住居費節約テクニック!敷金礼金ゼロ円は本当なのか?ゼロゼロ物件の落とし穴を解説

敷金礼金ゼロ円のゼロゼロ物件を目にする機会も増えてきました。

引っ越し時の初期費用の大半を占めるのが敷金礼金です。引っ越し時にかかる初期費用はできるだけ抑えたい、というのが物件探しの優先ポイントとなる人は多いでしょう。

住居費節約テクニックとして、敷金礼金ゼロ円物件を狙う方法がありますが、果たして本当に敷金礼金はゼロ円にできるのでしょうか。

また、敷金礼金がゼロ円なら初期費用はかからないのでしょうか。

今回は住居費節約テクニックとして、ゼロゼロ物件は本当なのかゼロゼロ物件の落とし穴は何なのかを筆者の引っ越し歴15回の経験を基に解説していきます。

入居時にかかる初期費用

最近では賃貸情報や道を歩いている時でも、敷金礼金ゼロ円を宣伝文句としている、いわゆるゼロゼロ物件をよく見かけるようになりました。

もともと日本の不動産事情は他国に比べると、敷金・礼金が非常に高く、初期費用には多額な費用がかかる傾向にありました。近年になって、若手世代の人口減少とともに賃貸住宅への需要が低下したことで、敷金・礼金は1か月程度が一般的になってきています。

そんな中、敷金礼金がゼロ円!? と聞けば、引っ越しを考える人は誰でも興味を持たずにはいられません。でも、敷金礼金がゼロ円だからといって初期費用がかからないわけではありません。

まずは、初期費用の内訳について解説していきます。

初期費用

入居時にかかる初期費用の内訳はどのようになっているのでしょうか。不動産会社やオーナーによってその内訳は異なりますが、概ね以下のような費用がトータルでかかります。

敷金
→家賃の保証として1か月~3カ月分を入居時に支払っておくもので、退去時の補修費用としても使われるものです。大きな損害がなければ基本的に退去時にはほぼ全額戻ってきます。

最近では、家賃1か月分の敷金である物件が多くなっていますが、中には3か月以上となる物件もあります。

敷金はオーナー(大家さん)に支払うものです。

礼金
→賃貸契約の際に初回のみ大家さんに手数料やお礼として支払うものです。最近では高くても家賃1、2か月分となり、礼金が発生しない物件は増えてきています。

地域社会とのつながりが強かった昔の風習として、大家さんにお中元やお歳暮代わりとしてお礼に支払っていたものが現在も残っているのです。

礼金は大家さんに初回手数料・お礼として支払うものです。

仲介手数料
仲介手数料は、賃貸契約の際に不動産会社に仲介料として支払うものです。

通常は家賃の1カ月分ですが、最近では半月分の仲介料も増えてきています。

前家賃
→この前家賃とは、入居が決まった際に翌月の家賃を支払っておくことをいいます。3月に入居であれば4月分の家賃を契約時に支払う必要があります。

前家賃はオーナーに支払うものです。

日割り家賃
→日割り家賃とは、入居した日からその月の終わりまでを日割り計算した家賃のことをいいます。3月15日に入居であれば15日分の家賃が日割りで計算されます。

日割り家賃はオーナーに支払うものです。

この5種類の費用が初期費用の基本となる内訳です。その他にもカギ交換代や衛生処理費用などが追加されるのが一般的です。

従って、敷金礼金が本当にゼロ円だったとしても、ほぼ確実に家賃の1か月以上の費用はかかることになります。

※交渉によっては前家賃や日割り家賃を無料にできる場合もありますが、基本的にゼロゼロ物件では難しいといえます。

敷金礼金ゼロ円は本当?

敷金礼金ゼロ円は本当なのかと疑問に思う人も多いでしょう。これは本当です。実際に敷金礼金ゼロ円で契約できる物件は増えてきています。

しかし、ここで勘違いしやすいのが、初期費用をゼロ円だと思ってしまうことです。

もし敷金礼金が本当にゼロ円だったとしても初期費用がゼロ円というわけではありません。

ゼロゼロ物件の場合は、本来払っていた敷金や礼金にあたる費用を、どこかで回収されている可能性が高くなります。

とくに、ゼロゼロ物件でさらに仲介手数料が安い場合は注意が必要です。敷金・礼金も必要ない、さらに仲介手数料も安いとなれば、それ以外の費用として初期費用にたくさん付けられる場合があります。

つまり、敷金礼金がゼロ円でも結局はそれなりに初期費用はかかるのが現実です。

数年前までは、入居時の初期費用は家賃5,6か月分が相場でしたが、最近ではトータル家賃3~3.5カ月くらいが一般的になっています。敷金礼金がゼロ円のゼロゼロ物件でも2.5カ月~3か月分くらいが平均的な初期費用です。

その他の費用

それでは、初期費用にはその他にも様々な費用が含まれていることをご説明していきます。

まず初期費用の基本となる内訳は、

  • 敷金礼金
  • 仲介手数料
  • 前家賃
  • 日割り家賃

の4種類があります。さらに、物件によってはその他の費用が追加される場合が多くなります。

カギ交換費用
こちらは、カギを交換するためにかかる費用にことです。通常は1万円~1万5千円くらい。

衛生処理費用
害虫退治として衛生処理を行う費用で、不動産会社や物件にもよりますが、1万円~1万5千円くらい。


清掃費用
部屋を入居できる状態に清掃する費用にことで、これも物件によります。1万円~1万5千円くらい。

ゼロゼロ物件の場合は、これらの費用に不動産会社の手数料や、大家さんの礼金替わりとなる費用が微妙に含まれている場合もあります。
ですから、このような処理は自分でするから必要ないと交渉しても、ゼロゼロ物件では、はずすことができないことも多くなります。

ということは、いくらゼロゼロ物件だからといっても、前家賃、日割り家賃、その他費用を含めて結局のところ最低でも家賃2カ月分以上はかかってしまうというのが実情です。

加入が必要なもの

さらに、物件によって加入必須となるものがあります。

  • 保証会社への加入 年間で1万5千円~2万円
  • 火災保険への加入 年間で1万円~1万5千円

もし、これらへの加入が義務づけられているとすれば、初期費用はさらに2,3万円追加されることになるのです。

というわけで、敷金礼金ゼロ円物件とは、あくまでも敷金・礼金が名目上はゼロ円だけど、その他の費用がかかりますよ、ということになります。

実際のところは、初期費用がゼロ円になる物件というのは無きに等しいと言っても過言ではありません。

※判断の目安としては、トータルで家賃2カ月分で初期費用が済む物件に出会えれば、かなりラッキーだと思っていいでしょう。(もちろん問題ありの物件かどうかリサーチは必要)

ゼロゼロ物件の落とし穴は?

以上、ご説明したように敷金礼金ゼロ円物件でも、それなりに初期費用はかかることになりますが、それでも一般的な場合と比べれば確かに初期費用を抑えていくことは可能となります。

しかし、初期費用に執着しすぎるとむしろゼロゼロ物件の落とし穴にはまってしまうこともあります。

では、このゼロゼロ物件の落とし穴とは何なのかを解説していきます。

家賃が高い!?

ゼロゼロ物件では初期費用で利益が得られない代わりとして、家賃が高い設定になっている場合があります。

似たような地域、似たような物件でも3千円~5千円くらい割高な家賃設定にすることで、大家さんが敷金ゼロ円設定に了承している場合があるからです。

その場合、結局のところ長期で考えていけば損することになります。

3千円×12カ月=3万6千円(1年間)
3万6千円×2年=7万2千円(2年間)

3千円割高の家賃を2年間払い続けたとすれば、敷金1か月分(2カ月分)に等しい費用を最終的に支払ったことになるのです。しかも、この費用は敷金として払ったわけではないので戻ってこない費用です。

退去時にお金は戻ってこない!?

敷金ゼロ円を条件に、結局その他の費用をいろいろつけられて、家賃1か月分相当がかかったとします。しかし、敷金以外で払った費用は退去時には戻ってきません。

そうだとすれば、その他の費用がかからない物件に、普通に1カ月分敷金(戻ってくる)を払った方が得だったということになります。

仮にそれが敷金2カ月分だったとしても、後で戻ってくることを考えれば、余計な費用がかからない物件の方が経済的だと言えるのです。

退去時に費用がかかる!?

仮に、敷金礼金ゼロ円で初期費用はトータルで家賃2カ月分くらいで格安に抑えられたとします。

しかし、この場合退去時に費用がかかる場合があります。

数年暮らした後では、どんなに注意して暮らしていたとしても、全く無傷で部屋の状態をキープするのは不可能です。どこかしら補修する部分が出てくるものです。

それらの補修代や清掃代として、退去時に費用を請求されてしまえば、結局のところ初期費用はお得ではなかったということになります。

保証会社・火災保険が必須!?

ゼロゼロ物件には、比較的にその他の物件に比べると、保証会社や火災保険への加入が義務づけられている場合が多くなります。

その場合、初期費用が増えるだけでなく、年間で必ず支払う生活費の金額が高くなってしまいます。
加入が必須でなくとも、火災保険は加入しておいた方が安心ですが、自分で自由に選べないというデメリットがあります。

保証会社への加入は、一般的には保証人が立てられる場合は通常は必要ありませんが、ゼロゼロ物件では保証人の代わりとして保証会社への加入が義務づけられる場合があります。

そうすると、長期で考えた場合は家賃の数か月分相当の費用を払っていることになり、結局は後で戻ってくる敷金を払っていた方が得だったということになるのです。

問題あり物件かもしれない!?

純粋に敷金礼金もゼロ円で、その他に費用もほとんどかからない格安物件があったとします。

そうなると正規の条件では借り手が見つからず、空室状態が長い物件である可能性があります。もしかすると、入居者や建物、周囲に問題ありの物件かもしれません。

例えば、誰でも格安で入居できることから、マナーの悪い入居人(騒音など)が多かったり、盗難が頻繁に起きる環境だったり、住居設備に不具合が多く対応が悪い物件であるかもしれません。

築年数が単に古いから安い物件なのか、駅から遠いから安い物件なのかなど、安い理由が何なのかが重要です。

違約金の特約が高い!?

こういった敷金礼金ゼロ円物件では、契約期間内での短期解約に対して、特別に高い違約金が設定されてある場合があります。

ゼロゼロ物件の中には、ネットやスマホの違約金ではありませんが、初期費用が安い代わりに契約期間内は家賃を払い続けて下さい、というのが前提です。もし、解約するなら高い違約金がかかりますよ、という契約になっているものがあるのです。

これは「短期解約違約金」というもので、通常の賃貸契約の違約金は家賃1か月分が相場ですが、違約金として2カ月分が請求金額として設定できることになります。

1か月分でもかなり大きな負担だといえるところ、2カ月分になれば多くの人にとって無理な負担です。
緊急の際には、この違約金が深刻な問題となってしまいます。

更新時の費用が高い!?

ゼロゼロ物件の中には、初期費用が安い代わりに更新料が高く設定されてある場合があります。
更新料は基本的に大家さんに支払うもので、更新料は家賃1か月程度、高い物件で2カ月分が必要になります。

更新料は、

  • 事務手数料だけの場合
  • 家賃1か月分の場合
  • 家賃2カ月の場合
  • 家賃〇カ月分にプラス手数料

などと様々です。

もし、そのゼロゼロ物件が保証会社と火災保険が必須であれば、同じ時期に更新が必要となります。つまり、更新時には通常よりも高い費用がかかる可能性があるのです。

悪質な保証会社がある!?

ゼロゼロ物件でたまに聞くのが、家賃滞納の取り立て方法が悪質な保証会社があることです。もちろん、もともと家賃を滞納する住居者の方が悪いのは明らかですが、状況によっては家賃の支払いに遅れることもあり得る話です。

しかし、その滞納した家賃を取り立てる側にも、いくらなんでも行き過ぎだと言える場合があります。通常は、滞納する場合は理由を管理会社や大家さんに説明して待ってもらいます。(常識的には1か月以上の滞納はマナー違反です)

ところが保証会社によっては、ほんの少しの滞納にも厳しく対応してくる場合があり融通が利かない場合があります。ひどいところになると、借金を強要したり、家族への嫌がらせをしたりで裁判沙汰になったケースもあります。

そのゼロゼロ物件では保証会社は何処なのか、悪質な業者が関わっていないかのリサーチは欠かせません。

初期費用の注意点

Woman
必ずしも敷金礼金がゼロ円であればお得だというわけではないみたいね。実際に初期費用を安く抑えていくためには、どのような点に注意すればいいの?
Expert
それでは、初期費用を安く抑えていくための注意点を確認しておきましょう。

礼金

敷金礼金で最も要らない費用と思えるのが礼金です。

これは、昔のしきたりに沿った費用であり、地域社会でのつながり上、日常生活をお互いに円滑にしていくために支払われていた費用です。実はこの礼金が存在するのは日本だけ。地主が人々の生活を守っているという、封建時代の考え方に基づいたものです。

民主主義を基盤とし、ここまで一般大衆の生活水準が発達した国において、今だに礼金の存在があること自体が疑問です。

今となってはこの礼金は時代おくれの風潮として否定的に見る人の方が増えています。礼金は支払う必要がないという前提で部屋を探すことが21世紀のスタイルです。

敷金

敷金に関しては、今回ご説明したように、支払った方がお得な場合もあります。ただし、戻ってくることが前提です。

敷金が戻ってこない場合とは、

  • 部屋の設備等を破損して修理費がかかる
  • クロスや床の張り替えが必要
  • 清掃に費用がかかる

場合などが考えられます。どのような場合に敷金が戻ってこないのか、最大限でどの程度の敷金の返還が可能なのか確認するようにしましょう。

敷金を支払う場合でも、近年の相場は1、2カ月です。

その他の費用

カギ交換、衛生処理、清掃などのその他の費用に関しては、自分ですれば費用は半額~3分の1以下に抑えることが可能です。その他の費用に関して交渉は可能かどうかを確認するようにしましょう。

ゼロゼロ物件の場合は、その他の費用がぎりぎりまで明確にされない場合があります。最初に絶対にかかる費用はいくらなのかを確認して、トータル的にお得なのかどうかを判断することが大切です。

火災保険はいずれにして加入するつもりだったのか、また、連帯保証人は用意できるのかなどによって、火災保険や保証会社にかかる費用を節約することも可能です。

家賃

常にその周辺のその他の物件と家賃を比較していくことが重要です。

家賃が高いと思える場合は、なぜ高いのか、また家賃が安いと思える場合はなぜ安いのか正当な理由を探すようにしましょう。理由もなく家賃が高い、家賃が安い物件は、何らかの隠れたリスクが潜む可能性があります。

現時点の家賃の交渉は可能か、将来的に可能かどうかも確認するようにして下さい。初期費用や建物の環境などで不満な点をいくつか挙げてみるだけで、家賃交渉が提案される場合もあります。

更新料

日本の特殊な不動産事情において、疑問視されつつあるのが、礼金に加えて更新料の存在です。この更新料も昔の地主制度の名残りから引き継がれている不可解な費用の1つです。

最近では、国内でやっと目覚めたグローバル化や賃貸需要の低下に従って、更新料は次第に低下・消失している傾向にあります。

家賃1か月以上の更新料がかかる場合は、検討・交渉してみる必要があると言えるでしょう。

保証会社

ゼロゼロ物件では、保証会社は必須であり、その他の物件でも保証会社への加入を必須とする場合があります。

先述のように、稀にではありますが悪質な保証会社も存在します。

その保証会社がどんな会社なのかネットで調べておきましょう。どこの情報にも出てこないような無名の保証会社とは契約しない方が無難です。

※大家さん向けの保証会社検索サイトで一般的に利用されている保証会社について調べることができます。

※以下のサイトでは引っ越しを機に住居費を節約する方法がご覧頂けます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回はゼロゼロ物件は本当に敷金礼金がゼロ円なのか、そして、ゼロゼロ物件に隠れた落とし穴などについて、以下のように・・・

  • 敷金礼金がゼロ円の物件はある
  • 敷金礼金ゼロ円でも初期費用がゼロ円になるわけではない
  • その他の費用が高くなればゼロゼロ物件もお得だといえない
  • 後で戻ってくる敷金を払った方がお得な場合もある
  • ゼロゼロ物件には落とし穴がいくつかある

などを解説していきました。そして、最後に初期費用を抑えていく注意点をまとめておきました。

入居時の初期費用は、賃貸住宅で暮らす人にとって苦労する出費の1つであると言えます。今回の記事を、少しでも安い初期費用、条件のいいゼロゼロ物件を探す際にどうぞお役立て下さい。

 

 

 

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