そもそも家財保険とは?地震で被災した保証には地震保険も必要!仕組みをやさしく解説

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家具や家電、PCや時計に衣類、身の回りにあるこれらのものの中には、高価なものを所有する人もいます。大切にしている物を事故や災害、盗難などで損害を受けた時に保険が適用できれば安心です。

このように、自分の持ち物に対する損害を保証できる保険を家財保険といいます。

でも、一般的には家財保険の存在はあまり知られておらず、どのような保険なのか、どのように加入できるのか、いまいちわかりづらいのが現状です。

今回は、そんな家財保険の仕組みをやさしく解説していきます。同時に地震の損害に備えておける地震保険、そして混同されがちな火災保険についても触れていきます。ぜひ、参考にして頂ければ幸いです。

そもそも家財保険とは

どこかの地域で不幸にも災害があったことや、盗難があったことをニュースで見た時に、不意に自分の家はいざという時にどうなるのかと不安になってしまうものです。

そんな中、賃貸や持ち家にかかわらず火災保険に加入しておく人は多くなりますが、家の中の様々な持ち物に対して保険をかける人は意外と少ないようです。

そこで、ぜひ検討しておきたいのが家財保険です。

家財保険はどんな保険?

家財保険とは住宅内に所有する家具や家電、衣類、食器などの生活用品全般を補償する保険です。

家財保険に加入しておけば、自分の所有する家具や家電、PCや衣類などに損害があった時に保険金が支給されます。火災保険に類する補償の1つで、建物の火災保険に追加して加入できます。

家財保険の対象

家財保険の場合は、火災だけでなく、落雷、風災、水災、さらに水漏れ、盗難など日常生活で考えられる様々なケースに対応しています。

例えば、

  • 火災に合って家具や家電、その他大切な物が燃えてしまった
  • 水漏れの被害から家電などが水浸しになって使えなくなった
  • 空き巣に合って大切な宝飾品・時計などが盗まれた
  • 子供が家電を壊した
  • 車が衝突して洗濯機が壊れてしまった

など、かなり広範囲に渡っての損害が補償されます。

近隣の住宅の火災などから自分の所有物が被害を受けた際の損害も対象となります。

住居にかかわる所有物が対象なので、自転車や車など外で使うものは原則として対象外となります。

高価な物でなくともいい

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でも家財といえば、高価なものが対象なんでしょう?

 

Expert

高価なものでなくとも補償の対象になります。

極端にいえば、所有するすべての物が家財として認められるのです。靴下一枚でも、家財保険の対象なのです。

万が一に備えて家財保険に加入しておけば、自分で再度購入する際の資金を用意する必要がなくなるのです。それに、思い出の品などを失った場合の慰謝料と考えることもできます。

地震保険とは違うの?

では、地震の際に家財が損害を受けた時にはどうなるのでしょうか。家財保険で補償されるのかが気になりますよね。

通常、家財保険は火災保険のことを意味しており、この場合地震は対象外となります。ただし、地震保険の家財保険に加入すれば、地震の損害でも家財を補償することができます。

地震保険と火災保険の家財保険に加入していれば、かなり広い範囲で大切な所有物の補償を得ることが可能です。

そこで、地震保険の家財保険と火災保険の家財保険の違いをご説明していきます。

地震保険とは

地震保険とは、通常は火災保険とは区別されており、地震、地震によって生じる噴火、津波、火災を原因とする損害を補償する保険になります。

地震保険は地震で起こり得る損害に対応することができ、住宅などの居住用建物だけでなく、家財も対象にすることができます。例えば家財保険に加入していなかったとしても、地震による損害であれば地震保険で建物と家財の両方を補償することができるのです。

地震保険への契約方法

地震保険は原則として、火災保険に加入していることが条件となります。住宅にかかわる保険として、火災保険の延長線上に付け加える保険となるのです。

火災保険とのセットで加入する

地震保険に加入する場合は火災保険とのセットにて、

  • 地震保険の建物のみ
  • 地震保険の家財のみ
  • 地震保険の建物と家財の両方

以上のような契約方法を選ぶことができます。

保険会社によっては、火災保険に地震保険が自動付帯になっている場合もあります。

地震保険の保険金額

地震保険は、実質の損害の規模によって保険金額が定められています。基本的に損害のレベルは全損、半損、一部損の3段階に分かれています。

保険金額の上限は、

  • 建物が5,000万円
  • 家財が1,000万円

となります。

法的な規制によって、地震保険の保険金額は火災保険の30~50%の範囲内と定められています。

持ち家や賃貸住宅のオーナー

家を購入した人や、賃貸住宅のオーナーなどは火災保険と地震保険をセットで加入する人が多くなります。

日本はもともと火山によって形成されている島国であるため地震のリスクが非常に高い環境にあります。従って、地震に備えておくことが必要不可欠になるのです。

もし、地震で家やビル、アパートなどの建物が被害を受けた場合には、大きな損害となる可能性があります。建て直しや修復にも多額の資金が必要です。その際に地震保険によって支給される保険金を利用することができます。

家や建物のオーナー→建物や家財を火災と地震からも守る必要がある→火災保険だけではカバーできない→地震保険は必要

賃貸の人

原則として、賃貸住居者は地震や火災による建物の損害に対して、全く責任を負いません。ですから、地震保険は賃貸の人には関係ないようにも思えてしまいます。

しかし、火災保険の家財保険だけでは地震の損害をカバーすることができません。ですから、賃貸の人でも地震保険に加入する場合があります。

家財保険と地震保険の大きな違い

補償できる範囲を家財保険(火災保険)と地震保険で比べておきましょう。

家財保険(火災保険) 地震保険
火災、風災、盗難などによる建物の補償 ×(火災保険/建物〇) ×
火災、風災、盗難などによる家財の補償 ×
地震による建物の補償 × 〇(地震保険/建物)
地震による家財の補償 × 〇(地震保険/火災)
  • 通常の家財保険は火災保険と同様の範囲が対象となる
  • 家財保険の対象は、あくまでも家財のみの補償
  • 地震保険では建物と家財の補償がつけれる
  • 地震保険はあくまでも、地震によって生じる被害のみが対象

地震保険について詳しく調べたい方はこちらから。

火災保険で地震の火災は補償できる?

それでは、次に火災保険で地震の時の火災は補償できるのかどうかを解説していきます。

地震が起きた時に、被害が最も大きいのは、地震によって生じる火災の被害だといわれています。地震によって生じたとしても火災は火災です。

当然この場合の火災も火災保険に含まれているものと考えてしまう人は多いでしょう。

ところが・・・

火災保険では地震の時に生じた火災は対象外となるのです。ただ、全く1円も支給されないのかというと、そうではありませんのでご説明していきましょう。

地震火災費用保険金

地震が直接または間接的に火災の原因となった場合、基本的に火災保険だけでは補償することができません。

保険プランによっては地震保険や地震の火災が特約で付けられている場合もあります。

その場合、地震火災費用保険金というのがわずかですが、支給される保険プランもあります。保険会社にもよりますが、某保険会社の例を挙げると以下のような計算になります。

地震による火災で家が半焼以上~全焼した場合→火災保険金額の5%が支給

もし、ここで1,000万円の保険金をかけていたとすれば、50万円が支給されることになります。全焼だった場合を考えると無きに等しい金額です。

住居のオーナーは火災保険と地震保険に加入すべき

というわけで、住居のオーナーは火災保険だけでは十分な補償を得られないのです。特に日本は地震の多い国ですから、それなりに対策を考えておくことが欠かせません。

火災保険と地震保険に加入してはじめて、考え得る災害や損害に備えることができるのです。

賃貸でも家財保険は火災と地震に対応させたい

賃貸では建物の補償は必要ありませんが、家財保険を検討する時には、火災保険で補償できる範囲と地震保険で補償できる範囲を組み合わせることが理想的です。

そうすれば、対象となる範囲をかなり広げていくことができます。

火災保険の対象を確認

それでは、火災保険の対象が何なのかをここで改めて解説しておきたいと思います。保険会社にもよりますが、基本的に火災保険の対象はほぼ同じ内容となります。(特約や総合プランを除く)

火災
火災によって建物や設備が燃えた時、さらに消火する際の放水にて水浸しになった場合も含まれます。

落雷
家に落雷があって建物や設備が壊れた時、近隣の落雷によって電気系統の設備が故障した場合が補償されます。

破裂・爆発
ガスや蒸気、化学物質などによって破裂、爆発が起きた時の損害も対象となります。

風災
強風、台風、竜巻などで建物や設備が壊れた時、瓦が飛んだり割れたりした時、窓ガラスやドアなども対象です。

ヒョウ災
ヒョウが降ることによって建物や設備が壊れた時、窓ガラスや屋根・壁が傷ついた時に補償されます。

雪災
雪の影響で建物や設備が壊れた時、積もった雪の重みで家が倒壊した時、車庫の屋根も同様に補償されます。

水災
洪水、高潮、大雨による土砂崩れによって家や設備が損害を受けた場合も対象となります。

水濡れ
配管設備の故障や上階からの水漏れなどで損害を受けた時。

物体の落下や衝突など
自動車が衝突して建物が破損したり、落下物によって建物や設備が損害を受けた場合。

盗難・いたずら
盗難やいたずらなどで家や設備が他人から故意に破損された時の損害を補償します。

以上が火災保険の基本補償となりますが、保険プランによって多少内容が異なりますので、確認するようにして下さい。

※ちなみにこちらの記事では火災保険で屋根を修理する方法がご覧頂けます。

火災保険でいう建物の範囲

火災保険では建物や建物の一部となる設備が保険の対象となります。ドア、窓ガラス、サッシ、雨どいなども建物に含まれています。

判断が微妙になるものもあるので、ここで確認しておきましょう。

屋外

建物の屋外にあるもので対象となる設備等は、

門、塀、垣根、物置、倉庫、車庫、自転車置き場、建物に固定で設置されたアンテナなど・・・

屋内

屋内のものでは、

畳、ふすま、エレベーターやリフト、エアコン、浴槽、流し台、ガス台など・・・

建物に付属する電気給湯器、ガス給湯器、ガス管、水道管、配管などは加入している保険プランや特約によって補償対象かどうかが分かれます。

※災害時に備える、地震・火災保険の基本はこちらをご覧下さい。

火災保険で火災の家財は補償できる?

というように、家財保険、地震保険、火災保険にて補償の対象となるのが何なのか、大まかにわかりました。火災保険の対象も思った以上に幅広いようです。
ここで気になるのが、火災による家財の損害は火災保険でカバーできないのかということです。

火災保険は建物と家財の2種類がある

火災保険も、地震保険と同様に建物と家財の2種類があります。

火災保険に加入している人でも、家財に保険をかけたい場合は別途で家財保険をつけなければなりません。中には、火災保険に加入すれば、自動的に家財も対象になると思ってしまう人もいます。

火災保険を建物と家財の両方で加入することによって、家財も火災保険と同じ条件で補償を受けることができるのです。

建物だけの火災保険では家財は対象にならない

建物だけの火災保険の場合は、それが火災による損害であっても家財は対象外となります。その場合、建物の損害に対してだけ保険金が支給されることになります。

ですので、火災保険に加入したから冷蔵庫や洗濯機、家具や家電も大丈夫だと安心してはいけません。

まずは、火災保険の内容が「建物」だけなのか、それとも「家財保険」もセットになっているのか確認するように注意して下さい。

火災保険のパターンは4種類

火災保険に加入する方法は4パターンあります。

  1. 建物のみ火災保険に加入する(持ち家、オーナー)
  2. 建物と家財の両方で火災保険に加入する(持ち家)
  3. 火災保険の損害賠償責任補償にだけ加入する(賃貸)
  4. 家財と火災保険の特約のセットで加入する(賃貸)
といった方法です。
持ち家なのか、賃貸住宅のオーナーなのか、それとも賃貸なのかによって必要となる補償が異なります。

持ち家であれば

建物だけに火災保険をつける、あるいは、建物と家財の両方で火災保険に加入する方法があります。

賃貸住宅のオーナーであれば

家財は借主の所有物なので家財への補償は必要なくなります。従って、火災保険も地震保険も建物だけの補償で充分ということになります。

賃貸住宅の人は

建物に火災保険をつける必要はありませんが、自分の過失が原因となって火災を引き起こしてしまう可能性があります。
賃貸の人が加入する火災保険は貸主への賠償責任を補償する特約として加入します。
賃貸で家財保険をつけたい人は

賃貸の人が火災保険に家財保険を合わせてつけたい場合には、賠償責任を補償する火災保険と火災保険の家財保険を組み合わせる方法があります。

さらに充実した補償を希望する場合は、地震保険の家財保険を付け足すことができます。

※火災保険は何のために入るのか、注意点や節約術はこちらの記事も参考にして下さい。

※火災保険の一戸建ての相場はこちらでご覧頂けます。

家財保険の仕組みや条件

では、そもそも家財保険のみを単独で加入することはできるのでしょうか。

持ち家や賃貸住宅のオーナーであれば、すでに火災保険に加入している人が別途で違う保険会社の家財保険に加入したいと思うこともあるでしょう。

また、賃貸の人の場合は火災保険や地震保険に加入していなくとも、家財保険のみに加入したいと思う人もいるかもしれません。

その場合はどうなるのでしょうか。

単独でも家財保険に加入できる?

単独で家財保険を販売しているところもありますが、基本的には火災保険に加入することになります。家財保険自体が火災保険に含まれている補償になるからです。

  • 火災保険の建物
  • 火災保険の家財

と別々でどちらかを選べる場合もあります。ただ、状況によっては火災保険において建物と家財の補償を完全に分離することが難しい場合もあり、他社でそれぞれ契約する場合には重複した項目が出る可能性があります。

賃貸の人は特約セットで加入できる

賃貸の人であれば、建物の火災保険が必要ないことから、

火災保険の貸主への賠償責任補償、他人への賠償責任補償に家財保険をセットになった保険プランが用意されてあります。基本的に、賃貸の場合は火災保険を家財のみで加入することが難しく、賠償責任補償を取り外すことができない場合も多くなります。

家財保険の補償の目安

家財保険で補償される金額は、それぞれ保有する家具や家電などを再購入したら現在いくらなのかが目安になります。

保険金額を設定する場合には、全焼してすべてを買い直したとすれば、いくらぐらいかを基準とするのが一般的です。

ただ、保有するすべての物の商品名や型番、現在の価格などを調べることは不可能だとも言えます。そこで、家財保険を契約する際には2つの方法があります。

  • 家財簡易評価法
  • 明記法

それぞれ、どのような方法なのかを簡単にご説明しておきます。

家財簡易評価法とは

それぞれの家庭・住居における家財総額を、家の大きさや家族構成・年齢などから、概ねの平均値で表したものです。

特に希望しない限りは、この家財簡易評価法による金額を基準に、保険金額を検討していくことができます。各保険会社ではこのような家財簡易評価法に使う表を用意しています。

明記法とは

高額な宝飾品、絵画、時計、証券(現物)、古美術、貴金属、PC、特殊な電気機器、毛皮やコートなど、数十万円~数百万円以上するものに対して適切な値段を申請しておく方法です。

そのためには、購入価格、現在の評価額を証明することができる、正式な領収書や査定書、その物品の写真などが必要となります。

月額保険料と保険金額

それでは最後に、家財保険の補償金額や月々の保険料について軽く触れておきます。

例えば4人家族一戸建ての持ち家で、全焼の家財保険の補償額が1,000万円だとします。そうなると、保険会社やプランの詳細にもよりますが、だいたい6千円~1万5千円ぐらいが保険料の月額料金です。

一人暮らし賃貸の場合だと、全焼の家財保険の補償額は500万円前後が多くなります。その場合、保険プランによっては4千円~8千円くらいが平均の月額保険料になります。

※支給される保険金額が低くなればなる程、月額保険料は安くなっていきます。

※火災保険と家財保険の違いについてはこちらも参考にしてみて下さい。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、家財保険を中心に、地震保険、火災保険とのそれぞれの特徴や仕組みについて解説していきました。

賃貸であろうと、それが持ち家であろうと、どんな住居で暮らそうとも災害や盗難などよるリスクから逃れることはできません。最悪の事態を考えれば確かにキリがないとはいえ、ある日、全てが燃え尽きてしまったとしたらかなり絶望的です。

そこで、今回ご紹介した火災保険、家財保険、地震保険の3つを検討しておくことが大切です。

これら3つの保険は、私達の日常生活において非常に重要な保険です。にもかかわらず、それぞれ微妙に補償内容が異なるために違いを把握することが難しくもあります。

この機会に、それぞれの保険が補償している内容をしっかりと把握して、ぜひ今後の暮らしに備えておきたいものです。

 

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