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引っ越しすることになって、新しく部屋探しをする時にしっかり検討しておきたいのが、電気やガスの設備です。賃貸住宅は大まかに、オール電化、都市ガス、プロパンガスなど、物件によって電気・ガスの設備も様々です。
部屋探しの条件として、家賃や初期費用をできるだけ抑えていきたいと希望する人は多いのですが、電気・ガスの設備に何を選ぶか、こだわる人は意外と少なくなります。
でも実は、電気・ガスの設備が何なのかによって、毎月支払う光熱費は大きく異なるのです。それぞれの生活スタイルに合った設備を選ぶことが大切です。
おそらく、オール電化であれば、光熱費が安くなると何となく知っている人は多いと思います。
しかし、すべての人にとって必ずしもオール電化であればお得に利用できるというわけではありません。状況によってはむしろガスと併用した方がいい場合もあります。
今回は、オール電化がどのようなしくみになっているのか、そして都市ガス、プロパンガスの料金の仕組み等を解説していきます。
賃貸住宅を選ぶ際のポイント
毎日を快適に過ごしていくために、できるだけ要望に合った賃貸住宅を探す必要がありますが、その条件も人それぞれです。
月々の家賃を抑えていきたいという点は、おそらくほとんどの人に共通しているだろうと思います。そこで、一般的に重視されがちな賃貸住宅を選ぶポイントをいくつかご紹介しておきましょう。
- 駅やバス停から近い(交通の便がいい)
- 商業施設が多い
- バス・トイレが別
- 収納スペースが多い
- インターネットが充実している
- 耐性がある建物(鉄筋造りなど)
- 日当たりがよい
- 静かな環境
- 賑やかな環境
- 勤務地に徒歩でいける距離
- 駐車場・駐輪場つき
など・・・
せっかく引っ越しに費用や手間をかけるのであれば、条件のいい物件をこの機会に探したいものです。引っ越しを機に、周辺の環境や間取りなどを検討し直すことで、より快適な毎日を過ごせたら素敵です。
そこで引っ越しを機に、家賃を下げて節約を実現したいと考える人もいるでしょう。
どうせ引っ越すなら節約を実現!
毎月、必ずかかる支出の中で最も比重が高くなるのが家賃です。まずは家賃を5千円~1万5千円くらいは下げていきたいものです。
そして、その他にも引っ越しを機に節約が可能となるものが・・・
- 光熱費
- 水道費
- インターネット
- 駐車場・駐輪場代(もし今有料ならば)
- 交通費
などが考えられます。
今回はこれらの節約可能な支出の中で光熱費に焦点を絞って解説していきます。
光熱費の削減
光熱費を削減するためには、賃貸住宅を選ぶ際にどのような方法があるのでしょうか。
まずは、電気・ガスの設備のタイプをご紹介していきます。
オール電化
オール電化は、電気、キッチンコンロ、キッチン・浴室の給湯、電灯などをすべて電気エネルギーで統一した住宅設備のことを言います。一言でオール電化といっても、台所のコンロだけはガスの場合もあります。
オール電化にもタイプがあって、給湯器の種類によって、光熱費の削減率も変わってきます。
また、アンペアの基本的な設定などによって電気料金プランも異なるのが特徴です。光熱費の支払いは電力会社のみとなります。
電気と都市ガス
都市ガスの設備を導入した住居の場合は、ガスコンロやキッチン・浴室の給湯は都市ガスを使用します。
電気、電灯などは電気になります。
通常は電気は電力会社、都市ガスはガス会社へ支払いますが、最近では電気・ガスがセットになったお得なプランを組むことも可能になっています。
電気とプロパンガス
建物の外部に設置されているプロパンガスからガスを供給するシステムです。
ガスコンロ、キッチン・浴室の給湯にプロパンガスを使用します。プロパンガスはローカルの会社が多いのが特徴で、契約するガス会社によって料金プランも様々です。
都市ガスよりも料金が大幅に高くなるのが特徴ですが、災害時などの緊急時にも供給しやすいというメリットがあります。
設備によって光熱費は異なる
などと、よくわからないのが現状で、家賃は重視するけれど、電気・ガスの設備は使えれば問題ないと済ませてしまう人も多いようです。
オール電化
- エアコン、TV、洗濯機など家電品に使う電気
- 部屋の電灯用の電気
- キッチンコンロの電気(IHヒーター)
- キッチン・浴室の給湯
となります。キッチンのみはガスコンロになっている場合は、ガスコンロの分だけをガス会社に払うか、電気代とセットでまとめて払う方法があります。
オール電化の大きな特徴
オール電化の大きな特徴は4つあります。
- 給湯にかかる費用が大幅に安くなる
- 深夜電力を利用して夜間の電気代が大幅に安くできる
- 昼間の電気代が割高になる
- 光熱費をひとまとめに安くできる
これら4つの特徴をさらに詳しくご説明いたします。
給湯代がほとんどかからない
オール電化では電気給湯器を使いますが、この電気給湯器は約20年ぐらい前から普及しはじめたエコ機能に優れたエコキュートが主流となります。
エコキュートは省エネ給湯器とも呼ばれていて、最新の電気技術を駆使した魔法のような給湯器です。
日立、ダイキン、東芝、パナソニックなどの大手家電メーカーが開発しており、熱ではなく空気の圧力を用いてお湯を沸かすシステムとなっています。さらに、一度沸かしたお湯を魔法瓶のように、温度を下げずに保管しておける機能をもった給湯器です。
深夜、電気代が安い時間帯に電気でお湯を沸かして貯めておけるので、最小限の電力しか使わないのが大きなメリットとなります。4人家族だと、冬場でも月に1,000円くらいの費用で給湯にかかる費用を抑えることができます。
エコキュートはエアコン室外機のように四角いコンパクトな形をしています。丸い大きな給湯器はかなり旧式の電気給湯器となり、電気代は高くなる傾向にありますので注意して下さい。
夜間の電気代が大幅に安くなる
地域によって利用できる電力会社が異なりますので、料金プランには若干の差がありますが、通常は平均して26円/1KW(プランによる)の電気代がかかっています。
しかしオール電化であれば深夜電力が適用となり、夜21時、22時以降の電気代が15円/1KW(プランによる)前後に安くすることが可能なのです。トータルの電気代が利用状況によっては、半額近く安くできる場合もあります。
昼間の電気代が高くなる
反面、オール電化では昼間の電気代が32円/1KW(プランによる)くらいに高くなってしまうデメリットがあります。
ですので、昼間電気を使った場合は急激に電気代が高くなるのです。
ただ、お湯に関しては安い時間帯に沸かしておいたお湯を使うので24時間、いつ使っても費用はほとんどかからない仕組みになっています。
光熱費をひとまとめに安くできる
オール電化にすれば、電気、電灯、キッチン、浴室、すべて電気でひとまとめとなりますので、昼間に電気を使わない人であれば大幅に光熱費を安くしていくことが可能になります。
特に、大きな電力を消費する家電の利用などを、すべて深夜の時間帯に回すことでさらなる削減が期待できます。
オール電化に向いている人
オール電化で高い節約効果が期待できるのはどんな人でしょうか。
まず、第一条件として、昼間は基本的に在宅しない人です。休日のみ昼間電気を使うことがあっても、普段は仕事などで昼間の電気を使わない人はオール電化がおすすめです。
家族が多い、女性、年頃の年代などシャワーやお風呂の回数が多い場合にも、オール電化は節約効果を最大限に発揮します。
都市ガス
都市ガスは東京ガスや大阪ガスのように、配管を通してガス会社のガスタンクからガスを供給するシステムをいいます。
都市ガスの対象は・・・
- ガスコンロ
- キッチン・浴室の給湯
- 暖房設備
となります。
都市ガスを使う住宅の場合は、電気は通常の電気料金プランとなり、時間帯ではなく使用量によって料金が加算されていく仕組みとなっています。利用する電力会社によりますが、26円/1KWぐらいが相場価格です。
都市ガスの大きな特徴
都市ガスの大きな特徴は3つあります。
- お湯の給湯に都市ガスを使う
- 時間帯を問わず使用量にて電気代が換算される
- ガスコンロで消費するエネルギーは電気よりも低い
ではそれぞれを解説していきます。
都市ガスの給湯器
都市ガスの給湯器の場合は、利用したガスの容量に応じて料金が加算されていく仕組みになっています。地域によって差はありますが、概ねのところで・・・
20㎡までが140円/㎡前後、20㎡~80㎡までが130円/㎡前後、81㎡~200㎡までが105円前後が価格相場です。
といっても1㎡でどれくらいのガスの量があるのかわがりづらいものです。
ガスコンロと給湯に使う都市ガスの利用料金として、4人家族で6,500円~8,000円くらい。1人暮らしだと3,000円~4,000円くらいが平均的な料金になるでしょう。
時間を気にせず電気が使える
上記のガス代に加えて、都市ガスの場合は昼夜問わず一定の価格設定がされてある電気料金プランが利用できます。ですから、昼であろうと夜であろうとあまり気にせずに電気を使っていくことができます。
使用量に応じて電気代が加算されますので、もちろん電気を節約して使えば電気代の削減は可能です。
ガスコンロの方が電気よりは経済的
給湯に消費するエネルギー量でいけばガス給湯は電気給湯器には太刀打ちできませんが、ガスコンロで使うエネルギーに関しては電気よりもガスコンロの方が経済的です。
IHヒーターとガスコンロを比べた場合、
単純に電気の熱で温めるのと直火で温めるのでは、火力や消費する熱量が大きく異なります。同じ容量の水を沸かすとしても、電気の方が大量のエネルギーを消費してしまいます。
都市ガスに向いている人
都市ガスで大幅な節約が狙える人は、昼間自宅に在宅して電気を使う人です。
最近では事務職やIT関連職、フリーランス業などで自宅に昼間滞在して仕事をする人も増えてきています。そんな人がオール電化の住宅に住めば、軽く2倍近くの電気代がかかってしまいます。
昼間であろうと夜であろうと時間帯を気にせず電気を使いたい人は都市ガスがおすすめです。
また、料理好きでガスコンロを頻繁に使う人も、都市ガスの方が経済効果は高くなります。
プロパンガス
それでは最後にプロパンガスがどのような仕組みになっているのかを解説いたします。
プロパンガスは、通常の電力会社やガス会社とは異なり、中小規模の販売会社が多くなり、地域ごとに数えきれない数のプロパンガス会社があります。
アパートの敷地内などで見かけると思いますが、立て長い筒のような金属の入れ物にガスを補填して建物や住宅に設置するタイプのガスになります。
プロパンガスの大きな特徴
プロパンガスの特徴は大まかに3つあります。
- ガス代が割高になる
- 家賃が安い住宅が多くなる
- 災害時などの緊急時に強い
プロパンガスは供給する販売会社によって料金も様々ですが、確実に都市ガスよりは割高になります。なぜなら、プロパンガスのガスは都市ガスよりも強力なガスでもともとの単価が高いからです。また、ガス交換やガスの補填作業などに人件費もかかります。
ではプロパンガスの特徴を詳しくご説明していきます。
ガス代が割高
プロパンガスは使ってみて、他と比べてみて驚く人も多いと思いますが、ガス代はかなり割高です。
プロパンガスも都市ガス同様に使用した容量ごとに料金が加算されていくのですが、都市ガスの約1.5倍から2倍前後は料金がかかります。
例えば1人暮らしであれば4、5千円は差がついてしまいます。プロパンガスってこんなに高いの!?と入居してから気付いたとしても入浴の回数を減らすわけにもいきません。できれば毎日シャワーは浴びたいものです。
特に年頃のお嬢さんの場合は、1日に3回くらいシャワーを浴びることもありますので、絶対にプロパンガスはNGです!
家賃が安い住宅が多い
部屋探しをしてみるとわかりますが、家賃が安いなと思った物件はプロパンガスであることが多くなります。なぜなら、オーナーがガス設備に費用をかけていないので、その分安い家賃設定になっているからです。
築年数の古い建物や、郊外の中・小型の建物、最近のお洒落なワンルームの小型アパートなどでもプロパンガスを使っている賃貸住宅は結構あります。
家賃が安いといっても、プロパンガスの料金で結局上乗せされてしまえばあまり意味がありません。地域の相場と比較して1人に対して5000円以上は家賃が節約できる場合には、選択肢の1つになるでしょう。
緊急時には強い
唯一プロパンガスのメリットといえば・・・台風や大雨、地震などの災害時に強いことです。
通常の電気やガス、インターネットなどは地域全体が電線や配管などのネットワークでつながっています。何処か一部に支障がでれば全体が止まってしまうこともあります。
でもプロパンガスは単体で建物に対応しています。
近所で何か打撃をうけてその他のネットワークが中断したとしても、プロパンガス自体が無事でれば全く問題なく使うことができます。仮に被害があったとしても、新しいプロパンガスに取り換えるだけですから簡単に復旧できるので安心でもあります。
プロパンガスに向いている人
プロパンガスに向いている人は、お風呂やシャワーを他の場所で済ませられる人です。光熱費削減術として、節約家の中には会員になっているジムやサウナ、スパなどで入浴を済ませる人もいます。
そうすれば、もともと家賃が割安になっているプロパンガスの住宅でも大きな節約が可能になります。
あるいは、料理・入浴をほとんどしない人・・・というと語弊がありますが、まめに入浴しなくとも気にならない人です。男性の中にはガスコンロをほとんど使わない人もいます。また、他人に迷惑をかけない程度にしか入浴しない人もいるでしょう。
そんな人であればプロパンガスでも、高いガス代を払う心配はなくなります。
※電気代やガス代の節約方法、料金プランについてはこちらもご覧ください。
※賃貸住宅で蓄電池を使った節約方法を参考にしてみて下さい。
まとめ
今回ご紹介したように、電気・ガスの設備をしっかり検討して賃貸住宅を選ぶことで、家賃だけでなく光熱費の金額も大きく変えていけることがわかりました。
電気・ガスの設備に何を選ぶかによって、毎月の光熱費が2倍に増えたり、半額に減ったりと左右されてしまいます。
家賃の次に、必ず支払うのが光熱費です。電気やガスは私達の毎日の生活にはなくてはならないライフラインです。必ず使うもの、必ず支払うものだからこそ、少しでも費用を抑えていきたいものです。
部屋探しをする時には、それぞれ優先するポイントがいくつかあると思いますが、それぞれの状況に応じて節約効果の高い設備を検討していくことが大切です。
引っ越しを機に、それぞれの生活スタイルに合った電気・ガスの設備を選んで大幅な節約を実現していきましょう!
以上3つのタイプが大まかな電気・ガスの設備となります。
それぞれ賃貸住宅に備えられている設備によって、選べる光熱費のプランも変わってきます。