまり、収益に応じて税負担額を調整できる特例が設けてあり、最大で3分の1に減税することができます。

住宅用地へと転用できる

農地は特に法的規制がなければ、住宅用地へと転用することも可能です。

その際は転用の手続きを各自治体にて行います。しかし、完全に転用してしまうと特例が受けれなくなり、建物を建てない限りは固定資産税が高くなってしまいます。

近年では、利用しなくなった遊休地などを収益化できるシェア畑として活用する動きも見られています。

その他の土地

最後に、固定資産税がどうなるのか、疑問になりがちな土地の種類をいくつかご紹介しておきましょう。

山林

土地の地目が山林となる場合は、土地の固定資産税は大幅に安くなります。

基本的に山林は人が住めない不便な環境の土地であるため、そもそも公示価格が設定されていない事も多々あるのです。従って、固定資産税評価額は圧倒的に低く見積もられる傾向にあるのです。

固定資産税が安いということは、その分売買価格も安くなることになります。

道路・公道・私道

売買価格は高いのに、固定資産税が非課税となる可能性が高いものが道路です。道路には国道、県道、市町村道の公道と、個人の所有する私道の2種類があります。

公道の所有者は基本的に国や自治体になりますが、稀に個人が所有する土地が公道として使われているケースもあります。この場合は、完全に固定資産税は非課税とすることができます。

また、たまたま山林や畑が公道して使われることになり、非常に高い価格で売却できる場合もあります。

基本的に私道は個人の不動産として固定資産税の対象となります。ただ、定められた要件を満たし、不特定多数のものが利用する私道であれば、非課税にできるのです。

駐車場

駐車場は、土地と設備に固定資産税が課税されます。

土地の評価額と駐車場設備の評価額を1.40%の税率にて計算されます。減価償却できる設備を除いては、とくに減税できる部分は少ないのが現状です。

ただ、駐車場経営は、立地環境によっては非常に効率よく収益が見込めるのが魅力となっています。

コインランドリー

近年になって、節税対策として注目されているのが、コインランドリーです。

コインランドリーに必要な設備は減価償却の対象となります。減価償却によって、経費負担額を増やして課税対象を抑えることが可能です。

さらに、中小企業の固定資産減税特例によって、3年間の固定資産税を半額くらいに節税することができるのです。もし3年間の固定資産税が50万円だったとすれば、25万円に削減することができます。

※今後の参考に、空き家活用方法について知りたい方はこちらをご覧下さい。

※また、関心のある方は、住宅ローン控除と住宅取得金資金贈与に関する情報がこちらからご覧頂けます。

まとめ

今回は、土地と建物にかかる固定資産税の違いについて解説致しました。

その土地に建物があるかどうか、またその建物は住宅用なのかなどによって、固定資産税が大きく異なることがわかりました。

また、同じ土地でもそれぞれ土地の種類によって、非課税になったり減税の対象とすることができます。

その土地がどんな土地なのか、もし、所有すればどれくらいの固定資産税がかかるのか、つねに念頭に置いて収益物件や土地を探していくことが欠かせないといえます。

せっかく不動産投資をしても、税金によって収益が損なわれてしまうのは勿体ないですよね。

今回ご紹介した内容は、あくまでも不動産投資にかかわる固定資産税のほんの一部ではありますが、ぜひ、これからの節税対策にお役立ていただければ幸いです。

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