もうお金オンチとは言わせない!金融の基本

そもそも金融とはいったいなんだろう?

現代に生きるみなさんは当然、手持ちのお金以外の資金で何かを購入した経験があると思います。例えば、クレジットカードを使用して買い物をしたり、貯まったポイントで景品と交換したり、ローンを組んで車や住宅を購入したり、といったことです。ほとんどの人がこうした経験を持っているはずです。

今、どうしても欲しい服があったとします。セールは今週で終わってしまうけど、給料日は来週で今はキャッシュがほとんどない。といった場合に、例えばクレジットカードを使うことで、その場で商品を手にいれることができます。店で使った金額は、インターネットで確認し、引き落とし日に代金の支払いを済ませればいいのです。こうしたことが可能なのは、クレジットカード会社が購入した商品の代金を一時的に立て替えてくれるからです。つまり、私たちは商品の代金を借りたお金で支払ったのです。

ほんの一例ですが、このように、お金に余裕のあるところからお金が不足しているところへ融通することで、経済の流れをスムーズにする仕組み金融と言います。

もし、金融がなかったら?

もし仮に金融という仕組みがなかったとすると、自分が持っているお金の範囲の中でしか買い物ができなくなってしまいます。これによって企業は、将来の売り上げを見込んだ設備投資などができなくなるので、生産拡大を図ることも難しくなります。国や都道府県、地方公共団体もインフラ整備などの大型投資ができなくなったりするでしょう。つまり、経済発展が遅れ、やがて経済は停滞していくでしょう。

金融の仕組みが存在するからこそ、経済が順調に発展し、私たちの生活水準も向上してきたと言えるのです。

お金の役割

もしお金がなかったら?

もしも、この世界に通貨がなかったとしたら、欲しいものがあった時にどうすれば良いのでしょうか。まず1番に思いつくのは、欲しいものを持っている人と自分が持っている何かと交換することでしょう。これはうまくいけば一番楽ですが、果たしてこれが簡単にいくでしょうか。

この交換にはまず、自分の持っているものの中に相手が欲しいと思うものがなければなりません。自分が欲しいと思っているものを持っている人に出会っても、相手が交換してくれない可能性もあるということです。

それからまだ問題点はあります。交換しようとしているものが食べ物だったらどうでしょうか。一度にたくさん交換してしまうと数日では食べきれずに腐ってしまうかもしれません。そうなるともう誰も腐ったものとの交換には応じてくれるわけがありませんので、無駄になってしまいます。また、毎回魚2匹とジャガイモ10個と交換、貝10枚と人参5本などと交換する量や数をそのつど決めるのは大変な労力になります。

こうした問題を解決するために生み出されたのがお金です。

お金が果たす3つの役割

一つ目は、価値貯蔵手段です。お金は、貯蓄することで、将来に備えてお金の価値をたくわえることができます。

お金は、モノと違って腐ることがありません。貯めておけば、いつでも好きなときにモノと交換することができます。たくさん貯めておけば、高価なモノと交換することもできます。このように、商品を購入せずに貯めておけるお金のことを貯蔵貨幣といいます。お金の価値は明日になっても変わらないので、貯蔵手段になります。これが、貨幣の価値貯蔵手段としての役割です。

二つ目は、交換・支払い手段です。お金は、交換を行う時の支払手段として利用できます。

物々交換の時代には、お互いの品物が等価値でないと交換できませんでしたが、貨幣を使うことで、いつでも好きな品物と交換したり、決済したりできるようになりました。

このように、貨幣は、モノとモノとの交換を媒介しています。これが、貨幣の交換手段としての役割です。

3つ目は、価値の尺度を明らかにする役割です。お金は、あらゆる品物に値段をつけることで、モノの価値をあらわします。

物々交換の時代には、例えば魚3匹とみかん8個を交換するなど、モノの価値があいまいで統一性がありませんでした。しかし、貨幣を使うことでモノの価値を同一の尺度ではかることが可能になり、1つ1つのモノの価値を明確に捉えられるようになりました。

このように、貨幣は、モノの価値をはかる基準として使われています。お金によって、モノの価値を比較したり、判断したりすることができます。これが、貨幣の価値の尺度としての役割です。

金利はなぜ付くのだろうか?

お金を借りたら、利子、つまり金利をつけて返すのが常識になっていると思います。ちょっとした家族や友達間での貸し借りなら金利はつかないこともありますが。では、銀行などからお金を借りるときはなぜ金利をつけて返さなければならないのでしょうか。これは、お金を貸す側にとってメリットになるからです。お金を貸す方は、金利をもらえなければ、お金が返ってこないかもしれないリスクだけを背負うことになります。これではお金を貸す人は、一人もいないでしょう。そこで、お金を借りた人は、貸した人に対して金利を上乗せして支払うことになっているのです。これで、お金を借りる人、お金を貸す人、双方にメリットが生まれることになります。

金利は需要と供給の関係の変化で動く

わかりやすい例を挙げると、横浜スタジマムで横浜ベイスターズの試合があって、そのチケットがオークションに出品されているとします。通常の方法で買いそびれたファンなら定価より高値でも購入するかもしれません。しかし、仮にこのチケットがたくさん販売され、簡単に手にいれることができるとすると、オークションに出品しても価格は上がらないでしょう。

金利もこれと同じようなことが起こります。お金を借りたい人(需要)がたくさんいるのに対し、お金を貸す人(供給)が少なければ金利は上がります。逆に、お金を貸す人がたくさんいて、お金を借りたい人が少ない場合には金利は下がります。

また、一般的に金利は、好景気の時に上がりやすいという特徴を持っています。これは、景気が良い時には企業が事業を拡大させるために資金を調達しようとしてお金を借りるためです。つまり、借りたい人が増えます。逆に景気が悪くなると、企業は無駄な費用を削減しようとしてお金を借りようとしなくなります。つまり、借りたい人が減るので金利は下がります。このように金利は、借りたい側と貸したい側(需要と供給)の関係で決まります。

代表的な金融市場

金融市場は、金融取引の期間による分け方で大きく2つに、外国為替市場やリスク回避のための金融派生商品市場を含めると大きく4種類に分けることができます。

まずは、期間による分け方を解説していきます。金融市場においては、取引期間が一年未満のものを短期金融市場といい、一年以上のものを長期金融市場と言います。長期金融市場は、国債や社債などの債券が取引される債券市場と、株式が取引される株式市場の2つに分けることができます。

また、短期金融市場は2つの市場に分けられます。短期金融市場には、金融機関のみが取引を行うことができるインターバンク市場と、金融機関以外も参加可能なオープン市場があります。インターバンク市場の代表的なものには、コール市場と手形市場があります。コール市場とは、民間の金融機関の間で短期間の資金のやり取りをするために使われる市場のことです。また、手形市場では、優良企業が振り出した手形を金融機関の間で売買し、資金をやりくりする取引が行われています。ちなみに手形とは、満期日に支払いが約束された有価証券のことです。手形市場は、コール市場に比べて、期間がやや長めの資金調達手段として使われています。

オープン市場の代表的なものには、短期割引国債市場や政府短期証券市場といった政府の短期的な資金調達を行うものや、譲渡性預金を取引するCD市場があります。

日本銀行の役割

金融のお金の流れで重要な役割を担うのが、日本の中央銀行である日本銀行や、政府組織です。ここでは、普段の生活では馴染みの薄いこれらの役割について解説していきます。

日本銀行の3つの役割

日本銀行には3つの役割があるといわれています。その日本銀行の3つの役割とは、日本銀行券を発行すること」「通貨の価値を安定させること」「金融システムを支えて安定させることになります。日本銀行は国の中央銀行として、日本の経済や、市中銀行などの金融機関の良好な運営を守る使命があります。そのために様々な活動が行われています。

日本銀行の3つの役割とは、まず第一に紙幣が発行できる銀行券を発行するという役目があげられます。日本や世界の経済を見通し、政府と意見のすり合わせを行いながら、金融政策にともなう紙幣の発行業務を決めます。日銀の追加金融緩和がきっかけで、株高と円安が進んだ事例などは特徴的なエピソードといえます。

そして日本銀行の3つの役割の2つ目が、物価の安定を図り、国民経済の発展に資することです。日本経済が極端なインフレーションやデフレーションにならないように、金融政策という方法で物価の安定を図り、経済を混乱させないようにする役割があります。

最後に、3つの役割の最後です。まず、「政府の銀行」として、日本銀行では国の事務を行っています。国から国民に請求される国税や社会保険料などのお金の受け払い先は、日本銀行になっています。その際に使われる納付書類は、日銀の本店で機械に読み込まれた後、該当の省庁へ納付金額をまとめた書類として送られます。ほかに、国際金融にかかわる事務として、外国為替相場の安定を図るために為替介入も行います。

そしてもう一つ、「銀行の銀行」とも呼ばれています

「銀行の銀行」とよばれているのは、日本銀行の中に、みずほ銀行などのメガバンクや地方銀行など、市中銀行の金融機関の口座が作られているためです。その口座は日銀ネットで、日銀と金融機関間の決済オンラインシステムが組まれています。さらに、金融機関の経営を把握するために、直接各銀行に出向いて立ち入り調査をしたり、聞き取りのヒアリングで経営分析を行っています。調査の結果は、分析をまとめた書類を月報や日銀短観といった形で発表しています。

インフレ・デフレとは

インフレーション=物価(さまざまな物の価格)の持続的な上昇

        =さまざまな物の価格が上がり続ける現象

デフレーション=物価(さまざまな物の価格)の持続的な下落

       =さまざまな物の価格が下がり続ける現象

要するに、インフレーション(インフレ)の場合には、さまざまな物の価格が、どんどん上がり続けていくというわけです。これは、あなたの身の回りで売られている商品の大部分が値上がりし続けるような現象になります。例えば、衣料品・本・食品・プラスチック製品・薬品・化粧品・家電製品・土地など、ほとんどの商品がどんどん値上がりし続けるような現象を指します。しかも、そうした値上がりが何年も続き、数年間で価格が何倍にも上がる場合さえあります。
デフレーション(デフレ)の場合は、その逆になります。あなたの身の回りで売られている商品の大部分が値下がりし続けるような現象を指すわけです。

平成生まれの方は、本格的なインフレーションは起こったことがないので、イメージしにくいかもしれませんね。デフレーションの方は、やや小規模にですが起こっており、身の回りの商品がいろいろと値下がりしたのを経験したことがあると思います。なお、こうしたインフレーションは好景気のときに、デフレーションは不景気のときに起こるのが普通なので、インフレーションとデフレーションは次のように説明することもできます。

インフレーション=好景気のときに起こる、物価の持続的な上昇

        =好景気のとき、 さまざまな物の価格が上がり続ける現象

デフレーション=不景気のときに起こる、物価の持続的な下落

       =不景気のとき、さまざまな物の価格が下がり続ける現象

インフレのときは、「農産物を売るときに高く売れる」、デフレのときは「農産物を売るときに安くしか売れない」ということがありますが、これも好景気・不景気と関連があると言えます。
好景気+インフレのときには、農産物を買う方の人の収入も増え、農産物を買うのに多くのお金を使う余裕も出てきます。高くても買いたいという人が多く出てくるので、農産物の価格は上がります。不景気+デフレのときには、それとは逆の現象になります。

インフレ・デフレの時の通貨供給量については、紙幣の増発と関連づけて考えるのがよいでしょう。

通貨の代表は、現在の一万円札のような、紙幣です。そして現在の日本では、日本銀行が千円札・一万円札などの日本銀行券の発行をしっかりと管理しています。そして、安易に紙幣を増発するようなことは決しておこないません。

しかし、例外もあり、1880年頃の日本では、政府や銀行が勝手に不換紙幣をつくり、それをどんどん増発するようなことがおこなわれていたのです。

紙幣が大幅に増発されてしまうと、インフレーションが発生します。

例として、政府が紙幣を勝手に増発し、その紙幣を使って高速道路を作ったと仮定してみましょう。そうすると、工事代金として紙幣が工事会社に渡ります。工事会社に渡った紙幣は、給料やボーナスなどの形で、会社で働く人々に分けられます。そうして以前よりも多くの給料を手にした人々は、以前よりも多くの買い物をし、その代金が買い物をした店に渡ります。こうしたことを繰り返していくと、以前よりも多くの紙幣が一般の人々に行き渡ります。そして、以前よりも多くの紙幣を持つようになった人々は、以前なら余裕がなくて買えなかった物も買おうとします。そうすると、商品の方が足りなくなっていきます。ある商品が不足している状況でも、その商品がないと困る人は、「定価よりも高いお金を出すから売って下さい」と頼むようになります。そうすることが繰り返されると、さまざまな物の価格が次第に上がってしまいます。すなわち、物価が上がり続けていくというインフレーションが発生するわけです。

このような形で、通貨供給量を増加させると、インフレーションが発生し、逆に通貨供給量を減少させると、デフレーションが発生するわけです。

ここで紹介した内容は金融の本の一端です。金融とは私たちの社会を絶え間なく巡り続けるお金の流れとそれに関連することの総体です。現代社会では、お金を使わずに生活することが不可能であるように、金融に関わりなく暮らせる人もいません。このような時代において金融の仕組みや金融商品を知っておくことは非常に意義のあることだと思います。金融は、私たちの生活の身近なところにあり、例を挙げると預貯金、株式、保険、住宅ローン、年金など枚挙にいとまがありません。

金融を知ることは、経済の仕組みを知ることであり、また、世の中のお金の流れを知ることができます。資産形成やビジネスにも役に立ってくれることでしょう。

白井 貴也
白井 貴也
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1996年生まれ、神奈川県在住。金融業界歴6年、ファイナンシャルプランニング技能士。独立系FPの立場からの中立な意見で、皆様の役に立つ情報を伝えていきます。

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