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今回はクラウドファンディングの手数料について紹介していきます。
クラウドファンディングは基本的にユーザー対ユーザー(出資者対事業者)の直接取引が基本です。しかし、サービスを利用するにはクラウドファンディングサイトに登録する必要があり、そのサイトを利用するには手数料が発生します。
では、クラウドファンディングには一体どれくらい手数料がかかるのでしょうか。手数料はクラウドファンディングのタイプ(融資型や購入型など)によっても異なるので、各タイプごとに相場をお伝えしていきます。
また、手数料を基準にオススメのクラウドファンディングサービスも紹介していますので、目的に応じてご参照ください。
クラウドファンディング手数料の目安
クラウドファンディングサービスは、融資型なら「OwnersBook(オーナーズブック)」、株式投資型なら「FUNDINNO(ファンディーノ)」など、タイプによって様々な種類があります。共通する特徴としては、どのサービスも資金の貸し手と借り手を仲介し、手数料によって利益を出しているということです。
つまり、借り手である事業者にとっても、貸し手である出資者にも利用手数料が必要となります。せっかくクラウドファンディングサービスを利用するのであれば、手数料の低いところを使いたいものですよね。
手数料はクラウドファンディングサービスによって異なります。また、購入型や融資型などタイプごとにも手数料の相場が違うので、まずは各タイプ別に手数料について見ていきましょう。
寄付型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディングは慈善事業の色合いが濃く、国や地方自治体、NPOなどの募金、支援金、他国援助などのプロジェクトが多いです。出資しても特別なリターンがなく、そのお金は義援金などに活用されます。
寄付型の手数料はおおよそ15~20%です。たとえば、1万円の寄付を考えており、手数料が20%なら、追加で2,000円の支払いが必要となります。
寄付型の手数料はかなり高いように思えますが、他のクラウドファンディングサービスと比べると一般的です。まだまだ日本ではクラウドファンディングサービスの種類が多くないので、10%以上の手数料を取る場合も少なくありません。
融資資型クラウドファンディング
融資型クラウドファンディングとは、企業や団体などにお金を貸すことで、満期になると元本と利息が受け取れる仕組みです。金利は約5~10%と、日本の政策金利では考えられない高金利に設定されていますが、出資先によってはリスクも高くなります。
融資型は他のクラウドファンディングサービスに比べて手数料が安い特徴があります。平均的には1~5%といった手数料なので、初期投資額のコストめんでは優位と言えるでしょう。
購入型クラウドファンディング
購入型クラウドファンディングは、出資を行うことでリターンとして商品やサービスを利用できることです。たとえば、世の中に流通していない新しい商品を開発している企業に投資すれば、見返りとしていち早くその商品を使えるということです。
購入型には事業者が多く、その手数料も幅広く差があります。安いところでは5%という安さですが、中には20%以上の手数料を取る場合も。代表的なサービスとして、「Makuake(マクアケ)」、「A-port」、「GreenFunding」、「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」などがあります。
手数料が低いところでも気を付けなければなりません。購入型には通常の手数料の他、「決済手数料」も必要だからです。決済手数料は別途発生するため、思わぬコスト高になってしまうこともあるでしょう。
株式投資型クラウドファンディング
株式投資型クラウドファンディングは、証券取引所に上場していないベンチャー企業や新興企業などに投資し、見返りに株式を受け取ることです。今後IPOやM&Aなどによって上場した後に、その株を売却して利益を得ることができます。
日本では株式投資型のサービスが少なく、現状「FUNDINNO(ファンディーノ)」のみです。ファンディーノの手数料は、株式の発行価格総額の10~20%に設定されています。
今後は株式型のサービスも増えていくことが予想されるので、将来的には全体的な手数料ダウンを期待しても良いでしょう。
寄付型クラウドファンディング低手数料サイト
寄付型クラウドファンディングは現状3社によってサービスが行われており、その手数料もほとんど差がありません。そのため、手数料よりサービス内容を比較して選ぶのがオススメです。
ちなみに、「JapanGiving」の手数料は15%、「Readyfor Charity」は17%、「A-port寄付型」は20%となっています。
JapanGiving(ジャパンギビング)
ジャパンギビングは2012年に設立した、日本で数少ない寄付型クラウドファンディングです。
ふるさと納税の仕組みを活用した全国自治体の寄付集めをサポートしています。寄付型では基本的にリターンが期待できないデメリットがありますが、ふるさと納税関連のプロジェクトでは返礼品なども用意されており、寄付行為による節税効果などを利用するなど、投資効果としても期待ができます。
また、ジャパンギビング特有の機能として「ファンドレイジング」が挙げられます。通常、プロジェクトはオーナーによって支援を募りますが、ファンドレイジングではサポーターが中心になって支援を呼びかけます。
ファンドレイジングによって集まった支援金はプロジェクトに集約されるので、多くのサポーターを通じてプロジェクトを拡大していけるのです。サポーターにとってもファンドレイジングによってオーナーとの距離が縮まるなど、様々なメリットがあります。
ジャパンギビングの手数料は15%です。寄付型クラウドファンディングとしては最も低コストで利用でき、また独自のサービスも多いので、メインサイトとして利用するには最適です。
Readyfor Charity(レディフォー・チャリティ)
レディフォー・チャリティは、購入型クラウドファンディングの「Readyfor(レディーフォー)」が2015年12月に始めた寄付型サービスです。
これまでレディフォーでは購入型の中でも認定NPO法人や自治体、学校法人など非営利活動を行う団体も存在していたため、寄付として資金を受け取りたいニーズも高まっていました。そこで、2015年よりサービスを区分けし、レディフォー・チャリティとして寄付型サービスを始めました。
プロジェクト公開から資金調達まで、レディフォーと同様の手続きが可能なので、今まで購入型として利用してきた方も同じような流れでサービスを利用できます。
レディフォー・チャリティの手数料は17%と、ジャパンギビングに比べて割高ですが、現在も1,000万円を超える大型プロジェクトが多数用意されています。
融資型クラウドファンディング低手数料サイト
融資型クラウドファンディングは、他のサービスに比べて手数料が低めに設定されていることが多いです。寄付型や購入型など、中には20%近くの手数料が必要なこともありますが、融資型では1~5%程度で済みます。
その中でもオススメの融資型クラウドファンディングを紹介していますので、以下をご参考にしてみてください。
OwnersBook(オーナーズブック)
オーナーズブックは融資型クラウドファンディングで最も有名で、サービス利用者数も多いため、事業者にとっては資金を調達しやすく、出資者にとってはプロジェクトが成立しやすいというメリットがあります。
融資型で気になる点は「企業の貸し倒れ」です。たとえば、不測の事態や大きなトラブルによってプロジェクトの進捗が難しくなると、貸した資金は戻ってこないことも考えられます。
オーナーズブックではこうした貸し倒れリスクに対応するため、掲載される案件にはすべて不動産担保設定が行われています。仮に事業者に何らかのトラブルが起こって返済が難しくなっても、担保があるおかげで資金を早めに回収できるでしょう
融資型クラウドファンディングの期待利回りは4~5%程度ですが、オーナーズブックでは案件の数が多いことで利回りの幅も非常に広いです。4~5%の案件はもちろん、中には10%を超えるプロジェクトもあります。
maneo(マネオ)
融資型クラウドファンディングには不動産案件に特化したサービスが多いですが、マネオには不動産以外にも様々な種類のプロジェクトが用意されています。日本で初めてソーシャルレンディングをスタートしたこともあり、集まってくる案件数も多く、出資者・事業者ともにメリットは大きいです。
また、ソーシャルレンディングではサービス事業者の信頼性が不可欠ですが、マネオは日本を代表する大手企業からの資金調達を実施しており、運営状態についてもある程度信頼が置けるでしょう。マネオに出資する代表企業としてGMOクリックホールディングス、SMBCベンチャーキャピタル、モバイル・インターネットキャピタルなどが挙げられます。
マネオではプロジェクト成立に関わる手数料が発生せず、融資型サービスの中でも極めて低コストに分類できます。ただ、入金手数料と出金手数料が発生するので、完全に無料というわけではありません。
SBIソーシャルレンディング
SBIソーシャルレンディングは、大手企業であるSBIホールディングスが母体となっているため、サービス事業主としては一定の信頼が置けます。
25,000人を超える投資家が集い、累積融資実績は600億円を超えるなど、融資型クラウドファンディングとしても成長が期待できます。また、マネオと同じように特定の分野に偏らず、様々な案件を用意している点がメリットです。
現在行っているプロジェクトとしては、「SBISLカンボジア技能実習生支援ローンファンド」や「SBISLメガソーラーブリッジローンファンド」などがあります。
SBIソーシャルレンディングでは出金に必要な手数料が無料となっているため、少額の資金に分けて分散投資したい出資者にオススメと言えます。
購入型クラウドファンディング低手数料サイト
購入型クラウドファンディングは、サービス事業者が多いことに特徴があり、「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」や「Makuake(マクアケ)」、「Readyfor(レディフォー)」、「Kanatta(カナッタ)」など様々です。
事業者が多いことから手数料の幅も広く、最低5%から最高22.8%まで用意されています。単純に手数料の安さだけで選ぶのも良いですが、できればサービス内容などもチェックしてお気に入りを探したいところです。
以下では購入型クラウドファンディングのオススメサービスを紹介していますので、一度ご参考にしてみてください。
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
キャンプファイヤーは購入型の中でも特に人気が高く、審査や専門スタッフなどのサポート体制が厚く、また出資者・事業者ともに数多く参加しています。
これまでもキングコングの西野氏が立ち上げた「個展えんとつ町のプぺル展開催」では4,600万円を超える資金を集めたり、「19世紀に誕生した伝説のレンズをNikon FとCanon EFマウント対応のアナログ&デジタルカメラ用レンズとして蘇らせるプロジェクト」では1,000万円の資金調達を達成しました。
一時はあまりにも人気が集中し、質問や相談に対するサポート対応に遅れが生じたり、プロジェクト審査に遅延が発生しました。こうしたトラブルは他サイトでは問題になりますが、キャンプファイヤーでは人気の裏付けにもなっています。
キャンプファイヤーの手数料は12%と、購入型クラウドファンディングでは平均的と言えるでしょう。
Makuake(マクアケ)
マクアケもキャンプファイヤー同様、購入型クラウドファンディングでは大人気サイトです。
過去に1,000万円以上の資金調達に成功したプロジェクトは50件以上にも上り、実績・人気ともに高評価できるでしょう。マクアケはアメブロでもお馴染みのサイバーエージェントによって運営されており、財務面での信頼性も置けます。
そのため、アメブロの利用者など企業グループ全体から効率よく支援者を集められたり、企業の知名度を活かしたメディア活動なども積極的で、プロジェクトの成立しやすさはトップクラスです。
ただし、手数料が20%と高い点には注意しましょう。
株式投資型クラウドファンディング低手数料サイト
株式投資型クラウドファンディングは、現状では「FUNDINNO(ファンディーノ)」の1社しか運営を行っていません。そのため、手数料の安さを期待したり、幅広いサービスの拡充などは、この先他社サービスが生まれるまで待つ必要があります。
ただし、現状ファンディーノ1社でも株式投資型には人気が集まっており、日本でも徐々に浸透しつつあることが伺えます。
FUNDINNO(ファンディーノ)
ファンディーノは株式会社クラウドキャピタルによって2017年4月に設立しました。厳重な審査とプロジェクト管理に定評があり、その案件は事前審査で3期分の決算書、事業計画書が入念にチェックされます。その後、CEOや管理部長、事業部長とファンディーノが審査会議を行い、厳しい審査に通過した事業者のみプロジェクトがスタートできます。
ファンディーノには未上場のベンチャー企業や新興企業が集まり、投資家はマーケット外から成長余力の大きい企業へと資金を投じることが可能です。こうしたベンチャー企業に投資することで、IPOやM&Aなどによって上場後売却益を計上すると、「エンジェル税制」として税金が優遇されます。
ただし、サービスがスタートしたばかりということもあり、今のところファンディーノのプロジェクトからIPOやM&Aで上場された企業はありません。IPOやM&Aには時間がかかるという事情もあり、今後のプロジェクト進行が大いに期待されています。
クラウドファンディング手数料まとめ
今回はクラウドファンディングの手数料についてお伝えし、その情報をもとにオススメサービスを紹介しました。
日本では融資型クラウドファンディングの利用者が多く、また購入型クラウドファンディングもサービス事業者が多くなっています。今後の注目としては、アメリカ同様株式投資型クラウドファンディングにも人気が集まるかどうかというところです。
投資型には現在ファンディーノというサービスしかないので、手数料などで割高になりがちです。今後はエンジェル投資家向けのクラウドファンディングも登場してくるはずなので、手数料の低下やサービスの拡充などが期待できるでしょう。