クラウドファンディング(アニメ)成功事例・失敗事例|アニメ制作で人気を得るには?

今回は、クラウドファンディングの中でもアニメプロジェクトで成功した事例、失敗した事例を探っていきます。成功プロジェクト・失敗プロジェクトの特徴を探っていけば、今後プロジェクトを起こした時の成功のヒントになるはずです。

クラウドファンディングのアニメプロジェクト成功事例

クラウドファンディングで出資を募る、アニメ関連の成功プロジェクトを紹介していきましょう。アニメ分野は日本を含め海外でも人気を集めており、プロジェクトが成功する可能性も高いと言えます。

では、アニメプロジェクトを立ち上げる際、どのような点に注意して、どのようにプロモーションすれば良いのでしょうか。成功プロジェクトをいくつか紹介し、そのコツを探っていきましょう。

Dies irae アニメ化プロジェクト

「Dies irae」はWindows用のゲームソフトとして制作されました。ゲームソフトは約10年前に発売されましたが、当初より人気が高く、多くのファンを集めるなど注目されていました。そんな人気の高まりから、「Dies irae」をアニメ化するプロジェクトがスタート。クラウドファンディングにて資金を集めることにします。

「Dies irae」がクラウドファンディングで資金調達しようと思った理由は、ゲームからアニメへと転身することが果たして成功するのか、ユーザーニーズを確認するためです。事実、ゲームからアニメ化する例はたくさんありますが、必ずしも成功しているわけではありません。

そこで、独自にプロジェクトを組み、主にゲームファン向けに開発資金の調達を呼びかけました。その後、「Dies irae」のファンを中心に順調に資金を調達し、わずか4日間で目標額を達成。最終的には1億円の出資額を集めるなど、巨大プロジェクトへと発展しました。

「Dies irae」が実施したのは、購入型クラウドファンディングです。購入型は、出資してくれた見返りに、商品やサービスの利用権を与えるというものです。「Dies irae」の場合は、リターンとして、イラスト入りTシャツ、完成されたアニメの台本など、価値が高く、独創性の高い見返りが用意されていました。「Dies irae」に人気が集まったのも、こうした手厚いリターンが関係しています。

『おなら吾郎』応援プロジェクト~谷口崇監督オリジナル作品初のTVアニメ化を目指す

「おなら吾郎」という少しふざけた名称ですが、発案者は、国内外のアニメコンペで数々の賞を受賞した谷口崇監督です。谷口崇監督は自身のWebサイト上で複数のアニメを配信しており、「おなら吾郎」や「おしり前マン」などユニークで爆笑必須のギャグマンガが特徴です。

「おなら吾郎」も、おならの中では最もえらいとされるおなら吾郎と、少しドジな少年ドジ夫くんのドタバタ活劇をテーマにしています。利用したのは、購入型クラウドファンディングの「Makuake(マクアケ)」で、目標額は150万円でした。

リターンとしてはおなら吾郎のサポーターグッズ(Tシャツ、缶バッジ等)、TVアニメ化時にエンドロールに出資者の名前をクレジットするなどの特典が用意されました。作品の独特なタッチや、元お笑い芸人でギャグセンスの高いことなどから、プロジェクトは大変な人気を集めます。あっという間に目標額150万円をクリアすることになりました。

片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援

「この世界の片隅に」は、もともと漫画作品で「漫画アクション」で2007年から2年間連載されていました。その後、2011年にドラマ化が決定し、大きな反響を呼びました。舞台となっている広島では、この作品のアニメ化を望む声が多く、監督である片淵須直さん自身も、アニメ化の制作に携わることを懇願していました。しかし、アニメ化には莫大な製作費が必要なため、資金調達の目途が立ちません。

そこで、「Makuake(マクアケ)」を利用して、アニメ化のプロジェクトを立ち上げることに。当初は2,000万円の目標額を設定していましたが、最終的に集まったお金は3,900万円を超えます。当時のクラウドファンディングでは史上最高額となる数字です。

こうして、「この世界の片隅に」のプロジェクトは成功し、全国63の映画館で公開が決定します。その後、アニメ化が話題を呼び、公開した2016年の暮れには200か所の映画館で上映されることになりました。

上映は海外でも行われ、ミニシアター系映画としては異例ともいえる大ヒットを記録します。最終的な興行収入は26.7億円で、ブルーリボン賞など、数々の賞を総なめしました。

【ゆるゆり10周年記念】OVA「ゆるゆり、」盛り上げプロジェクト!

「ゆるゆり」は「コミック百合姫S」から「コミック百合姫」へ移籍し、2008年から連載をスタートした、スクール系恋愛漫画です。連載10周年を記念し、「ゆるゆり、(てん)」の支援プロジェクトが「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」にて開催されました。

プロジェクトがスタートしてから、わずか90秒で目標金額の1,000万円を達成。最終的には5,400万円を超える資金を調達するなど、大変な人気が伺えます。

このプロジェクトのリターンは、「ゆるゆり」の限定アイテムとして、OVA本編ブルーレイディスク、新OP・ED収録の特製CD、イベント参加チケットなど豪華な顔ぶれとなりました。また、原作者であるなもり先生描き下ろしのサイン色紙は、わずかな時間で定員の10人に到達。他のリターンも数々と売り切れ続出するなど、プロジェクトは大成功を収めています。

クラウドファンディングのアニメプロジェクト失敗事例

クラウドファンディングのアニメプロジェクトの成功例をお伝えしましたが、アニメは発案者の数も多く、中には資金を集められずに失敗する事例も見つかります。

ここでは、アニメプロジェクトで失敗したケースをお伝えしていきましょう。

錦織博監督「CHIKA☆CHIKA IDOL」CGアニメ化を応援!

「CHIKA☆CHIKA IDOL」は、地下アイドルの少女たちが主人公のサクセスストーリーです。アニメ化のため、日米で3,000万年の資金調達を実施、日本では「Makuake(マクアケ)」を利用して1,500万円を目指しました。

しかし、実際にマクアケで集まったのは541万円と目標に届かず頓挫してしまいます。最終的には、日米を合わせ790万円の資金を集めましたが、目標の4分の1程度にしか届きませんでした。

ただ、プロジェクト自体を諦めたわけではなく、第2回クラウドファンディング計画を立ち上げているようです。日本・海外ともに人気ジャンルであるアニメだからといって、必ずしも成功するわけではないことが分かります。

自主制作系のアニメは支援者を募るのが難しい

クラウドファンディングでは、有名な作家や監督以外にも、個人でアニメを自己制作し、その開発資金を調達することも可能です。しかし、プロジェクトは目標金額まで達しないと成功ではなく、支援者に返金という形で失敗することになります。特に、まだ名もないアニメーターやクリエイターなど、自主制作系のプロジェクトは思うように資金が集まらないことも多いです。

「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」でもアニメプロジェクトとして自主制作系が多くアップされていますが、目標金額に届かず、そのまま失敗に終わることも。

上記は目標金額570万円で、最終的には8万5,000円しか支援金が集まらず募集も終了しました。

プロジェクトの詳細は以下の通りです。

ちまよって23分の自主制作アニメを作ろうとあがいています。バックトゥザフューチャーという映画で主人公の親父が敵役の男に「大丈夫ですかーッ」って頭をコンコン叩かれてるシーンがあるんですがまあそんな感じです。(中略)……私はアニメーターではありません。アニメの演出経験もありません。そんな人間がアニメを作りたいなんて言っても普通は冗談だと思われて終わりです。なので1分40秒のプロローグを作りました。……1分40秒作るのにだいたい1ヶ月半かかりました。なのであと22か月で完成できます。

【参考:キャンプファイヤー(自主制作で23分の短編アニメを作りたい)

詳細情報には予算シミュレーションや目標設定、リターンについても正確に記載されており、本人の熱意も伝わってきます。それでもプロジェクトが失敗してしまうことに、自主制作系の難しさが垣間見えます。

成功・失敗から分かるアニメ制作を成功させるコツ

ここまでアニメジャンルのクラウドファンディングの成功事例・失敗事例をお伝えしてきました。各事例では、アニメのクラウドファンディングで成功に結び付きそうなコツやヒントが浮かび上がりました。

まず、失敗事例では、目標金額があまりにも高めに設定されていることが目立ちました。アニメの制作にお金が必要なのは当然ですが、目標金額に届かずにプロジェクトが終了してしまっては元も子もありません。

そして、成功事例からはリターンの手厚い特徴が分かります。成功したプロジェクトの多くが、支援者に対して限定グッズやエンドロールのクレジットなどを用意しています。

では、これらのヒントを参考に、今度はアニメプロジェクトを成功させるコツを探っていきましょう。

支援者が納得できる資金調達額を設定

先ほど紹介した「CHIKA☆CHIKA IDOL」は、日米のクラウドファンディングで目標額を3,000万円に設定しています。一方、あれだけ人気を集めた「この世界の片隅に」でも目標金額は2,000万円です。「この世界の片隅に」は、漫画からスタートし、ドラマ化を経て、アニメ化を希望する様々な意見があって立ち上がったプロジェクトです。最終的には、3,900万円の資金調達に成功しますが、監督の片淵須直さんは、かなり慎重に値段を設定していたことが分かります。

目標金額2,000万円に対して、映画の入場券は大人1人で1,800円です。仮に、支援者1人につき2,000円の出資を行ってくれれば、1万人の支援者で目標を達成できます。しかし、当時のマクアケには大型プロジェクトが少なく、担当者には「500万円にしてはどうか」とさえ言われていました。

しかし、片淵須直監督は2,000万円という価格で強行します。しかし、支援者が本当に1万人も集まるものなのでしょうか。

そこで2,000円以上の支援者を募るため、リターンに複数の限定品を用意しました。支援額2,000円、5,000円、1万円と、支援額が増える人ほど豪華な限定品がもらえる仕組みです。その結果、もともと1万円の支援者は100人程度と考えていたところに、2,000人を超える高額支援者が現れました。

片淵須直監督いわく、映画を作成する場合は少なくても数億円の資金が必要のようです。しかし、クラウドファンディングでは良くて数千万円単位しか集まらないので、映画化は非常に難しいということです。

しかし、あえて製作費以下の2,000万円という設定額を付けた理由は、支援者に対して裏切りや期待外れがあってはいけないという想いからでした。プロジェクト発案者の中には、製作費以上の目標額を設定することもありますが、それではクラウドファンディングの意義がないと言います。「クラウドファンディングはあくまで足りない資金を補うためにあるもの。余ったお金をもらってしまうことはあり得ない」と話します。

【参考:ITmedia(「この世界の片隅に」大ヒットでも……クラウドファンディングによる映画制作が「とてつもなく難しい」理由)】

こうした支援者のことをしっかりと考えたプロジェクトほど、人は「観たい」と思うものなのでしょう。クラウドファンディングの意義をしっかりと理解し、目標金額を高めに設定しないように気を付けましょう。

支援者に手厚いリターンを用意する

「この世界の片隅に」の片淵須直監督は、支援者のリターンに以下の4つを用意しました。

  1. 制作の進ちょくを伝えるメールが届く「制作支援メンバー会員」になる
  2. こうの史代さん描きおろしイラストつきの「すずさんから手紙」が届く
  3. 片渕須直監督を囲むミーティングに参加できる
  4. 本編のエンドロールに名前をクレジットする

そして、それぞれ支援額によって差をつけ、

  • 支援額2,000円:(1)と(2)が受け取れる
  • 支援額5,000円:(1)と(2)と(3)が受け取れる
  • 支援額11,000円:全て受け取れる

と工夫を凝らしたと言います。完成した映画のエンドロールには2,000人もの名前が載ることとなり、映画は大盛況。クラウドファンディングでも過去最高額の調達額を達成しました。

支援者に用意するリターンはあまりケチらないことが、成功するプロジェクトの特徴です。他にも、「ゆるゆり」は、限定アイテムとして、OVA本編ブルーレイディスク、新OP・ED収録の特製CD、イベント参加チケットなどを配っています。

また、こうしたリターンは希少性が生まれます。お金を払ってでも手に入れたい、とファンに思われることが大切です。

アニメ関連におすすめのクラウドファンディングサイト

アニメジャンルを扱うクラウドファンディングサイトは多いですが、ここからはおすすめのサービスサイトを紹介していきます。

CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

キャンプファイヤーは720,000人の出資者が集まる、日本で最大級のクラウドファンディングサービスです。これまでに取引されたプロジェクトは15,000件以上にも上り、累計出資額は71億円を超えます。

成功事例で紹介した「ゆるゆり」など、ほんの数分で目標額に到達したアニメプロジェクトも多く、キャンプファイヤーではとにかく支援者の目に触れる機会が多くなる特徴があります。

Makuake(マクアケ)

マクアケも当記事で何度も名前が挙がりました。「おなら吾郎」や「この世界の片隅に」など、今回紹介した成功事例の多くがマクアケを利用していました。

マクアケを運営するのは、アメブロなどで有名なサイバーエージェントです。ブログやSNS、新聞やネットメディアなど、広範囲に情報を発信できるネットワークを持ち、プロジェクトを拡散する力は日本一と言っても過言ではありません。

アニメ関連のクラウドファンディングまとめ

今回は、アニメ関連のクラウドファンディングについて紹介してきました。

過去に成功したアニメプロジェクトは、「この世界の片隅に」や「ゆるゆり」など、短時間で数千万単位の資金調達に成功しています。しかし、反対に失敗するプロジェクトもあり、そうした事例から成功するコツを探ってきました。

アニメでは製作費が膨大な金額に上ることから、プロジェクト金額を高めに設定しがちです。しかし、クラウドファンディングはもともと足りない製作費や事業費などを調達する手段なので、支援金で利益や旨味を狙うなど、本来の目的外に目を向けるのはご法度です。

支援者に優しく、また手厚いリターンをもって迎えれば、多くの支援者を集めることもできるでしょう。

ゆきひろ
ゆきひろ
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クラウドワークス・自社メディアサイトを中心にフリーのWEBライターとして活動しています。ネット記事やブログなど、約1年6か月で3,000記事を超える実績があります。執筆ジャンルは仮想通貨をメインに、投資・資産運用、副業、貯金・貯蓄、タイム/マネーなど金融系が得意です。

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