【軽減税率】包装や容器は対象となる?飲食料品以外で軽減税率の対象となるものを解説

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いよいよ軽減税率の実施が始まります。小売り・飲食関連の経営者の方々は対象となる飲食料品について、詳しく調べている最中だと思います。

そこで、飲食料品以外のものでも、軽減税率が適用される場合はあるのかどうか気になる人も多いのではないでしょうか。

飲食料品を販売するにあたっては、包装したり容器に入れたりすることが欠かせません。
比較的安価なものであっても、ほとんどの場合飲食料品以外の備品が必要になります。特に高級な商品になればそれなりに高級な入れ物を用意しなければなりません。

また、飲食料品には軽減税率の対象とならない商品とセットにして販売されるものもあります。これらの品目はどのような税率が適用されるのでしょうか。

今回は包装や容器などの備品、その他飲食料品以外でも軽減税率が適用される場合について解説していきます。

軽減税率の対象

まずは、最初に軽減税率の対象になるものについて改めて見ておきましょう。

軽減税率の対象となるのは、

  1. 外食・ケータリング以外の酒類を除いた飲食料品
  2. 定期購読の新聞

の2種類になります。

対象となる飲食料品

原則として、店内のイスやテーブルなどの設備を利用しない、外食やケータリング以外の飲食料品が軽減税率の対象となります。(酒類は対象外です)

  • コンビニやスーパー各種小売店で販売する飲食料品
  • デリバリーや持ち帰りで販売する飲食料品
  • 人の飲食用に販売されるもの
  • 飲食料品とは食品表示法に規定するすべてが対象となる
  • アルコール成分1%未満は飲料として対象になる
  • 医薬品・医薬部外品は対象外
  • 健康補助食品などは飲食料品に該当する
  • 飲食料品の提供ではなく讓渡であることが必要

などが大まかな内容です。

その商品や販売形態によっては、微妙なものも多数ありますので、その都度国税庁や軽減税関連の情報から確認していくことが大切です。

以下のサイトから微妙な飲食料品を軽減税率の対象かどうか調べることができます。ぜひ、利用してみて下さい。

また、軽減税率の対象となる飲食料品の区別方法など、こちらも参考にして下さい。

飲食料品以外の軽減税率

そこで、さらにチェックしておきたいのが、飲食料品以外のものでも軽減税率の対象となるものがあるということです。その商品の販売において分離することが不可能なもので、規定する条件に合えば飲食料品以外の品目を軽減税率8%が適用となります。

飲食料品以外で軽減税率の対象となるものには大きく2種類があります。

  1. 飲食料品と一緒に商品化されているその他の商品→一体資産
  2. 飲食料品の販売に必要な容器や包装などの資材→飲食料品の讓渡

それぞれどんなものを対象となるのかを解説致します。

一体資産とは

飲食料品以外の商品が一緒に箱詰めなどの商品となって販売されても、それはまとめて1つの商品として分類することができます。そのような異なる種類の商品を組み合わせたものを一体資産といいます。

例えば、飲食料品と食器が箱詰めになっていたり、お菓子におまけがついていたり、お花と食品がギフトセットになっていたりすると、その他の商品と飲食料品を切り離して販売することができません。

この場合は、要件を満たせばすべての商品を飲食料品として軽減税率の対象とすることができます。

一体資産の定義

まずは、この一体資産の税法上の定義を確認しておきたいと思います。

国税庁によると、

一体資産とは食品と食品以外の資産が一体として販売されるもの(あらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであって、その一の資産に係る価格のみが提示されているもの)は、要件を満たす場合、その全体が軽減税率の適用対象となります。

出典:国税庁 参考リンク

と以上のように定義されてあります。つまり、その他の商品がなければ1つの商品として成り立たないことを意味しています。もともとそれが一個の商品として一体になっていることが条件とされています。

では一体資産に分類できる要件をご紹介いたします。

一体資産の要件

以下の要件を満たした場合は、一体資産として軽減税率の対象とすることができます。

  1. 一体資産の讓渡の対価の額(価額)が1万円以下であること
  2. 一体資産の価額のうち食品の価額が占める割合が全体の3分の2以上であること

要件について詳しく解説していきます。

一体資産の讓渡の対価とは

ここでいう一体資産の讓渡の対価とは1個の商品の販売価格のことです。食品と食品以外のものを含めた全体の販売価格が1万円以下であれば、軽減税率8%を適用することができます。

なお、3個で1,000円などと購入者が商品を選んでセット売りにする場合は、一体資産とはみなされません。その場合、単なるセール品として税率を分ける必要があります。

食品の価額が占める割合とは

食品の価額が占める割合も1個の商品に対しての販売価格となります。100個まとめて取引きをしている場合などは、

100個の販売価格÷100=1個の販売価格

で計算します。その際に、食品の販売価格が全体の3分の2以上であれば軽減税率の対象になります。

酒類は軽減税率の対象外ですが、お酒とのセット販売にて食品の価格が3分2以上であれば、そのお酒も軽減税率の対象とすることが可能です。

飲食料品の資材

もう1つ、飲食料品以外のものが軽減税率の対象となる場合とは、食品などを販売する際に必要となる容器や包装などの資材です。これらの資材は飲食料品の讓渡に該当します。

※飲食料品の讓渡に該当する資材は、一体資産と呼ばれる場合もあります。

飲食料品の讓渡の規定

この飲食料品の讓渡とは、国税庁によると、

飲食料品の販売に際して使用される包装材料および容器(包装材料等)が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであれば、当該包装材料等も含め軽減税率の対象となる「飲食料品の讓渡」に該当する。

出典:国税庁 参考リンク

と以上のように規定されてあります。

例えば、

飲料を液体のまま販売することは不可能です。紙コップやペットボトル、缶やプラスチックの容器が必要ですよね。この場合、この容器がなければ商品として成り立たないことになり、容器も合わせて飲食料品の讓渡とすることができます。

この容器は食品ではありませんが飲食料品の一部と見なされ、軽減税率8%が適用されます。

箱入りの商品をギフト用に別途で包装した場合→その包装紙は商品への付加サービスとなり消費税10%です。

ギフト商品として包装・リボン付きで1個の商品として販売する場合→商品の讓渡にあたって必要な包装材料等となり軽減税率8%になります。

飲食料品以外で対象となるもの

以上ご説明したように、一体資産飲食料品の讓渡に該当するものが存在することによって、思いがけない商品が軽減税率の対象となる場合もあり得ます。うちは飲食料品は取り扱わないから、軽減税率は全く関係ないとは言えないかもしれないのです。

それでは実際に、飲食料品以外で軽減税率の対象となるものには、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

よくありがちな商品を例に挙げていきましょう。

飲料品の容器

先述のように、容器と飲食料品を100%切り離せない代表的な商品が飲料になります。

スターバックやコーヒーショップでコーヒーを購入した時には紙やプラスチックの容器に飲料を入れて渡されますよね。これは飲料品の一部として容器・飲料ともに軽減税率の対象となります。

他にもお味噌汁やスープなど容器も軽減税率の対象となります。

しかし、これらの商品を入れる紙袋やレジ袋は対象外となり、消費税10%がかかります。

高価な容器

桐の箱や陶器、ガラスなど高価な容器が使われており、その容器が商品としての価値もある場合には一体資産に分類することができます。この場合、消費税は軽減税率の8%です。

ただし、食品の価格が全体の3分2以上であることが要件となるので、高級なものは注意が必要です。

食品を入れたトレイ

スーパーでは、精肉やカット野菜などがプラスチックのトレイに入ってラッピングされています。その包装されたものが商品として一体になっています。

この場合は一体資産として、トレイやラップを軽減税率の対象とすることができます。

しかし、青果店などでジャガイモや果物など包装なしで販売している場合には、包装用の資材は別途扱いとなり、消費税10%が課税されます。

箱入りの商品

箱の中に商品が入った状態で販売されてある飲食料品の場合、この箱は一体資産として扱うことができます。要件をクリアしていれば軽減税率8%にてこの箱を仕入れることが可能です。

もし、その箱入り商品を別の包装紙で会計時に包装する場合、この包装紙は軽減税率の対象外となり消費税10%がかかります。

バラの商品を購入者が好きなように箱に詰め合わせる場合も、この箱と食品は別の商品として取り扱いそれぞれの税率を適用する必要があります。

組み合わせ商品

お中元やお歳暮用のギフト用の詰め合わせで多いのが、食品とその他の商品を組み合わせたものです。

例えば、

  • ゼリーやプリンとハンカチやハンドタオルのセット
  • ティーパックとティーカップ、スプーンなど
  • 詰め合わせセットに食器のプレゼント

などは一体資産として軽減税率の対象となります。(要件を満たした場合)

おまけ付きの商品

仕入れたキャラメルやチョコレート、または自社で製造販売するお菓子類におまけを付けて販売する場合があります。また、仕入れた商品にもともとおまけが付いている場合もあります。

このようにおまけ付で販売される商品は一体資産となり、軽減税率の対象となります。(要件を満たした場合)

お酒とセットの商品

お持ち帰りやデリバリーのお店でも、メニューによってはアルコール飲料をつけてセットにして出される場合があります。また、詰め合わせセットでもアルコール飲料がその他の食品と一緒になっている場合があります。

その他の食品とセットにして販売されるアルコール飲料は一体資産として軽減税率の対象とすることが可能です。

デリバリーや持ち帰り用の容器

食品をデリバリーや持ち帰りのために箱や容器に入れる場合は、これらの容器も軽減税8%として見なされます。つまり容器に入れないと販売することができないからです。

ただし、その容器を入れるレジ袋や紙袋などは別途で消費税10%です。

串焼きの串

焼き鳥や、りんごあめ、綿菓子、タコ焼き、バーベキュー用の食材などに使われる串も食品と切り離すことができません。

これらに使われる串や割りばしなども飲食料品の讓渡の1部として、軽減税率の対象となります。

仕入れの際には消費税10%

仕入れの際には一体資産や飲食料品の讓渡となる商品でも基本的に軽減税率の対象外となり、消費税10%が課税されます。仕入れの段階で、すでに飲食料品として1つの商品になっていれば軽減税率が適用されます。

税率10%の商品を税率8%で販売すれば、損するのではないかと思ってしまう人も多いでしょう。

しかし、実際には損益計算は原則として税別で行われるので売上げには影響しません。そして納税する消費税の計算は、売上げの消費税から仕入れの消費税を差し引いた金額が課税対象となります。

詳しくは、以下のサイトからご確認頂けます。

お弁当やお惣菜の備品

それでは、上記でご説明したものの中で、飲食料品の讓渡に該当する品目が多いと思われる商品に、お弁当やお惣菜があります。

お弁当やお惣菜は容器なしに販売することができません。お弁当には、実は軽減税率の対象となる備品が多く含まれています。軽減税率にできるお弁当の備品を見ていきましょう。

お弁当やお惣菜を扱わない方でも、税率を分類する基準として参考にすることができます。

出典:割烹しげよし

容器・フタ

お弁当の場合、まず容器やフタが必要です。一般的にはプラスチック製の容器が使われています。中には竹などの植物素材を使った容器、高価な容器もあります。これらは飲食料品の讓渡や一体資産として軽減税率の対象になります。

また商品として販売する際に、フタの固定で使う輪ゴムやセロテープ、装飾用のリボンやシールなどもその商品に必要な備品あれば軽減税率です。

仕切りや小分けカップ

お弁当の盛り付けに使われる、バレンやアルミやプラスチック、紙でできた小分けカップも食品の讓渡に該当し、軽減税率とすることができます。また、高額のお弁当になると、本物の植物の葉やお花、木の実などが装飾に使われることもあります。

これらも飲食料品の讓渡に該当するものとして、軽減税率の対象となります。

外装フィルム

また、お弁当ではフタに食品がつかないように外装フィルムが敷いてある場合があります。この外装フィルムや最終的にラップで巻いて販売する場合はラップも含めて飲食料品の讓渡の扱いになります。

その他の備品

他にも爪楊枝やお手拭き、お箸など様々な備品がお弁当には付帯して販売されています。もともとその備品が一個の商品として確立されている場合は軽減税率です。

別途で付けたり付けなかったりと異なる場合、その備品なしでも販売できる場合にはそれらは消費税10%です。

※もし、特別に包装やお手拭きなどの備品を追加料金として、商品の代金とは別で課金する場合には、消費10%の課税対象となります。

洋菓子や和菓子の備品

それでは、もう1つの例として洋菓子や飲料物の備品を見ておきましょう。

洋菓子を持ち帰りで販売した場合には軽減税率8%の適用となりますが、洋菓子の中にも様々な備品が含まれています。飲食料品以外の包装や容器などの備品は、販売する際には一体資産や飲食料品の讓渡に該当します。

アルミや紙の下敷き

アルミ箔、金箔、紙皿、カップ、シートなど洋菓子や和菓子の下敷きに使う包装材料がありますよね。これらも販売する上では飲食料品の讓渡に該当するため、軽減税率8%となります。

ガラスや陶器などの容器

プリンや水羊かん、ムースやみつ豆など洋菓子や和菓子には容器が欠かせないものが多くあります。時にはガラスや陶器などの特殊な容器が使われることもあります。

洋菓子や和菓子で使用される容器は、それが通常必要なものと判断できる場合には、その容器も含めて食品に該当し軽減税率8%の対象とできます。

その容器に商品として価値がある場合には、一体資産となりますので、要件を満たす必要があります。容器の価格の比率が高くなる場合には商品全体が消費税10%となります。

装飾用の備品

お菓子類ではお中元やお歳暮、クリスマス、バースディプレゼントなど特別な機会に渡すギフト用として装飾が施されてあるものも多くなります。

もともと商品の一部として装飾用にリボンや花や木の実などを使用する場合は、飲食料品の讓渡に該当し税率8%となります。

特別注文などで別途で装飾を施す場合は追加料金に消費税10%がつきます。

紙袋や箱

個別の商品をまとめる紙袋や箱は、軽減税率の対象にはなりません。

箱詰めで1つの商品として売る場合の箱は軽減税率の対象となりますが、購入者が好きなものを個別で選んでまとめる箱は別途で消費税10%で計上します。

さらに紙袋やレジ袋などを使用する場合は、消費税10%です。

※複数税率に対応できるPOSレジやPOSシステムの導入に、国からの補助金支給があるのはご存知ですか?以下のサイトでは軽減税率対策補助金が支給されるPOSレジ・システムに関する記事がご覧いただけます。

ぜひ、今後の参考にして下さい。

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

飲食料品とは全く関係ない商品でも、軽減税率8%のものが1つの商品に入り混じっていることがわかりました。

販売する側から考えれば、税率は低い方がもちろん顧客の獲得につながります。軽減税率が適用できるのはお店の利点となり、納税額も少なくなります。

さらに、10%の税率にて売れにくい商品を8%の食品類とセット料金にして、売上向上につなげることも可能です。

そして、経営者は同時に仕入れなどを行う購入者でもあります。

何をいくらで仕入れて、消費税はいくらなのか

販売価格はいくらで、消費税はいくらなのか

そして、納税額はいくらで、最終的に純利益はいくらなのか・・・

など増税後しばらくは、頭を悩ませてしまう人も多いでしょう。実際には、完全に税率を区分する基準が曖昧なものもあり、判断が難しい商品がたくさんあります。それぞれの解釈次第で税率が変わっていくともいえます。

おそらく今後どのように区分基準を明確に設けていくのかが課題となるでしょう。

このような複数税率に対して、批判的な声も少なくありませんが、実施が決まった以上はそれを上手に活用していく以外にありません。軽減税率の税率分を控除しなければ、そのまますべての商品が消費税10%と見なされてしまいます。

ただ、それが分かっていても、あまりにも多くの時間や労力を税率の計算だけに使うわけにいかないのが現状です。そこで、自動税率計算が可能なPOSレジやPOSシステムを、補助金を得て導入するのも1つの方法となります。

仕入れ、売上げ、税率、節税対策など様々な視点から、バランスのとれた経営ができるよう今回の記事をぜひお役立て下さい。

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