【株式投資入門】米国株投資の始め方~値上がり益だけでなく高配当も魅力

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米国株式は昨年軟調だったものの、長期的には右肩上がりの上昇が続いています。しかも、何といっても米国経済や米国市場は世界の中心です。アップルやマイクロソフトなど世界的な企業が数多く上場しています。しかも、株主重視の姿勢から配当も高い傾向にあります。

今回は、魅力の多い米国株について解説していきます。

米国株の魅力(メリット)

まずは、米国株のメリットから確認しましょう。

1株単位の取引

米国株と日本株の大きな違いの一つに購入単元の違いがあります。日本株は単元株制度があるので、100株単位で取引する必要があります。そのため株式を購入の際には、数十万円から数百万円の資金が必要になるのが一般的です。しかし、米国株の場合は全ての上場株式を一株単位で購入することができるので、少ない資金で投資をすることができます。

S&P500の時価総額上位銘柄を見てみましょう。(株価、最低購入金額:ドル円=110円として計算)

 

アップル 169.43ドル 約18,630円

アマゾン 1591ドル  約175,000円

アルファベット(グーグル) 1102.12ドル 約121,230円

 

時価総額が1兆ドル(100兆円)に迫るような世界的な大企業でも20万円もあれば購入することができるのです。

日本の企業を見てみましょう

 

トヨタ(7203) 6,578円 約66万円

ソフトバンクグループ(9984) 10,030円 約100万円

ファーストリティリング(9983) 49,260円 約490万円

 

もちろん、20万円以内で買える株も多くありますが、日本の有名企業では数百万円の資金が必要になることも珍しくありません。有名企業が少額から購入できる、という点もアメリカ株の魅力となっています。

米国企業は高配当

米国株は日本株と比較して高配当の銘柄が多く存在しています。NYダウと日経平均株価の予想配当利回りを比較してみても、NYダウ2.3%に対し、日経平均株価は1.98%と差があります。

米国企業は株主還元を重視した経営方針のため、日本企業のような株主優待制度はありませんが、現金で株主に還元しています。四半期ごとに配当を行う企業が多いので、年2回の日本企業よりも資金効率が良くなります。

25年以上連続増配を続ける企業を「配当貴族」といいますが、米国では50銘柄以上の配当貴族があり、有名な大企業でも数多くありますが。例えば、以下のような銘柄があります。

  • P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)

アメリカに本社を置く世界最大の消費財メーカーです。62年連続増配を行っています。配当利回りは3.16%です。

  • コカコーラ

コカコーラをはじめとする清涼飲料水の会社です。世界一の投資家であるバフェット氏が会長を務めるバークシャーハザウェイが筆頭株主です。連続増配は56年。配当利回りは3.21%となっています。

  • AT&T

アメリカの情報通信・メディアのコングロマリットです。高配当株かつ連続増配株として有名です。AT&Tは毎年第四半期に増配のアナウンスをしています。一定時期に配当金増額を行う必要はありませんが、株主に毎年決まった時期に増配するという安定感を示しているのです。

AT&Tの連続増配は34年。配当利回りは6.55%になっています。

長期的な成長

出典:マネックス証券

1970年以降の日経平均株価とダウ平均を比較したチャートです。日経平均株価は1989年のバブルの絶頂期に4万円手前まで上昇しましたが、その後は下落。現在もバブル期の高値を抜いていません。

しかし、米国株は一貫して上昇を続け、2000年の IT バブル崩壊や2008年のリーマンショックなど 下落曲面もありましたが、時間をかけて株価を取り戻し、長期的には右肩上の上昇を続けています。

日本ではバブル崩壊により長期投資が報われない状況になっていますが、米国株に投資していれば長期で保有していれば、ほとんどの投資家は利益が出ている状況なのです。

米国株の始め方

 

最近では、日本株だけでなく国際分散投資への高まりから、外国株や外国の金融商品の取り扱いを始める証券会社が増えています。インターネットで米国株を購入できる証券会社は限られていますが、取扱い銘柄を拡大しています。主なネット証券としては、次の3社が米国株を取り扱っています。それぞれの特徴を見ていきましょう。

SBI証券

手数料

約定代金の0.45%(最低手数料5ドル、最大手数料20ドル)

業界最低水準の手数料となっています。

為替手数料が安い

他社では為替手数料が25銭かかりますが、住信SBI銀行を使えば4銭です。1万ドルあたりで考えると他社では2,500円のところ400円ですから、この差は大きいでしょう。

貸株サービスが使える

貸株サービスとは、銀行にお金を預けると利息がもらえるように、投資家が保有している株式を SBI 証券に貸し出すことで、貸し出した株式に応じて貸株金利を受け取ることができるサービスです。

米国株で貸株サービスに対応しているのは SBI 証券だけです。また、貸株中でも配当金がもらえ、いつでも売却が可能です。申し込むだけで1,000銘柄以上の対象銘柄に金利がつきます。

成行注文ができる

SBI 証券では、米国株でも成行注文を使うことができます。成行注文とは、買付又は売却の指定をせずに、市場で約定可能な値段で約定する注文方法です。約定価格は約定するまでわかりません。

ですから、急激な相場変動により買いの成行注文の場合には、注文時に拘束した金額よりも約定金額が大きくなる可能性があるため、十分な資金を用意しておく必要があります。

豊富な情報量

SBI証券では、取引に役立つレポートが無料で読めます。SBI専属アナリストや外部の人気アナリストのレポートなど、豊富な種類から選ぶことができます。

また、米国株式の決算発表が30分程度で配信される決算速報ニュースや、週刊タイムテーブルで重要な情報を逃すことはありません。

楽天証券

続いて、楽天証券の米国株の特徴です。

取扱い銘柄数

楽天証券では、米国株の取扱い銘柄数が1,658銘柄となっています。また、米国ETFやADR(米国預託証券)を取り扱っています。

手数料

約定代金の0.45%(最低手数料5ドル、最大手数料20ドル)

SBI証券同様、業界最安値水準です。

特定口座が使える

楽天証券が投資家に代わって確定申告にそのまま使える「年間取引報告書」を作成します。また、「源泉徴収あり」なら楽天証券が税金を源泉徴収し、投資家に代わって納税まで行います。

楽天証券では、特定口座で取引した米国株は、同じ特定口座内で取引した国内株式や投資信託の譲渡損益と通算することができます。また米国株式だけではなく、中国・タイ・インドネシア・マレーシアなどをアジアの株式も対象なのでより広いマーケットへの国際分散投資が可能です。

注文方法は米ドル決済と円貨決済の2種類

米国株式は、好みに合わせて米ドルでの外貨決済と日本円での円貨決済を選ぶことができます。円貨決済は日本円の買い付け余力で米国株が購入できるので、為替取引を行う必要はありません。ですから、取引機会を損なわずに取引することができます。

マーケットスピードで取引できる

取引ツールとして人気の高い「マーケットスピード」で米国株式も取引することができます。10種類以上のテクニカルチャートと見やすい画面により、米国株投資をサポートしてくれます。

米ドルMMFを利用できる

米国株式を購入する時に米ドルMMF から資金を充当したり、売却資金を米ドルMMFで運用したりと待機資金を有効的に使うことができます。ただし、日興 US ドル MMF は直接買い付けや受け取りはできないので注意が必要です。

「バロンズ拾い読み」が読める

楽天証券に総合取引口座を開設していれば、ダウジョーンズ社が発行する米国で最も著名な投資週刊誌「バロンズ」の記事を読むことができます。バロンズの中から日本の投資家に役立つ記事を厳選し、日本語で抜粋要約したレポートで、主に機関投資家向けに提供されているサービスです。

世界最大規模の海外メディアの指定による分析記事が充実しています米国市場だけではなく日本の国内市場の投資判断にも役立つ情報が豊富にあります。バロンズ人気のコラムなど外国株投資だけでなく日本株投資に活用できる最新情報が提供されているのです。

バロンズはダウジョーンズ社が発行する米国で最も有名な投資週刊誌の一つです。発行部数は30万部で、金融業界人と投資家の必読誌といわれています。

マネックス証券

手数料

約定代金の0.45%(最低手数料5ドル、最大手数料20ドル)

マネックス証券の手数料も業界最安値水準となっています。日本株と比べるとまだ高いので短期ではなく、長期保有することをおすすめします。

取扱い銘柄

取扱い銘柄が他社は1300銘柄程度なのに対して、マネックス証券では3346銘柄(2018年10月時点)あります。マネックス証券でしか買えない銘柄があるというのは、大きな強みでしょう。アマゾンやアップルなど有名な企業だけでなく、マニアックな銘柄も売買したい投資家は、マネックス証券での取引をおすすめします。

さまざまなサービス

業界最長の90日間指値ができたり、逆指値や時間外取引、リアルタイム株価をチェックしたりできることがマネックス証券の強みです。銘柄数の豊富さといい、「本格的に米国株を取引きしたい」と考える投資家にとっては魅力的な証券会社です。

米国株の概要

米国株の取引時間

通常の取引時間 9:30~16:00(昼休みはなし)

日本時間では、23:30~翌6:00(夏時間:22:30~翌5:00)となります。

米国の証券取引所

全米には10を超える証券取引所がありますが、売買が集中しているのは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)とナスダックです。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)

世界一上場審査が厳しく、約2,500社が上場しています。通称、ビッグボードと呼ばれる世界最大の取引所です。

ナスダック(NASDAQ)

ハイテク企業が数多く上場している世界最大の新興企業向けの市場です。市場は以下の三つに分かれています 。

1.Nasdaq GS

最も上場審査が厳しい市場です。選別された優良企業が集まります。

2.Nasdaq GM

国際的な優良企業が上場する市場です。

3.Nasdaq CM

資本増強途上にある若い企業が集まる市場です。

売買注文で気を付けること

ネット証券ではほとんどの取引が日本語で出来るようになっているので、日本株と同じようなイメージで注文することができます。ただし、以下のような注意点があります。

1.ティッカーコードを確認する

米国で銘柄コードの役割を果たすティッカーコードを確認しておきましょう。

例えば、

 

アップル:AAPL

アマゾン:AMZN

P&G:PG

 

などです。

2.為替レートに注意

 

日本円での運用は為替レートの影響が大きいので、外貨へ両替するタイミングを図る必要があります。また為替手数料がかかるので、為替スプレッド分も加えて口座に入金をしておきましょう。

3.発注方法

日本株では100株単位での発注になりますが、米国株では一株単位なので株数を間違えないにしましょう。そして、値幅制限がなく振れが激しいので、成行注文の場合は、想定外の価格で約定する危険性もあるということを認識しておきましょう。

税金

米国株の値上がり益は日本国内で課税され、税率は日本株と同じく年間通算損益の20.315%です。しかし、配当金に関しては日米で二重課税方式となっています。振込の際に現地課税10%、国内課税(現地課税後の20.15%)が源泉徴収されます。ただし確定申告をすることで、現地課税分10%を所得税や住民税から控除する「外国税額控除」が適用され、還付を受けることが可能です。

米国株のデメリット

為替手数料がかかる

米国株取引では、為替スプレッドが必要になります。固定の為替手数料のことです。ネット証券では、1米ドルにつき片道25銭かかります。1ドル=110円で計算すると、1万ドル(110万円)の投資金額に対して2,500円前後の為替手数料がかかります。

米国株購入の際には、為替スプレッド分も含めて入金しておく必要があります。また、売却代金を外貨で受け取れる証券会社もありますが、円に戻すときは為替リスクが発生します。ドルベースでは利益になっていても株式購入時点よりも円高・ドル安になれば損失になる場合もあるので注意が必要です。ただし、円安ドル高になれば株価の上昇異常に収益が膨らみます。

信用取引ができない

米国株の信用取引ができる国内証券会社はありません。外国の証券会社に口座開いて外貨で取引すれば可能ですが、外国人の取引を規制していることも考えられます。

また、米国株にはストップ高やストップ安などの値幅制限がないので、国内株よりもリスクが高くなります。初心者はまず現物取引から始めた方がいいでしょう。どうしても信用取引を行いたい場合は、 CFD という証拠金取引があります 。CFD ならばレバレッジ5倍、そして売りから入ることが可能です。

米国株銘柄の選び方

NYダウに採用している銘柄を参考にする

代表的な銘柄としては、「NYダウ工業株30種平均」があります。同指数は世界的に活躍する優良30銘柄を米国の通信社ダウジョーンズが選定・算出しており、1896年からという長い歴史があります。

アップルやインテル、コカコーラ、マイクロソフト、マクドナルド、 P & G、ファイザーなど日本でも有名な企業が多数含まれています。

バフェット銘柄を参考にする

世界一の投資家として名高いウォーレンバフェット氏の保有銘柄を参考にすることもおすすめです。バフェット流の投資手法としては継続的に利益を上げ続けている巨大企業の株を長年持ち続けることです。例えばアメリカンエクスプレスやコカコーラ、ウォルマートやプロクターアンドギャンブル(P&G)などNYダウにも採用されている銘柄のような巨大企業で約75%を占めています。

また、バフェット氏が会長を務めるバークシャーハザウェイ株を買えば、ポートフォリオの成果をそのまま手にすることも可能です。ただし、長期投資といっても買い増しや売却が行われているので、バフェット銘柄のポートフォリオは少しずつ変化しています。毎年の状況をレポートで報告しているので、チェックしてみると良いでしょう。

まとめ

今回は、米国株のメリット・デメリットや取引できるネット証券会社をご紹介しました。配当利回りが高い、1株から購入できるなどのメリットがある一方で、値幅制限がないことや、為替リスクがあることなどがデメリットです。

ネット証券では、SBI証券、楽天証券、マネックス証券で取引することができます。投資の幅を広げるためにも、米国株取引を一度検討してみてはいかがでしょうか。

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