3大貴金属に投資をしよう!

貴金属で最も一般的な投資対象は「金」です。「有事の金」と呼ばれ、株式市場が下落の時にヘッジとしての効果があります。ただし、逆に言えば株式市場が好調の時は軟調な動きとなって今います。株式+金という戦略もありますが、貴金属だけで考えれば、金+他の貴金属(プラチナ・銀・パラジウム)という戦略もあります。

今回は、金投資と共に他の貴金属の用途や値動き、投資のコツを解説していきます。

金の特徴と魅力

それでは、金の特徴を見ていきましょう

  • 希少な資産

世界中で精錬された「金」の地上在庫は、約19万トンしかありません。金を含んでいる金鉱石1トンから、金は3グラムしか取れないのです。現在の推定可能な採掘埋蔵量は5.4万トン。年間生産量を3,200トンとすると、約17年で掘りつくされてします計算になります。

新たな鉱山の開発も行われていますが、膨大な時間やコストがかかるため、金の量を簡単に増やすことはできません。

  • 価値が変わらない

株や債券などは、発行する企業や国の信用によって成り立っているので、発行元の信用リスクというのが常につきまといます。倒産や破綻などが起こると紙くずになってしまう可能性もあるのです。しかし、金は発行元がないことから信用リスクがなく、世界中でその価値が認められています。人類の歴史上一度も無価値になったことはありません。

  • 品質が変わらない

金は酸化したり腐食したりすることがありません。特殊な溶液でなければ溶けることもありません。たとえ溶けたとしても、固まれば金であることに変わりはなく、数百年・数千年経ってもお金であり続けることができるのです。

  • 有事に強い

2008年のリーマンショックの時は、世界中のあらゆる資産が大暴落する中で、安全資産である金の価格はすぐに回復しました。株式などで大きく負けても、金のおかげで資産価値全体の損失をカバーすることができたわけです。戦争やテロなどの地政学リスクの高まりが起こると、政治や経済が混乱して、世界経済の先行き不透明感が強まることから、株や債券・通貨などは下落します。このような地政学リスクやリーマンショックやギリシャやショックのような経済的な金融危機の時も、信用リスクのない無国籍通貨の金には買いが集まります。

  • インフレに強い

金はインフレに強いことでも知られています。インフレとは、持続的な物価上昇のことで、相対的に通貨の価値が下落することを意味します。金は「モノの代表」で、インフレヘッジのため投資先として買われることから、インフレに強いと言われています。

一方、デフレの時は金の価値が下がりますが、デフレが進行して経済の悪化が顕著になると企業や国家の信用不安が高まることから、株や債券通貨などの資産価値が下落するため、破綻リスクのない金が買われる傾向にあります 。

  • 金利がつかない

金は発行体がないため、債券や預金のように金利がつきません。ただし、信用リスクがないため債務不履行(デフォルト)になることもありません。

このような性質から、金はドル相場と逆相関の関係にあります。米国金利が上がりドルが強ければ金価格は下がり、米国金利が下がると相対的に金の魅力が増すので、金価格は上昇します。マーケットにおける金価格の決定要素として、最も重要なのは米国金利の動向だといえるでしょう。

金の主な用途

金の用途を確認しましょう。

  • 宝飾品

宝飾品としての用途が最も多く、半分以上を占めています。これに個人の投資を加えると、全体の80%以上を占めます。金の価格に大きな影響を持っているのは、個人の投資需要なのです。特に、インドや中国の購買量が多く、金の年間生産量の7割を占めます。

  • 電子部品

産業用の金需要は約10%となっています。うち、エレクトロニクスが3分の2、歯科・医療が3分の1となっています。金は耐久性や誘電性に優れ、パソコンや携帯などの電子部品にも不可欠な存在となっています。

また、歯科や医療でも金は使われています。昔から歯科素材として金は多く使われています。しかし、近年はセラミックの使用が増え、金の歯科需要は減りつつあります。一方、他の医療分野で金を活用した研究が活発に行われています。

金は耐食性に優れ、人体への影響も小さいからです。がん治療の研究などにも金が利用されるようになってきており、医療技術がさらに進めば、金需要はより伸びていく不可能性が高いと考えられます。

金の主要産出国

続いて、金の主要産出国を確認しましょう。(2016年)

①中国

②オーストラリア

③ロシア

④米国

⑤インドネシア

多少の順位変動があるものの、世界の金の中心は中国となっています。金の生産と需要の両面で存在感を高めています。20年前は200トンにも満たなかった生産量は毎年増え続け、2007年には南アフリカを抜いて世界一になりました。

2016年の生産量は450トンを超え、オーストラリアの290トンを大きく引き離しています。ただ、これだけ生産が増えているにも関わらず、国内需要に全く答えられていないということが注目されます。

中国は長い間金の民間保有を原則禁止していましたが、21世紀になって金投資を推進してきました。その結果2013年には需要量が1,345トンと初の1,000トン台を記録。それまで20年以上にわたってトップだったインドを抜いて世界最大の需要国となりました。

2016年の生産量は410トン。需要は913トンあり、差額が460トンあります。足りない分は他国から輸入するしかないというのが現状です。

金投資の方法

金投資の方法として、主に次の三つがあります。

①純金積立

純金積立は、申し込みをしておけば毎月定額もしくは定量で自動的に金を購入してくれる方法です。通常1,000円~3,000円から1,000円単位で積立ができます。株式や投資信託などと同じように、インターネット経由で純金積立の申し込みができる業者も増えてきています。

手数料は売り買いの売買手数料がかかる他、保管手数料がかかる場合もあります。購入手数料は2.5~3.5%程度なので投資信託(0~2%)や金ETF(0~0.1%) よりも割高になります。

②投資信託

投資信託は、証券会社や銀行といった金融機関で少額から購入することができます。最近ではネット証券などで最低購入金額が100円の証券会社もでてきました。

一方で、金の投資信託を購入したとしても、現物の金に交換することはできません。また、販売時の手数料のほかに、保有するコストとして信託報酬が年率0.5~1%程度かかります 。

③金ETF

ETF は上場投資信託と呼ばれ、証券取引所に上場している投資信託です。一般の株のようにリアルタイムで取引することができます。金の投資信託と同様に、金現物のような盗難リスクがなく、証券会社や管理会社が破綻しても投資家の資産は守られます 。

また、売買手数料は株と同じなので、ネット証券を利用したら安く済み、信託報酬などの保有コストも一般の投資信託より安いというメリットがあります。一方で、 ETF は自分で売買する必要があり、投資信託や純金積立のように毎月の自動積立を選ぶことはできません。投資判断を自分で行いたいという投資家向けの商品です。

白金(プラチナ)の特徴と魅力

白金(プラチナ)は、今から約26億年前に地球と衝突した隕石に含まれていた成分といわれており、採掘できる量も限られていることから、希少価値は金よりも数十倍も高いと言われています。金についで宝飾品としての人気も高くなっています。

プラチナの用途

現在地球上のプラチナの半分以上は工業分野で利用されています。主な用途がディーゼル自動車の排ガスの浄化触媒です。点火プラグや排気センサーに使われ、燃料電池への利用も盛んになっています。プラチナの特性上地球環境に優しい最先端技術への活用が期待されているため、今後も需要は拡大していくと見られています。

しかし、プラチナは宝飾品のイメージも強いのではないでしょうか。指輪やネックレスなどの一部分として使われ、その代表的なものとしてダイヤモンドのジュエリーが挙げられます。プラチナが持つ色や光沢は、宝石としてのダイヤモンドの特徴と一致しており、自然的に調和されるものだからです。プラチナはダイヤモンドを支えられる唯一の貴金属であるという評価もあります。

近年では投資商品としても知られています。金や銀などに比べて比較的新しい投資商品なので、プラチナ投資の市場規模はまだ小さいと言われています。プラチナの産出国の情勢によって大きく価格変動する傾向もあります。

大きい価格変動から考えるとプラチナは金に比べてハイリスク・ハイリターンな商品です。基本的に短期的に売買するのにおすすめの貴金属です。しかし、今後プラチナの希少性や貴重価値を考えると、現物資産としてだけでなく、安定性のある投資資産として評価される日が来るのではないでしょうか。

プラチナの産出国(2016年 キログラム)

1位 南アフリカ 133,241

2位 ロシア    23,000

3位 ジンバブエ  14,900

4位 カナダ    12,600

5位 米国     3,890

金と並んで希少価値があるプラチナですが、有史以来金の3%以下に値する約5,000トンしか産出されていないという、より希少なレアメタルです。現在でもその産出量はリサイクル分を入れても年間230トン。金の1/10以下しか産出されていません。

プラチナの産出国の世界一は南アフリカで、2016年で 133トンと世界産出量の約3/4を占めています。南アフリカのブッシュフェルトという場所にある団体の中にプラチナなどを多く含む数十センチの地層が発見されたということが大きな影響を及ぼしています。

第2位はロシアです。産出量は23 トンほどですが、南アフリカとロシアで産出量の90%近くを占めています。

このようにプラチナの産出に関しては、南アフリカとロシアに頼り切っている状態なので、この2カ国に何か起きた時はプラチナの価格は高騰することがあります。例えば、2000年にはロシアが輸出を停止。南アフリカは2008年に電力供給不足の問題が表面化し、プラチナの産出が懸念されたことがあり、プラチナ価格の高騰を引き起こしています。この2カ国の影響というのが相当大きなものになっているのです 。

また、用途となるディーゼル車の主な市場はヨーロッパです。ヨーロッパ経済が低迷傾向にある時がプラチナの買いチャンスです。逆に、南アフリカの鉱山ストライキで上昇した際は売るというシンプルな戦略が使えます。

白金(プラチナ)を取引するには

プラチナの投資としては、現物買い、 ETF投資、プラチナ積立の3種類が主にあります。値動きが激しいので、初心者にはプラチナ積立がおすすめです。ただ投機と割り切って ETF で売買してもいいでしょう。

プラチナの価格を予想するには、ロシアと南アフリカの動向に注目です。この二ヶ国にプラチナ生産が集中しており、世界の90%以上を占めています。特に南アフリカでは頻繁に鉱山ストライキが発生しており、そのたびにプラチナ価格が高騰するからです。

プラチナの特徴は希少性です。それゆえ価格が大きく動く傾向があります。ハイリスク・ハイリターン商品だと考えるようにしましょう。

銀(シルバー)の特徴

銀に関しては、アクセサリーや銀器などが連想されます。金(ゴールド)と比べて価格が非常に安く、価格は1/50から1/80程度です。売買の指標となるのが、金価格との対比です。金価格と銀価格は60対1が標準。それより金の比率が大きくなったら銀は割安で買い時。小さくなったら割高で売り時と判断します。

ただし、銀は金と違い基本的にリサイクルをされることはありません。そのため長期的には在庫量が減っていくと予想する投資家も多く、将来の上昇を期待して購入する人が多くいます 。

銀は宝飾品のイメージが強いのですが、約6割は産業用となっています。貴金属の中でも電気伝導率や熱伝導率が高く、スマートフォンや太陽電池などの部品に使用されているからです。

ですから、景気が良くなって産業が活発化すると銀の需要は伸びると考えられています。中国人や米国人が好んで投資対象として売買していて、日本では貴金属投資といえば金(ゴールド)ですが、米国では銀(シルバー)を最初にあげる人が多く、大きく値段が動くことがあります 。

銀主要産出国(2015年)

1位 メキシコ

2位 中国

3位 ペルー

4位 オーストラリア

5位 チリ

実は17世紀初頭の日本の銀輸出高は、世界の産出量の3~4割にも達し、銀の産出量では、当時最強の国力をもっと誇ったスペインに匹敵する実力を持っていました。現在は、メキシコが主要産出国となっており、2位中国、3位ペルーとなっています。

銀を取引するには?

銀の投資方法としては、「現物買い」、「 ETF 買い」、「銀積立」の3種類があります。ただし、現物の銀は空気に含まれる物質に反応しやすく黒ずむことがあるので、保有コストを考えると割高になってしまいます。

手数料が割安な銀ETFを利用するのもいいと思いますが、市場規模が小さいので金よりも値動きが激しいのが特徴です。ですから、銀は金よりも売り買いのタイミングを掴むのが難しいといわれています。価格変動リスクがあるということは、大きな利益を狙える一方、損失も膨らむ可能性があるので注意するようにしましょう。

一番のおすすめは純銀積立になります。純銀積立とは、毎月一定額の銀を購入していく方法です。少額から投資できることや、価格変動リスクを抑えることができるというメリットがあります。

最低投資金額は3,000円程度から始められるため、初心者の方や少額から銀投資をしたいという投資家におすすめです。また、一度自動積立の設定をすれば、あとは毎月自動的に引き落としがされるため、面倒な手間がかかりません。

まとめ

貴金属投資で一番メジャーな投資先は金です。株式など金融資産と逆相関の動きがあるので、資産を守る効果があります。ただ短期的な戦略としては、金で資産を守りながら値動きが激しいプラチナや銀で短期トレードをするのも良いでしょう。

特にプラチナは産業需要がメインです。主な用途は自動車の排気ガスを浄化する際の触媒。つまり、車が売れるような景気が良い時に上昇します。ですから、景気がいい時は金価格が軟調なので、そのぶんプラチナの上昇で利益を狙うこともできます。

ただ、貴金属は金利がつかないので、資産に占める割合としては上限10%程度が目安となります。金は長期で保有するのが基本で、他の金属は短期売買です。金をメインにしながら、他の貴金属はサブの位置づけとなります。

ただ、投資信託や ETF など様々な金融商品が増えています。手軽に投資できるという点で、このような金融商品から取引を開始してみてはいかがでしょうか。

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一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト、デリバティブディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴は20年以上。現在は、日経225先物を中心に現物株・FX・CFDなど幅広い商品に投資しています。保有資格:証券外務員1種

ブログ:先物オプション奮闘日誌 http://yanta.cocolog-nifty.com/

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