フリーランスがクレジットカードを作るメリットとチェックとしたいポイント

収入が安定しない職業だから、クレジットカードの審査に通過できないと考えるフリーランスの方もいるのではないでしょうか。

カード会社は毎月の利用料金の未決済は避けたいので、支払い能力がなければ審査通過は難しいでしょう。しかし、フリーランスであることを理由にクレジットカードが発行されないのかと言えばそれは違います。

フリーランスの仕事をしている中で、クレジット決済が必要なシーンもあることでしょう。あるいは、クレジットカードを持っていなければ仕事にならないなどのことが出てくるかもしれません。

そうした理由から、フリーランスでも持てるクレジットカードも必然的に増えているのも確かです。なお、クレジットカードは個人向けと法人向けがあり、フリーランスの仕事で利用するのであれば法人カードが適しているでしょう。

当記事では、まずフリーランスがクレジットカードを持つことについて解説し、その後に法人カードを持つことで得られるメリットをまとめました。また、その他にも審査通過の確率を上げるための対策も伝えています。

記事を読むことでフリーランスがクレジットカードを取得できることを知り、申し込みもスムーズになるので、ぜひ最後までチェックしてください。

フリーランスでもクレジットカードの取得は可能

結論から言ってしまえば、フリーランスでもクレジットカードの取得は可能です。

あくまでもフリーランスという属性は審査時にチェックする項目にしかすぎません。単にフリーランスであることを理由に結果は左右されないことになります。

フリーランスについての認識

フリーランスとは特定の企業や団体、組織などに所属することなく個人で活動することを指します。職業よりも「働き方」についての言葉になるため「自営業」「個人事業主」という認識が一般的となるでしょう。

申し込みの際に職業を選択する欄で「自営業」「個人事業主」の他に「自由業」の選択肢があれば、その中のいずれかを選んでおけば基本的に問題はありません。

以下がフリーランスの中で典型的となり、かつ企業と雇用契約を結ばない立場が該当します。

・プログラマー
・グラフィックデザイナー
・コンサルタント
・カメラマン
・イベントプランナー
・作家
・通訳・翻訳家
・イラストレーター
・ジャーナリスト

カード会社によっては仕事の内容も記入する必要があるので、申し込むカードに合わせて対応してください。

フリーランスがクレジットカードを持てないとされる理由

フリーランスの方が一般的な会社員よりクレジットカードの審査に通過する可能性が低いとされる理由も気になるところではないでしょうか。

法人カードを持ちたいフリーランスの方は、改めて不利とされる理由が何なのかをチェックしておきましょう。

収入が不安定

法人カードの審査通過で不利になる理由として第一に考えられることが、収入の不安定さになります。

専門的な知識やスキルを習得し、実際に活かしているケースがほとんどですが、だからと言って仕事が長期的に継続する保証はないです。

仕事が多いときもあれば当然ながら少ないときもあるため、収入が月によって大幅に変動することも珍しくないでしょう。最悪の場合、仕事がまったくない月もあるくらいに先の収入の見通しが立たないことも出てきます。その他にも万が一の病気やケガの場合、企業のような有給休暇や病気欠席制度もありません。

クレジットカードの利用は借金と同じ扱いです。カード会社は上記の事情などから返済能力について不安になり、結果として審査で不利になってしまいます。

収入の証明が難しい

収入が不安定な点以外に、収入の証明が難しいことも審査通過が不利となる理由です。

カード会社によって決算書などの財務書類の提出を必要とする場合がありますが、それらを用意できない場合はすべて自己申告となります。

スコアリング形式の独自審査を導入しているクレジットカードなどは、現時点の支払い能力を考慮することから自己申告のみでも大丈夫な場合もあるでしょう。しかし、裏付けのための書類として、収入証明書(所得証明書や確定申告書)の提出が別途必要となるケースもあります。

給与明細書に源泉徴収票などの書類は企業に所属していないことから発行は不可能です。そのため、フリーランスの場合は自己申告した収入の信用性はどうしても低くなってしまいます。

延滞や滞納のリスク

継続的で安定した収入のある会社員と比較すると、フリーランスはどうしても延滞や滞納のリスクが高いと判断されがちです。

前にも説明しましたが、フリーランスは収入が不安定です。取引などで大きな金額を利用しても、銀行口座からの引き落とし時にお金が不足することも考えられるでしょう。

また、カードの利用金額に対する月の収入しだいでは、返済が間に合わずに延滞となる可能性もあります。会社員と比較するとどうしても安定にかけてしまい、審査で不利になってしまうのです。

カードによって審査難易度に違いはある

法人カードの中にはフリーランスが発行しやすいカードと、発行しにくいカードがあるのも確かです。

フリーランスの方によるクレジットカードの口コミなどを見れば、フリーランスが発行しにくいカードは多少理解できます。そこで、フリーランスが審査通過とならなかったケースが多いのであれば、そのカードはフリーランスが取得するには厳しいカードとなるでしょう。

その他にもカード会社によって審査基準はさまざまです、仕事の実績以上に申し込む本人の個人信用情報(クレヒス)を重視する場合もあります。もしも他に保有するクレジットカードの支払い状況が良好でしたら、該当するカードを選んでチャレンジする価値はあるかもしれません。

実際にフリーランス初年度から持てた法人カードはある

フリーランス初年度の場合、年収は予想で申告するしかありません。

そこでチェックしておきたいのがフリーランス初年度でも持ちやすいとされる法人カードです。たとえば「三井住友ビジネスカードfor Ownersクラシック」などは、事業を新規に開始した方でも持てるとされています。

個人カードと法人カードを使い分けるメリット

クレジットカードには私的利用が目的の個人カードとビジネス目的の法人カードの2種類があります。

フリーランスの方が使う場合、ビジネス用になりますから法人カードを選ぶのが適しているでしょう。もしも私的利用で使えるクレジットカードが欲しい場合、それぞれを使い分けるのがベストです。

こちらでは、個人カードと法人カードを使い分けるメリットを7つ挙げて解説します。

個人カードのみの利用で勘定が曖昧になるのを避けられる

個人カードのみで法人カードを持たない場合、私的利用とビジネスで発生する経費の線引きが曖昧になります。確認漏れなどで、本来は経費にならない利用が経費になるなどのことも出てくるでしょう。

そうならないように管理を徹底しようとしても、明細が多いほどに仕分け作業も面倒になります。それでは効率も良くありませんし、最初から法人カードと使い分けることで避けることは可能です。

個人カードの規約違反を防げる

個人カードの利用規約で「ビジネスの経費支払いによるカード利用」は直接的に違反ではありません。しかし、個人カードで私的利用とビジネス利用を兼用することは規約違反ではないものの以下の点は注意が必要です。法人カードを選ぶ理由は後々面倒なことになるのを防ぐ目的もあります。

ショッピング枠の現金化は個人カードの規約違反

個人カードで私的利用とビジネス利用を兼用すること自体は規約違反ではないと説明しましたが、現金化を目的とするショッピング枠の利用は規約に該当します。カード会社の所有権の侵害となり、たとえ現金化の目的がなかったとしても違反になってしまうのです。

現金化とは「借金が不可能な多重債務者が、カードのショッピング枠を利用して購入したものを売る行為」になります。そうすることで資金の返済や生活費を調達する目的があり、現在はこの現金化を手助けする業者もいるなど個人カードを使った現金化は増加の傾向です。

そこでビジネスによる経費の支払いと現金化が混同されてしまうケースに注意しなければなりません。カードを利用して商品の仕入れを行った場合、現金化するものを購入したことと外形的には同じになるからです。

規約の解釈が曖昧な場合もある

調査をすることで現金化が目的でないことは証明されるかもしれません。しかし、カード会社の判断しだいで現金化による利用停止措置が取られる可能性もあり、この規約の解釈が曖昧なケースがあります。

そこで最初から個人カードと法人カードと使い分ければ、こうした不安や心配をする必要がありません。

経費管理が楽になる

個人カードと法人カードを切り分けることで経費管理が明瞭化され、さらに法人カードに付帯するサービスの利用で経費管理が楽になります。

クラウド会計システムとの連携、利用明細書の発行で取引内容の明確化、明細のダウンロードなどが一例ですが、これらの利用で会計処理の簡素化が実現できるでしょう。

法人カードの年会費は経費としての計上が可能

個人カードと異なり、法人カードの年会費は経費として計上が可能です。一般的に法人カードの年会費は高額になる場合が多いので、この点は大きなメリットと言えるでしょう。

個人カードの年会費も利用した分に対する按分で経費計上はできますが、利用明細が私的利用分と一緒になることから誤認識を起こす可能性もあります。その他にも自分で把握している案文の割合が妥当でないなど、税務署に指摘されるなどのことも考えられるでしょう。

これらの部分をクリアできるのであれば個人カードで年会費を経費計上しても良いですが、ややハードルは高いかもしれません。

利用限度額の設定が個人カード以上に大きい

普段の生活の中で使う個人カードの利用限度額はそれほど大きくない場合が多いです。その人の属性などにもよりますが、30~100万円程度の中で設定されるでしょう。

個人でしたら利用限度額の設定が低いことで大きな支障はないかもしれませんが、ビジネス目的であれば50~100万円では到底足りない場合も出てきます。必要なタイミングで利用限度額を使い切ってしまい、支払うべきものが支払えなくなることもあるかもしれません。

法人カードであれば限度額が大きくなり、使い切って困るなどのことを避けられます。実際に設定される利用限度額は審査で確定しますが、利用状況や実績しだいで500~1,000万円をこえることもあるほどです。

ビジネスに有利になる場合がある

クレジットカードは支払いをスマートにする目的が大きいです。

しかし、ビジネスシーンでクレジットカードを利用する際に、個人カードよりも法人カードを提示する方が取引先などは良いイメージを抱く場合があるとされています。そのことによって信頼度を高めて、ビジネスが有利に進む可能性も出てくるでしょう。

サービスや利用特典の充実度が高い

法人カードにはビジネスシーンで役に立つ付帯サービスや特典内容が充実しています。

たとえばビジネスで国内外に出かける場合、空港ラウンジを利用できたり手荷物宅配サービスなどがあったりします。その他にもホテルやレストランの優待や割引、会員専用のデスクサービス、国内外旅行傷害保険、盗難・紛失保険があるなど、カード会社によってさまざまです。

利用したいサービスや特典が何なのかを重視して、いくつかの法人カードを比較してみるとスムーズですよ。

法人カードを持つデメリット

法人カードを持つにはメリットだけでなくデメリットも出てきます。主なデメリットは支払い方法の柔軟性に欠ける点と年会費が高額な点ですが、以下で詳しく解説します。

支払い方法の柔軟性に欠ける

個人カードと異なり、支払いの柔軟性に欠けるのが法人カードの大きなデメリットです。

1回払いに回数を指定する分割払い、ボーナス一括払い、リボルビング払いなど、個人カードでは支払い方法にいくつもの選択肢があります。しかし、法人カードは基本的に翌月1回払いのみとなり、状況に応じて支払い方法を変えたいと考える方にはデメリットになるでしょう。

とは言っても、ビジネス目的の法人カードに豊富な支払い方法が必要ではないことも考えられます。支払い方法を変えることで、経費管理を楽にするメリットが半減するからです。また、キャッシュフローの改善にも効果的ではありません。

年会費が高額

法人カードは年会費が高いことを前に解説していますが、こちらもデメリットになる点です。

しかし、経費計上によって課税対象額は減り、税金の負担は軽減できます。その他にも法人カードにはさまざまなサービスや特典も付帯します。

ビジネスに活用できる機会が多いことを考えれば年会費以上のメリットは受けられますので、利用の仕方しだいで大きなデメリットにはならないでしょう。

フリーランスが審査通過率を上げるための対策

フリーランスが法人クレジットカードの審査時に重要となるのは、申込者個人の信用性になります。信用性を高めて、審査通過率を上げるための対策を4つ挙げてまとめました。

税務署に開業届を提出

信用性を高めるために、屋号を作って税務署に開業届を提出してください。フリーランスと名乗るものの証明できなければ無職扱いになるからです。

そうならないために、前もって税務署に開業届を提出すれば起業したことの公的な証明となります。

また、勤務先欄に申し込み者本人の名前よりも屋号の記入がある方が「公的な手続きを踏んでいる」という印象を与えられて、審査時における心証も良くなるでしょう。

固定電話番号を記入する

申込書の連絡先には、携帯電話だけでなく固定電話の番号も記入してください。

フリーランスの方の中には携帯電話のみでビジネスに支障がない方もいるでしょう。しかし、固定電話回線を引いていることは住所や身元の確実性を高めますから、審査においても有利になる可能性があるでしょう。

携帯電話番号だけでも入会申し込みはもちろんできますが、カード会社の中には固定電話の有無を聞いてくる場合があります。固定電話の導入を考えているのでしたら、申し込み前に設置しておいた方が良いかもしれません。

個人カードでクレジットヒストリーを汚さない

すでに個人カードを持っている場合、延滞や滞納を起こさずにクレヒスを綺麗な状態でキープするのも審査通過率を上げるポイントです。

過去のクレジットカードやローンの契約内容や利用状況は、すべて個人信用情報機関に登録されて各カード会社間で共有されます。

そのため、他社クレジットカードなどで過去に支払いの延滞や滞納、自己破産などのマイナス情報の登録があると警戒されてしまうのです。クレジットカードやローンの利用がある方は延滞や滞納をせずに毎月必ず支払いを続けてください。

フリーランスでも作りやすいカードに申し込む

審査落ちのリスクを少しでも減らしたいのでしたら、フリーランスでも作りやすい法人カードに申込むのがスムーズです。

法人カードの種類は幅広く、会社設立年数が3年以上・2期連続黒字決済を審査通過の条件としている場合もあります。安定した実績や信用力を求めるカードの場合、フリーランスはどうしても審査落ちする可能性が高くなるでしょう。

その一方で、個人事業主向けなどで決算書の提出が不要な法人カードもありますから、フリーランスの方はぜひ申し込み候補として加えてみましょう。

まとめ

フリーランスがクレジットカードを持ちたい場合、フリーランスでも持ちやすい法人カードを選ぶようにすると良いでしょう。そこに加えて、クレヒスの状態を整えることも大切です。

もしも審査に落ちた場合、次の法人カードを申し込むまでの間隔も考慮しないとなりません。だからこそ、ビジネス用の固定電話の導入をはじめ、あらかじめ気を付けなくてはならない点を忘れないようにしてください。そうすることで、フリーランスが法人カードを持つことは決して困難なことにならないでしょう。

法人カードを手にしたら、ぜひビジネスシーンの中で活用してください。

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