公的年金支給の仕組みを理解して、年金を上手にもらおう!

国民年金や厚生年金がどのようにして支給されるのかご存知でしょうか?

例えば、保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算期間を合意した期間が10年以上でないと、国民年金や厚生年金はもらえません。

こういったことを知らないと、受給者側で損をしてしまうかもしれません。

この記事では知っておいた方がよい国民年金や厚生年金の仕組みについて解説します。

国民年金の支給について

老齢基礎年金

老齢基礎年金は、現行の国民年金法が施行された昭和61年4月1日以後に60歳に達する方が対象となります。

ちなみに、昭和61年3月31日までに60歳に達した方は、旧国民年金法による年金が支給され、当該老齢基礎年金は支給されません。

老齢基礎年金の支給要件

老齢基礎年金の支給要件の原則

老齢基礎年金は、保険料納付済期間又は保険料免除期間を有する方が65歳に達したときに、その方に支給します。

ただし、その方が保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年に達していることも必要です。

保険料納付済期間

上記の保険料納付済期間とは以下の1から5に掲げる期間です。

  1. 第1号被保険者としての被保険者期間のうち保険料を全額納付した期間
  2. 第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳以上60歳未満の期間
  3. 第3号被保険者としての被保険者期間
  4. 昭和61年4月1日前の国民年金の被保険者期間のうち保険料を納付した期間
  5. 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの第1号厚生年金被保険者期間、第2号厚生年金被保険者期間、第3号厚生年金保険者期間及び第4号厚生年金被保険者期間のうち、20歳以上60歳未満の期間

保険料免除期間

以下のような期間を指します。

  1. 国民年金の第1号被保険者としての被保険者期間のうち保険料全額免除期間、保険料4分の3免除期間、保険料半額免除期間及び保険料4分の1免除期間を合算した期間
  2. 昭和61年4月1日前の国民年金の被保険者期間のうち保険料を納付することを要しないものとされた期間

老齢基礎年金の年金額

老齢基礎年金の年金額

老齢基礎年金の額は、780,900円に改定率をかけた金額になります。

これは、保険料納付済期間の月数が480(40年)ある方に支給する金額になります。

保険料納付済期間が480月に満たない場合及び保険料免除期間がある場合の老齢基礎年金の年金額

以下のような算式で計算されます。

A × (B+C×7/8 + D×3/4 + E×5/8 + F×1/2)/480

A: 780,900円×改定率

B:保険料納付済期間の月数

C:保険料4分の1免除期間の月数

D:保険料半額免除期間の月数

E:保険料4分の3免除期間の月数

F:保険料全額免除期間の月数

振替加算

新法施行(昭和61年4月1日施行)による新年金制度により1人1年金が確立されました。

この新法施行により、厚生年金の被保険者のみならず、その配偶者も国民年金の被保険者とすることになりました。

この改正により、厚生年金の対象であるサラリーマン等の妻等も65歳になると、自分自身の老齢基礎年金を受給できるようになりました。

しかし、それまでその夫に支給されていた老齢厚生年金等の加給年金額は打ち切られることになりました。

ところが、サラリーマンの妻等は、旧国民年金制度では国民年金の加入は任意でした。

そのため、加入していなかった方もおり、全く加入していなかった場合も生じました。

また、たとえ任意加入していたとしても、加入期間が非常に短く、老齢基礎年金はかなり低額なものとなってしまうことも多かったようです。

そのため、一定の要件を満たした方には、所定の額にその生年月日に応じて一定の率を乗じて得た額を老齢基礎年金に加算する制度が設けられました。

これが振替加算と呼ばれる制度になります。

振替加算の加算要件

大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた老齢基礎年金の受給権者が次の1又は2のいずれかの要件を満たした場合、その方に支給する老齢基礎年金に振替加算が行われます。

  1. 65歳に達した日において配偶者によって生計を維持しており、かつ、65歳に達した日の前日において、配偶者年金給付の加給年金額の計算の基礎となっていたこと
  2. 65歳以後、配偶者によって生計を維持していること
振替加算の額

振替加算の額は、224,700円に改定率を乗じて得た額に受給権者の生年月日に応じて政令で定める率を乗じて得た額になります。

振替加算の時期

加算要件の1に該当するときは、老齢基礎年金の受給権者が65歳に達した日の属する月の翌月から振替加算が行われます。

加算要件の2に該当するときは、配偶者が要件を満たすに至った日の属する月の翌月から振替加算が行われます。

振替加算の支給の調整

以下の条件を満たしてしまった場合は振替加算の支給が調整されます。

老齢基礎年金の受給権者が、その額の計算の基礎となる厚生年金被保険者期間等の月数が240以上である老齢厚生年金等を受けることができるときは、振替加算は行いません。

老齢基礎年金の受給権者が、障害基礎年金、障害厚生年金等の支給を受けることができるときは、振替加算部分の支給を停止します。

年金額に反映されない期間のみを有する方に支給する振替加算相当額の老齢基礎年金

本来、合算対象期間及び学生納付特例期間を合算した期間のみが10年以上ある方については、老齢基礎年金の受給権は発生しません。

しかし、このような方であっても振替加算の要件を満たす場合には、老齢基礎年金の支給要件に該当するものとみなして、振替加算相当額の老齢基礎年金が支給されます。

老齢基礎年金の支給開始年齢

支給開始年齢の原則

老齢基礎年金は、原則として65歳から支給されます。

支給の繰上げ

老齢基礎年金の支給開始年齢は原則として65歳です。

しかし、60歳から65歳に達する日の前日までの間に請求すれば支給開始を繰り上げることができます。

支給の繰上げには、以下の2つがあります。

  1. 全額について繰り上げることができる全部の支給繰上げ
  2. 一部について繰り上げることができる一部の支給繰上げ
全部の支給繰上げ
支給繰上げの要件

保険料納付済期間又は保険料免除期間を有する方であって、60歳以上65歳未満である方は、65歳に達する前に、厚生労働大臣に老齢基礎年金の全部の支給繰上げの請求をすることができます。

ただし、その方が、その請求があった日の前日において、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない場合は、請求をすることはできません。

老齢厚生年金等の支給繰上げの請求をすることができる場合

全部の支給繰上げの請求は、厚生年金保険法の老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる方にあっては、当該請求と同時に行わなければなりません。

支給開始の時期

全部の支給繰上げの請求があったときは、その請求があった日から、その方に老齢基礎年金を支給します。

年金額の減額

全部の支給繰上げの請求をした方に支給される老齢基礎年金は、年金額に減額率を乗じて得た額が減額されます。

減額率は、1000分の5に、支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する月の前月までの月数を乗じて得た率になります。

減額率 = 0.005×(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)

繰上げ支給を受けた方の取扱い

繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者は、次の扱いになります。

  1. 事後重症による障害基礎年金等は支給されません。
  2. 寡婦年金は支給されません。
  3. 国民年金の被保険者となることはできません。
支給の繰下げ
支給繰下げの要件

老齢基礎年金の受給権者を有する方であって、66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求しなかった方は、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができます。

ただし、その方が65歳に達したときに、他の年金給付の受給権者であったとき、又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間において、他の年金給付の受給権者となったときは、支給繰下げの申出をすることができません。

他の年金給付の受給権者となった方又は70歳に達した日後にある方が支給繰下げの申出をした場合

66歳に達した日後に次の1又は2の方が支給の繰下げの申出をしたときは、1また2に定める日において、支給繰下げの申出があったものとみなします。

  1. 70歳に達する日前に他の年金たる給付の受給権者となった方 → 他の年金給付を支給すべき事由が生じた日
  2. 70歳に達した日後にある方 → 70歳に達した日
支給開始の時期

支給繰下げの申出をした方に対する老齢基礎年金の支給は、当該申出のあった日の属する月の翌月から始めるものとします。

厚生年金の支給について

本来支給の老齢厚生年金

老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間を有する方に対して、原則として65歳から、老齢基礎年金に上乗せして支給される報酬比例の年金です。

本来支給の老齢厚生年金の支給要件

老齢厚生年金は、被保険者期間を有する方が、次のいずれにも該当するに至ったときに、その方に支給します。

  1. 65歳以上であること
  2. 原則として、保険料納付済期間と保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が10年以上であること

本来支給の老齢厚生年金の年金額

老齢厚生年金の額は、原則として、報酬比例部分の額です。

しかし、当分の間、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額より国民年金法の規定による老齢基礎年金の額が低額となるため、その差額を、経過的加算額として、報酬比例部分の額と合わせて支給します。

また、一定の要件を満たす受給権者には、加給年金額が加算されます。

老齢厚生年金の額 =報酬比例部分の額 + 経過的加算額 + 加給年金額

報酬比例部分の額

老齢厚生年金の額は、原則として、被保険者であった全期間の平均標準報酬額の1000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とします。

報酬比例部分の額の計算式は以下のようになります。

平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 被保険者期間の月数

平均標準報酬額

平均標準報酬額 = A/B

A: 被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率を乗じて得た額の総額

B:被保険者期間の月数

被保険者期間の月数
原則

報酬比例部分の額の計算の基礎となる月数は、被保険者であった全期間の被保険者期間の月数です。

なお、受給権者がその権利を取得した月以後の被保険者であった期間は、その計算の基礎としません。

例外(退職改定)

被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失したとします。

その時に、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとします。

そして、資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月から、年金の額を改定します。

経過的加算額

経過的加算額 = 定額部分の額 -老齢基礎年金相当額

定額部分の額及び老齢基礎年金相当額については以下で説明します。

定額部分の額

定額部分は、次の式で計算した額になります。

定額部分の額 = 1,628円×改定率×被保険者期間の月数

老齢基礎年金相当額

昭和36年4月以後の厚生年金の被保険者期間のうち、保険料納付済期間に算入される20歳以上60歳未満の期間について計算した老齢基礎年金の額とします。

老齢基礎年金相当額 = 780,900円×改定率× C/480

C:厚生年金保険の被保険者期間の月数

加給年金額

加給年金額の加算要件

本来支給の老齢厚生年金の額は、次の1の要件を満たす老齢厚生年金の受給権者に2の加給年金額対象者があるときは、加給年金額を加算した額とします。

被保険者期間の月数

老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であることが必要です。

加給年金額対象者

老齢厚生年金の受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していた次の1~3に該当する配偶者又は子を加給年金対象者とします。

  1. 65歳未満の配偶者
  2. 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子
  3. 20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある子
加給年金額
原則
対象者加給年金額
配偶者224,700円×改定率
1人目・2人目の子224,700円×改定率
3人目以降の子74,900円×改定率
特別加算

配偶者を対象とする加給年金額は、老齢厚生年金の受給権者の生年月日が昭和9年4月2日以後である場合には、その生年月日に応じて、次の額を加算した額とします。

受給権者の生年月日特別加算額
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日33,200円×改定率
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日66,300円×改定率
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日99,500円×改定率
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日132,600円×改定率
昭和18年4月2日~165,800円×改定率

老齢厚生年金の支給の繰上げ

昭和36年4月2日以後に生まれた男子や昭和41年4月2日以後に生まれた女子等は、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給を受けることができます。

しかし、それまでの間は、原則として年金は支給されません。

そこで、これらの方であって一定の要件を満たす方については、65歳に達する前に、実施機関に老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができます。

支給繰上げの要件

当分の間、次の1及び2の要件を満たす方であることが要件の1つです。

そして、被保険者期間を有し、かつ、60歳以上65歳未満である方は、65歳に達する前に、実施機関に老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができます。

  1. 老齢基礎年金の受給資格を満たしていること
  2. 昭和36年4月2日以後に生まれた方
支給繰上げの請求及び支給(受給権発生)の時期
支給繰上げの請求

老齢厚生年金の支給繰上げの請求は、国民年金法に規定する老齢基礎年金の支給繰上げの請求を行うことができる方にあっては、その請求と同時に行わなければなりません。

支給(受給権発生)の時期

老齢厚生年金の支給繰上げの請求があったときは、その請求があった日の属する月から、その方に繰上げ支給の老齢厚生年金を支給します。

繰上げ支給の老齢厚生年金の額

繰上げ支給の老齢厚生年金の額は、請求日の属する月の前月までの厚生年金保険の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額から政令で定める額を乗じた額とします。

「政令で定める額」=減額の対象となる年金額×減額率

老齢厚生年金の支給の繰下げ

老齢厚生年金の受給権を有する方であってその受給権を習得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求しなかったものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができます。

まとめ

国民年金や厚生年金の支給で、お読みくださっている読者な方が損をしないために、公的年金支給の仕組みを記事にしました。

何か、皆様のお役に立てますと幸いです。

なしお
なしお
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公認会計士・税理士として、会計事務所で10年間働いています。専門家として税金の仕組みをわかりやすく解説します。

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