よくわかる!債務整理の無料相談で何をしているのか、上手に弁護士・司法書士を利用するための方法

借金の問題に困っている場合には債務整理をするとなんとかなる、ということがインターネットやポスティングされるちらしに載っており、「気にはなっているが実際に相談するとなると気が引ける」という方も多いのではないでしょうか。

 

Expert
債務整理というものが何をするもので、無料相談自体がどんなものなのかを知れば相談は怖くなくなりますよ。

このページでは、債務整理の無料相談で何をしているのかをお伝えします。

 

債務整理が何をしているのか

まずは、そもそも「債務整理」というものがどのようなものなのかを知りましょう。

債務整理は特定の手続きの名称ではなく、自己破産・個人再生・任意整理といった手続きをまとめたものを「債務整理」と便宜上呼んでいます。

自己破産とは、債権債務を調査した上で、債務を0円にしてもらって経済的な再生をはかる手続きで、裁判所への申立の上で行います。

個人再生とは、債務を1/5程度に圧縮して、残った金額を3年程度の分割にして支払っていく手続きで、裁判所への申立の上で行います。

任意整理とは、債務の総額や支払い条件について、債務者に有利になるように交渉して条件をかえてもらうように消費者金融等の金融機関に働きかけ、分割して弁済を行っていくものです。

その他にも特定調停という債務に関する話合いを裁判所の調停で行ったり、払いすぎていた利息を取り戻す過払い金請求という手続き、相続した財産を引き継がないようにする相続放棄という債務整理に属する手続きがありますが、メインは上記の3つの手続きになります。

債務整理は、「法律事務」になるので、弁護士法により、弁護士と司法書士の中でも特定司法書士の資格を持っている人のみ依頼を受けることができます。

相談自体は自治体の法律相談などでも行っておりますが債務整理を請け負うことができるのは弁護士・司法書士だけなので注意をしましょう。

債務整理にも複数の手続きがあるのですが、どの相談者にどの手続きが適しているかは、

  • 債務の総額がいくらなのか
  • どのような借入の仕方をしているのか
  • 家計の状況を鑑みて無理なく借金返済ができる金額がいくらなのか
  • どのような資産を持っているのか
  • どのような職業についているのか

といった事情を総合的にみながら決定していくのが通常です。

債務整理の無料相談では、上記のようなことについてを弁護士・司法書士が相談者から聞き取りをして、現在の状態から察するに3つの手続きのうち、どの手続きが適しているかを相談者につたえるのが主な内容となります。

 

Woman
相談で伝えてもらった結果がいまいち納得がいかない場合には、契約をせずに別の弁護士・司法書士に相談しに行くことはできますか?
Expert
はい、可能です。ただ、たとえば5社の任意整理を2社はA法律事務所・3社はB法律事務所に依頼する、といったことはできないので注意をしましょう。

債務整理の無料相談の流れ

 

では、債務整理の無料相談がどのような事に進むのでしょうか。

Expert
債務整理の相談に関しては、ほとんどの事務所でやり方が統一されています。すこしシステマティックに感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、弁護士・司法書士は毎日たくさんの無料相談を受けているので協力してあげてください。

相談では

 

  • 債務に関する情報を整理
  • 収支に関する情報を整理
  • 資産に関する情報を整理

といった順番でですすんでいくことになりますので、個別に見ていきましょう。

債務に関する情報を整理する

まずは、債務に関する情報を整理をします。

ほとんどのケースで、弁護士や司法書士が直接担当するか、情報を整理する段階では事務員さんの中でもパラリーガルと呼ばれる事務員が担当することがあります。

Expert
それでは、私のほうから債務に関する内容についてお伺いしますね。まず、どちらから借り入れをしているか教えてください。
Man
A社・B社・C社です。

 

Expert
他に住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードなど、支払わなければならないものはないですか?

 

Man
D社から自動車ローンの借り入れをしており、自動車には乗っています。生活に必要なので債務整理をしたくないのですが…

 

Expert

 いったんはすべての債務について教えてください。D社は債務整理の対象に含まないでほしい希望は承りました。

まずは債務に関する事項について、弁護士・司法書士からの問いかけに答える形で無料相談が始まることになります。

どこから借りているか、ということについては、債務整理の対象にしたいものだけではなく、債務として存在するものについてはすべて申告するようにしましょう。

これはなぜかというと債務者の中には同じ系列のグループに属するような場合もあり、このような場合は1社に債務整理をすることにより他社に影響を与えてしまう場合もあるのです。

Expert
いちばん多いのが銀行の債務を債務整理した場合に業務提携をしていたり、子会社の関係にある消費者金融に債務がうつるようなことがあり、その会社への借り入れについては債務整理しないと決めても、債務が移ることによって債務整理をやっぱりやめます、という事は言えなくなるのです。

 

 

どこから借入をしているかについて整理をすると、その1社づつの借り入れの内容に質問がうつります。

Expert
それでは個別の債権者についてお伺いしますね。まずA社にはいくら借り入れをしていますか?

 

 

Man
うーん…正確な金額は正直わからないのです…。

 

Expert
正確な金額でなくてもだいたいの金額でよいですよ。では、A社の最大の限度額はいくらでしたか?

 

Man
たしか、50万円でした。ただ半年前から新たに借入ができなくなっていて、ここ半年は返済しかできていません。

 

Expert
わかりました。おそらくなのですが、現在は45万円程度の残額が残っていると思われます。

まずは借金の残額について質問がされます。

この場合、残金がいくらかの1円の位までは、わかるに越したことはありませんが、もしわからなくても大体の金額で大丈夫です。

債務者のほとんどは、毎月定められた金額について返済をして開いた枠を再度利用して借り入れを行うということを繰り返しているため、債務の総額を把握していないことは実は珍しくないのです。

ですが、大体の額もわからないというのでは、借金の個別の額と総額がわからなくなり、弁護士・司法書士としても適切な手続きに関するアドバイスができなくなってしまいます。

ですので大体の金額を把握しておき相談時にスムーズにお伝えできるようにしておきましょう。

Expert
次に、いつくらいから借り入れを始めましたか?
Man
大体5年前くらいからだと思います。こちらもだいたいになるのですが。

次にいつから借り入れをしたかをお伺いしています。

この趣旨は出資法改正以前の利息制限法を超え出資法を下回る金額については、消費者金融や信販会社を受け取る権利がなく、現在の残額と差し引き計算し、払いすぎていた利息のほうが多い場合には返還請求をすることができるようになります(過払い金返還請求)。

その時代からの借り入れがないかチェックをするために、いつから借り入れをしているかをお伺いしています。

Expert
借入利息が何パーセントだったか覚えていますか?

 

Man
29%くらいでした。

こちらは、もし出資法改正前からの借り入れをしている場合に聞かれることになるのですが、利息制限法を超える金利で借り入れをしていたかどうかを確認する趣旨できかれます。

 

Expert
月々の返済額はいくらくらいですか?
Man
1万2千円です。
Expert
連帯保証人がいる・公正証書を差し入れている・裁判を起こされている、といった事情はありませんか?

その他の事項について確認がされます。

 

月々の支払い額は後で聞く家計の状況を把握するために聞き取られます。

連帯保証人がいる場合には債務整理をすると連帯保証人に請求がいくことになるので、連帯保証人がいるかどうか、いる場合に連帯保証人との関係について聞かれます。

公正証書を差し入れているような場合には、通常は裁判をして勝訴をしてから強制執行をすることができるのですが、裁判をせずに強制執行ができるようになるので聞かれることになります。

裁判を起こされているような場合には、強制執行をしてくることが予想できるため債務整理を直ちに行うべきケースということになりますので、裁判をおこされているかどうかも聞かれます。

以上の事項を債務整理をするしない関わらず、すべての債権者について確認をします。

収支に関する情報の整理をする

次に収支に関する事項の確認をします。

Expert
次に収支に関する事項を確認させてください。手取りの収入はいくらくらいありますか?
Man
営業職なので変動がありますが、最低でも22万円くらいで多いときでは30万円、普通は28万円程度の手取り収入があります。
Expert
支出なんですが、いつもどれくらい使っているか把握していますか?
Man
うーん…いつもギリギリで正直あまり把握できていないです…。すいません。
Expert
では、ざっくりでかまいませんので収入から支出を引いて借金返済のために使える金額は平均でどれくらいありますか?

 

 

 

Man
だいたい5万円くらいは無理なく支払いができると思います。

できれば細かい収支に関するものを把握できるようにしておくべきですが、そうでなくても手取りの収入から、生活に必要な額から引いた借金返済のために利用できる金額を伝えます

 

さきほど話して確定した借金の総額と毎月支払える金額のバランスで、この人は「支払不能」という破産状態かどうかを判断します。

Expert
実務的には総債務額÷3年(36回)の金額が支払い可能額を超えるかどうかで判断することがよくあります。3年を超える任意整理は通常組むことができないので、任意整理だと3年を超える計算になった場合には自己破産・個人再生を利用することになる、という判断をします。

資産に関する情報の整理をする

 

最後にどのような資産があるのかの確認をします。

Expert
不動産・自動車・株券など資産になるようなものはありませんか?
Man
とくにありません。

住宅や自動車があるような場合には、資産があるということになるので、自己破産をする場合には競売にかかってしまいますので、どのような資産があるかは必ず確認をします。

債務整理の方針をつたえる

 

以上の情報をやりとりした上で、弁護士・司法書士が相談者に一番適切な債務整理の方針を教えてくれます。

Expert
債務額が合計で250万円で月々支払いできる額が7万円程度ですね。この程度であれば、自己破産や個人再生を利用しなくても任意整理でも手続きをすすめられることができます。
Man
今後も収入が同じように続くようには思えないので支払いには不安が残るのですが…。
Expert
もしそうであれば、自己破産を申請しても通らない額ではないので、自己破産手続きの利用もできます。

 

 

支払いが可能で自己破産をしたくない場合には、任意整理や個人再生を利用します。

連帯保証人がいるなどして介入したくない債権者がいるような場合で、支払いの継続をできるような場合には任意整理を利用します。

債務の総額を支払えない場合には、自己破産の利用をすることになります。

以上のような方針をもとに相談者は依頼をするかどうか決めることになります。

債務整理の無料相談をスムーズにするための事前準備

それでは債務整理の無料相談の利用をするにあたってどんな準備が必要でしょうか。

情報を整理して弁護士・司法書士の事務所に訪問する

債務整理を専門にしている事務所の場合、多くは相談専門のパラリーガルと弁護士で相談に乗ることになります。

Expert
これは私の経験なのですが、たくさんの無料相談の依頼を受けている事務所は、1回の面談につき時間を制約をされているような法律事務所もあります。そのため時間を大切に使えるようにするため、なるべく事前に準備をしておいてもらえると、非常に助かったです。時間を有効につかえると相談する方が不安解消のための質疑応答もできるようになります。

実は上記の無料相談に先立って、上記の情報を記入してもらう相談シートを用意する事務所がほとんどです。

 

そのため、次のような事項をまとめておくことをお勧めします。

債権者に関する事項

債権者に関する事項は次のようなことをまとめておきましょう。

債務者は誰か?:VizaやMasterは決済システムなので、そのカードを発行している会社を調べておきます。通常は返済のためのATMカードの裏側に記載されています。

債務額はいくらか?:前回支払ったときにATMなどから出てきたレシートがあればよいのですが、無いような場合には上述したとおり大体でも構いません。

いつから借り入れをしたか?:◯年前から程度でかまいません。

連帯保証人・公正証書・訴訟をされているかどうかの情報

例えば

 

Aクレジット 約50万円 平成20年頃から 連帯保証なし 公正証書なし 訴訟なし

Bローン 約30万円 平成21年頃から 連帯保証なし 公正証書なし 訴訟なし

C銀行 約80万円 平成19年頃から 連帯保証なし 公正証書なし 訴訟をするという予告の通知がある。

 

といった風に記載してまとめて持っていくとそのまま利用できます。

Expert
債権者に関する情報は無料相談でまとめるのに一番時間が債権者が4社以上あるような場合にはこの情報を必ずまとめておきましょう。

収支に関する事項をまとめる

 

次に収支に関する事項も同じようにまとめましょう。

Expert
実は、月々5万程度なら支払いができる、という約束をしても、実際に依頼をうけたあとに任意整理を始めようとすると、月5万円も支払いすることはできない、という方はかなりの高確率でいらっしゃいます。借金返済が中心の生活をしていると、食費をはじめとした生活費の支払いについて把握していないようなことが多く、いざ家計簿をつけてみたら2~3万円の支払いすらできないということはよくあります。

収支に関する事項を正確に把握しておくことにより、弁護士・司法書士が適切な手続きを判断しやすくなるので、できれば事前にざっくりとでも把握しておくべきです。

 

どうやって把握すればよいかというと、こちらも収支に関する情報をメモにまとめます。

  • 収入がいくらあるのか
  • 生活に必要な費用の支出がどれだけあるのか
  • 差し引きするといくら残るのか=返済可能な額

といったことをしっかり計算をしておきましょう。

まとめ

このページでは、債務整理とはどういうことをやっていて、その無料相談はどのような流れでどのように行われるかのイメージを持っていただけたかと思います。

無料相談については、やる事がある程度事務的に決まっているので、

 

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