クレジットカードの適正保有枚数と複数枚持つことによる影響と対処法

現金を持ち歩かなくても支払いのできるクレジットカードは生活の中でとても身近な存在になりました。

クレジットカードには大手ショッピング施設やデパート、ガソリンスタンドをはじめ、とにかくさまざまなカードが発行されています。そして、キャンペーンなどで気軽に持てる機会も増えたため、1枚ではなく複数枚持っているという方もいることでしょう。

単に複数枚のカードを持っていても、しっかりと考えて使い分けている方もいれば、何も考えずにただ複数枚持っている方、あるいは複数枚持っていてもどんなメリットがあるのかわからない方に分かれるかと思います。

でも、せっかく複数枚持つのであれば、メリットが大きくなるような使い方がしたいですよね。

そこで今回は、上手に活用すればさらに便利になるクレジットカードの複数持ちについての知識にメリットとデメリット、審査時に注意すべきポイントなどをまとめました。

これからクレジットカードを複数枚持って使い分けを考えている方もすでに複数持っている方も、効率的な使い方ができるようにぜひ参考にしてみてください。

クレジットカードの平均保有枚数

2017年11月に発表した「一般社団法人日本クレジット協会」の調査結果によると、2017年3月末時点におけるクレジットカード発行枚数は2億7,201万枚、1人あたりの平均保有枚数は2.6枚(成人人口比)です。なお、前年の同時期の調査では保有枚数の平均は2.5枚でした。

平均保有枚数となるので1枚だけの方もいますし、10枚以上のクレジットカードを持っている人もいることでしょう。しかし、この調査結果からすると複数枚持つのが当たり前であることが伝わってきます。

適正保有枚数はライフスタイル次第

正直なところ、クレジットカードの適正保有枚数は持つ人のライフスタイルによって大きく異なります。

たとえば携帯電話の支払いのみでクレジットカードを使わない方が複数枚持っても意味はありませんし、海外によく行く方が1枚しか持っていないのも不便に関してしまうことでしょう。

要するに「人それぞれ」なのが実際のところなので、クレジットカードを何枚持つのが正しいという絶対的な答えはないのです。

クレジットカードを複数枚保有する際のメリット・デメリット

利用目的によって特色の異なるクレジットカードは、複数枚保有することでメリットもあればデメリットもあります。それらを十分に理解したうえで、複数枚を上手に活用できるようにしましょう。

こちらではメリットとデメリットに分けて、詳しくまとめています。

複数枚保有する際のメリット

それでは、クレジットカードを複数枚保有する際のメリットについてから解説していきます。

付帯サービスの充実度がより高くなる

複数枚のクレジットカードを保有すれば、会員向けのお得なサービスをより受けられるようになります。

クレジットカードにはカード会社独自のサービスがありますが、その内容はグレードもジャンルもさまざまです。

・空港ラウンジの無料利用
・優待価格でレストラン利用
・ロードサービスの優待
・割引価格にて映画鑑賞

1枚で自分のニーズに合う特典がそろっていれば良いのですが、やはり内容が限られてしまいます。

1枚のクレジットカードにこだわるのではなく、サービス目当てに複数枚保有した方が利用の幅が大きく広がるということです。

海外で利用する際も安心できる

海外では国や地域によって、特定の国際ブランドが使えないケースがあります。

国際ブランドとはクレジットカード券面の右下に記載されたマークで確認できますが、以下の5ブランドが代表的なものです。

・VISA
・MasterCard
・American Express(アメリカン・エキスプレス)
・JCB
・Diners Club(ダイナースクラブ)

アメリカン・エキスプレスやダイナースクラブの場合、一部の先進国やアメリカ国内では利用できるお店が多いですが、他の国や地域に行くと対応していないことも多くあります。それならば、シェアが世界一のVISAを選んでおくのが王道ですが、場所によってはVISAが使えないこともあります。

そこで他の国際ブランドのクレジットカードを複数枚持っていれば、いざという場合に使い分けが叶うので便利です。第一にVISA、次にヨーロッパ圏で強いMaster Card、そしてJCBなどで組わせるのが理想的でしょう。

行く国によって持っておきたい国際ブランドがある

国によって、独自の国際ブランドの発展が目立つケースがあります。代表的なのが、中国の「銀聯カード」とアメリカの「ディスカバー」の2つです。

ディスカバーは日本で発行するのは不可能ですが、銀聯カードは国内で発行ができます。特に中国国内で銀聯カードは必携アイテムとされるほどで、場所によっては銀聯カードしか使えないことも珍しくありません。

複数枚保有する際に、3~4枚目は1枚目や2枚目とは異なる国際ブランドを選んでおけば、利用できるお店やサービスの幅は一気に広がりますよ。

海外旅行保険の充実化

クレジットカードに付帯する海外旅行保険は「疾病・傷害死亡」などの補償を除いて、補償額の合算が可能です。

その他にも自動付帯と利用付帯のカードを上手に組み合わせれば、長期の海外旅行時にも補償が適用されます。

クレジットカード付帯の海外旅行傷害保険は保険期間が90日間となり、海外に長期滞在する場合は別途異なる保険に加入しなければなりません。しかし、海外旅行傷害保険が利用付帯されるクレジットカードを複数枚保有していれば、保険期間を延ばせます。

それぞれに付帯する海外旅行傷害保険をずらして発生させることで、保険期間が90日以上に延長できる仕組みです。

トラブル回避に有効

なんらかのトラブルが起きてクレジットカードが使えなくなった場合、複数枚保有していれば困ることがありません。

もしも保有するクレジットカードが1枚しかなければ再発行などの手続きをおこなうのに時間がかかりますし、その間は現金で対応するようになります。特に現金をあまり持ち歩かない海外では、急にクレジットカードが使えなくなってしまっては行動面に制限が出て困ることになるでしょう。

いざというときの「保険」という意味合いも含めて、クレジットカードを最低でも2枚は持っていれば心強くなります。A社のクレジットカードが使えなければ、B社のクレジットカードを使って対応することが叶うわけです。

クレジットカードがいきなり使えなくなる原因

クレジットカードがいきなり使えなくなる原因は以下のようなことが考えられます。

・カードの劣化による磁気不良
・利用限度額のオーバー
・カード不正使用検知システムの作動

「カード不正使用検知システム」とは、カード会社のセキュリティ機能です。通常と異なる利用パターンを感知することで、クレジットカードの利用が自動的にストップします。

複数枚保有する際のデメリット

複数枚保有することには多くのメリットがあることがわかりましたが、デメリットも当然のごとく存在します。

クレジットカードの管理が複雑になる

クレジットカードを複数枚持つことで管理が複雑になるデメリットがあります。

締め日に利用代金の引き落とし日をはじめ、利用限度額もカードごとにもバラバラです。特に利用頻度が低めのサブカードなどは引き落とし日をうっかり忘れてしまうことがありがちでしょう。

その結果、残高不足でカードの利用代金を引き落とせなかったなんてことになったら大変です。延滞することで、クレジットカードの利用自体を止められてしまうことにもなりかねません。

その他にもクレジットカードを複数枚保有する場合、すべてのカードを財布に入れて持ち歩かないことがあるかもしれません。そうなると自宅で保管することが多くなり、「どこに置いたのか忘れた」となったり、盗難や紛失にあったりしても気づかない可能性も高まります。

年会費の負担

クレジットカードを保有する枚数ぶんだけ、年会費がかかることもデメリットです。

クレジットカードの年会費は有料のものもあれば無料のものもあります。1枚ごとの年会費は少額だったとしても、複数枚になれば想像以上に大きな出費となることが考えられるでしょう。また、どのクレジットカードがどれだけの年会費なのかを把握できなくなる可能性もあります。

回避策として、年会費無料のタイプを選んでおくのがおすすめです。管理も比較的楽になりますし、金額面を気にすることがなくなります。

暗証番号を忘れやすくなる

クレジットカードにはそれぞれに暗証番号があります。複数枚保有していると、クレジットカードごとに何番を設定したのかを忘れるリスクがあるでしょう。

「すべての暗証番号を同じにすれば良いのでは」という考え方はNGです。なぜなら、セキュリティ面が弱くなってしまうことになり、トラブルにつながる可能性が出てきます。

利用限度額の増額が困難になる

次にデメリットになるのが利用限度額の増額の問題です。

クレジットカードは後払い方式となり、カード会社にお金を一時的に立て替えてもらうことで成り立っています。その金額の上限が利用限度額ですが、基本的に保有者の支払い能力で確定するものです。

そのため、利用限度額総額は保有枚数が何枚であっても一定となり、枚数が多くなれば1枚目以上に利用限度額が減る可能性が高いでしょう。

同様の理由で保有するクレジットカードの増額も困難になります。もしも、メインとなる1枚目のクレジットカードの利用限度額を増額したいと考えているのでしたら、数多く持たない方が良いかもしれません。

クレジットカードを複数枚保有する際のポイントと審査時の注意点

こちらでは、クレジットカードを複数枚保有する際のポイントと審査時の注意点をまとめています。

支払い能力があればクレジットカードは何枚でも持てる

クレジットカードは支払い能力に問題がないと判断されれば、5枚でも10枚でも保有できます。

審査を受ける際に重要なのは本人が利用した金額を支払えるかどうかの問題なので、カード枚数が多くても審査に悪い影響は出ません。

借入れがあると審査落ちすると思う方もいますが、それは金額しだいです。クレジットカードの利用残高があったりローンを返済していたりしても、収入とのバランスが崩れていなければ審査に問題はありません。

無職でも収入があればクレジットカードを複数枚持つことが可能

個人の支払い能力は年収がすべてではありません。たとえ仕事で得られる収入が少なくても、2枚目以降の審査通過は可能です。

無職の方でも以下のような状況であれば、クレジットカードを持てます。

・同居家族が安定した収入のある仕事をしている
・年金を貰っている
・不動産収入がある
・預貯金が多くある

この他にも独身か既婚か、住まいは借家か持家かなども関わってきます。なぜなら同居の家族や住居の状況によって、経済状況も変わってくるからです。

カード会社はこれらの情報も参考にしたうえで、独自の判断基準で審査合否や限度額を決めます。

一度に複数のカードを申込まない

まず、一度に複数のカードを申込むことをしてはいけません。同時期に複数のクレジットカードへ申し込むことで「申し込みブラック(多重申込)」という状態になってしまいます。

申し込みブラックはブラックリスト入りと同じ扱いとなり、短期間に複数枚のクレジットカードやカードローン会社(消費者金融会社)などに申し込むことです。

短期間で複数の申し込みがある情報は、自己破産のよう事故情報とは異なります。しかし、複数枚のクレジットカードやローンへ申し込むことで「たくさんのお金を必要とする人物」「お金に困っている」「計画的破産を検討している」などとカード会社に疑いをかけられてしまうでしょう。

そして、カード会社が返済能力なども考慮し、申し込みブラックと判断されて審査通過の可能性が一気に低くなります。

申し込みブラックになる目安枚数と期間

それでは何枚以上の同時申し込みにて、申し込みブラックと判断されるのでしょう。この基準はカード会社によって異なりますが、短期間内に3枚以上の申し込みで危険と判断されるのが一般的です。また、この短期間とは1~2か月になります。

要するに1~2か月の間に3枚以上のクレジットカードに申し込んだ状態が審査通過は困難と想定されますが、申し込み情報は6ヵ月が過ぎた後に自動消去されます。

申し込みブラックの対処方法

申し込み情報は6ヵ月過ぎた後に消えますが、いつ・どのタイミングになるのかは連絡があるわけでもないためわかりません。

自分は申し込みブラックなのかもしれないと思ったら、個人信用情報機関へ情報開示の請求をおこなうのがおすすめです。そして、情報が消えるのを確認できるまでの間はクレジットカードやローンに申し込むのは避けると良いでしょう。

また、申し込みブラックではないのに希望のカードに審査落ちした場合、審査基準がどうなっているのかを再確認してください。

1枚目のクレジットカードのクレヒスは良好な状態にする

2枚目以降のクレジットカードの審査に影響するのが、1枚目のクレジットカードのクレジットヒストリー(クレヒス)です。

クレジットカードの審査時に支払い能力と同様に大切なのがクレヒスになるため、1枚目のクレジットカードで延滞や滞納を起こしていると審査通過とならない可能性が高まります。

良好なクレヒスとは、クレジットカードをこつこつと利用して返済をしっかりとすることです。しかし、延滞がない=クレヒスが良好とはなりません。カードを持っていても全然使わなければ利用実績にはならないため、たくさん使って支払うことが重要となります。

2枚目以降のクレジットカードを検討する前に、1枚目のクレジットカードのクレヒスを積んでおくようにしてください。

キャッシング機能に申し込まない

クレジットカードを複数枚保有したいのであれば、キャッシング機能を申し込まないようにしてください。キャッシングには貸金業法が関わるため、審査通過が困難になりやすくなるからです。

貸金業法には一定以上の借入れが禁止となる「総量規制」というルールがあります。

・年収の1/3以上を貸してはいけない貸金業法上の規制
・ショッピング枠はこの規制と関係なし

クレジットカードを複数枚保有する場合、キャッシング利用枠は合計で計算されます。年収200万円の方であれば、キャッシング利用枠30万円のカードが2枚あれば上限です。

ただし、キャッシング機能はなかったとしても、ショッピング利用枠が作れればクレジットカードは発行されます。

余裕のない利用はNG

毎月、利用限度額ぎりぎり利用しているようでは審査が不利になりやすいです。

それが頻繁でなければ特に問題はありませんが、そのような状況が毎月続くことで「お金に困っている」と判断されるのは仕方がないことです。また、ショッピング利用の支払いをキャッシングで対応しているのでは?などの疑問をカード会社に持たれることになりかねません。

さらにリボルビング払いの利用が多いのも審査時に問題です。リボルビング払いは返済が長期間となりますし、金利の負担も大きいことをカード会社は把握しています。

リボルビング払いの返済がいつ終わるのかわからない場合、審査通過はより厳しくなります。支払い方法は一括払いを基本となるように、日頃から心がけておくと良いでしょう。

まとめ

クレジットカードの複数枚保有することにはメリットもデメリットもありますが、上手に活用することで生活の中で大きく役立てることができます。

海外での利用範囲も広がりますし、クレジットカードに付帯するサービスや利用特典も複数枚保有することで充実度が増しますし、保有するクレジットカードの中でトラブルがあった場合の回避策にも利用できるでしょう。

確かに管理の面や年会費の面で負担になるポイントもありますが、保有する方の心がけや選ぶクレジットカードしだいでデメリットにならないこともあります。

審査時に注意したいポイントなどを十分にチェックしておけば複数枚保有するのは比較的簡単なので、ぜひ2枚目、3枚目とクレジットカードの作成をしてみてください。

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